こんにちは、オジルです。今回はウインタブ読者にはもうおなじみのTeclastから、エントリースペックとなるF15Sの実機レビューをお届けします。サイズの異なるF7Sはライターのnatsukiさんが実機レビュー済みですし、「S」が付かないF15は読者レビュー済み。イメージとしては、F15のサイズにF7Sのスペックといった感じでしょうか。筐体は相変わらずのしっかりした造りで安心感がありますけど、Celeron N3350と聞くとまずは「大丈夫かな…」と思ってしまうのが正直なところ。さて、実際のところはどうなんでしょうか。なお、実機レビューにあたり、メーカーより製品をサンプル提供いただいております。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
目次
1.スペック
Teclast F15S | |
OS | Windows 10 Home |
CPU | Intel Celeron N3350 |
外部GPU | なし |
RAM | 8GB |
ストレージ | 128GB eMMC |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチ液晶 FHD(1,920×1,080) |
ネットワーク | IEEE802.11 a/b/g/n/ac 、 Bluetooth4.2 |
入出力 |
USB3.0×2、オーディオジャック、 miniHDMI、microSDカードリーダー |
カメラ | Webカメラ |
バッテリー | 約7時間 |
サイズ | 375x243x18mm |
重量 | 1.88kg |
性能はハッキリ言って低い、ただ…
搭載しているCPUはCeleron N3350で、現行のノートPCとしてはおそらく最低クラスのCPUと表現しても言い過ぎではないくらい。ただし、ブラウザの起動や画面表示が遅すぎて使い物にならない!となるくらい酷いかといえば決してそんなことはなく、ブラウジングやタイピング、オフィスソフトの簡単な処理などであればそこまで困るようなことはないと思います。私の妻は美容系のライターをしているんですけれども、PCで行うことはほとんどブラウジングとテキスト入力くらい(画像はほぼ無加工だと思います)で、こういう人にとっては本製品でも事足りるわけです。むしろ、ハイスペック機を購入しても宝の持ち腐れとなってしまうだけなんですよね。性能と価格はトレードオフなので、割り切って使う分には問題ないということになります。ただし、後述しますがやはり「もっさり感」は随所に散見されるため、問題ないとは言いつつも過信は禁物。また、RAMの8GBはいいとして、注目すべきはストレージがSSDではなくeMMCになっている点。欲を言えばSSDとなるのが通常ですが、性質上「性能よりもコストダウン」を図った製品だと推測されますので、CPU性能を考れば妥当ではないでしょうか。
入出力ポートは必要最低限
F15との違いはType-Cがなくなっているくらいで、左右に3.0がひとつずつと、miniHDMI、microSDカードリーダー、オーディオジャックというミニマム構成。あれこれ接続しないのであればマウスくらいで事足りるでしょうし、実際に私が会社で使用しているノートPCも普段挿しているのはマウスとUSBメモリのみです。Type-Cはよく使う人にとっては不満があるかと思いますが、私は古い人間なのでType-C文化が未だ根付いておらず、さほど気になりません。強いて気になる点を挙げるとすれば、15.6インチのサイズ感と1.88kgという決して軽くない重量からすると持ち運ぶ機会はさほど多くなさそう=据え置きメインが想定されるため、HDMIやSDに関してはフル規格の方が使い勝手は良さそうですね…でもまあ、欲張りだしたらキリがないので、最低限使える状態にはなっているのかなという認識です。
レビュー機の初期状態
レビュー機だからなのかは不明ですが、電源を入れたら既にアカウントが作ってあり、ホームページはTeclastの公式ページ、言語も英語になっていました。この状態に私はもう慣れましたけど、初めて中華PCを手にする方は面食らうかもしれません。一方でnatsukiさんがレビューしたF7Sは初期セットアップからだったようなので、販路にもよると思いますが、販売品はそうあって欲しいと願います。
2.筐体
同梱品
本体以外に入っていたものはACアダプターとペーパー類です。アダプターはグローバル対応(という表現で正しいのか不明ですが)となっており、コンセントの形状に合わせてアタッチメントを付け替えるシステム。もちろん日本で使うAタイプも含まれているため、変換アダプタを使用しなくても済むのは非常にありがたいですね。
外観
まず天板から。素材はアルミ合金で、控えめなロゴのみのシンプルなデザインです。中華ノートPCはA○pleクローンが多いせいか筐体カラーもシルバー寄りになっているイメージがありますが、本製品は濃いめのグレー。個人的にはこの色のほうが落ち着いた雰囲気があり断然好きです。人によって好みもあるので、カラバリがあると嬉しいんですけどね。今後のTeclastに期待です。
底面は中央にロゴ、下部はシリアルナンバーや各種認証マークがあります。技適マークもありますが、番号の記載はありません。それと、画像ではお伝えできないのがとても残念なんですけど、実は四隅のゴム足が結構しっかりしていて、高さもあるためだいぶ安定感があります。今まで触れてきたノートPCでもここまで存在感のあるゴム足は初めてかもしれません。
右下のM.2スロットには何も入っていません。OSはeMMCなので、純粋にストレージを増設する目的での利用となるでしょう。サイズは2242と2280に対応します。
左側面は左から順にUSB3.0、電源端子、miniHDMI。
右側面は左から順にmicroSDカードスロット、オーディオジャック、USB3.0です。
閉じるとこのようになります。最薄部は7mmとなっており、見た目もそうですし、持った時にも「ほんとに18mmあるの?」というくらい薄いような気がしてくるから不思議。こういった部分に毎度ながらTeclastの筐体品質というか設計というか、クオリティの高さをしみじみ感じます。あ、ゴム足の高さはこちらで何となく伝わるでしょうか?なお、前面と背面には特にポート類などもないため画像は省略します。
最大まで開口させてみると、見たところ135°くらい。180°近く開口する製品が増えてきましたが、元々ノートPCってこれくらいの開口ですよね。デスクやテーブルに置いて使う分には支障はないと思います。
ディスプレイ
ディスプレイ部分は上部にカメラ、下にロゴという構成はこれまでのTeclast製品と同様です。ベゼルは上下左右ともに狭くはないものの、大手メーカーのビジネススタンダードノート(低価格帯)と遜色ないくらいですし、少なくとも私は許容範囲だと思っています。ただ、この流れでウインタブ愛読者ならもう察しているとは思いますが、下の公式画像を見てしまうと…
いや、本当に左右がちょっと太いくらいの微妙な違いなんですよ?この画像を見てから実機を見ると、やっぱり違う気がしてしまいますよね…。あえて言わせていただきます。「私は誤魔化すほど酷いとは思わない。筐体品質の高い貴社だからこそ自信を持ち、顧客には誠実であってほしい」と。
キーボード
キーボードはクセのない標準的なテンキー付きのUS配列で、キーピッチは手採寸で約20mmとゆったり確保…と思いましたが、よく見るとテンキー部分の左側にあるキーとの間隔が狭く、どうやら全て等間隔になっている模様。これは慣れるまでエンターキー周りにちょっと違和感を覚えるかもしれません。タッチパッドはだいぶ広く取ってあるため作業領域を大きく使えて便利ですね。なお、バックライトは搭載しません。
3.使用感
動作全般
率直な感想です。OS起動は早くはありませんが、極端に遅く感じるほどではない約1分間。ブラウザの起動やページ遷移、Googleドキュメントやスプレッドシートで軽くデータ入力を行った際も特にモタつくはなし。ここからです。ブラウジングしている際、中でも画像の読み込みが発生するようなシチュエーションでスクロールしようとすると引っかかりが多くなります。また、Youtubeでの動画視聴時、動画によってはカクつきが見られましたし、再生中に全画面に切り替ようとすると2秒くらい待たされました。画像編集ソフトのGIMPについても起動そのものに時間を要し、ちょっとしたレタッチであれば問題ありませんが加工の際に時間がかかることも。本製品の評価は、これをどう捉えるかだと思います。私はブラウザで見るのはニュースなど文字中心ですし動画視聴はほぼPCでは行わないため「ちょっともっさりしてるなぁ」で済むんですけど、気になる方からすると確実に不快でしょうね。何度も言いますが、割り切って使う分には問題ないと思います。ちなみに発熱に関してはほぼ感じることはありませんでした。
ディスプレイ
もう誰もが見慣れたFHD(1,920×1,080)解像度ですが、廉価ながらもしっかり搭載していることをまず評価。明るさが極端に不足していたり発色に不満を覚えるようなこともないですし、視野角も個人的には広いように感じました。低価格帯の製品として考えた際にネガティブになるような懸念はない認識です。
キーボード
アルファベット部分はキーピッチが広く取ってあることもありタイピングは快適です。ただし前述の通り、キーが全般的に等間隔となっているためテンキーとの境界線が存在せず、またUS配列なのでエンターキーも小さいことから、やはり誤って数字(特に4)をタイプしてしまうことが何度かありました。NumLock押しとけって話なんですけど…。打鍵感に関しては適度に深く重く、ペコペコした感じもなく個人的に好きです。ちょうど手元にDELLのビジネスノートがあったので打ち比べてみたところ、体感的にはそこまで違いはありませんでした。
スピーカー
良い意味で期待を裏切られたのがスピーカーでした。正直なところ全く期待していなかったんですけど、音割れもなく、高低のバランスも良いように感じました。外観からはスピーカーがどこにあるのか判断できなかったので耳を当てながら探してみたところ、どうやらヒンジ部のようですね。下手に底面部にあるよりも、ディスプレイ側に向けて音を出すような構造になっている(と予想)からなのかは分かりませんが、とても耳馴染みが良い印象を受けます。
バッテリー
明るさ50でYoutubeを連続再生しながら適当にブラウジングしていたところ、1時間経過した時点でバッテリーが15%減少していました。メーカー公称の約7時間にそこそこ近い値になったかと思います。
4.性能テスト
ドラクエベンチ
ここまでの内容を見た上でゲームをやってやろうという方はほぼいないとは思いますが、念のため要求スペックが低いドラクエベンチを走らせてみました。想定していたとはいえ、これはなかなか…。下記の履歴の中ではAtom機にも劣るワーストの結果となりました。ゲームは相当厳しいでしょうね。
Teclast X6 Pro(Core m3-7Y30): 3,572
PEPPER JOBS GLK-UC2X(Celeron N4100)(TDP Unlocker最大): 3,127
ドスパラ raytrektab DG-D10IWP(Celeron N4100): 2,348
ドスパラ raytrektab DG-D10IWP2(Pentium N5000): 2,314
YEPO 737A6(Celeron N3450)(SSD換装): 2,239
BMAX Y11(Celeron N4100):1,845
Ockel Sirius A Pro(Atom X7-Z8750): 1,823
ドスパラ Altair VH-AD3S(Celeron N3350):1,816
T-bao Tbook 4(Celeron N3450): 1,794
Jumper EZBook 3L Pro(Celeron N3450): 1,774
YEPO 737A6(Celeron N3450): 1,696
Jumper EZpad 6 Plus (Celeron N3450) : 1,677
Jumper EZBook X4(Celeron N4100): 1,582
Teclast F7 Plus(Celeron N4100): 1,537
BMAX X14(Celeron N4100): 1,522
Chuwi UBook(Celeron N4100): 1,521
PIPO X12(Atom x5-Z8350): 1,513
One Netbook One Mix(Atom X5-Z8350): 1,359
CHUWI HeroBook(Atom X5-E8000):1,353
ドン・キホーテ NANOTE(Atom X5-Z8350): 1,135
Chuwi UBook Pro初期状態(Celeron N4100): 1,077
CrystalDiskMark
ストレージの読み書きについても確認しました。eMMCなのでさほど期待していませんでしたが、結果はまずまず。さすがにSSDクラスとは言えないまでも、CPU性能を考慮すれば困ることはないでしょう。
5.まとめ
Teclast F15Sは1月26日現在、AmazonのTeclast Authorized Storeにて36,900円(税込)にて発売中です。個人的には、価格はもう一声欲しいところですね。4万円出せばワンランク上と言いつつ体感レベルでかなり快適になるCeleron N4100搭載機に手が届くだけに、3万円ちょっとくらいまで抑えられればば前向きに検討できそうです。とはいえ、価格は別として、現状在庫もあるようですから「手持ちのパソコンが壊れたから代替機が欲しい」「最低限のことしかしないしすぐに必要」といったニーズには応えられるでしょうし、あえて軽作業用のサブPCとして1台持っておけばいざという時に役に立ちそうです。いつも思うのですがTeclastの筐体品質はとても高く、傍から見てチープさを感じさせないところは大いに評価できるポイントで、性能なりとは言いつつも手頃な価格で所有感を満たしてくれる製品だと感じました。
6.関連リンク
Teclast F15S:Amazon