こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。これまで2回にわたり、10インチタブレット(2 in 1と呼んだほうがいいかな?)「Iiyama 10P1100T-AT-FSM(以下、本機といいます)」の実機レビュー記事を掲載してきました。
Iiyama 10P1100T-AT-FSM - 実機レビュー(その1・筐体編)
Iiyama 10P1100T-AT-FSM - 実機レビュー(その2・性能・ソフトウェア編)
本機の実機レビューは今回が最終となりますが、実機をお借りできる期間がもう少し残っていますので、引き続き大切に試用させていただいて、自己所有のacer Aspire Switch 10と比較してみようと思います。なので、本機に関しては別記事で取り上げる可能性もあります。
今回の記事は「総合編」ということで、試用してみて感じたことなどを書いていきます。なお、「その1」の記事で触れていますが、本記事の内容はあくまでも私の主観であることをご了承下さい。
1.筺体パッケージング
Aspire Switchとの比較で書きます。私はAspire Switchを非常に気に入っていて、持ち歩く回数が増えています。レビュー記事でも書いたのですが、Aspire Switchは筺体だけで言えばほぼ完璧な2 in 1だと思います。少なくとも私にとっては本機よりも2 in 1としての筐体パッケージングは上です。
じゃあ、Aspire Switchをどういう風に使っているのか?というと「90%はノートPC、自宅でごくたまにタブレット」です。タブレットとしての使用頻度が非常に低いのです。私が8インチタブレットも持っているためです。Aspire Switchはワンタッチで本体とキーボード部分を着脱できますが、せまい電車の中でこの作業をするのは結構目立つし場所を取ります。なので、移動中など落ち着かない環境下でタブレットとして使う気になりにくい、というのがあります。こういう場合はもっぱら8インチタブレット(これまではVivoTab Note 8、これからはThinkPad 8も)になります。
仮にAspire Switchではなく、本機を購入していたとしてもこのへんの使い方は変わらなかったと思います。でも、多くの人は8インチタブレットと2 in 1(もしくは10インチタブレット)を同時に購入したりしないと思うので、2 in 1を2 in 1らしく使うのだろうと思います。その場合、「タブレットとしての利用がメインなのか、ノートPCとしての利用がメインなのか」ということをよく考えるべきです。
タブレットとしての利用がメインなのであれば、本機はおすすめです。もともとタブレットとしての利用を念頭に置いたデザインで、タブレット単体での持ち歩きにも適しています。Aspire Switchはタブレットとして使う場合、デザインが「対称」じゃないので、あんまりかっこよくはありません。「ノートPCの天板そのもの」って感じです。ノート形態のときの美しさは「無双w」ですけどね。
また本機ではキーボードと一緒に持ち歩く場合でも薄型軽量(990g)なのでAspire Switch(1.2kg)より楽です。たった200gと言うなかれ!長時間の持ち運びでは体感差は結構大きいですよ!
本機の弱点は、キーボードを接続してノートPCとして使う場合、Aspire SwitchやTransBook T100TAのようにワンタッチでヒンジ付きのノートPCになるタイプと異なり、組み立てが若干煩雑ですし、安定性もいまひとつ、というところです。せまいファーストフード店のテーブルとか、新幹線の中などでPC作業をする場合にはすこしばかり不便です。もちろん自宅や職場で腰を据えてPC作業をする、という場合は本機にせよAspire Switchにせよ、使い勝手には差は出ません。本機のキーボードは薄型ではあっても打鍵感やキーレイアウトはAspire Switchよりもむしろ上です。
整理すると、「タブレットとしての利用頻度が高い場合、移動中など、制約のある条件下でノートPCとして使う頻度が低い場合」であれば本機はAspire Switchよりも使い勝手がよく、「ノートPCとしての利用頻度が高く、移動中などでも機動的にノートPCとして使いたい場合」はAspire SwitchやTransBookなどヒンジがついたタイプのほう使い勝手がよい、ということです。
2.ワンランク上のCPU
前回の記事で私自身よくわかったのですが、タブレット形態、言い換えるとCPUにAtomを搭載していてハードウェアの拡張性のない製品を購入する場合、CPU性能の差は限定的です。
事務仕事系、例えばMicrosoft Officeを使う作業ではCPU性能の差が出ます。ただし、Atomとして上位のCPUを搭載している場合と下位のCPUを搭載している場合の体感差はそれほど大きくはありません。Officeでも重い作業(ファイルサイズが非常に大きいとか、CPUに負荷がかかりそうな複雑なマクロを使う場合とか)をする場合は本機のように上位のCPUを搭載したモデルのほうがいいですが、普通にExcelとかWordを使う場合は大きな体感差にはなりません。
オンラインゲームや画像加工ソフトでCPU負荷のかかりそうな作業をする場合、実はAtomの上位・下位モデルによる差は出にくいです。グラフィック系の処理はCPU性能だけでなくGPU(グラフィックコントローラー)に依存する部分が大きいため、CPUの性能差以前にGPUがボトルネックになってしまうのです。Atomを搭載するWindowsタブレットはCPUに内蔵されているIntel HD GraphicがGPUで、拡張性もないため、CPU性能だけでは大きな差が出ません。
最後に艦これなどのブラウザゲームの場合です。この場合は本機のCPU性能は威力を発揮します。ブラウザゲームもグラフィック性能は関係ありますが、オンラインゲームほど重量級の処理は必要なく、むしろFlashを動かすためのCPU性能に依存すると思われます。艦これの場合はゲーム自体かなり軽量化されているのでほとんどのWindowsタブレットで問題なく動きますが、御城プロジェクト(城プロ)の場合は、本機ではかなり軽快(それでもCore iシリーズ搭載のPCよりはずっと遅いです)に動かすことができるのに対し、CPUの性能が低いAspire Switchでは若干イラつく感じになってしまいます。
以上を踏まえると、本機のCPU性能は当然Aspire Switchよりも上なので、少し奮発して購入する価値はあると言えますが、Aspire Switchがダメダメ、というわけでもなく、スペックにこだわりがない人にとってはそれほど決定的な差とはいえない、と思います。
3.総合評価
Windowsの2 in 1は非常に多くの機種があって、それぞれに個性があります。その中で考えてもらいたいのは、(しつこいですけど)自分がどのような使い方をするのか、タブレット形態がメインなのか、ノートPC形態がメインなのか、ということ、そしてキーボードを装着した際、どういう環境下で利用するのか、ということです。
このことをよく考えた上で、あとは予算に応じて機種を選べば間違いないと思います。本機の場合、2 in 1としては軽量で、携帯性もよく考えられている上、ワンランク上のCPUを搭載しているのが魅力ですが、ケースに収納した状態から素早くノートPC形態にして作業するとか、狭い場所でキーボード入力するとかの状況は苦手です。利用シーンさえ条件に合うなら、買って後悔はしない、素晴らしい機種であると思います。
4.関連リンク
Iiyama 10P1100T-AT-FSM - 実機レビュー(その1・筐体編)
Iiyama 10P1100T-AT-FSM - 実機レビュー(その2・性能・ソフトウェア編)