こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は「大きいサイズのノートPC」の実機レビューになります。15.6インチ最新ノートPC「HP Pavilion 15 ab000(ab以降の数字はモデルによって異なります。以下、本機といいます)」です。カラーバリエーションが豊富で、お借りするときに好きな色を選ぶことができたので、迷わず「ピーチピンク」を選びました。その選択が吉と出たのか凶と出たのか、まあご覧ください。
HP Pavilion 15-ab000: HP Directplus
1.スペック
補足します。本機はHP の最新モデル(2015年夏モデル)で、HPのラインナップでは「スタンダードノート」という位置づけになります。スペック表を見てもらえればわかりますが、CPUやRAM、ストレージなどの構成にバリエーションがあり、今回試用したのは「Pavilion 15 ab048TU」で、中位のモデルになります。
CPUはCore i5-5200Uを搭載しています。「Core i5」と聞くと日頃もっぱらAtom機を愛用している私としては身構えちゃいますが、RAM(4GB)やストレージ(1TBでSSDではなくHDD)などのトータルで見てみると、HPの位置づけ通りスタンダードなノートPCだと言えるでしょう。もちろん悪い意味では決してなく、ビジネスにせよ家庭用にせよ、十分なパフォーマンスが期待できるスペックです。
2.筐体
ディスプレイサイズが15.6インチなので、さすがに「デカイ」と感じます。公共の交通機関を使ったり、徒歩で日常的に本機を持ち歩く、というのは現実的ではないと思います。重量が2kg越えですし、15.6インチという大きさもありますし、ノートPCではありますが、「室内を移動したり、たたんで収納できるデスクトップPC」と考えるべきでしょう。私がメインで使っているのは14インチのノートPCですが、DVDドライブを内蔵した、重量2kg超のものです。自宅にPC用のスペースを確保できていないため、あるときは食卓テーブル、あるときはこたつ(冬場限定ですけど)と、適宜移動しながら使っています。こういうニーズのある人にはこのサイズのノートPCは魅力的だと思いますし、特に家族共用でPCを使うライトユーザーには非常に使い勝手がいいはずです。
筐体は手っ取り早く言うとプラスティック製です。こう書くと聞こえが悪くなっていまいますが、見た目と触った感じは決して悪くはありません。むしろポップなカラーリングもあって好感が持てます。「安っぽい」というイメージはないでしょ?また、最近のHPのノート筐体は「ユニボディ」と呼ばれる「パーツを極力少なく」「剛性を重視」し、継ぎ目が極力少ないものを採用していて、見た目「高級感は絶対」という人でなければ不満を持つことはないでしょう。逆に遊び心のある人にはサイコーといっていいかもしれません。
キーボードはテンキーつきで、当然のごとくキーピッチも十分とられたアイソレーションタイプです。見るからに打ちやすそうでしょ?打鍵感はやや軽く、打鍵音もThinkPad X1 Carbonと比較してしまうと大きめです。ですが、もはやノートパソコンのキーボードとは言えないくらい余裕のある配置ですし、使ってみての満足感は高いです。しいて言えば、右側にテンキーがあることによって、テキスト入力メインの場合はやや左側に入力の中心が移動するため、若干の慣れは必要かもしれません。タッチパッドも左にオフセットされてますね。ちなみに私が現在使っているノートPCにもテンキーがあるので、個人的には全然問題なし、でしたけどね。
上に書いたように私は今回、試用機の筐体色にピーチピンクを選びました。上の画像の通り、ブリザードホワイト、コバルトブルー、ナチュラルシルバー、そしてピーチピンクと、本機はPCとしては異例なくらい元気の出るカラーバリエーションが揃っています。特にピーチピンク、めちゃめちゃ派手でしょ?本機を図書館(PC持ち込みOKの自習室あり)に持ち込んでみましたが、やっぱジロジロ見られましたw
また、十代後半~二十代の女性何人かにも見てもらいましたが、「色がきれい」とほめてはくれるものの、「自分では使いたくない」という意見がほとんどでした。なので、特におっさんはピンクはやめといたほうがいいかもしれません。
次に外観をもう少し詳しく説明します。
キーボードの上側には「BANG & OLUFSEN」のステレオスピーカーがついています。音の広がりや音質はさすがにいいですが、レビュアーである私が音楽鑑賞などの趣味がなく、「聞こえればいい」的なセンスのため、あまり突っ込んだ感想を書けません。というか、個人的には十分満足してるんですけど、あんまりべた褒めしちゃうと音にうるさい人に怒られちゃうかもしれませんし…。
筐体の向かって右側はこんな感じです。ヘッドフォンジャック、USB2.0ポート、そしてHDMIですね。
左側はこうです。電源アダプター、(有線)LAN、USB3.0ポート × 2、そしてアングルが悪くて見えにくいと思いますがDVDドライブがついています。なお、このディスクドライブ、上位モデルになるとブルーレイ対応となります。
あと、ディスプレイですが、光沢タイプで解像度は1,366 × 768とサイズの割にちょっと物足りないスペックなんです。実用上特に問題はないというか、不満を感じることはないと思うのですが、気になる場合は上位モデル(非光沢で1,920 × 1,200)モデルにしといた方がいいかもしれません。
3.性能
試用機にはWindows 8.1がインストールされていました。もちろんWindows 10無償アップグレード対応です。
ストレージはスペック表で1TBとなっていますが、パーテーション分割され、リカバリー用のドライブがあります。試用機は初期化されていなかったので若干正確性を欠きますが、空き容量は900GB弱でした。日頃記事にしているタブレット系機種の場合、初期状態でどのくらいの空き容量があるのか、ということはすごく重要な意味を持ちますが、1TBとかになるとあんまり気にしなくてよさそうです。
ただ、ストレージに関してはちょっと不満があります。試用機をお返しする際、初期化してから返すようにしているのですが、初期化作業に5時間くらいを要しました。私は試用機を使うのが初めてではありませんし、つい先日もLenovo thinkPad X1 Carbon(SSD512GB)を返却する際に初期化作業をしています。5時間かかったことは初めてです。本機を試用中、HDDの読み書きが遅くてイラだった、ということはありませんでしたが、長期間にわたりいろいろなソフトウェアをインストールしたり、大きなデータを読み込んだり保存したりといった作業をしていると、少しばかり気になるかもしれないなあ、と思いました。
いつものごとく詳細なベンチマークテストはしておらず、ドラクエベンチだけをやってみました。
(参考)
Lenovo ThinkPad X1 Carbon(Core i7-5600U):5,619
Core i5のノートPC(2年落ち): 5,299
DELL Venue 11 Pro 7000: 3,408
HP Stream 14-z000(AMD A4 Micro-6400T APU): 2,106
HP Pavilion x2 10-j000(Z3745D): 1,199
Aspire Switch(Z3735F): 1,101
Diginnos DG-D08IWB 32GB(Z3735F): 1,097
10P1100T-AT-FSM(Z3775D): 1,097
ThinkPad 8(Z3795): 1,086
決して悪くはないですが、特段いい結果でもないですね。予想通りって感じだと思います。Core i5機とはいえ、ゲーミングPCではなく、グラフィック系の性能はそれなり、くらいに考えておいたほうがいいかもしれません。同じPavilion 15でも、上位モデルはCPUがCore i7に格上げされる上、グラフィックカードがGeforce 940Mになるので、こういうゲーム系のベンチマークスコアは格段に上がる(おそらく1.5倍以上)のは間違いありません。
私が普段使っているソフトウェアやブラウザゲーム、ストアアプリを試してみましたが、結果は書くまでもないでしょう。スタンダードPCとして必要なスペックは十分満たしている、ということは間違いありませんが、やはり大きなディスプレイサイズや使いやすいキーボードの恩恵のほうが快適性に大きく寄与している、と感じます。ノートパソコンとしての制約を全く感じませんでした。つくづく思いますが、このサイズのノートPCって、自宅や職場ですえ置いて使う場合は無双の使いやすさですね。
4.どうせなら元気なカラーで
先日記事にしたThinkPad X1Carbonと本機はいずれもウインタブで扱うPCとしては大柄で、機種の個性も異なりますし、期待される性能も異なります。本機は価格面で手が届きやすく、ひとたび設置してしまえばデスクトップPCに匹敵する使い勝手となりますが、持ち歩くのはちょっと厳しいかな、と思います。ご自分の利用シーンをきちんとイメージしておくことが大切ですね。
また、本機はスタンダードノートというジャンルながら、上位モデルのスペックはなかなかのものがあります。ゲーミングPCと同等、というわけにはいかないにせよ、Geforceの採用もあり、激安という意味ではなくかなりコストパフォーマンスが高いモデルになっています。予算が許すようなら上位モデルを選択する、というのもおすすめです。
この記事を書いている2015年8月8日現在の本機シリーズの価格(キャンペーン価格です)は
下位(エントリー)モデル: 税抜き54,800円
中位(スタンダード)モデル: 税抜き62,800円
上位(パフォーマンス)モデル: 税抜き99,800円
となっています。個人的にお買い得だと思われるのはエントリーモデルかパフォーマンスモデルです。激安大好きウインタブとしては、おそらく過不足なく使えるであろうエントリーモデルを選ぶと思います。一方、ゲームを楽しむような場合はパフォーマンスモデルもいいでしょうね。パフォーマンスモデルだけはディスプレイ解像度にせよグラフィックカードにせよ、光学ドライブにせよ、かなり多くの部分でワンランク以上高いスペックになっているので、支払額は大きくなってしまいますが、それだけの価値は十分にあります。
ということで、半据置型としての実用性、そしてコストパフォーマンスという点を考慮すると本機の魅力はすごく大きいものがあり、買って後悔しない製品だと思います。最後に、本機を買うなら「元気が出る色」を選びましょうね!実はこれが一番書きたかったことだったりして…