こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は初めてゲーミングノートの実機レビューに挑戦です。お借りしたのは「HP OMEN 15-5100」です。本来ゲーミングノートにふさわしい実機レビューというのは、オンラインゲームに習熟したレビュアーが、複数のゲームを操作した上で、製品の使い勝手や競合製品との比較をしていくべきものだと思います。しかし、自分のPCスキルや日常のPCとの付き合い方はゲーマーのそれとは異なっており、ゲームプレイ時の操作性や競合製品との比較がうまくできそうにありません。
そのため、あくまでも「ノートPC」としてのレビューを軸にしたいと思います。性能面ではベンチマークテストの数値を記載するにとどめ、今回は筐体まわり、ノートPCとしての操作感、そして本機ならではの機能の紹介をメインにします。上級ゲーマーのお役には立てそうにありませんが、これからオンラインゲームを始めてみようかな、というニーズのある方に対し、少しでも機種選びのお役に立てれば、と思います。よろしくお願いします。
潜在能力が今、覚醒する。高速を体現するゲーミングノート HP OMEN: HP DirectPlus 特設ページ
1.スペック
補足します。スペック表でチェックすべきところはたくさんありますが、やはり「CPU、RAM、ストレージ、ディスプレイ」に関しては特にしっかりチェックしておきたいところです。加えてゲーミングノートの場合、グラフィックボードもCPUなどと同じか、それ以上に重要ですね。
本機に搭載されているCPUのCore i7-4720HQというのはノートPC用ではハイエンドに属するもので、Passmarkが公開しているベンチマーク数値だと
Core i7-4720HQ: 8,141
(参考)Core i7-5600U: 4,383
※2015年8月11日現在のPassmark公表値
となります。ちなみに参考として表示している5600Uというのは、私のあこがれのモバイルノート「ThinkPad X1 Carbon」の最上位モデルに搭載されている、Broadwell世代のハイエンドCPUですが、それと比較してもダブルスコアの圧勝です。
次にRAMですが、スペック表のとおり8GBと16GBを選べるようになっています。試用機は16GBが搭載されていました。個人的にはビジネス系とか画像加工系とか、通常のエンタメ系の用途に16GBは過剰だと思うのですが、なにせゲーミングノートですからね。もちろん64ビットOSの世界ではRAMは大きいほどパフォーマンスが向上するので、ゲーマーならこのくらいは常識かもしれません。
そして、グラフィックカード 「NVIDIA GeForce GTX960M」です。結論からいうとこのグラフィックカードは同クラスのゲーミングノートに最もよく使われているもので、GTX900Mシリーズの普及タイプとなります。上位に965M、970M、980Mという型番の製品もありますが、現在人気のあるオンラインゲームを「標準品質」で楽しむのに十分なスペックとなります。「高品質」で快適にプレイするためにはさらに上位のグラフィックカードが必要になりますが、当然価格の方も跳ね上がりますし、スペックに妥協しないとすると結局デスクトップPCになってしまうので、20万円クラスのゲーミングノートとしては最適といえる構成だと思われます。
そしてストレージはSSD512GBと、これも高速かつ十分な容量が確保されています。人気のあるオンラインゲームはストレージにインストールするタイプなので、ストレージの読み書きの速度は快適性に影響します。本機のSSDは「PCI Express, M.2」という規格で、通常のSSDよりもさらに高速に動作します。同クラスの競合製品は標準ではHDDになるものも多い中、本機のストレージ性能は競合製品よりも上、と言っていいでしょう。
2.筐体
これはもう「独創的」のひとことです。ゲーミングノートは多くの会社が販売していますが、その中で本機は際立って個性的なデザインとなっています。まず筐体は台形というか「逆台形」です。上部が大きくて底部が小さくなっています。この筐体デザインのせいもあり、もともとゲーミングノートとしては薄型の本機がさらにスリムに見えます。
筐体はアルミ切削で、天板はこんな感じ。細かいドット(トライアングル・ドット)が入っています。金属っぽさが強く、高級な感じがするとも言えますが、「メカっぽい」って言い方のほうが適切かも。
底部は冷却効率を考えてガンガン孔が打たれてますね。この辺りはさすがゲーミングノート、凄みを感じます。ちなみに底面から吸気、背面から排気、という循環を行っているので、熱風にさらされることもありません。
入出力ポート類は背面に集中しています。左からACアダプター用端子、USB3.0 × 4、HDMI、Mini DisplayPort、ヘッドフォンジャックとなります。
ディスプレイはもちろん非常に美しいのですが、光沢タイプです。光沢か非光沢かは好みがあると思いますが、映り込みの少ない非光沢のほうがゲーミング向けなんじゃないかなあ、と思いました。
3.キーボード
筐体を開いくとさらに驚きの世界が広がります。キーボードに派手なバックライトがついています。このバックライト、色の変更やキーボードの一部のみ(W,A,S,Dキー)を変更したりもでき、単なるデザイン性だけでなくゲーマーの操作支援という側面もあります。
キーボードの左サイドには「プログラマブル・キー」が配置され、複数のキー操作を記憶させることができます。ちょっと古いですけど、これで昇竜拳もラクラクですね。また、タッチパッドはこの凝ったPCとしてはあっさりした印象があります。ジェスチャ対応ですしサイズも大きめなのですが、ゲーム中は使用頻度が低いんだろうと思います。
で、このキーボード、キーピッチ、キーストロークとも十分で、打鍵感もカチッとした感じがして非常に好印象です。しかし、プログラマブルキーを配置している関係で、通常のキーボートとタテヨコ比(個別のキーという意味ではなくキーボード全体として)が異なるようで、ブラインドタッチをしようとすると誤入力が非常に多くなります。いつもキーボード入力をしている人間は、感覚的にキーボードのサイズ感を把握し、多少サイズが異なっていても割と早くブラインドタッチができると思うのですが、本機の場合、最後までブラインドタッチに苦労しました。といっても慣れるまでの時間が多少眺めにかかる、という理解でいいと思います。
3.OMEN Control
本機専用のコントールアプリ「OMEN Control」についても触れておきます。このアプリは本機のハードウェアを制御するためのもので、例えば
キーボードのバックライト色の調整とか
プログラマブルキーのコマンド登録とかファンの強弱も設定できます。ちなみにファン速度を「最大」にしてみたら、「シューッ」という音が聞こえてきて、ただでさえ強そうな本機が一段と強そうになりました。
4.性能
冒頭お伝えしたとおり、本機の性能をレビューするには、複数のオンラインゲームを使って競合機種との使用感の違いをお伝えするのが最良だと思うのですが、実際私のPC使用環境ではそれがままなりません。なので、ここでは淡々とPCMarkのスコアを掲載するにとどめます。
ゲーミングPCになれている人なら、このスコアで性能のイメージはできるんじゃないか、と思います。総じてノートPCのベンチマークとしてはかなり良好な数値ですね。
あと、非ゲームで使う場合、問答無用の早さだと感じました。ただ、例えばOffice系ソフトウェアにせよ、画像加工ソフトにせよ、ビジネスノートでも本機くらいの価格のものであれば十二分にサクサク動きますので、本機のほうが速いのは間違いないんでしょうけど、ハイレベルな戦いになるため、はっきり体感できるような差じゃありません。体感できるとしたらその人はサイボーグかなにかだと思います。はっきり言ってゲームを全然やらない、という場合は本機のスペックは宝の持ち腐れ、と言っていいでしょう。
5.勉強になりました
本機の場合、ゲーマーとして頂点に立ちたいとかの野望があるということでなく、普通のゲーマーとして楽しみたいとか、これから本格的にゲームをやりたい、という場合にはリーズナブルなスペックだだと思います。一方で、上級ゲーマーは、そもそもゲームマシンとしてノートを選ばないほうがいい、という意見をいう人もいて、確かにGeForceのグラフィックカードにしてもCPUにしてもデスクトップ用とノート用では格段のスペック差があります。しかし、日本の家屋事情を考えると、PCを一台持つにも制約が大きいので、ゲーミングノートの役割は大きいと思いますし、存在意義も大きいと思います。あとは、記事のレベルが低くてよくわからなかったかもしれませんが、よく言えばド派手、悪く言えば中2なギミックというかディテールをどう思うか、ってことでしょうか。
本機の199,800円(税抜き・RAM8GB)、222,800円(税抜き・RAM16GB)という価格は、その個性と性能を考えれば十分に妥当な価格だと思います。しつこいですが、あとは強烈な個性を受け入れられるかどうか、ってことだけですね。
2015年8月18日追記:
この記事で取り上げた「HP OMEN 15-5100」について、ゲーミングPCに詳しいと思われる「あんてな@」さんから読者の方に有益な情報になると思われる評価コメントをいただいております。あんてな@さんはウインタブにしばしば有益なコメントをしてくれる方です。この記事のコメント欄の一番上にあんてな@さんのコメントがありますので、あわせてご覧ください。なお、コメントの内容はあくまでもあんてな@さんの主観によるものであることをお断りしておきます。あんてな@さん、ありがとうございました。
コメント
昔の人は、「ゲームをノートでするとかありえない」とよく記載されており、以前は僕も同意見でしたが、現在のGPUは主流のもの(970m、980m)に関してはデスクトップ比60%ほどの性能であり、GTX970mであればGTX760を上回る性能で、大体のゲームが標準設定以上でできます。今やゲーミングノートを選ぶ価値は必ずあります。問題は価格だけです。
そもそも格ゲーとかシミュレーションゲー、さらには超高解像度でないFPSゲーに関していえば、回線速度のほうが重要であり、有線接続か否かの問題のほうが大きいです。omenはその有線接続が100/10Mbpsとか目を疑うレベルです…。
ただ、omenはすごく良い筐体だと思います。2kgそこそことゲーミングノートとしてはまだ軽めであり、その薄さ・形は美しいの一言に尽きます。ですが、悲しいかなこのラインナップでは2点大きな問題があります。先ほどの有線接続とGPUにGTX970mが採用されていないことです。
GTX960mもよいGPUではあるのですが、性能比でGTX750以上750Ti以下と、civilization5あたりがようやく動くレベルの性能です。それに2、3年ほど前のGTX860mと比べてあまり進歩していないのも悲しい点です。
現在のラインナップでは、モバイル重視で13インチであれば960mを、それ以上のサイズであれば970m以上をというのが、ゲームを頻繁にするゲーミングノートユーザーの主流です。
初めての方であれば、GTX860m+corei5H(2コア4スレッド)あたりのゲーミングノートを買ったほうがコスパ的に幸せかもしれません。ちょっと真面目に探せば、以前は20万近かったものが今や9万円を切るほどですし。ノートのGPUは交換がきかないので、940mとか950m買うくらいならそちらをお勧めします。
…何にせよお金があればですけどね(´・ω・`)
あんてな@さん、こんにちは、コメントありがとうございます。私はゲーミングPCに詳しくなく、うまく記事を書くことができなくて落ち込んでいたのですが、すばらしいコメントをいただけました。もしよろしければ、記事を加筆するという形でいただいたコメントを引用させていただきたいのですが、いいでしょうか?
引用の件ですが、僕のコメントに関しては気にせずに引用いただいて構いません。
ただ、当然僕の主観が含まれていますので、その点ご留意ください。
でも、wintabさんのタブレットの情報収集能力に関してはいつも驚かされるばかりなので、苦手な分野まで手を広げるよりは得意な分野を中心にカバーされるほうがよろしいかとは思います。
あんてな@さん、こんにちは、コメントありがとうございます。お言葉に甘えて記事に加筆いたします。ご指摘の通り、今後はタブレットを軸に、小さいサイズではスティックPCとWindowsPhone、大きいサイズでは15インチ級のビジネスノートくらいまでにテーマを絞るつもりです。この機会にオンラインゲームを始めようかな、と思っていましたが、しっかり時間が取れないと思うので長続きしないし、上級レベルのゲーマー心理を理解できるようにはならないでしょう。こんごともよろしくお願いいたします。