こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。以前からずっと気になっていた「RAM1GBタブレットの実力」ですが、幸いなことに「DELL Venue 8 Pro 3000」の実機をお借りすることができました。中華タブではないDELLからの低価格タブレットということで、DELLファンの人はもちろんのこと、本機の購入を検討している人は多いと思います。また、そういう人達がもっとも懸念しているのは私と同様「RAM1GB」というところだと思います。今回は日常使いの目線でその辺のところを明らかにしていきたいと思います。
1.スペックのおさらい
OS: Windows8.1 with Bing 32Bit
CPU: Intel Atom Z3735G(1.33GHz/バースト時1.83GHz)
RAM: 1GB
ストレージ: 32GB
モニター: 8インチWXGA(1280×800)IPS液晶
カメラ: アウト5メガピクセル/イン1.2メガピクセル
Office: Personal 2013(PowerPointなしのモデル)
サイズ: 216.2 x 130 x 9.0mm、重量391g
価格: 24,980円(税込)
ちょっとだけ補足します。CPUの「Z3735G」というのは最近のWindowsタブレットの主流である「Z3735F」と処理能力はほぼ互角であると考えていいです。Z3735Gは扱えるRAMの上限が1GBまで、ということになっていて、本機はRAM1GBなのでこちらが搭載された、ということだと思います。ちなみに直近のPassmarkが公表するベンチマークスコアでは
Z3735G: 915
Z3735F: 901
※2015年2月1日現在、数字が大きいほうが高性能
となっていて、むしろ3735Gのほうが高性能に見えますが、Z3735Gのテストサンプル数がわずか6しかないので、このくらいの差で「ウェーイ、Z3735Gのほうが速いもんね」ということにはなりません。「ほぼ同じ性能」という理解でいいと思います。
カメラはアウト5MPですね。低価格タブレットの場合、アウトカメラも2MPとかになることが多いので、ここはうれしいところ。それと、無線LANですが、5GHz帯には対応していないので注意してください。
また、今回の実機レビューではほとんど取り上げなかったのですが、ストレージの空き容量はお借りしたデモ機で15GB超、リカバリ領域が8GB超となっていました。おそらくWIMブートを使っていると思われるので、リカバリ領域の削除は無理だと思います。
2.外観
筐体表面はブラックですが、側面と背面は白の光沢あるプラスティック製です。はっきり言って全然高級感はないです。ひとことで表現すると「iPhone 5Cを大きくした感じ」ですね。でも、「高級感がないイコール安っぽい」ということを言ってはいません。むしろかわいい感じがしますね。個人的にはこういう割り切りがある素材感は大賛成です。安い素材で無理して高級感を出そうとするほうがよっぽど印象が悪いです。
タブレットは横持ちも縦持ちもできるので、言葉で位置を説明するときにちょっと混乱してしまうのですが、この記事では「縦持ちでディスプレイを見ているとき」の位置で説明します。
上の画像は筐体上部です。「電源ボタン」と「ヘッドフォンジャック」がついています。Windowsタブレットの場合、電源ボタンの位置はわりとまちまちですが、本機の電源ボタンの位置は慣れてしまえば全く問題はありません。
上の画像は筐体右上です。「Windowsボタン」と「ボリューム上下ボタン」、それに「microUSBポート」です。位置的に大きな問題はありませんが、スクリーンショット(Windowsボタンを押しながらボリューム下ボタンを押す)が撮りにくいと感じました。ただ、これも慣れてしまえば大丈夫でしょう。
筐体右下にはmicroSDスロットがあり、カバーで覆われています。一部のWindowsタブレット(たとえばASUS VivoTab Note 8)にはSDスロットにカバーが-ついていないものもありますが、本機はこの辺の作りがしっかりしてますね。
筐体底部にはモノラルスピーカーがあります。ちなみにスピーカーの左側にあるモザイクがかかっているところは、実機が特定されてしまうような(シリアルじゃないと思うけど)コードが書かれたシールが貼ってあったので、私が加工しています。モノラルスピーカーは実用上問題なく機能しますが、やや音量が小さめです。本機で音楽鑑賞などをする場合はヘッドフォンか外付けスピーカーが必要でしょう。
外観については、私は好印象を持っています。操作性も悪くないし、白い筐体に黒いボタンというのもシンプルで好感が持てます。一方サイズ感としてはとくに小さいとか軽い、ということはありませんでした。薄さ9mmというのはVivoTab Note 8あたりと比較すると薄く感じますが、ThinkPad 8とは差がありませんし、391gという重量も最新の8インチWindowsタブレットとしては軽いほうではありません。なので、8インチタブレットを使ったことがある人なら、よく言えば違和感はなく、悪く言えば全然感動がない、ということになるでしょう。
3.RAM1GBの実力
直感的にOffice系のソフトウェアとかWindowsストアのユーティリティ系、SNS系のアプリは問題ないだろう、と思いますよね。今回、Officeでのテストはしていないのですが、この直感のとおりで問題ないと思います。おそらく性能差がでそうなのはグラフィック系とかゲーム系なんじゃないかと思います。あとはマルチタスク性能ですが、そもそもタブレットでマルチタスクを試せる環境がなかなか作れないので、今回はゲーム系で試してみました。
まずドラクエxのベンチマークソフトで試してみました。
うーん、あんまり思わしくないですね。
参考:
Core i5のノートPC(2年落ち): 5,299
HP Stream 14-z000(AMD A4 Micro-6400T APU): 2,106
HP Pavilion x2 10-j000(Z3745D): 1,199
Aspire Switch(Z3735F): 1,101
10P1100T-AT-FSM(Z3775D): 1,097
ThinkPad 8(Z3795): 1,086
VivoTab Note 8(Z3740): 993
過去に測定したものの中では最下位になってしまいました。ただ、そこまでひどい差がついているということも言えないと思います。本当にRAM1GBがダメって言える場合は、そもそもテストを完走できないはずですから。ドラクエが目的でタブレットを買うのだ、という人以外はこの結果を好意的にとらえていいと思います。
次にストアアプリです。
これ、私が最近で一番気に入っている「GTレーシング2」をインストールしようとしたときにでたエラーです。よく見るとGTレーシング2は「RAM2GB以上推奨」と書いていて、それでエラーが出てしまったと思われます。
仕方ないので「Asphalt 8」をインストールしてみました。これもGTレーシング2に負けず、相当に負荷が大きそうなアプリです。でも、こちらは全く何の問題もなく遊べました。
ということで、Windowsストアアプリのうち、ゲームアプリの一部はRAM2GB以上というハードルを設けているものがあり、そういうアプリは本機では遊べません。本機の試用期間が短く、多くのアプリを試せませんでしたが、個人的には「Asphalt 8が遊べるんならたいていは大丈夫だよね」と思います。
あと、「艦隊これくしょん~艦これ~」もやってみました。以前、「RAM1GBのタブレットだと、モダンUI用のInternetExplorerでしか艦これはできない」という記事をどこかで見たのですが、本機に関しては全然そんなことはありませんでした。モダンUI用とデスクトップ用のInternetExplorerで試してみましたが、非常に快適でした。「若干もたつく」的なことも感じていません。艦これの運営がゲームを軽量化してくれているせいもあるんでしょうが、一切不満は感じませんでした。
最後にマルチタスク性です。これ、以前Twitterで教えてもらったのですが、「Windows8では、たとえばゲームアプリを3つ同時に立ち上げても、アクティブになっているアプリだけがメモリを消費し、それ以外の2つは動作を休止する」ということなんですね。それでもタブレットの動作が緩慢になったりすると使っていないアプリを終了させたりするし、実際それで挙動が改善することもありますが、これはおそらくアプリが原因なのかWindowsOSなのか、正しく動作を休止してくれないアプリがあるせいなんだろうと思います。Windowsってこういう挙動が得意ですよねw
で、何が言いたいかというと、モダンUIでいくつかのアプリを同時に立ち上げても、そのせいで本機の挙動が悪化するということは実感できませんでした。Excelのマクロを裏で走らせながらストアアプリでゲーム、なんていう場合、ひょっとしたら問題が出るのかもしれませんけど、タブレットでそういう使い方しないでしょ?普通にストアアプリ使ったり、Webブラウジングしたり、Excel使ったりという感じで使うなら全然問題ありませんから。もし挙動がもっさりに感じられるようになったら、RAM2GBのタブレットよりもほんの少しだけ気を使って、使ってないソフトウェアとかアプリを終了させたり、CCleanerなどを使ってキャッシュなどを掃除してやればそれで十分なんじゃないかと思いますよ。
4.結論
多少なりとPC知識のある人ほど「RAM1GBって厳しいよね」と言います。私もRAM1GBよりは2GBのほうがいいと思うし、できれば4GBくらいは欲しいです。で、思うんですけど、PCスキルの高さを自認するような人を集めて、本機とThinkPad 8、あとVivotabあたりを使って「利き酒コンテスト」じゃなくて「利きタブレットコンテスト」をやったとしたら、正しく判別できる人は何人いるでしょう?私は自信ありません。
RAM1GBっていうのは知識レベルで「厳しい」のであって、それって実用性の説明になってない、ということを本機の実機レビューで痛感しました。また、年末に購入したThinkPad 8(64ビットOS、RAM4GB、ストレージ128GB)はカタログスペックだけ見たらぶっちぎりの高性能になるはずなのに、ベンチマークテストをやってみると大した差にならなかったり、ということも経験しています。ThinkPad 8を弁護すると、挙動が非常にキビキビしているとか、アプリの立ち上げが非常に速いとか、ベンチマークだけじゃない部分での快適性は感じてますし、なにかを試すときにも「ThinkPadでできないんならあきらめよう」くらいの気持ちにはなれますんで、購入する価値は大ありだと思いますけどね。
本機の話に戻ります。予算が限られていて、DELLが好き、中華がイヤ、という人は「買い」です。RAM1GBということに固執すると後悔します。大丈夫、まったく期待を裏切らない性能で、お買い得なタブレットですよ、これ。
コメント
Vistaのメモリ不足を根に持ってる人が多いのかな
メモリ1GBじゃ話にならないというイメージばかり先行してる
アフロさんこんにちは
まったくもっておっしゃる通りだと思います。タブレットは使用環境に制約がある場合が多いので、1GBでも十分な機能が使えると思いますし、実際Venue 8 Pro 3000を使ってて、スペック至上主義のアホらしさを痛感しました。低価格タブレットって十分に存在意義があるし、むしろ賢い選択なんだろうと思います。