DELLが4月24日に発表したノートPC5機種のうち、今回は「宇宙最強(ALIENWARE)」の15.6インチと17.3インチを紹介します。DELLのゲーミングと言えばALIENWAREですが、多分に超個性的でもあり、わりと好き嫌いが出やすい製品だと思います。でもそんなことはDELLはとっくに承知しているでしょうね。しかし、スペック面、筐体構造面、そして価格面のどこを見てもDELLのゲーミングラインの最高峰に位置する製品であることは間違いありませんし、今回のニューモデルも妥協を排した構成になっていると思います。
1.スペック
ALIENWAREには13.3インチ、15.6インチ、17.3インチと、3種類のディスプレイサイズがあります。特に13.3インチというサイズはゲーミングノートとしては珍しいコンパクトなものですが、残念ながら今回の発表ではニューモデルが投入されていません。新しくなったのは15.6インチ(ALIENWARE 15)と17.3インチ(ALIENWARE 17)の2機種です。
最大の注目ポイントはCPUでしょう。私が知る限り、Coffee Lake世代のCore i9を搭載するノートPCは他にMSIがあるくらいで、まだ非常に珍しいです。実力の程は「すげえんだろうなあ」くらいには思いますが、具体的なことはまだよくわかりませんね。ALIENWAREに搭載されるCore i9-8950HKというのは型番末尾が「HK」であることからわかる通り、オーバークロックが可能です。また、それ以外のCore i5-8300H、Core i7-8750Hもオーバークロック可能で、「ALIENWARE Command Center」という専用ソフトウェアで(特別な知識を持たない)ユーザーによるオーバークロックもできます。
GPUはGTX1060から最高でGTX1080まで搭載可能です。RAMは最大32GBまで、ということもありますし、Core i9 + GTX1080というのはノートPCとして最高性能を発揮することでしょう。
ストレージは最大3基搭載可能で、基本的にプライマリーはSSDとなりますが、下位グレードではSSHD(HDDに小容量のSSDをセットしたもの)も採用されます。
ディスプレイは15.6インチ、17.3インチとも3種類から選べ、「IPSだけどリフレッシュレート60Hz」「TNだけどリフレッシュレート120Hz」「4Kでリフレッシュレート60Hz」と、ゲーマーなら地味に悩んでしまいそうな選択肢になっています。ただし、どれを選んでもNVIDIAのG-Sync対応です。
また、ネットワーク関連では有線、無線ともKILLERのコントローラー(有線はKILLER E2500、無線はKILLER 1550)が採用されています。サイズのほうですが、ALIENWAREに必要以上のコンパクトサイズを求める人はいないと思いますが、独特の筐体レイアウト(ヒンジ・フォワード)を取っていることもあり、奥行き(短辺)が一般的なノートPCよりもかなり大きくなってしまっている(5センチくらい大きいです)ことに注意が必要です。
2.筐体
発表会での説明によれば、新しいALIENWARE 15、17とも、従来モデルと同一の筐体が使われています。そのため、ALIENWAREユーザーの人や、ALIENWAREについて詳しいという人にはあまり新鮮味がない、ということになりますね。外観上の変化は「13ゾーンのライティング(筐体側面や天板にある、発光する部分)の色の組み合わせがフレキシブルになった」という点と、15インチ版のみですが、筐体色に「ブラック」が追加された(従来は「エピックシルバー」のみでした)ことのみです。
ただし、内部的にはしっかり改良が加えられており、特にCPU用の冷却効果を高め、コア数の増えたCoffee Lake世代のCPUに適切に対応しています。
ALIENWAREのキーボードはストロークがノートPCとしてはやや深めで2.2 mmあります。もちろんnキーロールオーバーにも対応し、背面にはスチールプレート(金属板)も入った「強打仕様」です。
15.6インチと17.3インチ、外観の違いは非常に小さいですが、15.6インチのキーボードにはテンキーがつきません。この画像は15.6インチのものですが、これはこれでゲーミング時には使いやすいのではないでしょうか?
いろんな意味で個性的なALIENWAREですが、特に個性が際立つのがこのアングル(側面)です。ヒンジがやや前方に配置されているのがわかります。この設計により、ディスプレイ面がよりユーザー側に近くなって迫力を増す、ということと、冷却系パーツを背面側に、サウンド系パーツを前面側に配置することにより、よりユーザーが快適にPC操作できるというメリットがあります。
ポート類も充実しています。ALIENWAREには「Graphics Amplifier」という「外付けGPUボックス」も別売りで用意されており、それを使うと一段と高い拡張性が得られますが、本体のみでもUSBポート数、映像ポート数などは十分確保されていると思います。ちなみにSDカードスロットはありませんね…。なお、上の画像の番号に対応するポートの名称は下記のとおりです。
1.USB 3.0、2.LAN(RJ45)、3.Mini-Display Port、4.HDMI、5.USB Type-C(Thunderbolt 3)、6.Alienware Graphics Amplifier接続用ポート、7.DC-IN、8.Nobleロック、9.USB Type-C、10.USB 3.0、11.ヘッドフォンジャック、12.マイクジャック
3.価格など
DELL ALIENWARE 15 / 17はDELL公式サイトで販売中で、価格は15が185,230円(税込み200,048円、4月27日現在のキャンペーン価格)から、17が199,480円(税込み215,438円、キャンペーン価格)となっています。注目のCore i9搭載モデルですが、15が294,480円(税込み318,038円)から、17が303,980円(税込み328,298円)から、となっています。Core i9モデルの場合、GPUは最低でもGTX1070、RAMも16GB以上となることもあり、価格はやや高くなってしまいますね。
ゲーミングノートと言っても千差万別ですし、最近はゲーミングノート用のCPUやGPUを搭載しつつ見た目はごく普通のスタンダードノート、という感じの製品も増えており、その意味ではゲーミングノートとスタンダードノートの境界線は少し曖昧になっている感があります。また、ゲーミングノートをゲーム以外に使ってはいけないというバカな話もないので、気に入ったPCを好きなように使えばいいだけなのですが、ALIENWAREだけは「ゲームやらないんなら買わないでよ」っていいたくなるような製品かな、と勝手に思ったりします。それだけ独自の世界観を持ってると思うんですよね。