
ASUS Zenbook SORA 16 (UX3607OA)の実機レビューです。CPUに「最新鋭の」Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100を搭載するARM版Windows機で、上質で薄型・軽量な筐体と高いパフォーマンスが魅力の16インチノートPCです。
なお、このレビューはASUS JAPAN株式会社より機材の貸し出しを受けて実施しています。
・Snapdragon X2 Elite Extremeの性能は驚異的
・独自素材「セラルミナム」は美しく優しい質感
・2.8K有機ELディスプレイの発色品質が素晴らしい!
・ノートPCとは思えないスピーカー品質
・Copilot+ PCのAI機能がフルに使える
ここはイマイチ
・ARM版Windowsのため、一部アプリの動作に不安あり
目次
1. スペック表
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Home |
| CPU | Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100 |
| RAM | 48GB (LPDDR5X-9523、オンボード) |
| ストレージ | 1TB SSD (PCI Express 4.0 x4 接続 NVMe/M.2) |
| ディスプレイ | 16.0インチOLED (2,880×1,800) 120Hz |
| 無線通信 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4 |
| ポート類 | USB4 Type-C (映像/PD対応)×2 USB 3.2 Gen 2 Type-A HDMI、SDカードリーダー オーディオジャック |
| カメラ | Webカメラ (207万画素) 顔認証対応 |
| バッテリー | 70 Wh (動画再生 約12.1時間) |
| サイズ | 353.5×242.4×13.8-16.5 mm |
| 重量 | 1.2 kg |
2. OSとCPUについて
OSはWindows 11 Homeです。CPUのSnapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100は2025年9月に発表された最新の「Snapdragon X2シリーズ」の上位型番で、最大80TOPSのNPU性能を誇ります。また、ウインタブが確認した限り、2026年4月9日現在、この製品が国内で唯一のSnapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100搭載機となります。

これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。このCPUの真骨頂は「AI性能 (NPU性能)」だと思いますが、CPU性能も非常に高く、IntelやAMDのハイエンド型番と比較しても「むしろ高性能」と言えそうです (ただし、サンプル数がわずかに1しかないことには注意が必要です。このあとレビューで測定したベンチマークスコアを掲載します)。
一方、ARM CPUであることから、一部のアプリ (特にゲーム)ではうまく動作しないという問題があります。もっとも、Microsoft OfficeをはじめとしたMicrosoft製アプリやブラウザーのChrome、Adobeのクリエイティブアプリなど、メジャーなアプリはARM版Windows向けに開発されている (ARM64ネイティブアプリ)ため、全く問題なく動作します。
また、この記事を執筆するのに使用したフリーの画像加工ソフト「GIMP」やクラウドストレージの「pCloudアプリ」の動作にも全く問題はありませんでした。私が常用しているアプリだと、唯一「Google日本語入力」のみ正常に動作しませんでした。また、ベンチマークソフトの「PCMark10」も動作しませんでしたが、これはまあ、常用するアプリではないですね。
3. 外観と使用感
ACアダプター

ACアダプターは出力が130Wと、外部GPUを搭載しないノートPC用としてはサイズも大きめで実測重量も445 g (電源ケーブル込み)でした。
なお、Zenbook SORA 16のUSB Type-CポートはUSB PDに対応しており、手持ちの急速充電器 (最大100W給電対応)で測定してみたところ、最大90Wで充電できました。そのため、充電時間はかなり短くなるはずです (メーカー公称だと「30分で50%の充電が可能」とのことです)。
天板と底面
天板です。筐体色は「ザブリスキーベージュ」といいます。…まあ、「ベージュ」ですね。

筐体はASUS独自の新素材「セラルミナム (Ceraluminum)」製です。ASUSの説明では「セラミックの軽さと硬さ、金属の柔軟性と耐久性を備えた革新的な素材」となっていて、堅牢性を確保した上で「16インチで1.2 kg (実測値1,215 g)」を実現しています。タテヨコサイズは大きいですが、重量に関しては「モバイルノート」と言っていいサイズ感です。
手触りは非常になめらかです。一般的なアルミ製やマグネシウム製のノートPCとは全く異なり、まるで陶器のような優しい手触りで、「ちょっと感動的」ですらあります。また、初めて手で持った時に「うわ、軽い!」と声が出てしまいました。

底面です。中央上部に通気口が、左右にスピーカーグリルがあります。ユーザーが簡単にメンテナンスできるような開口部 (ハッチ)はありません。この製品のCPUはSnapdragonですし、RAMもオンボードメモリなので、基本的に換装や増設はできません。
側面

前面

背面
前面と背面です。ポート類やボタン類はありません。この製品は軽いだけでなく、最厚部16.5 mmと薄型です。

左側面
左側面です。画像左からHDMI、USB4 Type-C×2、イヤホンジャックがあります。上にも書きましたが、Type-CポートはどちらもUSB PDと映像出力に対応しています。

右側面
右側面です。画像左からSDカードリーダー、USB 3.2 Gen 2 Type-Aがあります。この製品はコンテンツクリエーションにも向くので、SDカードリーダーがついているのはありがたいところです。
ディスプレイ

ディスプレイは16インチで解像度は2.8K (2,880×1,800)、パネルは有機ELです。ASUSは他社に先駆けて有機ELディスプレイに力を入れており、この製品のディスプレイも「ASUS Lumina OLED」という名称で、100%DCI-P3の色域、VESA Display HDR TRUE BLACK 1000認証取得、1,100nitの輝度、30Hz-120Hzの可変リフレッシュレートに対応と、素晴らしい品質です。ただし、タッチ対応はしません。
…小難しい数値・認証について書きましたが、体感的にも非常にキレイと感じられます。
ASUSは有機ELパネルの保護・調整機能もしっかり搭載しています。これは設定アプリ「MyASUS」の画面ですが、いまや懐かしい「スクリーンセーバー」機能や画面のちらつきを抑える「フリッカーディミング」、また画像にはありませんがリフレッシュレートの設定 (60Hz固定、120Hz固定、可変)もできます。
また、発色の設定も可能です。色域は「ネイティブ、sRGB、DCI-P3、Display P3」から選択できるので、クリエイターの利用にも向くと思います。ちなみに私はクリエイターでもなく、「ネイティブ」で全く不満を感じませんでした。というか、ネイティブでも他社の有機ELディスプレイよりキレイ、と感じました。
キーボード
キーボードです。「84キー日本語キーボード (イルミネートキーボード) (JIS配列)」と開示されており、16インチサイズながらテンキーはありません。キーピッチは19.05 mm (PCのキーボードとしては標準サイズです)、キーストロークは約1.3 mm、キートップ中央に0.3mmのくぼみがあります。
配列は、電源ボタンが最上段の右から2つめ (Deleteキーの左)にある、という以外はおおむね素直です。タイピングしていて狭苦しさは全くなく、タイピング音も静かな部類です。テンキーがないのは賛否が分かれると思いますが、非常に使いやすく、タイピングしやすいキーボードだと思います。
また、タッチパッドは大型で「スマートジェスチャー」に対応します。タッチパッド上部を指をスライドさせて曲送り、左端をスライドさせて音量調整、右端をスライドさせてディスプレイ輝度調整ができ、3本指ジェスチャ (アプリ切り替え)や4本指ジェスチャ (仮想デスクトップ切り替え)ができます。
タッチパッドについてもMyASUSで設定が可能です。上に説明したスマートジェスチャーも無効化できます。私は、タッチパッドを全く使用しませんが、マウスを一切使わないヘビーなタッチパッドユーザーなら、場合によってはスマートジェスチャーは邪魔になるかもしれませんしね。
ヒンジ開口角度

ヒンジを最大開口したところです。実用上全く問題がありませんが、最近のノートPCでよくある「180度開口」には対応しません。
一通り外観を確認しました。Zenbook SORA 16は「Snapdragon X2 Elite搭載」という点に目が行ってしまいがちですが、個人的には「筐体の素晴らしさが印象的」でした。ASUSは「ちょっと独創的なことをしがち」なメーカーですが、Zenbook SORA 16については「上質という意味で独創的」な筐体だと思いました。他社製品とは明らかに違う、素晴らしい筐体だと思います。
スピーカー/マイク/カメラ
Zenbook SORA 16は「6スピーカー搭載」ですが、底面左右に2つのスピーカーグリルがあるものの、6つのスピーカーの正確な位置がわかりません…。しかし、音質は「さすが」と感じられるレベルで、とても薄型軽量ノートPCのスピーカーとは思えない、クリアで臨場感のある音を聴かせてくれました。これなら動画視聴はもちろん、音楽鑑賞にも十分使えると思います。
Dolby Atmos対応で、グラフィックイコライザーもついており、お好みの音質にすることができます。この画面はDolby Settingsという独立したアプリの画像ですが、MyASUSからもスピーカー設定は可能です。
マイクとスピーカーもAIノイズキャンセリング対応です。マイクのノイズキャンセリング機能は現在ほとんどのPCメーカーが搭載していますが、Zenbook SORAのノイズキャンセリング機能も非常に優れており、見事にノイズを消してくれます。
Zenbook SORA 16はCopilot+ PCなのでWindows スタジオエフェクトが使えます。スタジオエフェクトの機能はこれまでウインタブがレビューしてきたIntel / AMD搭載PCよりも明らかに充実しています。面白いのが「クリエイティブフィルター」で、自分の顔をアニメっぽくしたり水彩画っぽくしたり、といったことができます (ただし、極端なエフェクトではありません)。
4. AI機能
Zenbook SORA 16にはWindowsスタジオエフェクトのほかにも多彩なCopilot+ PC機能が搭載されています。
「ライブキャプション」や「リコール」、ペイントアプリの各種AI機能などです。Copilot+ PCの諸機能は、Windowsの大型アップデートやマイナーアップデートで適宜追加されていると思われるので断言はできませんが、私が見たところ、これらの機能はこれまでウインタブがレビューしてきたIntel CPUやAMD CPUを搭載するCopilot+ PCよりも明らかに充実しています。
詳細は別途記事を執筆する予定ですが、おそらくSnapdragon搭載機はIntel/AMD CPU搭載機よりも「Microsoftに優遇されている」と思われます (これは私の私見であり、MicrosoftやASUSが公式に言っていることではありません)。
5. 性能テスト
ベンチマークテスト
ウインタブではWindows PCのレビューでPCMark10を実施していますが、このテストはARM版Windowsには対応していませんので、今回はCINEBENCH 2024、CINEBENCH 2026、CrystalDiskMarkの3つを実施しました。すべてARM64ネイティブアプリです。
テストの実施にあたり、MyASUSのファンモードを「パフォーマンスモード」にし、レビュー機を電源に接続しました。
CPU性能を測定するCINEBENCHです。ウインタブではCINEBENCH 2024の過去データがありますので、まず過去データと比較してみます。
CINEBENCH 2024の過去データ (一部抜粋):
Core Ultra 9 275HX:132、2,094
Core i7-14700:122、1,177
Core Ultra 7 258V:121、676
Core i9-13900HK:117、827
Core i9-13900H:117、687
Core i7-14650HX:115、1,244
Ryzen AI 9 HX 375:114、1,144
Ryzen AI 7 350:114、878
Core Ultra 9 185H:111、910
Ryzen AI 9 HX 370:110、942
Ryzen AI 9 365:109、1,008
Snapdragon X Elite:108、1,038
Snapdragon X Plus X1P-42-100:108、754
Core Ultra 7 155H:105、964
Core Ultra 7 155U:101、533
Core Ultra 7 255U:101、516
Core Ultra 5 225U:98、482
Core Ultra 5 125U:95、533
Core Ultra 5 125H:95、516
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
CINEBENCH 2024について、ウインタブの過去データと比較すると、シングルコア (シングルスレッド)は147と過去最高でしかもダントツ、マルチコア (マルチスレッド)1,622とCore Ultra 9 275HXに次ぐスコアとなりました。
CINEBENCH 2026については過去データが乏しく、上の画像の左下にある「RANKING」の数値を引用してご説明します。
シングルスレッドの618はApple M4 Max (676)に次ぎ、Core Ultra 9 285K (デスクトップ用CPU)やApple M3 Ultraを凌ぐ (!)結果です。また、画像にはありませんが、マルチスレッドの6,689はApple M3 Ultra (12,082)やCore Ultra 9 285K (9,182)、Apple M4 Max (7,829)には及ばないものの、Core Ultra 7 255H (2,861)やApple M2 (2,336)、Core Ultra 9 288V (1,957)に大きな差をつけています。
※Apple M3 Ultra:デスクトップ専用の型番でApple最強のCPU。2つの「M3 Max」を連結させる「UltraFusion」構造を採用。
※Apple M4 Max:直近でM5シリーズがリリースされたものの、現時点ではまだ最新と言えるAppleモバイル用ハイエンドCPU

SSDの読み書き速度を測定するCrystalDiskMarkのスコアです。Zenbook SORA 16のSSDはPCI Express 4.0 x4 接続と開示されていますが、この規格のSSDとしてはごく高速な部類です。PCIe 4.0の性能をフルに引き出せていると思います。
バッテリー駆動時間
MyASUSのファンモードを「ウィスパーモード」にし、ディスプレイ輝度を70%に、音量を30%に設定して下記の作業をしました。
画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約40分
ブラウザー上でテキスト入力を約40分
ブラウザー上でYouTube動画・音楽鑑賞を約30分
上記トータルで約110分 (1時間50分)使用し、その間のバッテリー消費は22%でした。単純計算だと1時間あたり約12%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は8時間半弱となります。Zenbook SORA 16のメーカー公称のバッテリー駆動時間は「動画再生時 約12.1時間」なので、それよりも短めの結果となりました。ただし、この製品のディスプレイ輝度70%というのは十分に明るく、音量30%というのも「静かな部屋で動画を観るには大きすぎる」くらいなので、ディスプレイや音量、キーボードバックライトの調整で節電に努めれば、さらに駆動時間は伸びるものと思います。
とはいえ、今回の測定結果でも「ほぼ終日バッテリー駆動で作業することが可能」と評価できますし、ACアダプター (130W)およびUSB PDによる充電 (実測ベースで最大90W)とも、大きな電力になっていますので、充電時間もかなり短くなるものと思います (メーカー公称値は付属のACアダプターを使って「30分で50%充電可能」とのこと)。
6. まとめ
Zenbook SORA 16 (UX3607OA)はASUS Storeで販売中で、4月9日現在の価格は339,800円からです。なお、この記事公開時点だとASUS Store製品ページに10%OFFクーポンがありましたので、クーポンを適用すれば305,820円で購入できます。
実機を試してみて、まず筐体のデザインや手触りなどの質感は「抜群」でした。記事中にも触れましたが、ASUSの独創性が「上質感」という部分でしっかり現れていると感じました。他社製品のどれとも似ていない、どれにも負けないくらいの品質だと思います。
次にパフォーマンスですが、CINEBENCHで比較したCPUの基本性能はIntel Core UltraシリーズやRyzen AIシリーズを凌ぎ、WindowsのノートPCとしては最高水準にあると評価できます。ただし、OSがARM版であることにより、PCゲームなど一部のアプリで互換性の問題がありますので、この点をどう評価するか、ということになると思います。
ウインタブではこれまで「ARM版Windowsはアプリの互換性に課題があり、積極的にはおすすめしない」というスタンスでしたが、実際のところ「そうでもないよね」と思い始めています。もちろんお仕事などで特殊なアプリ、古いアプリを使わざるを得ない人やPCゲームのプレイを目的にしている人は購入前に動作確認をすべき (メーカーに問い合わせる、あるいはWebで情報収集する)かと思います。
大手の情報サイトのライターさんなどがSNSで「このアプリは動かない」「メーカーはもっと注意喚起すべきだ」などと言っているのを見たことがあります。それらの指摘が間違っているとは思いませんが、正直なところ、普通のビジネスマンや学生さんが「アプリが動かなくて困る」と感じる場面はほとんどないでしょう。例えば、Google日本語入力が使えないと生きていけない!という人は別として、Microsoft IMEやCopilotキーボード、ATOKなどで代替できるという人なら、アプリの互換性でそんなに慎重になる必要はないと思いますね。
一方で、私が見たところ、CPUがSnapdragonであるがゆえに、「Copilot+ PCの独自機能の幅 (使える機能の数)」は明らかにIntel CPUやAMD CPUを搭載する製品よりも上です。この点はSnapdragonならではのメリットと捉えていいでしょう。
繰り返しになりますが、個人的にはZenbook SORA 16はパフォーマンスはもちろんのこと、「この筐体品質 (ディスプレイやスピーカー、キーボードの使用感などを含む)だけでもお金を出す価値があると思います。
7. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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