ASUSのゲーミングブランド「ROG(Republic of Gamers)」では、たくさんのゲーミングノートがラインナップされていますが、その中で最も「特異」なデザインの製品が「ZEPHYRUS」です。ZEPHYRUSについては昨年一度紹介記事を書いていますので、興味のある人はこちらも合わせてご覧ください。
ASUS ROG ZEPHYRUS GX501VS ー ほかのノートPCに似てない!意欲的な新機能・新設計の15.6インチゲーミングノート
どこが怪異、いや特異なのかということについてはおいおいわかっていただけると思いますが、外観が特異というだけでなく、ゲーミングPCとしての性能も超一流です。
1.スペック
デスクトップ用のCPUを搭載するとか、GTX1080をSLi(2基搭載するということです)にするとかの話を別にすれば、この製品のスペックはハイエンドと言っていいと思います。CPUこそCore i9ではなくCoffee Lake世代のCore i7-8750Hとなりますが、GPUはGeForce GTX1080です。ウインタブではCore i9搭載機のレビューをしたことがないのであまり偉そうなことは言えませんが、オンラインゲームのベンチマークスコアを測定すると、「CPU性能が一定水準を越えている場合、CPUの型番による性能差よりもGPUの型番による性能差でスコアが決まる」というのが経験的な見解です。
この製品の場合、6コアの高性能なCore i7を搭載し、かつGPUがハイエンドのGTX1080なので、オンラインゲームのベンチマークスコアを測定したとしたら、Core i9 + GTX1080の組み合わせと大差ないくらいの結果になるのではないか、と思います。ただし、ゲームの種類によって、よりCPU性能を要求するものもあると思いますので、すべてのゲームに対して言える話ではないし、非ゲーミングでの科学技術計算など、CPUの素の実力が問われるような利用方法だと、Core i9との性能差が出ると思います。ただし、それが体感できるほどの差なのかはわかりません。
RAMはDDR4-2666という高速な規格のものが24GB、ストレージはSSDのみで512GBとなります。後述しますが、この製品はゲーミングノートとしてはかなりの薄型になっているせいもあってか、物理ストレージは1基のみとなります。
ディスプレイは15.6インチのFHD解像度で、リフレッシュレートは「最高レベル」の144Hzとなります。リフレッシュレートというのは「1秒間に何回画面が切り替わるか」ということを表す数値で、この数値が大きくなるほどディスプレイの反応速度が速くなり、アニメなどの描画が滑らかになります。一般的なノートPCだと60 Hzが普通で、ゲーミングノートの一部で120 Hzというものがありますが、この製品のリフレッシュレートはそれを上回ります。
そして、高リフレッシュレートとあわせ、G-Sync(NVIDIAの技術で、やはりゲーム画面の動きを滑らかにします)にも対応します。ゲーミングPCの場合、4K解像度であることよりもこれら画面遷移をより敏感に、滑らかにさせる技術のほうが重要だと言われます。
ちょっと面白いのが入出力ポートで、USBに関しては高規格のものが十分な数量配置されますが、映像出力ポートはHDMIのみ(Thunderboltでも高画質な映像出力は可能です)ですし、なんと有線LANポートがありません。ゲーミングノートで有線LANポートがない製品というのは非常に珍しいです。ただし、USB-LAN(RJ45)の変換ケーブルが付属します。
2.筐体
では「特異」なデザインです。この製品は横幅は379 mmですから、特にコンパクトなわけではありませんが、厚さが最厚部でも17.9 mmしかなく、ゲーミングノートとしてはかなりの薄型です。
で、キーボードです。ZEPHYRUSシリーズには「パームレストがない」んです。それだけでなく、テンキーとタッチパッドが兼用なんです。「そういえば昔のノートPCって、こんな風にパームレストがなかったよなあ」なんて懐かしく思う人もいるかもしれませんが、現代のノートPCとしてはかなり変わったデザインだと言えます。
ASUSによれば、この配置にしたのは「液晶画面とキーボードの間のスペースで強力に本体の冷却を行うため」と「デスクトップPC用のキーボードと同じ使い心地を実現するため」の2点から、ということです。
エアフローのイメージ図です。このようにキーボード面上方の空間を利用して通気を行う仕組みになっています。
また、普通ならテンキーがあるべき場所は「センサーボタンのテンキー兼タッチパッド」となります。仮にこの製品を事務用で使うとしたら使いにくいでしょうけど、ゲーム中はタッチパッドの利用頻度は低いですもんね。
天板は立体的な造形で、結構派手かもしれないです。残念ながら筐体素材は不明ですが、アルミ製かな、と思います。
側面と入出力ポートです。割と大柄な筐体ということもあり、17.3 mmという厚さでも、見た感じはかなりスリムですね。また、上に書いたように有線LANポートはありません。もちろん変換アダプターによって有線接続は問題なくできますが、このあたりは上級ゲーマーの間では賛否が分かれそうです。
3.価格など
ASUS ROG ZEPHYRUS GX501GIはASUS ShopやAmazonなどで販売中で、7月15日現在の価格はASUS Shopが税込み377,784円、Amazonで税込み377,773円と、ほとんど変わりません。また、ビックカメラでも税込み377,773円ですが、ポイントが10%(37,777円分)つきますのでお買い得と言えるかもしれませんね。37,777円あればエントリークラスのノートPCがもう1台買えそうですし…。
また、ZEPHYRUSシリーズは型番末尾が「VI」「VS」という、少し前に発売されたモデルもあり、これらのモデルはCPUが第7世代だったり、ディスプレイのリフレッシュレートが120 Hzだったりと、スペックが異なりますので注意してください。
40万円弱のノートPCということで、誰でも気軽に買えるような代物ではありませんが、とても面白いコンセプトを持った製品だと思います。
4.関連リンク
ROG ZEPHYRUS GX501GI(GX501GI-I7G1080Q):ASUS Shop
ROG GX501GI-I7G1080Q:Amazon
ROG シリーズ GX501GI-I7G1080Q:ビックカメラ