2023年12月に発売されたスマートフォン「Xiaomi 13T(au版XIG04)」の実機レビューです。上位モデルのXiaomi 13T Proはオープンマーケット版もありますが、Xiaomi 13Tはau・UQ Mobileで販売されるキャリアモデルのみ展開されています。少し前のハイエンド端末と同等の性能を備えながら、中古白ロムでも4万円前半で購入でき、ディスプレイやカメラ性能も力が入った魅力的な端末です。
・中古白ロムなら4万円で購入可能
・ハイエンド端末に迫る性能
・高級感のある筐体デザイン。「アルパイン・ブルー」は質感が高いビーガンレザーを採用
・リフレッシュレート144Hz表示に対応するWQHD AMOLEDディスプレイを搭載
・Leicaコラボはないものの、美しい写真・動画を撮影できるカメラ
・「GAME SPACE」ユーティリティでは細かいグラフィック調整も可能
・おサイフケータイも使用可能
ここがイマイチ
・OSアップデート保証期間がグローバル版準拠かどうか不明
・67W出力Xiaomi Super Charge急速充電器が別売
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Xiaomi 13T XIG04:じゃんぱら
1.スペック
スペック表
Xiaomi 13T XIG04 | |
OS | MIUI 14(Android 13ベース) |
CPU | MediaTek Dimensity 8200-Ultra |
RAM | 8GB |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 6.7インチOLED(2,712×1,220)144Hz |
LTEバンド | 5G:n3/28/41/77/784G LTE FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/ 19/20/26/28 TD-LTE:B38/40/41/42 |
SIM | nanoSIM + eSIM |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.4 |
入出力 | USB Type-C |
カメラ | イン20MP/アウト50MP + 50MP + 12MP |
バッテリー | 5,000 mAh |
サイズ | 162 x 76 x 8.7 mm |
重量 | 197 g |
コメント
OSはAndroid 13ベースのMIUI 14です。現時点ではまだ具体的なスケジュールが公開されていませんが、Android 14ベースのXiaomi HyperOSへのアップデートも近日中に提供される予定です。
グローバル版Xiaomi 13Tシリーズでは最大4回のOSアップデートと5年間のセキュリティアップデートが提供される予定です。国内キャリア版も他メーカーを見ている限り、グローバルモデルに準拠する形でOS・セキュリティアップデートを提供しているので、おそらくXiaomi 13Tも同じような対応になるのではないかと予想しています。
CPUはMediaTek Dimenisity 8200-Ultraです。Xiaomi 13T Proに搭載されているDimensity 9200+と比較すると性能は落ちますが、それでも3年前のハイエンドスマートフォンに搭載されていたSnapdragon 888/888+に匹敵する性能を持ち合わせていて、2024年現在でもスマートフォンゲームの中では最重量クラスとなる「原神」を最高画質設定で快適にプレイすることが可能です(後述します)。
RAMは8GB、ストレージは256GB(UFS 3.1)で、MicroSDカードスロットは備わっていません。
RAMは8GBです。ゲーミングスマホではRAMを24GB搭載する端末も登場していますが、現在のAndroid OSではそこまで使い切ることはまずないので8GBでも十分でしょう。メモリ増設機能も備わっていて、ストレージ領域を割り当てることで最大13GBまでRAM容量を増設可能です。
au向けに販売されている端末ですが、2021年10月より原則キャリアモデルでもSIMロックを解除した状態で販売されるようになっているため、ドコモやソフトバンク、楽天モバイルでも問題なく利用できます。
グローバル版Xiaomi 12Tでは一部のSIMを挿入した際、VoLTEが利用できない問題が発生していましたが、今回購入したXiaomi 13Tは国内向けモデルなのでドコモSIMでも問題なくVoLTEを利用した電話の発信・着信を行うことが可能でした。ドコモ・ソフトバンクのプラチナバンドもサポートしています。
Xiaomi 13Tでは67W出力の急速充電に対応していますが、Xiaomi 13T Proとは異なりACアダプターは同梱されていないので、別途購入が必要です。
2.筐体
付属品はSIMピン、純正TPUケース、マニュアルです。グローバル版では67W Xiaomi Hyper Charge対応ACアダプターとUSB-C to Aケーブルも同梱されていますが、国内キャリア版では前述の通り別途用意する必要があります。
「Xiaomi 67Wターボチャージ対応急速充電器・ケーブルセット」(税込4,490円)はauショップ、au Online Shopで購入可能です。
Xiaomi 67W ターボチャージ対応急速充電器・ケーブルセット:au Online Shop
前面です。筐体のデザインは上位モデルのXiaomi 13T Proと共通です。日本では未発売のXiaomi 13・14 にも通ずるデザインで、ベゼルもギリギリまで狭められています(設定している壁紙はMIUI 14に含まれているものではありません)。ディスプレイ埋め込み式指紋認証センサーが内蔵されていて、心拍数を測定することも可能になっています(後述します)。
背面です。画像では色合いが変わってしまっていますが、かのあゆが購入したXiaomi 13Tの筐体色は「アルパイン・ブルー」です。
「ブラック」「メドウ・グリーン」ではガラス素材が用いられていますが、「アルパイン・ブルー」のみ手触りの良いビーガンレザーを採用しています。なおキャリアロゴとFelicaマークは配置されておらず、カメラバンプ部に「Leica」ロゴがないことを除き、見た目はグローバル版と共通です。
左側面には何もありません(撮影環境の都合で少しお見苦しい画像になってしまいました。申し訳ございません・・・)。
右側面には電源ボタン、ボリュームボタンがあります。
上側面にはスピーカー、マイク、赤外線センサーが配置されています。
下側面にはSIMスロット、USB-Cポート、スピーカー。
3.使用感
ソフトウェア
ホーム画面とプリインストールアプリ一覧です。キャリアモデルなので「auサービス」フォルダに削除できないキャリアアプリが導入されていますが、それ以外のプリインストールアプリはオープンマーケット版とほぼ変わりません。オフィス互換ソフトのWPS Officeも含まれていますが、こちらはキャリアアプリとは異なり、通常通り設定からアンインストール可能です。
Xiaomi端末ではおなじみのリモコンアプリもあります。Xiaomiが販売している家電製品だけでなく、メジャーなメーカーの製品も一部サポートされています。
LINEやFacebook等、通常1アカウントしか設定出来ないアプリでもう一つ別のアカウントを設定できる「セカンド・スペース」も利用できます。かのあゆ自身は使用していませんが、プライベート用と会社用のアカウントを使い分ける際に役に立つと思います。
ディスプレイに埋め込まれている指紋認証センサーで心拍数を測定する機能も用意されています。Google Fitなどの健康管理アプリとの連携機能は用意されておらず、健康管理で活用したいのであればスマートウォッチ・バンドを購入した方がよさそうではありますが、面白い機能ではあります。
国内版Xiaomi 13Tシリーズではおサイフケータイ(Felica Type-F)も利用可能です。QUICPayやGoogle Payといった電子決済サービスやポイントカードを利用できるだけでなく、マイナンバーカードを読み取って「マイナポータルアプリ」で確定申告の提出や、健康保険証として活用できます。
中古で購入したので、既に最新のファームウェアが適用された状態でした。現時点での最新バージョンは2024年1月1日付けのセキュリティパッチが適用されているMIUI 14.0.7 TMFJPKD(Android 13ベース)となります。
オープンマーケット版Xiaomi端末とは異なり、OTAアップデートがAndroid標準のものに置き換わっています。普通に使うのであれば特に気にする必要はありませんが、おそらくブートローダーアンロックも不可能と思われます。
グローバル版は一部地域でAndroid 14ベースのXiaomi HyperOSの配信が始まっていますが、国内キャリア版はau・UQ Mobileによる検証作業などを行ってから公開する関係で、au版はAndroid 14(=Xiaomi HyperOS)に更新される予定であることが正式に発表されています。このレビューを執筆している2024年3月の時点では具体的な配信時期は公表されていません。
リセット直後のストレージ容量です。削除できないキャリアアプリもプリインストールされているとは言え、OS等のシステムファイルが使用している容量は約12GB、アプリデータの容量は1.25GBと比較的コンパクトに抑えられています。MicroSDカードはサポートされていませんが、一般的な使い方であればほとんどの場合容量不足で困ることはないでしょう。
ディスプレイ
ディスプレイは6.7インチサイズで、パネルはAMOLED(有機EL)です。仕様は上位モデルのXiaomi 13T Proと共通となっていて、解像度はWQHD+(2,712 × 1,220)でDolby Vison・HDR10・HDR10+をサポートしています。リフレッシュレートは最大144Hz、タッチサンプリングレートは480Hzと、ゲーミングスマホに匹敵する性能となっています。
Xiaomi 12シリーズで初めて採用されたAdaptiveSyncもサポートされ、デフォルト設定では状況に応じてリフレッシュレートを30Hzから144Hzまで自動調整してくれます。表示品質は10万円以上で販売されている他社フラッグシップモデルと比較して勝るとも劣らないものになっていて、動画や写真だけでなく、ゲームもクリアな画質で楽しむことが出来ます。もちろんWidevineはL1なので、Amazon Prime VideoやNetflixで配信されているHDコンテンツも楽しめます。
スピーカー
Xiaomi 13Tではステレオスピーカーが内蔵されています。Xiaomi 12TシリーズまではHarman/Cardonがチューニングを担当していましたが、ライセンス契約が終了したのか2023年以降に販売されているXiaomi端末では最新モデルとなるXiaomi 14シリーズも含め、特に有名オーディオメーカーとのコラボレーションは行われていません。
とはいえ、Dolby Atmosを標準サポートしているため、AmazonプライムビデオやNetFlixといった動画配信サイトや、Apple Music、Amazon Musicといった音楽配信サービスなどで配信されている対応コンテンツで迫力のあるサラウンドサウンドを楽しめます。スピーカーの音質もさすがXiaomiといったところで、低音、高音ともにバランスがとれています。
BluetoothのコーデックはSBC、AAC、LDAC、LHDC、ASHA(補聴器で採用されているコーデック)をサポートしています。LDAC対応ワイヤレスイヤホンも購入しやすい価格帯の製品が増え始めてきているので、ワイヤレスでも高音質なサウンドを楽しむことができます。
MediaTekのCPUを搭載しているため、Qualcommがライセンスを保有しているapt-x Lossless、apt-x Adaptiveは非対応となるので、ワイヤレスイヤホンを購入する際は注意が必要です。
カメラ
カメラアプリは標準的なUIで、iPhone含む他社スマートフォンから乗り換えた場合も操作に迷うことなく、すぐ使い出すことが出来ます。
利用できる機能は「ドキュメント」「ビデオ」「動画」「ポートレート」「プロモード」「50MP撮影モード」などです。「パノラマ」と「長時間露光」モードのみ、標準では利用できずインターネットから追加ダウンロードが必要になります。
設定アプリでは自動的に写真をインテリジェントに切り取り、様々な構図バリエーションを作成する「Xiaomi ProCut」の有効化や、動画でのHDR10+撮影の有効化、コーデックの変更などが設定できます。
カメラのスペックはイン20MP、アウト50MP(メイン) + 50MP(望遠) + 12MP(超広角)です。グローバル版Xiaomi 13Tシリーズでは名門一眼レフカメラメーカー、Leicaとの提携により、アウト側にSUMMICRONレンズカバーを採用し、Leicaがチューニングを担当した「Leica Authentic」「Leica Vibrant」モードが利用できますが、日本ではシャープがAQUOS RシリーズとLeitz Phoneを販売している関係で、Leica関連の機能はバッサリ削除されています。
とはいえ、Leicaと提携する以前からXiaomiはカメラ性能に力を入れていたため、クオリティの高い写真を撮影できます。メインと同じ50MPの望遠レンズを備えていて、光学ズームにより最大20倍まで拡大できます。さすがに細部はぼやけてしまっているものの、細かいディティールはきちんと維持されています。
安価な端末だとノイズが目立ってしまう夜景撮影もこの通り、美しく撮影できています。MediaTek製CPUを採用している端末はDSP(画像処理プロセッサー)の処理の関係で色合いがおかしくなることがよく指摘されていますが、Xiaomi 13Tではそのようなこともありません。
飯テロ写真もこの通り、おいしそうに撮れています。正直Leicaのカラーフィルターが利用できない国内版Xiaomi 13Tもカメラフォンとしてのポテンシャルは高いと感じました。これが(中古なら)4万円で普通に購入出来てしまうとは・・・素晴らしいですね。
3.性能テスト
参考:
ROG Phone 7(Snapdragon 8 Gen 2):1,600,872
Zenfone 10(Snapdragon 8 Gen 2):1570,918
Zenfone 9(Snapdragon 8+ Gen 1):1302,110
Galaxy Z Flip4(Snapdragon 8+ Gen 1):1191,652
AQUOS R6(Snapdragon 888):927,786
ROG Phone 5s(Snapdragon 888+):876,082
Galaxy S22 Ultra SC-52B(Snapdragon 8 Gen 1):791,087
Xperia 5 II SOG02(Snapdragon 865):700,437
AnTuTu Benchmark v10でベンチマークを回してみました。Xiaomi 13T Pro(Dimensity 9200+)ではSnapdragon 8+ Gen 1に近いスコアを計測するようですが、Dimensity 8200-Ultraも優秀で、総合スコアではSnapdragon 888+とほぼ同等の数値をたたき出しています。正直、これでもかなりオーバースペックすぎる性能だと思います・・・。
序盤エリアでは負荷が軽いためベンチマークにはならないと言われている上、個人的にもあまりやりこんでいなかったのでレビューでも取り上げなくなった「原神」ですが、最近本格的にプレイしはじめたこともあって、Xiaomi 13Tでグラフィック設定を最高に上げて動作確認してみました。
現時点ではまだ負荷が最も高いとされているマップ、「スメール」まで進んでいないので、あまり参考にならないかもしれませんが、この段階なら端末に負荷がかかる高画質設定でも快適にプレイ出来ます。
ゲーム支援機能の「GAME SPACE」ではフレームレートや異方性フィルタリング、レダリング品質の設定や、タッチ感度の調整を行うことが可能です。Xiaomi 13Tはカメラフォンとしてだけでなく、ゲーミングスマートフォンとしてのポテンシャルも素晴らしいものでした。
4.レビューまとめ
au版Xiaomi 13T XIG04はauショップ、au Online Storeにて一括65,000円で販売中ですが、じゃんぱらでは中古であれば42,800円、未使用品でも45,800円で購入できます。AliExpressではグローバル版も販売されていますが、Leicaコラボモデルは日本への配送に対応していないので、購入するのであれば国内キャリア版がお勧めです。
円安の影響で他社ハイエンドモデルが気軽に購入出来るとは言いがたい価格設定になってしまった今、これだけ高性能な端末が中古の未使用品でも4万円台半ばで購入出来るのは驚異的です。キャリア版(ソフトバンク)だけでなく、オープンマーケット版も用意されているXiaomi 13 ProはCPU性能がより高く、120W出力の急速充電も利用できますが、ほとんどの人にとってXiaomi 13Tですらオーバースペックといっていい性能です。
かのあゆはメイン端末として購入していますが、予想以上の完成度と感じられ、とても満足しています。安価で高性能なスマートフォンを探している方にお勧めです。
5.関連リンク
Xiaomi 13Tシリーズ - Xiaomiのフラッグシップ、今回はグローバル版と同時発表です。卓越したカメラ性能、超急速充電機能も健在
Xiaomi 13T:mi.com
Xiaomi 13T 商品一覧:じゃんぱら