Lenovoのゲーミングタブレット「Legion Tab (8.8″, 3)の実機レビューです。2025年1月に発売されたばかりのニューモデルで、NECから販売されている「LAVIE Tab」名義で販売されているモデルはありますが、それを別とすれば日本向けとしては初の「Legion」ブランドのAndroidタブレットとなります。
持ちやすい8.8インチサイズのハイエンドタブレットというだけでも希少なのですが、「Legion」の名を冠しているだけあってゲーミング性能もとても高い製品でした。
なお、このレビューはメーカーより実機をお借りして実施しています。
・コンパクトサイズながら最新ゲームを最高画質設定で楽しめる
・リフレッシュレート165Hzの2.5Kディスプレイ
・急速充電に対応する68W ACアダプターが付属
・Snapdragon 8 Gen 3搭載の高性能機ながら比較的購入しやすい価格
・高音質な内蔵ステレオスピーカー
ここがイマイチ
・専用ケースは付属せず、純正ケースの取り扱いもなし
・内蔵ストレージはゲーミングタブレットとしては256GBでは足りないかも
・カメラ性能は「オマケ」レベル
・横持ちだとスピーカーが塞がりやすい
販売サイトはこちら
Legion Tab(8.8″, 3):Lenovo公式ストア
1.スペック
スペック表
Legion Tab(8.8″, 3) | |
OS | ZUI 16.1(Android 14ベース) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 |
RAM | 12GB |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 8.8インチ(2,560 x 1,600) |
ネットワーク | 802.11/a/b/g/n/ac/ax/be、Bluetooth 5.4 |
入出力 | USB Type-C |
カメラ | イン8MP/アウト13MP + + 2MP |
バッテリー | 6,550 mAh |
サイズ | 208.5 x 129.5 x 7.8 mm |
重量 | 350 g |
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OSはAndroid 14です。Lenovo公式サイトでは記載されていませんが、カスタムUIとして「ZUI 16.1」が採用されていて、PCモードやゲーム支援機能「Legion Space」といった便利な機能が備わっています。OSアップデートは最大3年間提供される予定とです。
SoCはSnapdragon 8 Gen 3で、最新型番ではありませんが、2025年現在でもCPU・GPU性能は圧倒的に高く、端末に負荷がかかる最新3Dゲームを高画質設定で快適に楽しむことが可能です。もちろん通常タスクでもストレスを感じることはありません。RAMは12GB、ストレージは256GB(外部ストレージ拡張不可)です。
カメラはイン8MP、アウト13MP (メイン)+ 2MP(マクロ)です。今回ゲーム特化型タブレットということで、使用感等は省いていますが、画質はいまいちで「あくまでオマケ」と考えたほうが良さそうです。明るい場面でもぼけやすいので、ちょっと実用するのは厳しいかな・・・と感じました。
バッテリー容量は6,550 mAhで、わずか1時間でフル充電が完了する68W出力の急速充電をサポートしています。
2.筐体と使用感
付属品は簡易マニュアル、USB-C to Aケーブル、68W急速充電対応ACアダプターです。Lenovoを含め、サステナビリティを重視するメーカーが増えてきたこともあって、Legion Tabも付属品は必要最低限の内容となっていますが、急速充電に対応するACアダプターが付属するのはうれしいところ。
前面です、上下ベゼルはやや太めですが、「LEGION」ブランドらしい高級感のあるデザインになっています。
背面には「LEGION」、「Lenovo」ロゴの印字とアウトカメラ、技適マークやシリアル番号などが記載されたラベルがあります。筐体色は「エクリプスブラック」1色のみとなります。
筐体は金属製で耐久性は比較的高そうですが、そのままリュックに入れてしまうとどうしても擦り傷が発生してしまうので、専用ケースも一緒に揃えておくことをおすすめします。純正ケースは販売されていませんが、Amazonなどの通販サイトではいくつかサードパーティ製ケースが販売されています。
Legion Tab 8.8″, 3 ケース 一覧:Amazon
側面とポート配置についてはメーカーの製品画像にてご説明します。
USB-Cポートは(横向き時の)下側面中央にあります。横向きで使用する機会が多いゲーミングタブレットだとかなり重要だと思うのですが、この位置だとACアダプターを接続した状態でもケーブルが邪魔にならずにゲームプレイに集中できます。上側面には音量ボタンと電源ボタン、右側面にUSB Type-Cポートがあり、スピーカーは左右の側面にあります。
3.システム
前述の通り、Legion Tab ではカスタムUIとしてAndroid 14ベースのZUI 16.1が採用されています。AOSPベースのAndroid OSを採用しているタブレットとは異なり、ホームランチャー含め見た目もかなりカスタマイズされているので、新鮮な気持ちで使うことができました。
プリインストールアプリはZUI標準アプリ、Google関連アプリと、ゲーミングスマホらしくPCでリリースされているMMO RPGの移植版「黒い砂漠 モバイル」がインストールされています。
カスタムUIを採用しているAndroidタブレットでは搭載しているメーカーが増えてきている「PCモード」はLegion Tabにも用意されています。PCメーカーでもあるLenovoらしく、UIもWindows 10・11に近いので、特に迷うことなく使い始めることが可能です。
他メーカーの製品だとハードウェアやメモリなどの制限により、同時に開けるウィンドウの数が制限されている場合が多いのですが、ZUI 16.1のPCモードではPC向けOSと同じくメモリが許す限りAndroidアプリをマルチウィンドウで起動することが可能です。
先日iOS版が先行リリースされたAdobe Photoshopのモバイル版も年内中にAndroid版がリリースされる予定となっていますし、Microsoft 365 Copilot(旧称Office Mobile)も年々完成度が上がってきているので、マクロやVisual Basic for Application(VBA)など高度な機能を使っていないのであればLegion Tabを本当にPC代わりに活用することも出来そうです。
初期セットアップ終了直後のストレージの空きは232GB確保されています。
これでも十分ではあるのですが、ゲーミングタブレットとして考えた場合、ゲームデータのサイズが30GB以上とPCゲーム並みのタイトルも増えてきていることもあり、もう少し価格が高くなってもよいので512GB、1TBモデルも用意してほしかったところではあります。
ディスプレイ
ディスプレイは8.8インチサイズで、解像度は2.5K(2,560 × 1,600)です。Lenovo公式サイトの説明では「液晶」としか表記されていませんが、おそらくパネルはIPS液晶なのではないかと思われます。
AMOLED(有機EL)パネルではありませんが、きれいな発色で、ゲームだけでなく動画、WEBブラウジングも美しい画質で楽しむことが出来ました。SoC性能が高いこともあり、2.5Kと高解像度にもかかわらず画面スクロール時などのもたつきは一切感じられませんでした。
リフレッシュレートは最大165Hz表示です。すべてのタイトルが対応しているわけではありませんが、なめらかな画質でゲームを楽しむことができました。
スピーカー
内蔵スピーカーはステレオ出力です。Dolby Atmosによる立体音響もサポートしていて、コンパクトな筐体ながら迫力のあるサウンドを体感できます。いつも通りゲームだけでなく、動画視聴や音楽再生も試してみたのですが、バランスのとれた音質でマルチメディアプレイヤーとしても満足することができました。
ゲームプレイ
まずはプレイ動画をご覧ください。

この動画には3つのゲームのテストプレイがあります。必要に応じてご覧ください
0:00 原神
0:43 Wreckfest
1:42 アスファルト:Legends Unite
※すべて最高画質設定です
「Legion」ブランドの名を冠しているゲーミングタブレットということで、レビュー期間中普段かのあゆがプレイしているゲーム3タイトルをプレイしてみました。
いずれもコンシューマー機・PCクラスの美しいグラフィックが売りの一つで、最高画質設定で快適にプレイするには高いハードウェアスペックを要求されるタイトルとなりますが、SoCにSnapdragon 8 Gen 3を採用しているLegion Tabであればグラフィック設定を最高に設定しても処理落ちすることなく、スムーズに動作します。
ディスプレイのタッチサンプリングレートは165Hzと高速で、レースゲームのブレーキ、アクセル操作も操作を取りこぼすことなく、快適にプレイできました。
ゲーム支援機能「Legion Space」ではCPU・GPUのリソースを最大限ゲームに割り当てる「パフォーマンスモード」への切り替えや、CPU・GPU動作クロックの確認、スクリーンショット・ゲームプレイ動画のキャプチャー、ゲームプレイ中でもウィンドウ表示でGoogle ChromeやYouTubeなど別のアプリを同時利用できるミニアプリ機能など、便利な機能が備わっています。本体への電源供給のみ行いバッテリーへの充電はストップする「バイパス充電」もガチでゲームを楽しむユーザーにはありがたい機能です。
冷却システムとしてベイパーチャンバーと3D放熱構造を組み合わせた「Legion COLDFRONT」が採用されているので、長時間ゲームをプレイしても発熱は抑えられていました。
3.性能テスト
AnTuTu Benchmark v10では総合スコアが「2,063,793」、CPUのスコアが「462,710」、GPUのスコアが「868,442」という結果になりました。
2025年のフラッグシップモデルに採用されているSnapdragon 8 Eliteの総合スコアが約2,800,000程度となっているので、数値だけ見るとやや劣っているように感じられるかもしれませんが、Snapdragon 8 Gen 3ですら普段使いではもはやオーバースペックとも言える性能ですし、ゲーム用途でも現状最高画質設定にしてもほぼすべてのタイトルを楽しめる性能なので、当面不満を感じることはないでしょう。
4.まとめ
Legion Tab(8.8,3)はレノボ公式ストア、家電量販店などで販売中で、レノボ公式ストアでの販売価格は79,860円です。
中国メーカーが販売している製品も含め、ここのところ8インチサイズのAndroidタブレットが盛り上がってきていて、もともとコンパクトなサイズ感が好みのかのあゆにとっても喜ばしい状況になっているのですが、その中でもLegion Tabは最も高性能な製品となります。
カメラ性能やストレージ容量がやや足りないといった不満点はあるものの、この価格でこれだけの性能が手に入るのであれば言うことなしです。
LEGION Tabシリーズはこれまで日本では製品展開を行っておらず、アップデートが塞がれたカスタムROMを導入した製品を海外サイトから購入することしかできませんでしたが、ようやくメーカー公式サポートを受けることができる国内正規モデルが登場してくれました。
レビューした期間は約1週間でしたが、これではもっと足りないのでもっと使いたい!というのが正直な感想です。
5.関連リンク


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