こんにちは。かのあゆです。今回は中国の楽視グループ(LeEco)が販売しているハイエンドファブレット端末、「LeEco Le Max 2」を実機レビューします。楽視グループは2004年11月に設立された会社で、インターネット配信サービス「LeTV」や携帯電話ネットワークサービスの「楽視モバイル」、インターネットポータルサイト「Le.com」などを展開しており、最近では米テスラ・モーターズに対抗する電気自動車まで発表しています。
アメリカでは「LeEco」ブランドでスマートフォンやスマートテレビ製品を展開しています。スマートフォン事業に参入したのは2015年のことで、当時最新のハイエンドCPUであるSnapDragon 810を採用したハイエンドモデル「Le 1 Pro」を発表しました。2016年にはQualcomm SnapDragon 820を世界で最初に採用した「Le Max Pro」を発表しています。
これらの端末は有名メーカーが販売しているハイエンドスマートフォンとほぼ同じ高品質を実現しつつ低価格です。その理由は「インターネット動画配信サービスLeTVを楽しむ端末として開発している」ためです。つまりLeTVで本体のコストを回収するビジネスモデルなので、最先端かつ高性能でありながら安価に設定されているのです。
このような背景から、本来であればLeTVのサービスが正式に提供されていない日本で安価に売れてしまっては困るはずなのですが、今回紹介するLe Max 2は国内で入手できる有名メーカーのハイエンド端末と同レベルの品質を実現しながら4GB RAM/64GB ROMモデルであれば2万円前半、6GB RAM/128GB ROMモデルでも3万円前半で入手できる非常に「壊れた」価格のハイエンドモデルとなっています。
なおレビュー機は中国の通販サイト「Banggood」に提供していただきました。Banggoodにはこの場で御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
1.スペック
OS: Android 6.0.1 With LeEco EUI Version 5.8
CPU: Qualcomm SnapDragon 820
RAM: 4GB/6GB(UFS 2.0)
ストレージ: 64GB/128GB
ディスプレイ: 5.7インチWQHD(2,560 × 1,440)
通信: FDD-LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/20/25/26
ネットワーク: 802.11 /a/b/g/n/ac Bluetooth 4.2
入出力: USB 3.1 Type-C(オーディオ出力兼用)
カメラ: イン8MP / アウト21MP(ソニー製CMOSセンサーExmor RS IMX230採用)
バッテリー: 3100mAh(Le Quickcharge)
サイズ: 156.8 x 77.6 x 7.99 mm / 185 g
スペックは十分に高性能で、現在も新規採用製品が登場しているQualcomm SnapDragon 820に4GB/6GB RAM、内蔵ストレージは高速転送規格であるUFS 2.0に対応した64GB/128GB、高解像度の5.7インチWQHD液晶と、ハイエンドといっていいものになっています。
先日かのあゆはこの機種とほぼハードウェア構成が同一のドコモ版Samsung Galaxy S7 Edge SC-02Hにメイン端末を乗り換えているのですが、こちらは中古市場でも5万円程度はしたので、この機種が2万円前後というのは本当に驚異的なのではないかと感じています。
またこの端末自体は2016年の4月に発表されているのですが、同年9月に発表されたiPhone 7/7Plusに先駆けてなんと従来から存在した3.5mm ヘッドフォンジャックを廃止。USB-Cコネクタ経由で高音質な音声再生を実現する独自規格「Continual Digital Lossless Audio(CDLA)」を採用しています。この規格を採用しているのは現時点ではLeEco製スマートフォンのみということもあり、対応ステレオイヤホンはLeEco自身から販売されているもののみですが、すでにLe Max 2のパッケージに同規格に対応したイヤホンが同梱されているほか、iPhone 7/7Plus同様USB-Cから通常の3.5mmステレオヘッドフォンジャックへ変換するアダプターも付属しているため、既存のイヤホンを流用することも可能です。
ただし残念なことにこの仕様のために「充電しながら音楽を再生する」ということはできなくなってしまっています。
2.筐体
同梱物です。本体のほか、クリアケース(PVC製)、主に充電用に使うUSBケーブル、ACアダプター(日本のコンセントに使えます)、イヤフォン、SIMスロット開閉用のピン、そしてUSB Type-Cとオーディオ端子の変換アダプターです。この製品にはオーディオジャックはなく、USB Type-Cポートにイヤフォンを接続するため、このようなアダプターがついています。なお、冊子類は保証書と取扱説明書がついており、ともに英語表記があります。
前面デザインは近年の流行ともいえるベゼルレス液晶を採用したものとなっています。ただし完全にベゼルレスというわけではなく、よく見ると黒縁部分が設けされています。
すみません、画像がボケてしまっています。上部にオーディオジャックのようなものが見えますが、実は違います。これは赤外線センサーで、後述するアプリで対応しているテレビのリモコン操作を行うことができるようになっています。
左側面はSIMカードスロットがあります。
右側面はボリュームキーと電源ボタンが設けられています。
背面はソニー製2,100万画素CMOSセンサーを採用したリアカメラと超音波で認識する指紋認証センサーが搭載されています。ただし指紋認証の精度はそこまで高くなく、自分のメイン機となっているGalaxy S7 EdgeやElephone S7、XPERIA X Compactと比べると、だいぶ認識率が落ちる印象でした。
下部にはステレオスピーカーとUSB-Cポートが搭載されています。USB-CポートはQuickCharrge 3.0に対応しており、Continual Digital Lossless Audio(CDLA)規格のイヤホンも接続可能となっています。
ステレオスピーカーはこれまでレビューしてきた中華スマートフォンの中では最も高品質で、音量を上げても音が割れることもありませんでした。音質的にはXPERIAのステレオスピーカーよりも高音質なのではないかと感じました。また本端末はドルビー・アトモスに対応しておりより迫力のある音質で動画や音楽を楽しむことが可能となっています。
3.使用感
OSはAndroid 6.0.1 “Marshmallow”をベースに独自UIを採用した「EUI 5.8」を搭載しています。
Lenovoが中国で展開している「ZUK」ブランド製品に採用されている「ZUI」やファーウェイの「EMUI」、Xiaomiの「MIUI」同様Android標準のドロワーメニューを廃し、iPhoneやiPadに採用されているAppleのiOS同様インストールしたアプリのアイコンを直接ホーム画面に配置する仕様となっています。
また標準ランチャーには楽視グループが展開している動画配信サービスであるLeTVに直接アクセスできるLiveボタンが設置されています。
iPhoneユーザーであれば違和感なく利用できる半面、Androidユーザーからすれば本来のAndroidの仕様とは異なるため、違和感がありますが、この辺に関してはGoogle Play Storeで公開されている「Google Now ランチャー」や「Novaランチャー」などに置き換えることで違和感は軽減されるのではないでしょうか。
無線LANやデータ通信のON/OFFなどは「コントロールセンター」から一括管理可能となっており、この個所もiOSによく似たものとなっています。
プリインストールされているアプリは基本的には標準のAndroidに準じたものとなっており、LeTV関連のアプリケーションを除けば余計なアプリケーションはほぼ搭載されていません。
独自のアプリとしてはリモコンアプリがプリインストールされており、対応したテレビであれば本端末をリモコン代わりに活用することも可能となっていますが、残念ながら日本で販売されているテレビには対応していないため活用する機会はあまりないかもしれません。
またEUI独自要素としてテーマ変更機能も搭載されており、アイコンや壁紙を一括でカスタマイズすることができるようになっています。
内蔵ストレージは高速転送規格のUFS 2.0に対応しており、読み込み速度は415.02MB/s、書き込み速度は178.64MB/sとSSD並みの速度を実現しています。
中華スマートフォンの場合、ハイエンドモデルでもカメラ品質に関してはどうしても「それなり」になってしまっているものが多い印象だったのですが、本端末のリアカメラはソニー製のCMOSセンサーである「IMX 230」を採用しており、明るい場所の撮影はもちろんのこと、暗い場所でも美しい写真を撮影可能となっています。
正直カメラ性能に関しては期待していなかっただけにここまで高性能だったとは予想外でした。
動画撮影はもちろん4Kに対応しています。
4.性能テスト
ベンチマークテストは「Antutu Benchmark v6.2.7」で行いました。
一時期Antutuベンチマークの総合スコアで1位を取っていた端末は実は本端末で、現時点では22位という順位になっていますが、それでも十分ハイエンドなスコアとなっています。
かのあゆのメイン端末のGalaxy S7 Edge SC-02Hはベンチマークスコア的には本端末を上回る14,419という点数をたたき出してはいるのですが、全体的には本端末のほうがOSのチューニングの差なのか、さらに快適に動作している印象です。Galaxy S7 Edgeの場合は標準ランチャーの操作ですら若干もたつく箇所も見られるのですが、本端末の場合そのような個所は全く見られずすべてにおいて快適に動作していました。
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
BungBungame KALOS 2(Samsung Exynos 7420): 88,439
Chuwi Vi 10 Plus(Remix OS、Atom X5-Z8300): 64,259
Teclast TBook 16 Pro(Atom x5-Z8300): 58,578
GOLE 1(Atom x5-Z8300): 55,436
マウス MADOSMA Q601(SnapDragon 617): 48,008
Teclast X89 Kindow(Atom Z3735F): 47,495
Wink Pax G1(MediaTek MT8783) : 38,553
YOKA KB2(Amlogic S912): 36,679
マウス MADOSMA Q501(SnapDragon 410): 35,663
Teclast X10(MediaTek MT8392): 31,561
Cube WP10(SnapDragon 210): 29,273
Cube T8 Super Version(MediaTek MTK8735P):23,925
ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
FREETEL KATANA 01 (SnapDragon 210) : 22,724
5.まとめ
とにかくすべてにおいて高品質で、販売価格的には国内で正式に流通している同クラスの端末と同じ7~8万程度で販売されていても違和感はないであろうLeEco Le Max 2ですが、実際のところBanggoodではRAM 4GB/ROM 64GBモデルが195.99ドル(22,174円、4月28日現在)、最上位構成であるRAM 6GB/ROM 128GBモデルですら286.99ドル(32,470円)で販売中となっており、正直「LeTVが正式に展開されていない日本でこの価格で買えてしまって良いのだろうか」と感じてしまうくらい「壊れた価格」になっています。
弱点はmicroSDカードの増設に対応していないことと指紋認証センサーの精度がやや低いくらいことくらいで、あとは国内で販売されているHuawei Mate 9やSamsung Galaxy S7 Edge、XPERIA XZと同レベルといってもいいほど高クオリティな製品になっています。
CPU性能のみならず、全体的な品質がサブ端末どころかメイン端末としても十二分にやっていけるものとなっており、中華端末を初めて購入する方はもちろんのこと、高性能で安価な端末を探している方にも最もお勧めできる端末になっているのではないでしょうか。
また純正ROMでは現状Android 7.0以降へのアップグレードは予定されていませんが、Linage OSなどカスタムROMもそれなりに充実しているため、カスタムROMを焼けるユーザーであればこの辺に関しても不満なく運用可能となっています。
台湾など一部の地域ではXiaomi端末よりも注目されていた時期もあり、この高品質であればそれも納得といったところでしょうか。
とにかく高性能なスマートフォンをミッドレンジ端末並みの価格で、しかも品質は有名メーカー端末と同じレベルの端末が欲しい!というちょっとわがままな要求にしっかり答えてくれる端末、それがLeEco Le Max 2です。
関連リンク
LeTV LeEco Le Max 2 X829 5.7 inch 4GB RAM 64GB ROM Snapdragon 820 Quad core 4G Smartphone : Banggood
LeTV LeEco Le Max 2 X829 5.7 inch 6GB RAM 128GB ROM Snapdragon 820 Quad core 4G Smartphone : Banggood
コメント
飯テロw
日本語がうまく導入されていたら迷わず買うんですけどね。
(カスタムROM入れるのも楽しいですけど)
ハイエンドのmate 9 の完成度に比較すると明確に劣ります
演算性能は高くても作りが全く足りていない
高く評価するとしても4万ぐらいがせいぜい
見た目が高そうなのとゲームする用途であれば学生には優しいかも
同じ中華でもHUAWEIのモデルはかなり良いし、比較するならliteのモデルが精精かと
ただコスパは良いですね
今後の製品が楽しみなメーカーです