DOOGEEのAndroidタブレット「T30 Ultra」の実機レビューです。DOOGEEと言えばタフネススマホのジャンルに強く、最近だと日本のAmazonでも取り扱いがありますし、技適マークも取得し、日本市場での展開に積極的なメーカーです。余談ですが、中国のスマホメーカーって、以前はもっとたくさんの名前が挙げられたのですが、ここのところ元気なのはタフネススマホを得意とするところが多いですよね。
・11インチで高精細、発色の良いディスプレイ
・ゲーム主目的でなければ十分な性能
・WidevineはL1、NetflixでもHD画質視聴が可能
・ちょっと高級感のある筐体デザイン
・実用性が高く、とても使いやすいケースが付属
ここがイマイチ
・カメラは「悪くはないが」発色がやや弱く、機能も少なめ
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DOOGEE T30 Ultra:DOOGEE Official Store
DOOGEE T30 Ultra:Amazon
1.製品概要
位置づけ
DOOGEEはたくさんのAndroidタブレットを手掛けています。もはやタフネススマホだけが看板、という感じではなく、タブレットもDOOGEEの主力ジャンルに成長していると言えます。その中でもT30 Ultraは最上位クラスという位置づけで、スペックも高く、筐体も美しいものになっています。しかし、他の中国メーカー製品と同様、日本メーカー製品と比較してもスペックの割に価格が低く抑えられており、また技適マークも取得していることから日本でも人気が出そうな製品だと思います。
DOOGEE T30 Ultra | |
OS | Android 13 |
CPU | MediaTek Helio G99 |
RAM | 12GB(拡張機能により最大32GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 11インチ(2,560 x 1,600) |
LTEバンド | FDD: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/25/26/28A/28B/66 TDD: B34/38/39/40/41 |
SIM | nanoSIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | イン8MP/アウト16MP |
バッテリー | 8,580 mAh |
サイズ | 256.5 x 168.0 x 7.6 mm |
重量 | 539 g |
レビュー機について
レビュー機はDOOGEEからサンプル提供されたものです。T30 Ultraは単一バリエーションなので、レビュー機のスペックも上記スペック表と同じです。ただし、これからご説明しますがACアダプターが日本仕様でありませんでした(EUプラグ)。おそらく日本市場も含めた「グローバル版」ですね。
2.外観と使用感
同梱物です。この製品に先立って実機レビューを掲載したBlackview Tab 18と同様、ケースが同梱されており、本体に装着されていました。画像左上にACアダプターとUSB Type-Cケーブルがあります。ACアダプターは出力24Wのもので、上でご説明した通りEUプラグでした。日本から購入される場合、日本のコンセント形状に合うACアダプターか、もしくは日本のコンセントで使える変換アダプターが付属するはずです。
ACアダプターの下にSIMピン、その下にある黄色い袋は「Screen Protector Accesories」と書かれており、クリーニングクロスが入っています。その下に保証書と取扱説明書(日本語の表記あり、ただし、ごく簡素な内容)があります。
画像右側にあるのが保護フィルムです。厚みがあり、おそらくガラスフィルムと思われます。
先にケースを見てみます。言い方は悪いですが「よくあるチープなやつ」ですね。ケース部分が柔らかいTPU素材で出来ています。ただし、私はこのケースが悪いとは1ミリも思いません。むしろ「こんなのでいいんだよ!」と思います。しょせんケースですから、本体を保護できれば十分だし、チープなもののほうがケースの傷つきも気になりませんし。
また、これもよくある構造ですが、フタの部分を折り曲げるとタブレットスタンドになります。動画視聴の際などには非常に重宝します。10インチ以上のタブレットは手で持っているとどうしても重く感じられますからね。
前面です。低価格帯のAndroidタブレットとしてはベゼル幅は細めでスッキリした印象ですね。また、インカメラは横持ち時の上部ベゼル中央に配置されています。
T30 Ultraのセールスポイントのひとつがディスプレイです。2,560 × 1,600と他社の競合製品(2,000 × 1,200あるいは1,920 × 1,200というのがほとんどです)よりもワンランク解像度が高く、発色性能も高いです。
同時期にレビューしていたBlackview Tab 18と画質を比較してみたところ、Tab 18でも「キレイ」と思っていたところ、T30 Ultraのほうがさらに発色に優れており、原色の鮮やかさや黒系の深みは上でした。私は視力が悪く、あまり偉そうなことは言えませんが、ここ最近レビューした中国タブの中では最高と言える品質だと思います。
ごく簡単ではありますが発色の調整も可能です。基本的に「アイケア(Windows PCにもある夜間モードと同じく、画面を黄色っぽくする機能)」がメインで、色温度を多少調整できる(青味を強くするか黄味を強くするか)程度です。個人的にはデフォルトの発色品質で十分なのではないか、と思いました。
背面です。金属素材が使われており、ツートンカラーになっています。また、カメラバンプが目立つデザインです。レビュー機の筐体色はグレーで、他にブラックとブルーを選べます。
ツートンカラーの上部はヘアライン加工が施され、ちょっと高級感もあります。TeclastやBlackviewの製品とは一味違う雰囲気です。
上側面には電源ボタンと音量ボタンがあります。
ボタンのたてつけはしっかりしています。また、カメラバンプの盛り上がり(突起)はそれほど大きくありませんが、やはりカバーを付けて使うほうが傷つき防止にはいいかと思います。
下面にはPOGOピンコネクタがありますねー。今回のレビュー機にはキーボードは付属していませんでしたが、T30 Ultraにはオプションでキーボードが用意されます。ここにPOGOピンがあるということは、オプションのキーボードはBluetooth接続ではなく物理接続ということになります。
右側面です。スピーカーグリルが2つ、USB Type-Cポートとイヤホンジャック、そしてSIM/microSDカードリーダーがあります。
SIMスロットはよくある「nanoSIM × 2もしくはnanoSIM + microSDカード」という仕様です。
左側面には2つのスピーカーグリルがあるのみ。DOOGEE T30 Ultraは左右側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。
なお、4スピーカーの「音質」ですが、合格点は挙げられます。でも「タブレットっぽさ」というか限界はあります。やや安っぽい音で若干こもり気味、クリアさに欠けます。ただ、同時期にレビューしたBlackview Tab 18のスピーカーが「良すぎ」だったので、ちょっと辛口の評価になってしまっている感もあります。製品価格を考慮すれば満足できる品質とは言えますね。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です。OSはAndroid 13で一部のアプリ(時計や電卓といったAndroidの標準アプリ)では2列表示に対応するなど大画面デバイス向けのUIが確認できましたが、タスクバーは表示されません。また、これらの画像は「3ボタンナビゲーション」で表示していますが、ボタン位置は常に画面下中央と、普通のAndroidと同じです。ただし、ボタンのデザインは独自のものになっています。
画像真ん中と右はほとんど同じもの写っていますが、画像真ん中の一番下のアイコンが切れてしまったので、すべてのアイコンが見えるようにスクロールさせたのが画像右です。
アプリはGoogle関連サービスをはじめ、ごく普通というか、独自のものがほぼ見当たりません。でもなぜか「Antutuベンチマーク」と「DRM Info」が入っていたんですよね。どちらもレビューで使用するアプリなのでウインタブとしては歓迎なんですが、普通使わないですよね?レビュー用に入れてくれたのかな?ちょっと良くわかりません。
設定画面のUIはカスタマイズされていますが、BlackviewのPCモードのような独自の機能はほとんど見当たらなかったです。また、ほぼ完全に日本語化されていますが、画像右のメモリ拡張機能のところは英語表記のままでした。T30 UltraはRAM12GBで、拡張機能によりなんと20GBも増量でき、最大32GBとして使えます(ただし、拡張分はストレージ領域を使いますので、物理RAMのように高速には動作しません)。
カメラアプリです。中国タブのカメラアプリはそれほど凝ったものとは言えず、機能面でも特に見るべきところはありません。写真撮影の場合はアウト側4,672 × 3,504(16MP、4:3)、3,264 × 2,448(8MP、4:3)、2,560 × 1,920(5MP、4:3)の3サイズ、イン側3,264 × 2,448(8MP、4:3)、2,560 × 1,920(5MP、4:3)、1,920 × 1,440(3MP、4:3)の3サイズ、動画撮影ではイン側・アウト側とも1,920 × 1,080(FHD、16:9)、1,280 × 720(HD、16:9)、640 × 480(VGA)、CIF(352 × 288)の4種類のサイズを選択でき、ズームは写真・動画とも最大4倍まで、HDR対応となっています。写真撮影でワイド(16:9)が選べないというのもちょっと珍しいかと…。
あと、撮影モードも選べますが、「ちょっと細かすぎ」ですね。画質が選べるのはいいんですけど、「どのモードにしようか…」と悩んでしまうぶん、シャッターチャンスを逃してしまいそうです。T30 Ultraのカメラ品質を考えると、一番上の「無効(デフォルト)」にしておけばいいと思います。
何枚か写真を撮ってみました。
同時期にBlackview Tab 18のレビューもしていましたので、この写真はBlackview Tab 18と全く同じ場所・同じアングルで撮影しています。タブレットのカメラとしては十分と評価できますが、Blackview Tab 18よりも色味がやや淡く、柔らかい(悪く言うと気持ちピントが合っていない)画質です。
11インチと比較的大型サイズのタブレットなので、カメラの出番は決して多くはないと思います。おそらく皆さんスマホの方で写真撮影をされると思いますし、実際スマホの撮影画質には及びませんけど、手元にスマホがないときに代用として写真撮影をしたり、メモ代わりとして使ったりする用途では満足できる画質だと思います。個人的には「以前と比べるとずいぶんキレイになり、使い物になる画質だ」と感じました。
4.性能テスト
Antutu Ver.10のスコアは401,555でした(GPUテストはLiteバージョンです)。同じSoCを搭載するBlackview Tab 18のスコアが381,759でしたから、「それよりは高い」ということになりますが、測定誤差レベルと言えなくもありませんし、実際使っていて体感差なんてないと思います。ただ、大台(40万点)を越えた、というのは気持ちがいいですけどね。
ハイエンドスマホだと100万点オーバーが普通になっていますので、それと比較すると低いスコアではあります。しかし、ゲームを主目的とするのでなければ十分です。ゲームに関しても原神とかのいわゆる重量級3Dゲームを高画質でプレイするのは厳しいものの、そういう一部のゲームを除けばちゃんとプレイができます。
タブレットでエンターテイメント、と言えばやはり動画視聴でしょう。11インチサイズのディスプレイで観る動画は見やすく、そして4スピーカー搭載なので迫力も感じられます。
DOOGEE T30 UltraはWidevine L1なので動画サブスクリプションサービスでHD以上の画質で視聴ができます。懸念していたNetflix(ほとんどの中国タブではWidevine L1でもHD画質視聴が出来ません)でも設定画面でWidevine L1と表示され、HD画質視聴が可能でした。
SoCにHelio G99を搭載する中国タブではまだWidevine L1のものは少なく、T30 UltraがL1かつNetflixでのHD画質視聴可、というのは素晴らしいと思います。
5.レビューまとめ
DOOGEE T30 UltraはAliExpress内のDOOGEE Offical Storeで11月11日午後5時(日本時間)から発売記念セールが開催され、セール価格は184.99ドル(29,046円)です(カート画面で自動割引があり、この価格になります)。
同時期にBlackviewの12インチタブレット「Tab 18」の実機レビューもしていたのですが、こちらのT30 UltraはPCモードなどの特殊な機能を搭載せず、基本機能が充実したタブレットと言えます。Helio G99搭載でサクサク動き、Netflixを含み動画サブスクでHD画質以上での視聴が可能、そして競合製品よりもワンランク上のディスプレイ解像度、そしてちょっと高級感のある筐体と、予算3万円で購入するタブレットとしては素晴らしい品質だと思います。
ところで、今回のレビューではオプションのキーボードやペンを試せませんでした。T30 Ultraはちょっとサイズが大きめでパフォーマンスも高いので、専用キーボードの操作感も試してみたかったですね。
あと、記事内でご説明したタブレットケース、どこにでもあるようなものですが、なにげに「めっちゃ使いやすいし、保護機能も十分なので安心」です。特にスタンドにして動画視聴をする際なんかは「あれ?」と思うこともなく簡単に変形ができますし、本当に必要十分、と言う感じでした。Blackview Tab 18のケースのほうが凝った形状ですが、どっちが使いやすいかと言われれば間違いなくT30 Ultraのほうです。
6.動画レビュー
この製品については動画レビューも制作しました。こちらもあわせてご覧ください。
7.関連リンク
DOOGEE T30 Ultra:DOOGEE Official Store
DOOGEE T30 Ultra:Amazon
コメント
今日日本のamazonでも発売開始されましたが、amazon発売分に関してはdocomoユーザーにとって重要なband19の表示がありませんでした。私もdocomo回線のMVNOユーザーのため心配です。
私の分かる範囲で回答いたします。まず、レビュー機は開発者オプションからバンド19に対応していることが確認できました。対応バンドはAliExpressの製品ページ(この記事で掲載しているスペック表の対応バンドの情報ソースです)と同じでした。
しかし、この記事の公開後にDOOGEEの公式サイトで製品紹介ページができており、それによれば「TDD: B34/38/39/40/41、FDD: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/20/25/26/28A/28B/66」と記載されており、おそらくAmazon製品ページと同一です。よってこれを見るとバンド19には対応しない、ということになります。
おそらくAmazon版でもバンド19には対応しているとは思います(さすがに日本版であえてバンド19を外すほどバカじゃないでしょう)が、一応DOOGEEにメールで確認しておきます。
DOOGEE英語サイトのスペック記述でもバンド19の記述はありませんね。
https://www.doogee.cc/t30ultra/specs.html
Doogeeのband19対応というのは恐らくMFBIによるband26対応の事と思われます。しかもdocomo側が対応しなければ受信できません。私の住む地方ではband1とband19しか拾いません。因みに現在の使用機種はHuaweiのMediaPad M5 lite8 64GB lteです。docomoは他キャリアより対応バンドの規格に関して厳格なためAliExpressではband18/19に対応していると書いているのにamazonでは対応していないと書かれているのではないでしょうか?たった今T30 Ultraをamazonで注文しましたがブラックフライデー最終日での見切り発車に近いです。現在Headwolfのタブレット(HPad3、こちらはband19正式対応でVoLTE通話できた)を修理に出していてその間にT30 Ultraが出た格好です。
情報ありがとうございます。一応画面上ではB19に対応はしていたのですが…。もしご迷惑でなければ、秋山さんの検証結果をまたコメントしていただくと助かります。よろしくお願いいたします。
今セットアップしたばかりのT30 Ultra上でNetMonsterを開いて確認したところちゃんとB19で800MHzと表示されました。明日はナビのテストの予定です。
T30 Ultraの隠れた性能として無線LAN中継器として使える事です。テザリングは勿論の事無線LAN親機-中継器-子機の中継器としても使えしかも5GHz対応(普通は2.4GHzのみ対応)です。実際テストしてこれは凄いと感じました。
コメントありがとうございます。無線LAN中継機として使う、というのは初耳です。私も試してみたいです。