こんにちは、natsukiです。今回も、中華通販をウインドウショッピングしていて見かけた面白製品を紹介してみます。これは何かというと、いわゆる「TV Box」というジャンルです。Android OSを積んだミニデスクトップPCみたいなもんですね。その名の通り、テレビにつないでメディアプレーヤーとして使うのが一般的かと思います。が、こいつは、ひと目見て分かる、ただ者ではない異様な筐体。なんと、本体内に3.5インチHDDを2台、容量にして最大32TBを増設できます。確かにTV Boxは、メディアプレーヤーとしての性質上、大容量ストレージを接続すると楽しみが広がりますが、ここまで思い切った設計はなかなかありません。メディアプレーヤーとしてだけでなく、NAS(ネットワーク接続ストレージ)としての使用も兼ねたコンセプトの製品となっています。
目次
1.製品特性
いつもとは、ちょっと順番を前後して、いったいこれは何者なのか、というところをみておきましょう。要するに、TV Boxであり、NASです。コンセプトを示す宣伝文句「Easy to record every bits of your life, and look back at those beautiful moments!」は、筐体側面にも書き込まれています。「記録し、視る、を最大限に」というわけですね。
TV Boxとしてみた場合は、後でスペックのところで細かく見るように、そうとう高性能な部類に入ります。4K映像出力はあたりまえとして、オーディオ出力が非常に充実。本格的なディスプレイとオーディオ機器をつないでの、迫力ある映像体験が期待できます。
そして、最大の特徴のHDDによるストレージ増設。32TBとか……。最高品質の映画をバンバン詰め込めちゃいますね。
その大容量を活かして、NASとしての活躍も見込めます。現在、私は、WindowsミニPCの「MINIX NEO Z83-4」をNASもどきとして運用しています。AndroidやWindowsなどの汎用OSをNASに利用することは、合理的選択とは言いがたい部分もありますが、勝手知ったるなんとやらで、好きにいじくり倒せるので、技術的なお遊びとしてはなかなか楽しいものです。実際使ってみると、実用性は十分にありますし。NAS専用機と比べたときの、現実面でのデメリットは、保存に対する安全性くらいでしょう。
ちなみに、「Beelink」は、中華TV BoxやミニPCとしては比較的知られたブランドで、Geekbuyingが主に扱っています。中華ブランドの中では、というただし書きはつきますが、製品の品質については、一定の信頼は置けるブランドです。
さて、では、このバケモノじみたマシンのスペックを細かく見ておきましょう。
2.スペックと見所
Beelink GS-King X | |
OS | Android 9.0 / Core ELEC |
CPU | Amlogic S922X-H |
GPU | Arm Mali-G52 MP6 |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB (eMMC)
HDD×2 増設可 (最大32TB) |
ディスプレイ | 4K 60fps 出力対応 |
オーディオ | DTS listen / Dolby audio 出力対応 |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1 |
ポート(映像) | HDMI(2.1)、CVBS(3.5mm)、SPDIF |
ポート(音声) | 3.5mmヘッドホンジャック、RCA OUTPUT(L/R)、BAL OUTPUT(L/R) |
ストレージ増設スロット | microSDカードスロット、3.5インチ HDDスロット(SATA3.0)×2 |
その他ポート | DC-IN、RJ45(1000Mbps)、USB 2.0×2、USB 3.0×2 |
カメラ | なし |
電源(専用アダプター) | 19V-3A |
サイズ | 118(幅) × 106(高さ) × 165(奥行き) mm |
重量 | 1.07kg |
TV Boxとしては高性能な処理能力、ただしゲーム向けに過度な期待は禁物
CPUにAmlogic S922X-H、GPUにArm Mali-G52 MP6を搭載、……といっても、スマホなんかとわけが違うのでピンときませんが、Antutuベンチマークだと、だいたい120,000点は超えるようです。TV Boxは、たいてい、映像再生できればいいやという低スペックCPUを積んでいる場合が多いので、これは「TV Boxとしては」かなり高性能な部類に入ります。ただし、120,000点台では、3Dグラフィックバリバリのゲームをやるには力不足なので、ゲームマシンとしては、過度な期待はできません。
RAM 4GBに、システムストレージがeMMCで64GBというのも、映像再生という面では十分すぎるスペックですが、ゲーミング向けのスペックではありませんね。
比較的軽量なゲームなら、スペック上は十分に遊べるはずですが、あとは、映像出力やサウンドにどの程度リソースを奪われるのか、実際やってみないと分からないでしょう。
最高レベルの映像・音声出力
映像、音声出力は素晴らしいです。とはいっても、すみません、ブランド名と出力形式の多様さに圧倒されているだけで、厳密な評価をする能力が私にないです。
映像は4K解像度60fps出力に対応。ポートは、HDMI 2.1以外に、CVBS(3.5mm)ポート、SPDIFポートも備えます。
音声出力は、Dolby audioと、DTS listenにも対応。あ、くれぐれも、本機にスピーカーが付いているわけではないです。こういうシステム内蔵の、高級スピーカーへの出力が可能ということです。
デュアルOS?
基本システムは、Android9.0です。この他に、「Kodi」に特化したLinuxディストリビューションである、「CoreELEC」も提供されます。「Kodi」が何かとかは、脱線になるので省略。商品ページの書き方だと、こちらはmicroSDカードに入れての運用になるのかな?
他のTV Boxもほとんどそうであるように、Androidは素のままではなくて、リモコンや音声でのコントロールがしやすいよう、特にインターフェースまわりにかなり手が入っているものと思われます。
これだけのスペックだと、デスクトップPC的な使い方もしてみたくなるところですが、そういう用途についてはインターフェース次第ですね。
んんん? こんな宣伝文句も。motheboardって、部品売りするのか? さすがにこれは、話半分で聞いておきましょう。
3.5インチHDDスロットは、SATA 3.0接続
2台も増設可能な3.5インチHDDスロットは、SATA 3.0接続であることが明記されています。つまり、SSDを挿せば(2.5インチ向けブラケットも付属します)、それも十分な速さを発揮してくれるということです。その速さが必要となる用途があるかどうかは、発想次第ですが。もちろん、通常はHDDを挿すことが想定されています。
microSDカードスロットは、さきのOSの件を見るに、ストレージ増設というよりは、デュアルブート目的のようです。とはいえ、通常通り使えることに変わりはありません。
3.筐体
どどん、と、この迫力。とはいっても、テレビの横に置いておいて、そうそう邪魔になるほどのサイズでもないと思います。
リモコン付きです。実際に操作してみないことには、操作性のほどは分かりませんが、オーソドックスなボタンの種類と配置だと思います。マイク入力にも対応。
注目のポートは、この通り。うーん、やはり、映像と音声出力の充実ぶりが目を引きますね。
4.販路と価格
この「Beelink GS-King X」は、Geekbuying、Banggood、Gearbestで扱いがあります。Beelinkブランドといえば、まずはGeekbuyingのイメージがあり、8月1日現在の価格は269.99ドル(29,519円)ですが、配送料が51.81ドル(5,665円)もする。うそーん。Banggoodは、プレオーダー中の8月9日以降出荷予定で268.99ドル(28,739円)、しかも配送料無料。ただし、プレオーダーお約束の、早い者勝ちでだんだん値段が上がっていく方式になっています。Gearbestは289.99ドル(31,6679円)の送料15.09ドル(1,648円)と、ややお高め。ただし、配送期間が、GeekbuyingとBanggoodが10~20営業日なのに対して、Gearbestは8月7日~9日出荷の4~10営業日と、速め。まあ、中華通販の配送期間は、目安程度に思っておいた方がいいですけれど。
さすがに、TV Boxとしては破格のお値段。この価格なら、国内メーカーでHDD2台搭載のNAS専用機が普通に買えます。それでも、ここまでのスペックを見て来たなら、十分すぎるほど納得のいく価格ではあると思います。今買うなら、Banggoodですかね。
5.まとめ
さすがはチャレンジ精神あふれる中華ブランドらしい、ひと目見て度肝を抜かれる楽しい製品です。「ともかく、一番いいTV Boxをくれ!」というやつですね。悩ましいのは、こいつのスペックをフルに活かすには、ディスプレイとオーディオも相応のものを用意しないといけないというところ。唯一無二のスペックと圧倒的存在感が先行して、どうもネタ的に見てしまいがちですが、本格的なホームシアターを構成するときには、そのためのベース機として真剣に検討する価値があるかもしれません。あるいは、ともかく大容量のNASが欲しい、という場合にも面白そうです。データ保存の安全性は、電源まわりにいろいろアタッチメントを付けることである程度は向上させられますし。とかなんとか言っても、豊富すぎるポートや、CoreELECがどーのこーのという時点で、本質は完全にギーク向けですよ。このスペックをどう使ってやろうかと妄想するだけで、ワクワクが止まらない、そうは思いませんか?
6.関連リンク
Beelink GS-King X:Banggood
Beelink GS-King X:Geekbuying
Beelink GS-King X:Gearbest
コメント
banggoodは送料安いの見てもわかるけど他より簡易包装で来るのと設定が適当だったりする。過去にmini PC注文したときは変換アダプタむき出しでセロテープで貼り付けて送ってきて傷だらけだったしPC起動しなくて中開いてメモリとか差しなおしたら起動した。数千円のガジェットはbanggoodで買うけど数万のPCやスマホはgeekbuyingとかの方が安心かな。
その手のリスクがある程度あるのは、海外通販である以上、やむを得ないかと。
梱包に関して、おいおいこの製品はちゃんと包んでくれよってのは、私も何度も経験しているところで、Banggoodについては取り上げる機会が多いだけに過去に記事中で苦言を呈したこともありますが、これはBanggoodに限ったことではないと思います。
あとは、どこがどうというのは、めぐり合わせですね。これも、私の経験内では、某ドローンメインの通販サイトからのは、配送トラブルをくらう率がやたら高いんですが、一般には、特に際立った悪い評判は聞かないので。
HDDでかくても、世界にただ一つ、暗号化保存を義務付けられている日本式地デジ録画データは再生できるのだろうか?
できないならそう書いてないと困る
その分野は詳しくないのですが、それはハードではなくてソフトの問題では?
例えば、(ハードとしての)テレビ各社の多くは、Android端末に録画データを持ち出せ、もちろん再生できるアプリを提供しています。うちでもよく使っています。少なくとも、この方法なら使えるとは思います。
他にも、いろいろな方法はありそうですが、そういうのも含めて、ギークな製品だと思います。
玄人の人々が行っている取扱いに不自由しない状態で録画されるテレビ番組であれば再生できるが、
一般人が使用するような方法での録画データは、もしかすると録画機器に搭載のNASへの録画機能を使用すれば保存できるかもしれないが、その場合はその録画機器専用なり汎用の有料の物なりソレ用のアプリがあるのでそれを用いて再生する事になるかと。
その場合、一度テレビを経由する事になって 本体に保存されてるのに一度外部機器を中継して自分自身にアクセスするという回り道に。
更に玄人な人になるとこの程度のNASじゃ追いつかないので単体NASを用意してこういう運用する事になりそう。
自分なんかはこの程度のじゃ追いつかないし、RCA・バランス出力は必要なさげ、電源と小型モニターがあれば持ち運べるサイズで良いので同グレードのGT KING PROを選んだ。
RK3399でよさそうな構成だけどあえて映像系重視のAmlogic S922Xなのか
RK3399と違ってこちらはPCIe持ってないしI/OはUSB3.0が一本だけ
ハブチップで帯域やり繰りしてるんでしょうね
コメントありがとうございます。
そこまでお詳しければこそ、この製品も活きるかと。私のレベルだと、Dolbyのブランド力と、TV Boxとしては高いAntutuスコアですげーとなってるレベルなので。