ASUS Zenfone 10の実機レビューです。9月6日に国内正式発表されたばかりの最新モデルですが、事前に実機をお借りすることができました。今や数少ない「コンパクトハイエンド」なスマートフォン、「これを待っていた!」という人も多いんじゃないでしょうか。私もその一人です。
・5.9インチというサイズ感は「絶妙」
・ハイエンドCPU、Snapdragon 8 Gen 2搭載
・ジンバル内蔵により、動画の耐手ブレ性能は抜群
・豊富なカラーバリエーション
・10万円以下から購入できる、魅力的な価格設定
ここがイマイチ
・ケースはダメ。せっかくのカラフルな筐体色が台無し
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目次
1.Zenfone 10の特徴
どんなスマホ?
ASUS Zenfone 10は「ハイスペック」なAndroidスマホです。搭載CPUはSnapdragon 8 Gen 2で、この型番は現在市販されているAndroidスマートフォン用CPUとしては最高性能です。また、歴代のZenfoneシリーズはカメラの品質に力を入れており、Zenfone 10のカメラも画質に優れている上、6軸ジンバルモジュールとアダプティブ EISを搭載しており、手ブレのない写真撮影・動画撮影ができます。
そして、「サイズ」です。どんどん大型化していくAndroidスマホの中にあって、5.9インチと6インチを下回るコンパクトサイズになっているのが大きな特徴です。「ハイエンドスマホは欲しいが大きすぎる」と感じられる人には最良の選択肢になりうる製品です。
スペック表
ASUS Zenfone 10 | |
OS | ZenUI(Android 13) |
CPU | Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2 |
RAM | 8GB/16GB |
ストレージ | 128GB/256GB/512GB |
ディスプレイ | 5.9インチAMOLED(2,400 x 1,080)144Hz |
LTEバンド | 5G:n1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/41/77/78 FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28 TD-LTE:B34/38/39/40/41/42 |
SIM | nanoSIM × 2 |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.3 |
入出力 | USB Type-C、3.5mmイヤホンジャック |
カメラ | イン32MP/アウト50MP + 13MP |
バッテリー | 4,300 mAh |
サイズ | 146.5 x 68.1 x 9.4 mm |
重量 | 172 g |
バリエーションモデル
・8GB/128GB
・8GB/256GB
・16GB/512GB
Zenfone 10は豊富なカラーバリエーションを揃えているのも大きな魅力です。
画像左から「ミッドナイトブラック」「スターリーブルー」「オーロラグリーン」「コメットホワイト」「エクリプスレッド」です。なお、上記3種類のRAM/ストレージ構成で、8GB/128GBモデルではミッドナイトブラックのみが設定され、16GB/512GBモデルでは「ミッドナイトブラック」と「スターリーブルー」の2色が、また8GB/256GBモデルでは全色が選べます。どうでもいい話ですが、私としては「エクリプスレッド以外は認めない」といい切れるほどこの色がお気に入りですw
では、外観から見ていきます。
2.Zenfone 10 外観
ASUSは力の入った製品ほど「外箱(化粧箱)で遊ぶ」傾向があります。ROG Phoneシリーズの外箱なんかは毎回ド派手だったり、「パズルじゃねんだからよ!」と言いたくなるくらいに手の込んだ構造になっていたこともあります。しかし、Zenfone 10では遊んでいる印象がありません。ASUSに力が入っていないわけではなく、この箱、環境に配慮して「古紙パルプ」と石油を使用しないエコな「大豆ベースのインク」を使っているんです。Zenfone 10の製品コンセプトの一つに「エコな設計で地球にやさしいものづくり」というのがありまして、外箱もそのコンセプトに合わせている、というわけです。
同梱物です。ユーザーマニュアルなどのペーパー類、ACアダプター、充電用のUSB Type-C – USB Type-Cケーブル、SIMピン、そしてケースです。ACアダプターは最大出力30Wで、急速充電が可能なタイプになっていました。Zenfone 10はハードウェア的にも最大30Wまでの急速充電に対応しています。
ケースはよくある樹脂製のものですが、これは不満です。どう不満なのかは後ほど…。
前面です。ベゼル幅がわかりやすくなるように「白バック」の画像も掲載しました。画像左上にパンチホール(カメラ)が配置され、ベゼル幅も細くなっています。
ディスプレイパネルはAMOLED(有機EL)です。もちろん発色品質は非常に高く、鮮やかで美しい表示が楽しめますが、最近のハイスペックスマホでは有機ELディスプレイを採用した製品が多くなっていますので、それらとの比較では発色品質の差別化は難しいと思います。まあ、「ハイレベルで競合機種といい勝負」という変な表現になってしまいますね。
背面です。レビュー機の筐体色は「エクリプスレッド」でした(実物はもう少し濃い色でした。撮影技術が低く、申し訳ありません…)。しつこいですが、個人的には素晴らしい色だと思います。この色であることのみを理由にZenfone 10を買うのもありでしょう(大真面目)。上の外箱の説明でも書いた通り「エコな設計で地球にやさしいものづくり」がコンセプトの製品なので、背面にも「バイオマス由来のポリカーボネート素材を採用」し、「石油化学原料の使用50%削減」「(製造にかかる)CO2の排出量を削減」しています。
で、背面はややざらついた手触りになっており、手によく馴染む、という感じでした。
上面です。こちらにはイヤホンジャックとマイクの穴があります。
下面です。USB Type-CポートとSIMスロット。またスピーカーグリルもあります。一見するとモノラルスピーカーのようですが、上面の「通話用スピーカー」からも音が出ますので、実際にはステレオスピーカー搭載です。
この内蔵スピーカーでしばらく音楽などを聴いてみましたが、ステレオ感がしっかりと出た、クリアな音質でした。ただし、この筐体サイズだと重低音なんかはさすがに厳しいので、音楽鑑賞される際はイヤホンを使われるといいでしょう(もちろんハイレゾ対応です)。
SIMスロットは表裏にnano SIMカードを装着する仕組みで、microSDカードは使用できません。
左側面には何もありません。
右側面には音量ボタンと電源ボタン。電源ボタンは指紋センサーも兼ねており、「ZenTouch 2.0」という機能も備えています。ZenTouch 2.0では例えば長押しでGoogleアシスタントを起動したり、二度押しで写真撮影をしたり、といった機能があり、さらに「スワイプ(電源ボタンをスワイプする、という意味です)」操作に機能を割り当てることもできます。ZenTouch 2.0はユーザーが割り当てる機能をカスタマイズできますので、お好みに合わせて機能設定をすれば、Zenfone 10が一段と使いやすくなります。
で、ケースを装着してみました。筐体を保護する、という本来の機能については文句ありません。でもこの画像を見ていただくと、どこが不満なのかはすぐにわかっていただけると思います。エクリプスレッドはどこに行ったんだ!と。これなら透明なTPUケースにしてくれたほうが良かったんじゃないか、と…。
今回のレビューではオプション品である「Zenfone 10 Connex ケース」もお借りしました。単なるケースではなく、便利なアタッチメントが付いています。
アタッチメントの取り付けは、ケースに開いている穴に「パチン」と差し込むだけ。取り付けは簡単ですが、取り外しには結構な力を要します。…まあ、頻繁に着脱するものでもないので、特に問題はないでしょう。
これは「カードホルダー」です。各種カードを差し込んでおくことができます。
もう一方のアタッチメントは「スタンド」です。これは便利!と思いました。動画視聴の際にはかなり重宝すると思います。
私がメインスマホとして愛用しているGoogle Pixel 7とサイズを比較してみました。左がPixel 7です。Pixel 7のディスプレイサイズは6.3インチで、Androidスマホとしては大きい方ではありません(むしろやや小さめな部類かと)。Zenfone 10はそのPixel 7よりもさらに一回り小さいです。
小さいのは確かですが、「小さすぎる」わけではありません。ディスプレイのタッチ操作がしにくいということもありませんし、画面が小さくて視認性が悪いということも感じません。普段使いで「小さくて困る」ようなことは皆無です。
手によく馴染むサイズ感で、個人的には「最高に使いやすいサイズ感」でした。
3.Zenfone 10 システム
プリインストールアプリです。この画像の中で「Antutuベンチマーク」のみ私がインストールしたものです。そんなに数は多くないものの、いくつかASUSがピックアップしたアプリも入っています。まあ、キャリアモデルと比較するとスッキリしている方だと思います。ちなみにZenfone 10には「キャリアモデル」というのはありません。
Snapdragon 8 Gen 2搭載のハイスペックスマホということで、ROG Phoneシリーズにも入っているGAME GENIEもプリインストールされています。
4.Zenfone 10 カメラ
個人的には「Zenfoneと言えばカメラ」だと思っています。歴代のZenfoneシリーズは様々な新機能・新構造を採用していましたよね?Zenfone 10では「6軸ジンバルモジュール」とアダプティブEISを搭載しており、手ブレのない動画撮影が可能です。
実際にZenfone 10を手で持って、歩きながら撮影してみました。動画の前半部分は「キャンプ場で横持ち」後半部分は「ショッピングモールで縦持ち」して撮影しています。
私、これまでに外付けのジンバル(スタビライザー)を使ったことがありますが、Zenfone 10のジンバル機能は非常に優れていると思います。全く揺れない、というわけではありませんが、歩きながらの撮影なので、普通ならもっとガクガクします。
以下に写真撮影の作例をいくつか掲載しますが、すべて「クリックで拡大」します。ただし、拡大した画像も原寸ではなく、縮小加工されています。
写真撮影でも非常に美しい、というか自然な発色品質になっていると思います。ちょっと驚いてしまったのが8倍ズームの画質ですね。私の経験上、8倍ズームがここまでキレイに撮影できたことはありません。
夜景モードも優秀です。私はGoogle Pixel 7を使っていて、Pixel 7という製品もカメラ性能には定評があり、日頃よくレビューしている中国新興メーカーのスマホよりも格段に高性能です。
しかし、Zenfone 10と比較してしまうと「どっちがいいのかはお好みの問題」という感じですよね。
しかし、夜景モードでも2倍ズームくらいなら余裕、というのはすごいですよね。さすがに8倍にしてしまうとアラが出てしまいますけど。
なお、他のスマホでもそうですが、「最大画素数(Zenfone 10の場合は50MP)にすると、ズームとか夜景といった、細かい設定ができなくなる」というのはあります。夜景撮影でも画素数を50MPに設定すると「夜景モード」は使えません。
こちらも50MPで撮影したものです。この記事のようにWebサイトに掲載する場合、50MPにしても特段表示画質は上がりません。縮小表示されてしまいますからね。
5.Zenfone 10 性能テスト
参考:
ROG Phone 7(Snapdragon 8 Gen 2):1,600,872
ROG Phone 5s(Snapdragon 888+):876,082
Galaxy S22 Ultra SC-52B(Snapdragon 8 Gen 1):791,087
Xperia 5 II SOG02(Snapdragon 865):700,437
AntutuベンチマークもVer.10となりましたが、Ver.9とはスコアの付け方が変わっているため、比較はできません。Ver.9の過去データはまだ少ない状態ながら、同じSnapdragon 8 Gen 2を搭載するROG Phone 7とほぼ同等のスコアが出ており、スコア的には期待を裏切らない、と言っていいでしょう。
Snapdragon 8 Gen 2は現行のAndroidデバイス用CPUとしては最高性能ですし、Zenfone 10で性能が足りない、というタスク(ゲームなど)があるとすれば、そのタスクはどのAndroidスマホでも性能足らずになるはずです。
レビュー期間中に、オーディン:ヴァルハラ・ライジングというRPGゲームをプレイしてみました。これ、かなり重いゲームで、ネットでは「クソ重い」などというコメントも見受けられます。
デフォルトでは「高」設定が選ばれましたが、無視して最高画質でプレイし続けました。グラフィックに関しては処理落ち等は確認されず、ごく快適に楽しめました。一方で、やはり発熱は感じました。ただし、非常に熱い、という感じではなく、熱さは感じたものの、(RPGタイトルということもあり)ゲームプレイには支障がありませんでしたし、私の体感ベースでは発熱による動作制限(サーマルスロットリング)は感じませんでした。
6.Zenfone 10 レビューまとめ
ASUS Zenfone 10はASUS Storeで販売中で、9月6日現在の価格は下記のとおりです。
8GB/128GB:99,800円
8GB/256GB:112,800円
16GB/512GB:134,800円
※税込み価格
Zenfone 9の時と同様に、最低価格が10万円を切っているのが素晴らしいですね!ただし、せっかくの高いスペックを活かしてたくさんゲームをしたいという人だとストレージ128GBだと足りないだろう、というのと、カラフルな筐体色が8GB/128GB版には設定されず、ミッドナイトブラックしか選べない、というのが残念なところ。
個人的にはやはり8GB/256GB版が販売の主体になるんだろうと思います。112,800円でも十分すぎるくらいにお買い得だと思いますしね。
処理性能はAndroidスマホの最高レベル、カメラ品質も非常に高水準で特に動画撮影時の手ブレ防止性能は抜群と、文句なしのハイエンドスマホだと思います。そして、何より素晴らしいのは「サイズ」ですね。コンパクトサイズと言いつつも小さすぎるということは決してなく、「絶妙な小ささ」という感じです。この製品、おそらく大人気になるんだろうなあ、と…。
7.関連リンク
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コメント
Sna@dragon…
↑これ、まだ直さないんだ…