
ロジクールのワイヤレスキーボード「Signature Slim Solar+ K980」の実機レビューです。ロジクールの上位モデルで薄型でスマートなデザイン、そして「ソーラー充電」に対応し、ワイヤレスにもかかわらず電池交換が不要という特徴があります。
・ガチで充電不要、電源ボタンはオンのままで問題なし
・薄型でフルキーボードとしては比較的コンパクト
・配列が概ね素直、打鍵感も良好
・設定アプリ「Logi Options+」により多彩なカスタマイズが可能
ここはイマイチ
・フラッグシップモデルのMX KEYSシリーズに近い価格設定
・角度調整ができない
1. スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| キー構造 | パンタグラフ |
| 接続I/F | Bluetooth / Logi Bolt USBレシーバー(別売) |
| 操作距離 | 10 m |
| キーボード配列 | JIS 日本語配列(113キー) |
| 耐久性 | 最大1,000万回 |
| 角度調節機能 | なし |
| その他の機能 | ソーラー充電式(室内照明対応・200ルクス以上) ※バッテリー寿命は最長10年間 |
| 対応OS | Windows 10、11 以降 macOS 12 以降、iPadOS 16 以降 iOS 16 以降、ChromeOS Linux、Android OS 12 以降 |
| サイズ | 430.8×142.9×20.2 mm |
| 重量 | 700 g |
接続はBluetoothとロジクール独自のUSB無線方式「Logi Bolt」に対応しますが、Logi Boltレシーバーは別売りです。また、有線接続はできません。
「ソーラー充電」についてロジクールのプレスリリースの抜粋を掲載します。
ロジクール独自のソーラー充電(自然光源、及び人工光源による充電)新技術「Logi LightCharge」を搭載したワイヤレスキーボードです。キーボード上部の吸光パネル(ソーラーストリップ)で、200ルクス以上の太陽光や室内照明などのあらゆる光を吸収し、効率的に電力に変換することで、充電や電池交換を必要とせず常に安定した電力が供給されます。暗闇の中でも満充電で最大4ヶ月間使用でき、充電や電池交換を気にせず長くお使いいただけます。
「暗闇の中でも満充電で最大4ヶ月間使用でき (る)」というのは安心ですが、「200ルクス以上の太陽光や室内照明 (で充電できる)」という点がちょっと気になります。少し調べてみたところ「普通の家屋の日中(晴れ・曇り問わず)であればほぼ常に200ルクス以上はある」とのことですし、ロジクールのプレスリリースにも「厚生労働省が制定する労働衛生基準では、一般的な事務作業が行われる事務所環境は、300ルクス以上の照度が推奨されています。」という記載がありましたので、よほど特殊な使用環境でない限り、「充電不要」と考えていいでしょう。
2. 外観

箱は「徹底的に紙製」でプラスティックの梱包材はありませんでした。また、同梱物は「保証規定」の紙があったのみで、ケーブルやUSBレシーバー (子機)なども一切付属しません。繰り返しになりますが、K980はBluetooth接続とUSB無線 (Logi Bolt)接続のみに対応し、有線接続はできません。また、Logi Boltレシーバーも別売りとなります。
キーボード面です。キーボード面の上部、「logi」のロゴがある部分が光吸収パネルです。キーピッチは手採寸で約19mmと標準的、キーストロークはデスクトップPC用のフルキーボードとしては浅いですが、ノートPCのキーボードよりは深く、(正確な測定は難しいですが)おそらく2 mm程度はあると思います(一般的なノートPCだと1.2 mm~1.5 mmくらいで、1.5 mmでも「まあまあ深め」です)。バックライトはありません。打鍵感については後述します。

底面です。K980は角度調整用の「脚」がありません。画像上部が少し盛り上がっていて、おそらくこの部分にバッテリーが内蔵されているものと思われますが、ユーザーが簡単に開口できる構造ではありません。


左右の側面です。底面上部の突起により、このように自然に角度がつきます。ただし、角度調整機能はありませんので、このまま使うしかありません。

上面です。画像左側に電源ボタンがあります。後述しますが、「ここはONにしたままで、半永久的にいじらなくていい」ですw

下面です。ここにはなにもありません。

キートップ中央に指のかかりを良くするためのくぼみがあります。
3. アプリ「Logi Options+」

ロジクール製品といえば設定アプリの「Logi Options+」です。私は複数のロジクール製品を使っていますが、このアプリ1つでほぼすべてのロジクール製品の設定ができます。Signature Slim Solar+ K980の各種設定もLogi Options+で行います。

Logi Options+に写っているK980の画像、白く囲まれたキーは「機能割り当て可能」です。ここでは最上段の右から2つ目、カメラのアイコンの付いたボタンの機能割り当てを設定しているところです。基本的には「推奨」機能から選ぶのがいいと思いますが、「Smart Actions (キーボードマクロ)」でアプリやWebサイトを開くような設定をしたり、「AIアクション」でAIアシスタント (Chat GPT)を起動したりすることもできます。また「その他のアクション」では…
このように膨大な「候補」から機能を選べます。キーボードマクロのSmart Actionsとあわせて考えると、もはやできないことはない、というくらいにカスタマイズ自在である、と言えるでしょう。
また、EASY-SWITCHという機能もあります。これはロジクールに限らずBluetooth製品によく見られる「マルチペアリング機能」ですね。K980ではボタン一つで接続デバイスを切り替えることができます。
4. 使用感
ソーラー充電

これはLogi Options+の左下部分です。バッテリー残量が100%、Bluetooth接続、そして電球のアイコンがあります。まず、バッテリー残量ですが、この画像はレビュー機を使い始めて15日くらいが経過したところで撮影したものです。
電源はONにしたままで「約15日間、日中に特に暗くも明るくもない、窓のある仕事部屋で5時間くらい、夜間も室内の蛍光灯とディスプレイからの光のもとで3~4時間ほど使い」、それで「バッテリー残量100%」です。
もう少し詳しく見てみましょう。電球のアイコンをクリックすると、部屋の光の状況を確認できます。

これは午後11時頃、作業部屋で確認した画像です。作業部屋は「PCで作業する」ことを目的としており、読書などをするには少し暗いと感じられるくらいに照明を落としています。この状態だと「光が不十分」と判定されました。

次に午前10時過ぎの作業部屋の状況です。ご覧の通り十分な明るさになっており、充電ができています。
これらの状況をトータルして、「15日間使い続けてもバッテリー残量が100%」ということです。おそらく、日中に短時間使用するだけで夜間の光量不足を十分補えるくらいの充電能力があるものと思います。また、上でもご説明しましたが、仮に充電ができないような暗い場所のみで使い続ける場合でも「最大4ヶ月動作可能 (メーカー説明)」です
短期間のレビューでK980のバッテリー駆動時間を測定するのは不可能ですが、「ロジクールの言う通り、充電は一切不要」というのが私の感想です。よって、K980についている電源ボタンは「半永久的にONのまま」で全く問題ありません。…すごい…。
打鍵感
外観の説明で触れたキーボードの「数値」を再度記載します。キーピッチは手採寸で約19 mmと標準的なサイズ、キーストロークは一般的なノートPCのキーボードよりもやや深く、正確な測定はできませんが、おそらく2 mm程度と思われます。
配列については「概ね素直」と評価しますが、唯一、左上の「全角/半角」キーが小さく、レビュー開始当初IMEの切り替えをしようとして誤って数字の「1」を押してしまうことがありました。また、キーボードバックライトはついていませんが、キートップの印字が見やすく、バックライトの必要性は感じませんでした。
なお、K980は静音キーボードではありません。打鍵音は比較的小さめですし、フルサイズキーボードの利用シーンを考慮すると、多少パチパチという音が出ても特に問題ないとは思います。
若干厳しいことを書きます。K980のキーボード打鍵感は気持ちの良いものでしたが、私は同じロジクールのMX KEYS/MX KEYS MINIもレビューしており、打鍵の気持ちよさという点ではK980はMX KEYSシリーズには及びません。MX KEYSシリーズのほうが「カチッ」とした感触で「切れ味がいい」と感じられ、それと比較してしまうとK980はちょっとグニャっとした曖昧な打鍵感です。ただ、これはあくまでMX KEYSシリーズと比較したときの印象であり、K980単体で使用するぶんには決して不満を感じるようなものではありません。
5. レビューまとめ
Logicool Signature Slim Solar+ K980はロジクール公式ストア、Amazon、楽天で販売中です。12月3日現在のロジクール公式ストアでの価格は14,751円 (公式サイトにある10%OFFクーポンを使用した価格)、Amazonでの価格は14,900円 (149ポイントがつきます)、楽天では在庫が切れていました。
この製品「ガチで充電不要、電源スイッチはONのままでOK」です。また、サイズ感、打鍵感ともロジクール製品らしく高水準です。ただ、MX KEYSシリーズと大差ない価格なのが悩みどころでしょうか。筐体の質感や打鍵感は明らかにMX KEYSシリーズのほうが上です (これらの点については個人差があると思います。あくまで私の感想です)。つまり、充電不要であることにメリットを感じないのであればMX KEYSシリーズを選ぶほうがいいと思います。一方で、K980は「煩わしさがない」ですね。ワイヤレスキーボードなのに電池を交換しなくていい、充電しなくていい、電源ボタンに触れなくてもいい、というのは実はかなり快適なのだ、ということを、このレビューを通じて感じました。
6. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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