こんにちは、ゆないとです。今回は「Langogo Mini」というスマートフォンに取り付けて使用する外付けマイクの実機レビューをお届けします。ちょうどMakuakeでクラウドファンディングが始まったばかりの製品ですが、クラウドファンディングの開始に先立ち、先行して実機を試す機会をいただきました。実機を提供してくださったLangogoにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございます!
Langogo Miniは、離れたところからでも音をハッキリと拾える指向性のあるマイクです。そのため、インタビューをする機会のあるライターの方や、セミナー、講演会などに参加する方に向いた製品で、文字起こしアプリ「Notta」と組み合わせることで、高精度の文字起こしなどができるようになります。単体では高性能な指向性マイクで、アプリの文字起こし精度をアップするツールとしても役に立ちます。
目次
1.スペック
■周波数範囲: 20Hz~20kHz
■SN比: 70dB
■等価雑音: 24dB
■最小可聴値: 50dB(音声認識距離は1mの場合)
■音声認識可能距離: 0~10m
■出力方法: USB Type-C
■マイク: 高感度双指向性マイク
■指向性: カーディオイド
■サイズ・重量: 60.8 × 25.4 × 13.3mm、約24g
■音声学原理: 差圧エレクトレット静電容量式
■ビット深度: 24bit
■サンプリングレート: 48、96、192kbps
適切な距離
音声が認識できる距離は最大10mとなっています。おそらくこれはスピーカーなどの大きな音量ではなく通常の話声の音量でキャッチできる距離のことですね。最小可聴値は50dBです。50dBと言えば静かなオフィスの中くらいの音量ですが、「普通の声で3mくらいの距離で会話が可能」とされています(埼玉県深谷市の公式ページより)。オフィスでの会議、対面でのインタビュー程度の距離であれば、問題なく拾うことができるでしょう。
接続方式
接続方法はUSB Type-Cです。プラグアンドプレイに対応し、別途電源は不要です。スマートフォンに接続するだけで使えるようになります。端子の形状はUSB Type-CかLightningを選択できますが、このレビューではUSB Type-Cのほうを使っています。
マイクの仕組み
マイクは双指向性のマイクで、本体には2つのマイクが搭載されています。また、音声学原理という項目がありますが、これはマイクの仕組みのことです。検索しても完全一致の情報を見つけることができませんでしたが、静電容量式とあるようにいわゆるコンデンサマイクロフォンのことですね。これらの仕組みを考慮すると、音がエレクテット振動板に伝わり、その振動がコンデンサを通して電気信号に変換されるというような工程と思われます。エレクテット方式である利点は乾電池程度の電源で作動可能という点のようです。スマートフォンには適していると思います。
取扱説明書によれば、指向性は「カーディオイド」型となっています。画像のようにハート型を膨らませたような範囲をカバーしています。しかし、同じく取扱説明書のスペックの部分を確認すると「高感度双指向性マイク」というように記載されており、“双指向性“にも該当するように思いました。実際に収録して確かめてみましたが、カーディオイド型であることが正しいと思います。
2.外観
付属品です。取扱説明書とアプリページへのリンクがQRコードとして記載されたカードが入っていました。
しっかり日本語で表記されています。
本体です。素材はCNC加工のアルミニウムです。筐体色はブラックを基調に両脇のマイク部分がシルバー、エッジ部分はゴールドの彩色です。ブラックの部分はマットで梨地のような表面加工がされており、指紋は全く目立ちません。小さいですがインパクトのあるデザインだと感じます。
USB Type-C端子の部分には仕様などのマークが印字されています。
マイク部分です。“Langogo”とロゴが印字されており、マイクの口はメッシュ状です。この面を音源に向けることになります。
改めて見るとビルドクオリティがとても高く、変な隙間なども無くてしっかりとした作りになっていると感じます。
実際に装着してみました。Xperia 1 IIに接続すると、よくあるボイスレコーダーという感じがしますね。横幅の細いこの機種でもLangogo Miniは横方向にはみ出しませんので、取り回しもしやすいと感じます。
実機にはマイクスポンジが付属します(より風切り音を減らす効果のあるウインドジャマーも別売りで用意されています)。マイクのサイズに合わせたピッタリのものです。
3.使用感
繋げるだけの簡単接続。あとはボイスレコーダーアプリで収録するだけ。
接続はとても簡単です。画像のようにスマートフォンのUSB Type-C端子に接続をするだけです。設定画面から接続中の機器を確認してみると、しっかりUSB機器として認識をしてくれています。
専用アプリ以外にも使える!スマホでトーク配信している人にも使えます!
専用アプリを通さなければ、普通の指向性マイクとして使用できます。私が確認した限りだと、端末プリインストールされている音声レコーダーアプリはもちろんのこと、個人で利用できるトーク配信アプリ「Radiotalk」と「Himaraya」では問題なく利用できました。
クリアな音質で個人的に気になっていた電流音が無くて嬉しい!
音質の違いについてですが、この製品を接続したほうが、ややバックグラウンドのノイズが少なくなった印象を受けました。スマホ単体では、意外と“サー”というようなノイズが入ってしまうのですね。今まで気になっていませんでしたが、この製品であればある程度クリアにすることができます。
この製品は環境雑音を低減する処理が可能なチップを搭載しているので、不要な雑音を低減し、“ジージー“というような電流音まで除去してくれます。過去に、オーディオジャックに接続するタイプで指向性のあるショットガンマイクを使ってみたことがあったのですが、それは電流音が気になってしまい全く使っていませんでした。しかし、この製品で収録すると音量を上げてもほとんど気になりませんでした。
Langogo MiniはNottaアプリの使い勝手を向上させるツールだ!
ここまではマイク単体の使用感を説明しましたが、この製品は、ボイスレコード兼文字起こしアプリ「Notta」の使い勝手を向上させるツールだと感じました。
Nottaアプリというのは、音声を保存すると同時に、会話などをリアルタイムで文字起こししてくれるアプリです。Android版とiOS版がリリースされていて、この製品が無くても利用できます。ただし、スマートフォンのマイクでは集音距離や収録のクオリティに限界があるので、Langogo Miniを通すことで精度を上げることができます。
予め設定画面で、話者の言語に変更しておく必要があります。104言語に対応していてリアルタイムに文字起こしと収録をしてくれます。収録を停止後、文字数などにもよりますが、2分くらいのスピーチでは10秒もしないで翻訳までしてくれます。
Langogo Miniの設定もアプリから可能です。と言っても、可能なのはゲインの調整だけです。もし話者から離れている場合には、3段階中一番上にすれば良いでしょう。今回のレビュー環境では、収録可能な講習会などが無く、8m以上離れているパターンは試すことができませんでした。
アカウント種別によっては注意が必要です。種別は全部で3つあり、無料会員、プラス会員、プレミアム会員に分かれています。無料会員では、毎月120分までの文字起こし、10GBのクラウドストレージが利用できます。無料→プラス→プレミアムと変わっていく毎にできることが増えていき、文字起こし時間やインポート・エクスポートできる音声ファイルの拡張子種別が増えます。さらにプレミアム会員ではアプリの特徴の1つである「リアルタイム文字起こし」も有効になります。有料プランをそれぞれ1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月から選択でき、一番上のプレミアムは月1,500円から利用できます。
また無料会員でも、クーポンとして文字起こし時間のみ購入することが可能になっています。文字起こしができればOKという方には、予め収録時間がわかるのであればそれに合わせて増やすことができますね。
なお、実機レビューをするにあたり、一時的にプレミアム会員を付与して頂いており、今回のレビューはプレミアムプランでできることも含まれております。
気になる文字起こしや翻訳の精度は…?
気になる文字起こし精度ですが、動画で見て頂いたほうが良いと思いますので、日本語の聞き取り、英語の聞き取りを試しています。気になった点は文章でも解説します。
■リアルタイム文字起こし
文字起こしはリアルタイムで、想像以上にすぐ文字が表示されているように感じます。収録後、再生をした際に私自身がコメントしていますが、やはり固有名詞を正確に文字にするのは難しいようですね。私のライターネームや、この製品の名称は正しく認識してくれませんでした。
英語でのスピーチはこの動画の音声を収録してみました。英語も結構正確に聞き取れているように見えます。ただし、「間(ま)」が入らないと1つの文章として文字起こしされてしまいます。また、途中で認識ができなくなったのか文字起こしが止まってしまいました。その後聞き取れたところから再開されましたが、他の英語のトークでも同様だったので、早口やリンキングされてしまっていると認識が難しいのだろうと思います。
■翻訳機能
翻訳は、収録後翻訳ボタンから翻訳先の言語を選択することで可能です。Langogoはソフトウェア開発に力を入れており、MicrosoftやGoogle、AMIVoice、Amazonなどの26の翻訳エンジンや音声認識エンジンと提携をしているそうです。
動画の英語の収録で聞き取った文字を翻訳することになりますが、やや機械翻訳な感じがします。しかし、英文がある程度読めて全体的にニュアンスを知るため程度なら十分な翻訳だと思います。960字の文字ですが、5秒もしないくらいのあっという間の翻訳でした。
エクスポート(出力)は.wavまたは.txtとして保存可能!
収録した音声、文字起こしされた文章は、それぞれ”.wav”、”.txt”として保存ができます。有料アカウントだと、”.docx(Microsoft Word)”や”.pdf”として保存ができるようになっています。
有料会員であれば音声データをインポートして文字起こしが可能!
なんと、有料会員であれば”.wav”や”.mp3”、”.mp4”などの形式のデータをインポートすることまでできます。そしてそれを文字起こしできるようになっています。これはアプリ単体での使い方になってしまいますが、すごく便利な機能ですよね。(画像では”m4a”のデータをインポートして文字起こししています。)
Nottaアプリを含めてLangogo Miniの良かった点と気になった点
【良かった点】
1.固有名詞では「正しく認識しない(近い音の文字になってしまう)」ケースがあったものの、それ以外はしっかり文章として認識してくれる。
2.再生時に、音声に合わせて文字をハイライトしてくれる。
3.スマホ単体よりもLangogo Miniを装着したほうが、同じ距離・同じ音量でも割れが少なくクリアな音質で収録ができる。また、不快なノイズが少ない。Nottaアプリの設定でゲインの変更まで可能。
【気になった点】
1.トークに「間」が入らないと一文で文字起こしされてしまう。話者が一人だけなら問題ないが、複数人による対談形式だと、誰がどこからどこまで話したかわからないことがある。なお、再生時に、声に合わせて文字がハイライトされるため、わからなくなってしまうことはない。
2.あるタイミングで認識が上手にできないことがあると、次に認識ができたところまでの間が上手に文字起こしされない。これは再生をしてみて認識が外れてしまった間だけ自力でやれば対応可能。おそらく早口や英語の場合はリンキングなどがあると認識を逃してしまっているように思う。
3.一文程度なら問題ないが、長文になってしまった場合、翻訳は最近のGoogle翻訳やそのGoogle翻訳よりも的確と言われているDeepL程ではなく、文章全体のニュアンスがわかる程度の翻訳品質である点。なにかの発表会で、すぐに記事にしなくてはならない、そういったときの補助として有用だと感じる。
まとめ
Langogo Miniは3月18日よりMakuakeにてクラウドファンディングが開始され、3月18日15時20分現在の最安プランは税込み7,600円です。
スマホ単体で音声収録するよりも、Langogo Miniを利用することで音割れが少なく不快な雑音が少ない音質で収録することが可能です。さらにLangogo Miniを接続した状態でNottaアプリを使って収録をすると、想像以上に正確に文字起こしをしてくれます。
さすがに固有名詞をすべて正しく認識するのは難しいですが、普通の音声レコーダーで収録をして何度も聞き直して文字起こしするよりも圧倒的に手間が少なく済みます。わざわざ高性能な音声レコーダーを購入せずとも、Langogo MiniとNottaアプリの組み合わせのほうが導入しやすいと思います。文字起こしと翻訳だけだったら無料会員でも十分にやりくりできると思いますので、おすすめです。