こんにちは、natsukiです。はじめて買ってしまった「磁気スイッチ」キーボード、FREEWOLF F68 PROを、現在、自宅でのメインキーボードとして使っているので、紹介します。「磁気スイッチ」とは、詳しい解説は省きますが、キーボード打鍵感の根本となる軸(キースイッチ)の種類で、メカニカル軸よりもさらに反応速度とカスタマイズ性を追求した、ものです。基本的には、反応速度の速さと精確性を徹底的に追求するゲーミング用品で、以前は非常に高価でしたが、一向に価格が安くならない静電容量無接点方式に対して、こちらの磁気スイッチの方は、最近、ずいぶんと価格もこなれてきました(ただし国内販売では依然高価、Aliexpressではかなり値崩れしてきた)。私は、僅かな反応速度を競うゲーマーではまったくなく、単なる興味本位と物欲からこのキーボードを購入したのですが、結論を言えば、オフィスワーク利用にも快適に使えます。従ってこの記事も、ゲーマー目線ではなく、一般的なキーボードとしてどうか?という視点でのレビューになります。その点はご理解ください。
この製品の魅力は、大きく3点あります。第1に、もちろん磁気スイッチ採用であること。第2に、およそキーボードのオプション的な機能として想定されるものをすべて備えた、機能面での「全部入り」であること。そして第3に、なんといっても、ベルト付きってカッコいいよね、ということです。
・軽量なタイプ感の磁気キーボード
・十分なストロークと打鍵感の軽さは、オフィスワークにも非常に快適
・ベルトがカッコいい!
・縦5列で、方向キーと右1列はついた65%サイズで、ゲーム以外でも十分使える
・Bluetooth×3台とUSB無線ドングルの無線接続に対応
・角度調整のスタンド付き
・詳細なキーのカスタマイズが可能
・磁気キーボードならではの、キーの反応点なども調整可能
・キーカスタマイズをキーボード側に保存するので、別の機器につないでも設定がそのまま使える
・もちろん、RGBライトによる多様なイルミネーションも楽しめる
ここは注意
・キーキャップの表記は最小限なので、Fn同時押し機能は覚えるしかない
・英字配列
・Bluetooth接続の場合、ときどきチャタリングを起こす
・販路は基本的にAliexpress
なお、磁気スイッチの詳細については、例えば、以下の、このFREEWOLFの姉妹ブランドであるATTACK SHARKの解説などをご覧ください。この解説は、磁気スイッチキーボードの利点の他、欠点やキーボード選択の視点についても非常に丁寧に説明しています。

目次
1.基本スペック
FREEWOLF F68 PROの、基本的なスペックを確認しておきます。
磁気スイッチ
「磁気スイッチ」と一口に言っても、メカニカルスイッチに多様なものがあるように、磁気スイッチにも多様なものがあります。また、比較的新しく、普及もこれからの軸であるため、メカニカルで言う「赤軸」「青軸」のような軸の傾向を一言で表す言葉も私が知る限りありません。ただし、現行の磁気スイッチの構造上、特筆がない限りは、タイプにいわゆる「クリック感」はありません。従って、タイプ感はメカニカルで言うところの「赤軸」に近いスムーズなものとなり、また、キーを押下するときのバネの強さである荷重が重要な個性になります。
一般に、磁気スイッチの荷重はメカニカルよりも軽い設定のものが多く、FREEWOLF F68 PROの場合はご覧のように「37±10g」です(厳密には「g」は重さの単位、「gf」は力の単位ですが、面倒なんで省略)。メカニカル赤軸が一般に45gなので、タイプ感の軽い赤軸が想像され、実際のタイプ感も想像にそぐわないものです。
また、完全に押下するいわゆるキーストロークは、一般的なメカニカルキーボードが4.0mmなのに対して、FREEWOLF F68 PROは「3.8mm±0.3mm」となっています。ごくわずかに浅いくらいです。もっとも、キーボードは完全に押下する前に反応するので(後述)、この程度のキーストロークの差は打鍵感にさほど影響しないでしょう。
もちろん、反応速度もメカニカルに勝るはずですが、私にはそこまでの判別はつきません。
65%サイズ、68キー、英字配列
このキーボードは、いわゆる65%サイズで、キー数は68です。一般的なフルサイズキーボードから、「最上段のFnキー列」と「テンキーなどの右側部分」を省略したタイプで、縦は5列です。
一方で、ゲーミングなどでよく使われる60%サイズに比べると、右側に「方向キー」×4と「Ins」「Del」「PgUp」「PgDn」の8キーを備えます。私は、はじめからオフィスワーク用途がメインで考えていたので、「方向キー」「Del」はさすがにないと厳しいと考え、60%サイズは考慮に入れていませんでした。
なお、配列は英字配列です。これは仕方ないですね。
バリエーション
FREEWOLF F68 PROには、いくつかのバリエーションがあります。まず、「PRO」無しは有線接続のみです。ガチゲーマーは、反応速度や安定性から有線を好むでしょうから、ゲーミングキーボードには有線のみの仕様のものも少なくありません。「PRO」付きの方が無線対応型で、有線接続はもちろん可能な上で、Bluetooth接続×3台にUSB無線ドングルによる接続と、十分なマルチペアリング能力を持ちます。ゲーム時には有線、オフィスワークには無線などと使い分けることが可能です。
また、デザインで3種類のバリエーションがあります。私が購入したのは、シンプルなブラック1色のタイプ。この他、ブラック、ホワイトそれぞれに、ライトが映える線状のスリット入りのタイプが用意されています。
購入の際は、バリエーションの違いに注意してください。
ハード面の特徴:ベルト、角度調整スタンド付き
ハード面の特徴として、注目すべき点は2点あります。
第1に、ベルトが着いています。ぶっちゃけ、実用というよりはデザイン上のアクセントの要素が大きいですが、カッコいいじゃないですか!このFREEWOLF F68 PROを購入した動機の何割かは、「ベルト付きキーボードが欲しい!」という衝動的な欲求でした(笑)。
第2に、角度調整用のスタンドがついています。キーボードとしては一般的なギミックですが、60%サイズや65%サイズの製品だと省略されている場合も多いので、個人的には実用上重要な点でした。
キーカスタマイズが可能で、キーボード側に設定を保存
ゲーミングキーボードなので、当然の如くキーカスタマイズが可能です。さらに、磁気スイッチの重要な特性は、「どこまでキーを押したら反応するか」という「アクチュエーションポイント」を自在に設定できるところにあります。少しでも速い反応速度を追求したければ浅く、誤押下を防ぐには深く設定すればいいわけです。正直なところ、私にとってはデフォルトで十分で、猫に小判な機能ではあります。ちなみに、デフォルトでは2.0mmに設定されており、これは一般的なメカニカルの赤軸と同じです。
もうひとつ重要な点として、設定がキーボード側に保存されるということがあります。専用ソフトウェアなどで、パソコン側に設定を保存するキーボードもありますが、それだと、接続する機器すべてに専用ソフトをインストールして個別に設定が必要になります。が、キーボード側に設定が保存されることで、別の機器につないでも同じ設定で使用が可能です。FREEWOLF F68 PROは65%サイズのため、キーカスタマイズの必要性は高く、これは使用感に大きく関わる部分です。まあもっとも、そもそも英字配列なので、スマホや日本語キーボードのパソコンにつないだ場合に記号類がぐちゃぐちゃになるのはどうしようもありませんが。
光る
カラフルで多様なバックライト表現に対応します。まあ、これはゲーミングキーボードとしてはもはや一般的な機能ですね。
2.実機
では、実機を見ていきましょう。箱はわりと潰れていましたが、キーボードのキー部分にはカバーもあり、本体は問題ありません。Aliexpressで購入したのですが、Aliexpressでの買い物としては許容範囲です。
同梱品一覧です。キープラー、USBケーブル、マニュアル、ベルトです。USBケーブルは、ゲーミングキーボードなので、ちゃんとフェライトコアのついたしっかりしたものです。
姉妹ブランドのATTACK SHARKがすでに日本展開をしているためか、説明書は、日本語対応しています。ところどころ翻訳が怪しいですが、意味はとれます。65%サイズで、かつキーキャップには「Fn」キー同時押しの表記はないため、特にショートカットキーについては一読しておきましょう。
ご覧のように、キー配列は65%サイズで68キー、縦5列ながらも矢印キーと「Del」キーなどもあります。オフィスワークについては、個人的に思案するのは、言語切り替え(「`」がない)と多用する「F3」「F7」~「F10」をどうするかでしょうか。結論を言えば、「F3」「F7」~「F10」はあきらめて「Fn」キー同時押し、言語切り替えはキーカスタマイズで対応しています。
キーキャップは私が購入したのはシンプルなタイプです。文字部分は印字で、透過ではありません。
ベルトを着けました。うーん、満足!
側面です。そのままでも一定の傾斜はありますが、スタンドでさらに傾けることが可能です。
裏面のスタンド部分です。高さは2段の調整が可能になっています。
またスタンド部分に、USB無線ドングルが収納されています。無線ドングルにはFREEWOLFの狼ロゴが印刷されているので、他の機種のドングルと識別できるようになっています。
手前側面にブランドロゴがあります。
奥側側面です。充電及び有線接続用のUSB Type-Cポートと、接続方式切り替えスイッチがあります。
キーキャップを外したところです。基本的に、一般的なメカニカルキーボードで使われるMX Cherry互換キーキャップが装着できます。
ホットスワップになっているので、キースイッチそのものの交換も可能です。なお、キースイッチのブランドは「OUTEMU」でした。
重量は787.6g。もちろん、相当に強打してもビクともしない十分な堅牢性があるので、持った感じはサイズの割に重く感じます。
3.使用感
打鍵感
打鍵感は、想像通り、「軽快な赤軸」というのが近いでしょう。十分なストロークがある上で軽快に打てるので、タイピングが進みます。興味本位で買ったキーボードですが、いや、これは、オフィスワークにもかなりいいですよ!私は、仕事柄大量の文章を打つのですが、非常に気に入りました。
打鍵音
打鍵音については、スイッチにクリック感がないので、押し込んだときにスイッチ自体はほとんど音を発しません。ただ、軽量なため、ついつい底打ちしがちです。これは、慣れていくと静かになっていきます。しかしそしてそれ以上に、「戻ったとき」にそれなりにカチャカチャ音がします。メカニカル青軸よりは静かですが、一般的な赤軸よりはうるさめです。静かな図書館などでははばかられるくらいの音はします。
接続の安定性
メインキーボードとしてしばらく使っていますが、Bluetooth接続だと、時々チャタリングが出ますね。実用上問題になるレベルではありませんが、これまで自宅のメインキーボードとして、主にBluetooth接続で使ってきた「MONKA AE98」はほとんどチャタリングが出たことがなかったので、ちょっと残念。もちろん、チャタリングは、電波状況や機器の相性など様々な要因に左右されるので、一概にFREEWOLF F68 PROの問題とすることはできません。有線接続やUSB無線ドングルでの接続であれば、極めて安定しています。
65%というサイズ感
私は初めて65%サイズのキーボードを使うのですが、うん、この省スペース感も素晴らしい。私は、自宅では居間で作業する環境なので、この取り回しのしやすさは思った以上にありがたい。
キーカスタマイズ
FREEWOLF F68 PROは、汎用のQMKファームウェアによって動作しているので、QMKによるカスタマイズが可能です。
利用方法は、パソコンに有線接続を行い、QMKのサイトにアクセスします。

「=+デバイスを追加」を押すと、「FREE WOLF F68」として認識してくれるはずなので、これを選択すると、設定画面に入れます。なお、レイアウト崩れが発生する場合がありますが、その場合は、ブラウザの表示倍率を調整してやると解決します。
キーカスタマイズは、直感的にできるでしょう。なお、同時押しをカスタマイズできるのは「Fn」キーのみなので、英字配列の記号を無理矢理日本語配列にしたりはできません。私は、さしあたり、「Esc」単押しを「`」+「Alt」にして言語変換に、かといって「Esc」もそれなりに使うので、「Fn」+「Esc」で「Esc」に、さらに「Ins」と「Del」を入れ替えて「Del」を最上段に(キーキャップも交換)して使っています。もちろん、マクロの設定も可能です。
私はいじっていませんが、磁気スイッチならではのアクチュエーションポイントの調整も可能です。
実用的には十分な機能が提供されていると思います。また、先述のように、この設定はキーボード側に保存されるため、接続機器を変えても同じ設定で利用可能です。
RGBライト
ゲーミングキーボードなので、光ります。ただ、私の購入した一番シンプルなタイプは、上記のように文字が透過ではありません。透過させたい場合は、別のキーキャップに交換すればよいでしょう。
4.価格の目安となる競合製品「AJAZZ AK680 MAX」
少し脱線になりますが、私がFREEWOLF F68 PROを購入するにあたって、初めての「磁気キーボード」なので、色々と目安にした製品も紹介しておきます。「AJAZZ AK680 MAX」という製品です。
AJAZZは、それなりに名の知れたゲーミング周辺機器のブランドですが、価格が基本的に安価で、かつラインナップが非常に豊富なため、価格や機能を見る際の目安にしやすいんです。AJAZZブランドで「磁気キーボード」「65%サイズ」の製品が、「AJAZZ AK680 MAX」です。ちなみに、「MAX」無しはメカニカル軸です。この「AJAZZ AK680 MAX」は、有線/無線、スイッチの種類、バックライトの色、キーキャップを含むキーボードのデザインなどで、すさまじい数のバリエーションを揃えています。また、日本国内でも販売しているほか、Aliexpressでは出品者の数も非常に多くあります。AJAZZ AK680 MAXをAliexpressで検索して、いろいろと出品者や構成を変えてみると、磁気キーボードを買う際の機能や価格の目安となるでしょう。
なお、私がAJAZZ AK680 MAXではなくFREEWOLF F68 PROにした理由は、ズバリ、ベルトの有無です。だから、ベルト付きキーボードが欲しかったんですよ!
5.まとめと、販路と価格など
本格的なゲームもしないくせに、わりと物欲の勢いで買ってしまったキーボードですが、結果論で言えば、オフィスワーク用キーボードとしても、非常に気に入っています。軽快なタイプ感はもちろんのこと、このFREEWOLF F68 PROは、キーボードの欲しい機能全部入りというのもいいですね! 国内販売ではまだまだ高価な磁気キーボードですが、Aliexpressだとずいぶん安価に買えるようになってきました。英字配列や海外通販に抵抗がなければ、ヘビーゲーマーでなくても、日常的に使うキーボードとして磁気キーボードを検討してみてもいいと思いますよ。
販路と価格について触れておくと、ということで、私は、このFREEWOLF F68 PROを、Aliexpressで購入しました。Aliexpressでは、例によって非常に多くの出品者から出品されていますが、私が購入した出品者は、下にリンクを貼っておきます。ちょうど夏のセール時期なので、私が購入したのと同じ、無線接続可能でシンプルなキーキャップのタイプであれば、スマホアプリからの価格で、夏期セール汎用クーポン(「1回のみ」であることや限定数があることに注意)とストアクーポン(商品の割引情報やストアトップページで取得する必要があるので注意)、コイン割引(アプリのコイン割引から商品にアクセスする)などをうまく組み合わせれば、約6,000円~5,000円で購入できるでしょう。有線のみのバージョンや、キーキャップの異なるタイプもあったりするので、構成選択に気をつけてください。もちろん、有線のみでよければ、さらに安くなります。
6.関連リンク
(実際に私が購入した出品者です)

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