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PIPO X10 - 10.8インチの超個性派、これがリビングPCの最適解(読者レビュー:natsukiさん)

PIPO X10 外箱
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。中国の「おもしろPC」を読者の方にレビューしていただきました。レビュアーは「natsukiさん」で、ウインタブにしばしばコメントを書いてくれる方です。実は今回のレビュー、トラブルがありました。私がnatsukiさんにこの製品をお送りする際、「OSを初期化」したのですが、その後動作確認をしておらず、natsukiさんの手元に届いた際に「タッチパネルが反応しない」状態となっていました。

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natsukiさんから簡単なお問い合わせをいただいたのですが、まともに対応することもできませんでした。しかし、natsukiさんは文句ひとつ言わず、ご自身で必要なドライバーを調達し、レビューができる状態に復旧されました。記事中「さらっと」この件について触れておられますが、実際中国のサイト(すごくわかりにくいです)から必要なソフトウェアを探すのは大変な困難があったと思います。natsukiさんに感謝するとともに、この場でお詫びを申し上げます。ありがとうございました、そして申し訳ありませんでした。ということで、レビュアーのご尽力もあり、無事に読者レビューを公開できます。また、このレビューはとんでもなく面白いです(この人もライターにスカウトしようニヤリ)。では、natsukiさんの楽しいレビューをどうぞ!

1.はじめに

こんにちは、natsukiと申します。このたび、ウインタブ様の好意により、PIPO X10のレビューの機会をいただきました。一見、強烈なキワモノオーラを発しているPIPO X10ですが、使ってみるとなかなかどうして、これはとんでもない名機ですよ!

PIPO X10
先にお断りしておきますと、独創的な使い方はできませんでした。むしろ、パソコンとして想定しうる「普通」の使い方の中にこそ、この機体の魅力があります。

これは、Windowsタブレットのひとつの理想形なんでは、とすら感じています。この興奮と、こいつの魅力を少しでもお伝えできればと思います。

なお、比較の都合から、スペックの近いWindowsタブレットの「絶対王者」TransBook T100-TAMには、なにかと引き立て役になってもらいました。決してTransBookをおとしめているわけではなく、私自身、普段から欠かせないパートナーとしてTransBookを愛用していることをあらかじめ申し上げておきます。

ごめんよ、TransBook。おまえの優秀さをみんな知ってるからこその役目なんだ。

2.ライバル登場!&基本性能の再確認

PIPO X10 とライバルたち
大きさを比較してみるとこんな感じです。①がNECの15.6インチノートブックLaVie L(RAM:8GB CPU:Core i7-3610QM)、②がASUAの10.1インチ2in1 TransBook T100-TAM(RAM:4GB CPU:Atom Z3795)、③がASUSの8インチタブレットVivoTab Note8(RAM:2GB CPU:Atom Z3740)、④がこのPIPO X10。

そして、①~③はいずれも、WindowsPCの王道とも言える筐体とスペックを持つ強力なライバルです。普通に考えると、こいつらだけであらゆる利用シーンをカバーできてしまい、PIPO X10の出番は失われてしまうはずですが、はたして…

さて、すでにウインタブ様のレビューにありますが、PIPO X10の基本性能を確認しておきます。

CPUはAtom x5-Z8300、RAMに4GB、ストレージは64GBのeMMCと、ネットサーフィンや動画鑑賞、オフィスソフト、簡単な画像処理程度なら全く不安のないレベルです。あ、もちろんAnniversary Updateも問題なく成功しましたよ。処理能力に限界があるので、時間はかかりましたが。

PIPO X10 TransBookと厚さ比較、ポート解説
サイズに関しては、これもすでに指摘のあるように、公称の数値は全く違います。Amazonにある25.0cm × 17.4cm × 7.0cm(最厚部)、1009gが実測とも一致する正確な数値です。写真はTransBookとの比較です。

画面は10.8インチですが、ベゼルはかなり細いです。上と横が約1cm、ウィンドウズボタンのある下辺でも1.5cm程度で、このため、写真からも分かるように底面積のみならば10.1インチのTransBookをわずかに下回ります。重さもほぼ1kgなので、厚さを除けば、一般的な10.1インチ2in1と、サイズ・重量ともに変わりません。片手で軽々持って取り回せます。

そして本機最大の特徴は、なんといっても実測約18°の傾斜を持つ台形の筐体と、その厚さを活かした豊富なポート類。USB×4に加え、microSDスロット、フルサイズHDMI、イヤホンジャック、有線LANに、電源は独立端子、もちろんBluetoothも内蔵。これで不足する事態はまず考えられません。

ただ、USBポートのうち1本はUSB3.0なのですが、こいつが相性が激しく、手持ちのUSBメモリや周辺器機を片っ端から試してみましたが、認識するものとしないものがあります。USB2.0の方は、試したかぎりでは特に問題ありませんでした。

それから、冷却ファン付き。基本的に常時動いている感じです。が、音は「サー」とうっすら聞こえるくらいで、それほど気になるものではありません。

あ、なぜか、「保存」とか外部メモリからの「貼り付け」とかの、まとまったデータアクセス時に「カリカリ」とか「キュルキュル」とか音がします(笑) デバイスマネージャから確認し、ベンチマークも取りましたが、大丈夫です、本体ストレージは東芝製eMMC 064GE2で、HDDではありません(笑)。ストレージ性能ベンチマークは以下の通りです。まあ、こんなものでしょう。

PIPO X10 ベンチマーク
さらに、PIPO X8やX9と根本的に異なるのがバッテリー搭載。ここ、とっても重要。これによって、従来のPIPO Xシリーズとは実用面で一線を画す機体となっています。使用してみた感じでは、明るさ50%で、YOUTUBEやニコニコなどの動画鑑賞の場合、1時間あたりのバッテリー消費は平均約15%程度。単なるオフィスソフト使いならもうちょっと減りは少ないので、だいたい6時間から7時間は持ちます。つまり、タブレットPCとして十分なレベルです。

後述のように、外に持ち歩くのは厳しいので、この持続時間は十分すぎるくらいでしょう。充電時間は3~4時間といったところです。

1点だけ注意があります。

個体によるものかもしれませんが、今回使用させていただいている機体では、PCを初期状態に戻すとタッパネルが反応しなくなるトラブルがありました。再現性があり、どうも回復ディスク(内蔵)のドライバがダメなようです。私の理解が足りない可能性はありますが、汎用ドライバの適用ではうまく動作せず、最終的にはPIPOのホームページからダウンロードしたドライバを適用してタッチパネルは使用可能になりました。

ただ、タッチの反応は問題ないものの、サードパーティー製のソフトでいわゆる「慣性」がつかず(なぜか、EdgeやIE、スタート画面や単なるエクスプローラーなど、Microsoft純正部分でのみ動作します)、例えばEdge以外のブラウザでのページのスクロールはかなりやりにくくなっています。マウスのホイールを使いましょう。

また、本体上のWindowsボタンも効かなくなってしまいました。ただしこれは、すぐそばにタスクバーのWindowsボタンがあるので、タスクバーを表示していれば実用上は全く問題ありません。

ともあれ、何かシステムに問題があったときには、昔ながらの「回復ポイント」を使った方が無難かと思われます。Windowsタブレットでは、容量節約のためか回復ポイントの作成がデフォルトで無効になっている場合が多いので、有効化しておくことを忘れずに。

3.モバイル&プレゼン端末として

PIPO X10 片手持ち、TransBookと
左がPIPO X10、右がTransBookです。

あとで持ち上げるので、先に落としておきます。モバイルの用途は厳しいです。ほぼジャスト1kgという重量は、このサイズのモバイル端末としては決して重くはないのですが、カバンに入れてみると、かさばるという他に、この独特の台形の形状のせいで、他のものが入れづらくてかなわない。書類とか圧迫されて折れちゃいます。

プレゼン用にはどうかなと思って使ってみようとしました。置きっぱなしでいいのなら、案外いけます。が、TransBookと比較してしまうと、軽量のタブレットオンリーと机上でのノートブックモードを自在に切り替えられるTransBookには敵いません。

あと、運ぶときですが、状況によりますが、プレゼンってPCだけじゃなくって、紙の資料とか他の機器とかいろいろ持っていくじゃないですか。こいつの斜めの筐体は、上にマウスとか置くとバランスゲームと化します。見てればいいんですが、感覚で角度が分からないので、目を離すと滑り落ちてます(笑)

そんなわけで、「持ち運び」を想定した用途にも、使えなくはないです。ただ、2in1を持っているなら、素直にそっちを使うべきでしょう。

4.家庭でのタブレットとして

いわゆる、ネットサーフィンや動画視聴メインの「消費型コンテンツ」を楽しむスタイルです。これが、まさに目から鱗、コロンブスの卵、ともかく「素晴らしい」!この怪しい筐体が、今までのタブレットの不満点をすべて解決してくれます。

まず、いくらタブレットといっても、ずっと持っていては手が疲れます。それに、これを言ってしまうとミもフタもないのですが、Windowsって、いくらシステムのUIをタッチに対応させても、結局は今までのマウス操作に最適化された資産を活かしてなんぼなので、やっぱりマウスがあった方が圧倒的に快適なんですよね。特に、肝心のブラウザが、ブックマークもタブ操作も、タッチのみではつらい。

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そこでスタンドの出番になるわけですが、このスタンドというのは、どんな構造のものでも、足やおなかの上などの不安定な場所では非常に使いづらい。ヒンジ付きキーボードも、置く分にはともかく、ひっくり返らないようにするには仰角をとれず、タッチ操作をしようとするとひっくり返り、キーボードも邪魔と、案外タブレット使いとは相性が悪いんです。

そこで、PIPO X10なら、こうだ!

PIPO X10 ソファーにて
うーん、画像ではなかなか伝わらないのですが、この筐体の絶妙さは、ソファーの上で、文字通りゴロゴロ転がりながら使ってみるとよく分かります。あまりにも怠惰な格好になるので、さすがに写真には撮っていませんが。

膝の上でも、うつぶせ寝タブでも、おなかの上に乗っけるラッコスタイルでも、「筐体に角度がついている」ということにより、適当に置くだけで、そのまま快適な角度で使えます。この怠惰な快楽は、なかなか中毒性があります。もう、バッテリーが切れるまでグータラ待ったなし!

また、この10.8インチというサイズが、それなりの迫力がありながら、ちょうど人間の太ももやおなかの上でぴったり安定する絶妙なサイズなんですね。重さ1kgは長時間乗っけていても全く苦になりません。そして、タッチキーボードも、Microsoft IMEでキーピッチ実測18.5mmと、物理キーボードとほぼ同じ感覚でタイプできます。ネットサーフィン程度ならこれで十分。

「角度が固定されている」ということがこんなに快適だなんて、まさに発想の転換。

PIPO X10 ゲームパッド
さらに、有り余るUSB端子のおかげで、有線無線問わずUSB接続のゲームパッドとの相性も抜群です。Bluetooth接続だとやはり不安定な部分もあるので(いいものはいいらしいですが)、ゲームでレスポンスが悪いとイライラしますもんね。

タブレットPCの場合だと、そもそもフルサイズのUSBがないことも多いですし、こういうライトな使い方では、かさばるハブなんかは面倒。フルサイズUSBがあればあったで差し込んだUSBを「バキッ」といく事故も心配ですが、PIPO X10なら筐体が分厚い上に後ろ側に刺せるので、そういう事故も起こりにくいです。

もっとも、ゲームパッドが必要なアクションやシューティングはマシンパワーを要求するものが多いので、できるゲームは限られてしまいますが。

PIPO X10 キッチンタブレット
ともかく設置の手間を何も考えなくてよいので、すぐさまキッチンタブレットにも。ただ、この場合は濡らさないように注意が必要です。また、写真の位置だと実際には熱が危ないです。もうちょいコンロから離しましょう。

5.仕事用のマシンとして

はい、この写真を見ていただきましょう。

PIPO X10 ロジクールマウス・キーボードセットと
ロジクールのUSB無線接続マウス・キーボードセットMK245 NANOとの組み合わせです。いかにも「デキる」感じでテンション上がってきますね。

ディスプレイの角度を補うために、100円ショップの台所用品で見つけた網棚とフックを組み合わせて、スタンドを作りました。

PIPO X10 スタンドの作り方
この場合の競合相手は、NECの15.6インチノートブックLaVie L。スペックでは到底PIPO X10に勝ち目はありません。ただ、性能に差があるといっても、オフィスソフトの動作に関しては操作感にほとんど違いはありません。実際、ここ1週間ほど家での仕事にPIPO X10を使用していますが、一太郎やLibre Officeを使っての作業に全く不満はありませんでした。

なお、サイズが10.8インチのため、Microsoft OfficeのMobileシリーズはプレビューしか動作しません。Libre Officeを使っているのはそういうわけです。

ところで、我が家にはパソコン専用の机や部屋はありません。仕事をするときは、棚からLaVie Lを引っ張り出してきてリビングで使います。さて、このLaVie L、重さは約3kgあり、片手で軽々というわけにはいきません。また、バッテリーも実働で2時間強といったところで、電源接続は必須です。

こういう環境では、10秒前まで寝そべって遊んでいたという状況から、体を起こしただけでシームレスに仕事に入れるというPIPO X10は強烈な魅力を放ちます。

PIPO X10 LaVie Lと比較
こうして並べてみると、そんなに使い勝手に差はなさそうというのが伝わると思います。まあ、重たい処理が必要であったり、大きな画面でじっくり作業したいときもありますので、さすがに完全互換というわけにはいきませんが、それでも、今まではほぼ毎日起動していたLaVie Lの出番をPIPO X10が大幅に奪ってしまったのは事実です。

このPIPO X10の汎用性は、TransBookと比較してみると際だちます。

PIPO X10 PIPO、TransBookフル装備
視覚的には、あんまり変わらないように見えます。TransBookは、これはこれで優秀な機体ですから。で、実際に使ってみると、TransBookがモバイル性のために犠牲にしてしまったものをPIPO X10が全部持ってることに気づくんですね。

まずもちろん拡張性。USBポート×4のなんたる頼もしさ。USBメモリ多数刺しって、必要なときは必要なんですよね。TransBookの拡張性はハブで補えるとはいえ、私の場合、過去にハブ経由のUSBメモリ多数刺しで作業していたら、なんかのはずみでUSBメモリのデータが飛んだトラウマがありまして、いまいちハブの安定性に信頼を置けないのです。

また、USBポートに余裕があるということは、マウス・キーボードもBluetooth接続ではなく、USB接続で使えるということです。操作感の違いはわずかかもしれませんが、長時間作業するとなるとこの差は結構大きいのです。この点については、ここんとこウインタブ様のコメント欄でもよく話題になっていますね。

そして、けっこう大きいのがキーボードの使い勝手。TransBookのキーボードは、サイズのわりに打鍵感も小気味よく、よくできています。が、やはり狭いキーピッチで長時間作業するのは疲れます。なにより、全体のサイズがコンパクトな分、画面とキーボードが近いので、どうしても姿勢が悪くなってしまいます。

この点、PIPO X10なら写真のようにUSBでフルサイズのキーボードをつなげばよいだけの話で、快適なキーボードと快適なディスプレイ位置で作業できます。

なお、デフォルトで貼ってある保護シールはツヤツヤピカピカで、ちょっと反射がまぶしい。これはPDA工房さんにでも頼んで、アンチグレアのフィルムに変えた方が使いやすそうです。

6.まとめ

というわけで、奇抜な筐体に反して、PIPO X10の最大の魅力は、その恐るべき汎用性にあります。屋外へのモバイル性こそ犠牲になっていますが、15.6インチノートブック、10.1インチ2in1、8インチタブレットというPCのメジャージャンルを、たった1台で喰ってしまいかねないポテンシャルを持っているばかりか、TV Boxからキッチンタブレットまであらゆる状況にシームレスに対応できます!。

このバランスは奇跡的と言えます。

例えば、今までのシリーズのようにバッテリーがなかったとすると、それだけで制約は非常に大きく、使いどころに迷うことになると思います。この辺は、1月のじぃ様によるPIPO X9のレビューが参考になります。

また、10.8インチというのは文書作業を行う気になる最小限のサイズだと思います。これは人によるでしょうが、私の場合は、8インチタブレットで遊んでいて、「さて、仕事すっか」となると、起動に時間がかかっても迷わず15.6インチのLaVie Lを立ち上げます。

もちろん、これ以上大きくなると、取り回しの面で不便が出てきます。例えば、台所やテレビの側に12インチは、やはり邪魔でしょう。

あと正直、ロジクールのマウス・キーボードセットMK245 NANOとの相性が非常によかったという部分もあります。それぞれの要素が絶妙に絡みあって、素晴らしい使い勝手の良さを生み出しています。

改善点があるとすれば、高さを調整するギミックがついていればさらに使い勝手が上がったことでしょう。筐体が分厚く収納スペースには困らないので、引き出し式の足なんかがついていると面白そうなんですが、まあ、これは無い物ねだり。

このPIPO X10をリビングに1台置いておくだけで、Windowsが日常生活のあらゆる場面にぐっと溶け込んできます。もし、こいつが、例えば4年前のWindows8の発売時に合わせて、しかるべき販売戦略とともに登場していたら… タブレットPCに一つのジャンルを作り上げていたのではないか。結構本気でそう思わずにはいられません。

この筐体と性能は「リビングPCの最適解」です!!

あらためまして、このような楽しい機会を提供してくださったウインタブ様にお礼申し上げます。

7.関連リンク

PIPO X10 - 使い道を考えるより先に使ってみたらすごく気に入った件(実機レビュー)
PIPO X10 10.8 Inch Win10 TV Box Tablet:Banggood
※この記事で使用している製品はBanggoodの提供品です

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