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スマホ・タブレット向けCPUが高性能化したことで、プレイステーションやセガサターンといった家庭用ゲーム機のエミュレーターも実機と同じ速度で動くようになりました。Androidでは無料、有料問わず、家庭用ゲーム機のエミュレーターが多数公開されています。
今回はセガサターンのエミュレーターである「Yaba Sanshiro2」をご紹介します。
1.セガサターンとは
セガサターンは1994年11月にメガドライブの後継機として投入された家庭用ゲーム機です。CPUに日立のSH-2を2つ搭載していたことから「64bit級ゲーム機」と自称していました・・・実際には32bitハードなのですが・・・
アーケードで大ヒットしていた「バーチャファイター」「デイトナUSA」「セガラリー・チャンピオンシップ」といった名作だけでなく、競合機であるプレイステーションと比較して2D系の処理が高速だったことからカプコン、SNKの格闘ゲームも積極的に移植されました。
また発売初期は「18歳未満購入禁止」ソフトも販売できたので、エルフの「野々村病院の人々」やF&Cの「Piaキャロットへようこそ!!」といったPC向け美少女ゲームも移植されました。
結果的にはスクウェア(現:スクウェア・エニックス)のビッグタイトル、「ファイナルファンタジーVII」がプレイステーションでリリースされたこともあり、商業的にはプレイステーションに敗れる結果となりましたが、今だに根強いファンが多い名機です。
2.気軽に名作を持ち出せる「Yaba Sanshiro2」
そんなセガサターンの名作タイトルをAndroidスマホ・タブレットで楽しめるのが今回紹介する「Yaba Sanshiro 2」です。PC向けに開発された「Yabause」が元になっています。
アプリ名の元ネタは「せがた三四郎」です。これだけでも開発者のセガ愛が伝わってきますね!
端末のスペックが向上したこともあり、現在販売されている端末であれば3万円台で購入できるようなものでも実機とほぼ同じ速度でプレイできます。
エミュレーターによっては動作させるために実機のBIOSが必要になりますが、Yaba Sanshiro2では精度が高い互換BIOSが内蔵されているので、ゲームソフトをイメージ化すればすぐプレイ出来ます。
なお、広告が表示される「無料版」と、広告表示削除、セーブデータのクラウド保存といった高度な機能も利用できる「Pro」(830円)が用意されていますが、ソフトによっては動作しない場合もあるので、まずは無料版で動作確認することをお勧めします。
3.ソフトの入手とイメージ化について
セガサターン実機を所有していた方であれば、当然ゲームも何本か所有しているはずなので、特に問題はないと思われますが、中には「セガサターンのゲームをスマホ・タブレットで楽しみたいけどソフトは持っていない・・・」という方もおられるかと思われます。
既に「レトロゲーム」扱いになってしまっていることもあって、近年では価格が高騰してきていますが、Amazon.co.jpなどのオンライン通販サイト、ヤフオク、メルカリなどの個人売買サイト、「トレーダー」「スーパーポテト」「BEEP」「駿河屋」といったレトロゲーム取扱店で容易にセガサターンのソフトを購入可能です。
また「ハードオフ」では実店舗でレトロゲームソフトのジャンク品を取り扱っているので、エミュレーターでのプレイが目的であればこちらもチェックすると良いでしょう。
エミュレーターでプレイするにはゲームソフトを吸い出して対応するイメージファイルに変換する必要があります。
ドリームキャストやゲームキューブの場合は独自フォーマットのメディアを採用しているため、実機を改造してイメージファイル化した上でPCに転送する必要がありますが、セガサターンの場合は「普通のCD-ROM」なので、「CD・DVD・BDドライブ」と「CDからイメージファイルに変換するソフト」があれば問題ありません。
Yaba Sanshiro 2では「iso」「CUE + Binary Image」「CHD」がサポートされていますが、公式サイトにて「CHD」形式のイメージファイルを作成できる「Backup CD-ROM」を配布しているので、今回はこちらを使って実際にセガサターンソフトをイメージ化してみます。
CHD形式ではゲームデータと音楽データ(CD-DA)を一つに纏めてイメージ化してくれるので、初心者の方にもお勧めです。
Download:uoYabause
使い方は簡単です。まず、「Backup CD-ROM」を起動してセガサターン対応ゲームCDをセットした光学ドライブを指定します。
次に、イメージファイルの保存先を指定します。
ゲームデータと音楽データの取り込みが始まるので、処理が完了するのを待ちます。
Yaba Sanshiro 2をインストールした端末をPCに接続し、変換したイメージファイルを「Android¥data¥org.deviyax.yabasanshiro2¥files¥yabuse¥games」にコピーします(無料版ではこのフォルダに転送する必要がありますが、有料版のYaba Sanshiro 2 Proであれば、イメージファイルの保存先をMicroSDカードなど別の場所に指定することが可能です)。
実機からBIOSを吸い出している場合は「Android\data\org.devmiyax.yabasanshioro2\files\yabause\bios」にBIOSイメージを配置します。
イメージ化したゲームソフトはYaba Sanshiro 2を起動した際、自動的にリストに追加されます。
4.各種設定について
この記事では有料版の「Yaba Sanshiro 2 Pro」を使用していますが、無料版の場合は読み込めるゲームの本数に制限あり、クラウドセーブ機能が利用不可能、イメージファイルの保存先が指定できないといった機能制限がありますが、設定項目は変わりません。
設定画面では「実機BIOSの使用」「GPUで使用するレンダリングエンジンを変更する」「バックアップRAM・拡張RAMカートリッジ(SNK・CAPCOMの格闘ゲーム移植作などで仕様の切り替え)」といった項目を設定できます。
基本的にデフォルトの設定で問題なく動くようになっているので、変更するのであれば「カートリッジ設定」と「バーチャルパッドの設定」くらいで十分です。
Snapdragon 855以降を搭載する端末を使用しているのであれば、レンダリングエンジンの設定を「Vulkan描画」に変更することで動作パフォーマンスが向上する場合があります。ただし、ソフトによってはグラフィック表示がおかしくなる場合もあるので、何か問題が発生したらデフォルトの「OpenGL描画」に戻してみると良いでしょう。
バーチャルパッドは各ボタンの位置調整とサイズ変更が可能です。個人的にはデフォルトのサイズだとやや窮屈に感じられたため、最大に設定した上で格闘ゲームをプレイする際に届きやすい位置にボタン配列を調整しています。
5.実際の動作について
セガサターンはハードウェアが特殊な設計だったこともあって、PCでも忠実に再現できるエミュレーターが登場するまで時間が掛かりましたが、Android版Yaba Sanshiro2では一部起動出来ない作品はあるものの、名作ゲームをいつでも楽しめます。
アーケードからの移植作である「セガラリー・チャンピオンシップ プラス」もこの通り、快適にプレイ出来てしまいます。小学生の頃からアーケード版含めはまり込んだ作品ですが、手のひらに収まるスマホでもプレイ出来るとは・・・本当にいい時代になったものです。
4M拡張RAMに対応する「MARVEL SUPERHEROS VS STREET FIGHTER」は動画を見ていただくとわかるとおり、プレイ中にサウンドの不具合が発生してしまうことがあります。
権利が複雑な関係で日本国内ではいまだ現行ハードに移植できていないので、サターン版を購入してAndroid端末で楽しむのもありだと思います。リアルタイムでもそう思っていたのですが、アーケード版をほぼ忠実に再現できるセガサターンというハードは本当に凄かったということを実感しました。
6.まとめ
エミュレーターというとどうしてもアングラなイメージがつきまとってしまいますが、自分が実際に所有しているソフトをイメージ化した上で利用する分には特に問題はありません。ただし、海外サイトなどで違法に配布されているゲームソフトをダウンロードするのは厳禁です。
セガサターンは古いハードですから、所有していても「もう起動できない」状態になってしまっている方も多いかと思われます。そのような場合でもエミュレーターをAndroidスマホ・タブレットに導入することにより、いつでもどこでも想い出の名作を楽しめます。
システム要件も緩く、ソフトの吸い出しも容易で実機BIOSを用意する必要もないので、当時お気に入りだったソフトをもう一度楽しみたい、あるいは気になるソフトはあるけど、いまさら実機を購入するのも・・・という方にお勧めです。
ちなみにROG PhoneシリーズやREDMAGICシリーズといったゲーミングスマホに備わっているトリガーボタンを「B」「C」ボタンに割り当てるとレースゲームの操作性が快適になりますよ。
7.関連リンク
Yaba Sanshiro2:Google Playストア
Yaba Sanshiro2 Pro:Google Playストア
動作確認済みゲームリスト:uoYabause公式サイト