こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。UMPCというのは「Ultra Mobile PC」のことですが、「絶対にこれ!」という定義はありません。一応Wikipediaにも解説が載っていますが、この解説は私達が現在イメージしているUMPCとはちょっとずれているような気もしないではありません。一般的にわかりやすいのは前回の記事で紹介したGPD PocketとかOne Netbook One Mixなどの、「クラムシェルノートをそのまま超小型にしたもの」だと思います。
トップ画像を見てください。「懐かしい!」って言ってくれる人もいると思います。「GOLE 1」です。この製品は2016年にウインタブで実機レビューをしていますので、詳しくは下記のリンクをご覧ください。
GOLE 1 - 5インチのフルWindows 10 / Android 5.1 デュアルブートマシン、これ、ロマンだから!(実機レビュー)
ウインタブでは「実用性を証明できない、あるいは実用性がないように思える。コストパフォーマンス的にペイしそうにない。買って後悔する可能性が高い。」でも「欲しい!」という衝動にかられるときに使う言葉として「ロマン」あるいは「ロマン枠」というのがあります。「ロマン枠として買う」とか。散財する自分を責めることなく、自らを納得させるときに使う、すばらしい言葉です。この言葉のソースはGOLE 1の実機レビューに見出すことができます。
また、UMPCという製品ジャンルは、人によって温度差はあるかも知れませんが、ある程度「ロマンの香り」が漂います。ロマンあふれるGOLE 1はUMPCか否か、という議論は不毛なのでやめておきましょう。とりあえず広義にはUMPCである、ということで収めておいてください。
残念ながらGOLE 1はもはや販売されておらず、通常のルートでの購入は出来ません。でも、前回の記事で紹介した「ノートPCタイプでないUMPC」というのは他にもあります。万人向けではないかも知れません(というか、万人向けのUMPCってあるんでしょうか?)が、現在でも比較的簡単に購入(予約注文)できる製品をチェックしてみましょう。
1.GPD Winシリーズ
GPD Win(初代)
実勢価格:53,000円(税込み)
※11月7日現在のAmazon価格
OS: Windows 10 Home
CPU: Intel Atom X5-Z8700(Z8750)
RAM/ストレージ: 4GB / 64GB eMMC
ディスプレイ: 5.5インチ(1,280 × 720)
サイズ: 155 × 96 × 23.5 mm / 370 g
ウインタブ実機レビュー:GPD WIN - 5.5インチ、フルWindows搭載ゲームパッドというかミニPC、こんなの他にないよね(実機レビュー)
Amazon製品ページ:GPD WIN
GPD Win 2
価格: 85,500円(税込み)
※11月7日現在のAmazon価格
OS: Windows 10 Home
CPU: Intel Core m3-7Y30
RAM/ストレージ: 8GB / 128GB SSD
ディスプレイ: 6インチ(1,280 × 720)
サイズ: 162 × 99 × 25 mm / 460 g
ウインタブ紹介記事:GPD WIN 2 - INDIEGOGOで出品開始!日本での正規販売店も決まったようです
Amazon製品ページ:GPD WIN2 8点セット
いまや多くの人の視線はGPD Pocketシリーズのほうに向けられていますが、GPD社はもともとAndroidの携帯ゲーム機を手掛けている会社で、WindowsのUMPCと呼べる仕様のGPD Winが発売されたときには大反響を呼びました。見ての通り、携帯ゲーム機としての色彩が非常に強くゲームコントローラーが幅を利かせたデザインになっています。しかし、フルWindows OSを搭載し、キーボードもしっかり装備されていますので、ゲーム専用ということでもなく、普通にWindows PCとして使うことはもちろん可能です。
デザインに関しては好みがわかれるところではありますが、私なんかはむしろこっちのデザインのほうが中二的な感じがして、使っていて楽しいのではないか、と思わされますね。ウインタブでは初代のGPD Winを何度か実機レビューしていますが、試作品だったり初期ロットだったりして、挙動が必ずしも安定していたとはいえず、PCとしての実力は正しく評価できていません。しかし、親指で操作することになるキーボードは意外に実用性があったと感じています。
GPD Pocketではなく、あえてGPD Winシリーズを選ぶ人は、この製品でゲームをやってみたいから、というのが大きな理由になると思います。しかし、ウインタブでは性能が大幅に向上したGPD Win 2をレビューできておらず、実際どのくらいまでWindowsのゲームができるのか、ということについて自らの経験を語ることができないです。いろいろWebで調べてみたところ、下記のサイトがゲーマーには最も参考になると思われますので、興味のある人はこちらをご覧ください。
Kaby Lake-Y搭載でゲーム性能が上がった「GPD WIN 2」を試す:PC Watch
ゲーマーの人であれば、Core m3搭載のGPD Win 2であってもSteamのゲームが遊び放題、という性能にはなっていないことがおわかりだと思います。だからGTX1060とかGTX1070とかを搭載しているゲーミングPCを購入しているわけで、現時点でUMPCにそこまでの性能を期待することはできないでしょう。ただ、上記のリンク記事を見てみると、GPD Win 2であれば一世代前のゲームくらいならちゃんと動くみたいですね。特に2D系。
また、GPD Win 2に限らず、UMPCのほとんどに言えることですが、外部ディスプレイ出力に対応しています(特にGPD Win 2は4K出力が可能)ので、ディスプレイとキーボードを接続すればミニPCとしても使えます。この場合Core m3搭載のWin 2なら、そこそこ快適なデスクトップPCとしても使えそうですね。
この記事を書いている11月7日現在、初代のGPD Winはもはや入手がかなり困難で、Amazonに出品されているものも決して割安とは言えない価格になってしまっていますので、どうせ買うならGPD Win 2のほうかな、と思います。
2.Smach Z
価格: 80,910円から
※11月7日現在のSmach Z公式ストアでの予約価格
OS: SMACH Z OS(Linuxベース) / Windows10
CPU: AMD Ryzen Embedded V1605B+Radeon Vega 8 Graphics
RAM: 4GB / 8GB / 16GB
ストレージ: 64GB / 128GB / 256GB SSD
ディスプレイ: 6インチ(1,920 × 1,080)
サイズ: 255 × 95 × 20 mm / 400 g
Smach Z公式サイト:JOIN THE HANDHELD REVOLUTION
この製品はこの記事に含めるべきか、ちょっと微妙な感じがしています。画像を見ればわかる通り、限りなくゲーム専用機の体裁です。ただし、Windowsの搭載も可能ですし、タッチパネルなのでWindowsPCとしての操作も可能です。CPUはRyzenですが、一般的にノートPCに搭載されているものではなく、組み込み型のものが搭載されます。
この製品は東京ゲームショウにも展示されていましたが、実動はしておらず、実際どのくらいまでの性能になるのはまだ何とも言えません。また、ゲームパッドの交換など、ゲーム機としての拡張性やカスタマイズ性は非常に高くなっているものの、そのぶん、通常のPCとしての使用はあまり考慮されていないような印象です。
価格もかなり高いです。現在Smach Z公式サイトで予約販売されていますが、上記の80,910円というのはWindows OSではなく、Smach OSを搭載した最低構成のもので、Windowsを搭載し、RAMを8GBや16GBに、ストレージを128GBや256GBにカスタマイズした場合、余裕で10万円を越えます。私、GPD Winシリーズに関しては本体にキーボードも備え、サイズも小ぶり、当然最初からWindowsを搭載していて、UMPCと呼べると思いますが、Smach Zに関しては機能としてはUMPCと呼べるものの、範疇としてはゲームマシンということになるだろうと思います。
3.Ockel Sirius A(Pro)
価格: 699ドル(約79,200円)から
※11月7日現在のOckel公式ストア価格
OS: Windows 10 Home / Pro
CPU: Intel Atom x7-Z8750
RAM: 4GB / 8GB
ストレージ: 64GB / 128GB eMMC
ディスプレイ: 6インチ(1,920 × 1,080)
サイズ: 85.5 x 160 x 8.6 – 21.4 mm / 334 g
Ockel公式サイト:Sirius A(日本語化されています)
ウインタブ実機レビュー:Ockel Sirius A Pro レビュー - 超小型PCはGPDだけじゃない!オランダからやってきたポケットに入るモバイルWindows PCを試す!(実機レビュー:かのあゆ)
ラストはこれ、冒頭に触れたGOLE 1に近い製品特性を持つSirius Aです。ウインタブでもライターのかのあゆさんが長期で実機をお借りしてレビューしました。本体にハードウェアキーボードを備えておらず、「ポート類がやたらと充実した超小型タブレット」という感じのパッケージングになります。
キーボードこそ備えていないものの、上に書いたように高い拡張性に指紋センサーまで備え、GOLE 1と比較しても各構成が1ランク以上アップしています。ちょっと大ぶりなスマホ、くらいのサイズにこれだけの機能を盛り込んだところにロマンを感じてしまいますが、このスペックであれば外部ディスプレイを接続すればそこそこ使えるミニPCになりますし、外出先でもストレスなくWindowsの各機能が使えると思います。
でも、ネックなのは価格でしょうね。この製品はオランダ製でして、メーカーのOckelもオランダ企業です。なんか北欧よりの国って物価がめちゃめちゃ高いイメージがあるんですけど、この製品も決して割安とは言えないです…。もちろん筐体品質は素晴らしいですけどね。
4.ノートPCタイプを選ばない理由は?
GPD WinシリーズやSmach Zに関しては「ゲーム」という明確な用途がある場合、購入の動機付けになると思います。逆にゲームに関心がなければノートPCタイプのGPD PocketシリーズやOne Mixシリーズなどのほうがはるかに魅力的でしょう。
一方でOckel Sirius Aシリーズです。これは微妙ですね。この筐体だとどうしても「Windowsタブレットでいいじゃん」ということになりがちです。一般的なWindowsタブレットというのは最低でもディスプレイサイズが8インチあり、6インチのOckelよりも二回りくらい大きくなります。また、入出力ポートが非常にプアなものがほとんどで、8インチ製品に至っては「充電しながら周辺機器を使えない」なんてことにもなりがちです。そして、10インチサイズのものはともかくとして、8インチの場合総じてスペックが低く、ほとんどの場合CPUはAtom Z8350です。
PCとしての実力は低価格な8インチタブレットよりもOckelのほうが圧倒的に上です。性能面でも拡張性でも。そして「タブレットよりもこんなにすごいのに小さい」というのがロマンの源泉になると思います。ここにお金を払えるかどうか、ということでしょう。
個人的な意見ですが、特に用途を定めず、とりあえずUMPCが欲しい(こういう人が多いですよね?)という場合なら、前回の記事で紹介したノートPCタイプの製品がいいと思います。一方で、冒頭に書いた通り、UMPCにロマンを求めるなら、あえて人と同じノートPCタイプにするのではなく、デザイン的に尖ったGPD Win 2を選ぶというのもありだと思います。そして、コンパクトさと機能性・機能美を追求するならOckel Sirius Aかな、と思います。これはこれで使っていて周囲に与えるインパクトは特大だと思いますしね。
Smach Zに関してはUMPCとして購入するのではなく、あくまでも「Steamのゲームをやりたい」などの意図を持つゲーマー向けだと思います。これも個人的な意見ですが、会社の会議室に持ち込む場合、「Sirius Aは全然OK、GPD WinシリーズはギリOK(人によってはアウト)、Smack Zはアウト」だと思いますけど、いかがでしょう?
5.関連リンク
話題のUMPCを比較してみます。Core m機もAtom機もコンバーチブル2 in 1もありますよ!(ノートPCタイプ編)
コメント
Ockel Sirius A(Pro)は、Atom X7-Z8750ですよ。
まあ、X5とX7を違えたところで、本体の値段が高いっていうのには変わり無いんですけど(Pro/ムーンシルバーモデル所有者)。
こんにちは。ご指摘いただき助かりました。サイレントに修正しておきました。
すでに忘れられてると思いますが
PGSってのもあります(ありました)よ
https://jp.pgslab.com/
これスペック通りに発売されたらUMPCで最強なんですけどね
m3ですが、Thunderbolt3でeGPU対応
こんにちは、うわあああああ、これ発売されるんすかね?なんかリンクしていただいたサイトの「ブログ」というところを読んでみるといたたまれない気持ちになります。