以前、ウインタブでも紹介していた、音楽配信サービスSpotify。今までは招待制でしたが、11月10日をもってついに一般公開されましたので、あらためて紹介してみたいと思います。ちなみに、私は招待コードを10月初頭にもらって、約1ヶ月ほど使用してきました。ただ、基本的なことはすでにレビューされていますし、一般公開といっても招待制のときと内容はあまり変わっていませんので、今回の記事は、完全に私の趣味のクラシック音楽に関わることに偏っています。ご容赦ください。
結論を先に言えば、クラシック音楽配信サービスという点から見て、Spotify無料プランは無料とは思えない素晴らしいサービスですよ!
1.Winタブと相性のよいSpotify無料プラン
Spotifyの無料プランについて、再確認させていただきます。
スマホ版
有料に比べて以下の制限が付きます。
・シャッフル再生しかできない
・曲間に、ときどき15秒程度の「CM」が入る
・「似たアーティストの曲」が勝手に挿入されて流れる
・オフラインでは使用できない(曲のダウンロードができない)
・「高音質」モードは使えない
パソコン版
有料に比べて以下の制限が付きます。
・15時間/30日が上限
・曲間に、ときどき15秒程度の「CM」が入る
・オフラインでは使用できない(曲のダウンロードができない)
・「高音質」モードは使えない
ということで、スマホ版ははっきり言って無料プランではまともに使えません。シャッフル再生しかできないというのはお話にならないでしょう。だって、交響曲とか、組曲とか、順番がチャンポンで流れるんですよ!?
また、ときどきですが、曲間に勝手に「似たアーティストの曲」が1曲まるまる突然挿入される、というものまであります。なんというか、もう、さすがにこれは聴く気無くします。
ちなみに、「マイリスト」機能を駆使してこれらの難点を解決することもできなくはないですが、それはそれでめんどくさい。単独の曲ならともかく、組曲などは大変な手間になります。
ところが、パソコン版=Windows版は、同じサービスとは思えないぐらい充実しています。「曲を聴く」という基本的な機能については、有料版とほぼ変わりません。曲間のCMだけは仕方ないですが、毎曲ではありませんし時間も短いので、少なくとも私は我慢できるレベルです。
パソコン版での注意点は、15時間を超えると、30日が経過するまでまったく使用できなくなるということ。シャッフルでの再生ならできるという説は、デマです。次の30日に入るまで完全に使えなくなります。そして、やっかいなのは、その残り時間が確認できないということ。
残り時間については、いくつかのブログでは確認する方法が書いてあったのですが、インターフェースが変更されたのか、私の読解力が足りないのか、どうしても確認する方法を見つけ出せません。どなたか、お分かりになる方がいたら教えていただけるとありがたいです。
というわけで、使うなら文句なしにパソコン版ということになります。Spotify無料プランはまさに、Windowsタブレットと相性抜群のサービスといえるでしょう。
2.「ナクソスミュージックライブラリ」と比較して
クラシック音楽のラインナップは、非常に充実しています!
試しにカルロス・クライバーを検索して、アルバムをピックアップしてみました(画像は加工してアルバムを並べたものです)。もう、うおおおおおお!って感じ。ヤバイ、涙でそう。ほぼ、パーフェクトじゃないですか!
これを、クラシック専門の配信サービスでは有名どころの「ナクソスミュージックライブラリ」と比較してみましょう。
すると、Spotifyにはある、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」、シューベルトの「交響曲第3番・第8番」、「1992年 ウィーンフィルニューイヤーコンサート」は、ナクソスにはありません。これらは、いずれも文句なしの名演なので、入っているかいないかの差はとても大きいでしょう。逆に、ナクソスにあってSpotifyに無いのは、ほとんどが寄せ集めのアンソロジー系です。
他にも、個人的に名演!と思うものをいくつか検索してみましたが、ナクソスになくてSpotifyには収録されているものが出るわ出るわ。ざっと見た限り、ラインナップにおいてはSpotifyの圧勝な感じです。完全に私の好みになってしまいますが、せっかくなのでいくつか紹介させていただきます。
サン=サーンス 交響曲第3番「オルガン付き」など/オーマンディ フィラデルフィア管弦楽団
フィラデルフィアサウンドとサン=サーンスって相性いいんですよね。カップリングの「死の舞踏」が出色のできばえで、後半の盛り上がりが凄まじいです。オーマンディはオルガン付きを何度も録っていて、これは1961と書いてあるけれど、たぶん1962の間違いと思われます。ちなみに、ナクソスにあるのは1956年版ですね。てか、2楽章構成なのになんで7分割しているんだ? 楽章間でもないところでCMが入る可能性があるのは、さすがにやめて欲しいなぁ。
グリーグ 劇音楽「ペール・ギュント」抜粋など/ブロムシュテット指揮 サンフランシスコ交響楽団
「ペール・ギュント」を人に勧めるとしたら、まずこれです。オーケストラのみによる組曲ではなく、元の劇音楽なので合唱・独唱が付いています。抜粋なのが惜しいところ。なお、ナクソスにあるのはドレスデン・シュタッカーピレとの演奏で、それはそれで悪くないのですが、やっぱり総合的に見てこちらに軍配を上げたい。
シェーンベルク 月に憑かれたピエロ など/アサートン指揮 ロンドン・シンフォニエッタ
カッコいい「月に憑かれたピエロ」。狂気に満ちたアクの強い曲ですが、こういうスタイリッシュな演奏もオツなものです。
個人的嗜好に走って失礼しました。ともかく、クラシック音楽のラインナップに関しては、不満が出ることはまずないのではないでしょうか。
お値段でいっても、「ナクソスミュージックライブラリ」が月額1,850円(+税)ですから、たとえ有料プランでも月額980円(税込み)のSpotifyに分があります。というか、ナクソスやばいでしょ、これ。
3.音質は?
肝心の音質です。残念ながら、うちはいいスピーカで大音量を出せる環境ではないので、ヘッドホンで聴いたかぎりということになります。まぁ、クラシックなので、文句を言い出せばきりはないのですが、ヘッドホンやイヤホンで聴くレベルなら、許せる音質だと思います。
ただし、聴く機器によって音質が変わったときがありました。具体的には、PIPO X10で聴いたときに、明らかにスカスカな音質だったので、NEC Lavie LやASUS VivoTab Note 8で聴き直してみると問題ない、ということがありました。無料版はオフライン再生ができず、ストリーミング再生のみなので、そのときの通信状態などで音質が不安定になるのかな、とも考えましたが、結局のところよく分かりません。
安定して聴きたいなら、やはり有料プランの「高音質モード」を使えってことですね。
4.設定に関して
設定項目は、ソフトの側で行うものと、ブラウザからアカウントにログインして行うものとがあります。そんなにいじる部分はないと思いますが、一応。
まず、ソフトの側から。右上のボタンから設定を開きます。特に変更する物は無いと思いますが、プレイリストなどの公開設定は、気になる人は切っておいてもよいでしょう。また、デフォルトでは、パソコンの起動とともに起動するようになっています。これを切るスイッチは「詳細設定を表示する」で表示された中にあります。
ブラウザからログインして設定するものも見てみます。ソフトの方から、「右上のボタン」>「アカウント」でも行けます。デフォルトではメールによる通知がかなりの項目でONになっていますので、うっとうしい人は切っておくとよいでしょう。
5.まとめ
ということで、このSpotify無料プランは、クラシックファンにとって、そしてWindowsタブレットユーザーにとって素晴らしいサービスです。
ともかく、ラインナップが充実しているので、検索をかけているだけでも面白い。必ずや、好きな作曲家、ひいきの指揮者の新たな録音に出会えることでしょう。かつて中古CD屋を一軒一軒回って棚をほじくり返して探し回り、苦労して揃えた自慢のコレクションが検索一発でずらっと並ぶのには、一抹の寂しさを感じるのも、また事実ですが。
まずは、登録してお試しあれ。
SpotifyのWindows版にバグがある、という報道がありました。私、ウインタブもSpotifyのデスクトップ版アプリを使っていますが、特に不具合は発生していません。しかし、現在Spotifyのデスクトップ版アプリを使っている人は、お使いのバージョンを確認の上、「バージョン1.0.42.xxx」にアップデートしてください。
Mac/PC版Spotifyアプリにデータ爆書きバグ、ストレージの寿命を縮めるおそれ。修正版(v1.0.42)の適用を:engadget日本版
コメント
いつもwintabさん楽しく見させていただいてます。
spotifyに関して以下のような記事が出ています。
http://gigazine.net/news/20161111-spotify-write-junk-data/
参考までに。
こんにちは、コメントありがとうございました。記事に追記を入れておきました。情報ありがとうございます。
私もうえのコメントにあるギガジン?の記事を見てから利用をやめました。公式のアナウンスがあるまでは様子見かな。
こんにちは、コメントありがとうございます。記事に追記をしておきました。最新のバージョンではバグが修正されているとのことです。
タブ使ってる人は特に注意ですね、HDD入れ替えも楽ではないので
こんにちは、コメントありがとうございます。記事に追記をしておきました。最新版ではバグは修正されているようです。しかし、私もSpotifyは結構愛用してたんですが、全然何ともなかったなあ。どのくらいの発生率だったんだろうか?
最新バージョンの1.0.42で直ってるらしい
http://japanese.engadget.com/2016/11/11/mac-pc-spotify-v1-0-42/
こんにちは、コメントありがとうございます。記事に追記をしました。でも、発生率は高くなかったんでしょうね…。発生してたらマズイことになってたでしょうけど。
natsukiです。
げっ、このバグはまずいですね。
バージョン情報は、パソコン版の場合、
左上の「ヘルプ」>「Spotifyについて」で確認できます。
ネットに接続している状態で起動すれば、
基本的には自動でアップデートがされるはずですので
使っている方は、至急、アップデートを。
私の場合、「Spotifyをインストールしています」のメッセージと
プログレスバーが表示されました。
バージョンがバージョン「1.0.42.xxx」になっていればOKです。
1.yuituさん、4.匿名さん
情報提供ありがとうございます。
完全にここ2日の展開に取り残されてました。