
ウインタブでも記事内でちらほら触れていますが、PC市場で「RAMの価格が急騰、SSDやHDDの価格も上昇」しているのは皆さんお聞き及びかと思います (PC Watchに非常にわかりやすい記事がありました)。また、ついに、といいますか、PCメーカーでも価格改定を予告するところが出てきました (マウスコンピューターのプレスリリース)。パーツ市場でも動きがありました。メモリ・SSDブランド「Crucial」が、2026年2月をもってコンシューマー事業から撤退することを発表しました(Micronのニュースリリース)。特にCrucialの件ではAIサーバー向け需要への集中があり、個人向けPCパーツの供給が後回しにされている現状が浮き彫りになっていると感じます。

CrucialのXポスト
私はPCメーカー各社の原価計算方式を理解していないので、以下は推測となります。
HPやLenovoは超大手の完成品PCメーカーなので、おそらく在庫が厚く、現在販売中のPCの製造原価はまだ上がっていない可能性があります。一方、BTOメーカーは「注文を受けてから生産する」ので、手元のパーツ在庫が薄く、あるいは都度発注しており、パーツの調達価格が上がると製造原価に跳ね返りやすく、したがって「注文殺到」というBTO各社の言い分を信用するとしても、価格改定をする前に多くの受注を受けられない、という事情もあるのではないかと思います。
世の中的に「PCの価格は年明けから始まる」と言われていますし、マウスコンピューターのプレスリリースにも「価格改定を2026年1月以降、順次実施する予定」と明記されています。しかし、ウインタブが12月19日にLenovoのセール情報記事を執筆するためにノートPCの価格を調査したところ、セール価格が微妙に上昇しているように見え、特にGeForceなどdGPUを搭載するゲーミングノートはものによって20%以上の価格上昇となっていました。
Lenovoの「ホワイトクリスマスセール」は12月25日まで、HPの「年末大感謝祭セール
」も12月25日までです。この2社は常になにかセールをしているので、12月26日から新しいセールがスタートすると思います。また、ASUSの「年末年始セール」は12月19日から1月13日までの日程で開催中です。LenovoとHPについては、次のセールでの価格がどう変化するのかわからないですが、楽観はできないように思われます。…定価をいじらなければ、セール価格が上がっても値上げとは言わないですし。
最後に私見を述べます (正しい推測ではない可能性も高いです)。2026年春くらいまでにPCを購入する意向のある人はできるだけ早く購入しましょう。一方で2026年にPCの買い替えを予定していない人は「静観」でいいと思います。半導体の価格は「供給過多→価格下落→減産→価格上昇」を繰り返しており、現状はAI需要の高まりによる需要の急上昇によりDRAM価格が上昇しているわけで、これを踏まえた増産、あるいは需要の一服により価格が下落するであろうことはある意味半導体産業の宿命とも言えます。
問題は次の下落サイクルがいつ始まるか、ということですが、これはなんとも言えません。2026年の後半かもしれませんし2027年に入ってからかもしれませんし、2027年も高止まりするのかもしれません。ここはご自身で判断されるしかないですが、私としては「この価格相場がそこまで長くは続かない」と予想しており、2026年にPCを買い替える意向もないので、静観するつもりです。…あ、しまった、近日中にNAS ミニPCのレビューが予定されているので、HDDを買わなくちゃいけなかったんだ…。
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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コメント
事前の予測では自作は即座に大手PCは最速12月から、スマホは春からでしたっけ?
DELLやHPなど既に2、3割程度の値上げが始まったのでここまではそんな感じっぽいですね
設備増強から逆算した最も楽観的な予想は2年過ぎた辺りから徐々には説得力あるけど
逆の悲観的な方が全く読めずそうなると期間の振れ幅が予測できんのが痛いですね