
こんにちは、natsukiです。今年もあとわずかとなりましたが、恒例のお気に入りガジェットで本年を振り返ってみたいと思います。今年は、個人的な感覚として豊作の年で、ただ面白い、実用性が高いというだけでなく、新しいタイプのアイデア性の高い製品でありながら、日常的に使い倒して日々の活動の生産性に大きく寄与するようなものに多くめぐりあえた年であったと思います。
目次
1. Androidタブレットにおけるペン入力の世界を拓いた「XPPen Magicシリーズ」
ノート機能に特化した「XPPen Magic Note Pad」

今年の最注目製品は、文句なしにこれでしょう。ペンタブや液タブを主力商品とするメーカーであるXPPenが送り出す、液晶タブレットに匹敵する精度のペン性能を備えたAndroidタブレットです。ペン性能に注力したAndroidタブレットは、この1年間で、王者WACOMを含め、多くのメーカーから発売され、一躍注目のジャンルとなりましたが、その先鞭を付けたのが「XPPen Magic」シリーズだと言ってよいでしょう。
特に、10インチクラスの「XPPen Magic Note Pad」は、あえてイラスト性能ではなく「ノート機能」に特化したところに、他社類似製品と一線を画す特徴があります。構成面でのポイントは、おおざっぱに言うと、以下のような点です。
・縦持ちを前提とした造り
・背面カメラを廃止して、平置きしてもガタつかない
・ペンの本体への固定能力が高い
・専用ノートアプリ「XPPen Notes」を備える
実際に、デジタルノートとして、またプレゼン用などの端末として、高精度なペン機能とそれを十全に生かす構成は素晴らしく、仕事に研究に毎日フル活用しています。「新しい使用体験を与えてくれる」「高い実用性」「自分のニーズにピッタリ合う」と三拍子揃った、個人的には、ここ数年の中でも最大級に気に入った製品です。

最近になって専用キーボード「XPPen フォリオキーボード」も発売されました。製品コンセプトからは、必ずしも必要ではありませんが、あれば利用の幅を広げてくれることは間違いありません。
余談ですが、度重なるレビューで愚痴っていたXPPen Notes(J Notes)に「OCR文字認識」機能がないという件は、記事執筆現在、実装されました! ただ、現状、精度がイマイチで、印刷フォントはそれなりの精度で読んでくれるものの、手書きは全然ダメです。機能追加自体は果たしてくれているので、これからの向上に期待したいところです。







XPPen Magic Drawing Pad


「XPPen Magic Note Pad」よりも先に発売され、ペン入力特化型Androidタブレットの先駆けとなったのが、この12インチクラスの「XPPen Magic Drawing Pad」です。液晶タブレットに匹敵するペン入力精度を備え、これ1台でイラスト作成が完結するという、圧倒的な取り回しの良さが魅力の製品です。と、文にするとあっさりですが、これまで、日本ではGalaxy Tabを除けば、イラスト作成に十分耐えうるような高いペン入力性能を備えたAndroidタブレットはほとんど無く、実際の機能としてもイメージとしても、これはiPadに大きく遅れをとっていた部分でしょう。そこに切り込んできたのは、やはり革命的と言えると思います。アンチグレアディスプレイを採用して、あえてエンターテイメント機能を押さえて(動画視聴体験はグレアディスプレイの方が有利)、作業のしやすさやペンの摩擦にこだわるのも、iPadとの大きな差別化です。
このジャンルとしては先頭を切って2024年に発売した製品だけに、2024年発売版はAndroid OSのバージョンが「12」とやや古いなどの問題点がありましたが(これは、発売後に、主要イラストアプリのClipStudio PaintがAndroid 12への対応を切り上げると発表したため、かなり重要)、その後Android OSを「14」へバージョンアップするなどの細かい点を改善した2025年度版を発売しています。ウインタブでのレビュー記事は、改善版の2025年版の方です。購入する際は、間違いの無いよう気をつけてください。


このような「イラスト作成特化型Androidタブレット」は、XPPen Magic Drawing Padの発売後、各社から次々と同様のコンセプトの製品が発売されました。特に、WACOM MovinkPad 11の存在感は非常に大きいものでしょう。XPPen Magic Drawing Padの優位点としては、WACOMに次ぐか並ぶくらいにペン性能が高いこと(筆圧感知段階の数値はXPPenの方が上)、セール価格ではWACOM MovinkPad 11よりもひとまわり安くなることが多いこと、専用ケースへのペンの収納や別売のキーボードなど、取り回しの良さや周辺機器のユーザビリティで優れること、といった要素があるでしょう。
個人的に、ペン入力にこだわったタブレットには思い入れがあり、液タブをはじめ、ドスパラraytrektabシリーズやONYX BOOXシリーズなど、ウインタブでも多く記事を執筆してきたので、シンプルに、このXPPen Magicシリーズのペン性能の高さには感動を覚えます。






2. クラシックファンで1万円前後くらいまでのワイヤレスイヤホンなら「SOUNDPEATS」ブランドがお勧め


今年も、何種類かのワイヤレスイヤホンをレビューさせていただきました。さすがに、すでに市場が成熟しているだけに、どれも十分な品質を持ちます。選択のポイントは、細かい機能の違いと、そして音質の方向性が好みに合うかどうかというところでしょう。正直なところ、比較的有名ブランドのイヤホンなら、どれを買っても品質的にはハズレはまずありません。特に、音量差の少なくヴォーカル重視のポップスを聴くのであれば、音の作りにメーカーごとの個性はあれ、どれでも十分に楽しめるでしょう。
一方で、良くも悪くも、1万円クラスくらいまでのイヤホンは、需要の大きいポップスに合わせたチューニングをしてくるので、原音、特に生楽器の音色については必ずしも再現性が高いとは言えません。ただ、ポップスの場合は、実際のライブであっても音の電子加工をしないことはまず無いので、イヤホンごとの聴こえの違いは「個性」としてそれも楽しむ要素になります。ところが、クラシック音楽だと、やはりできるだけ現実の音色を再現してほしいものです。
その上で、これは完全に感覚的なものになりますが、私が聴いた限りで、クラシック音楽のような現実の音色再現にも正面から取り組んでくれているなと感じたのが、SOUNDPEATSのイヤホンでした。特に、SOUNDPEATS Air5 ProとSOUNDPEATS H3は、さすがはSOUNDPEATSの中でも上位製品だけあって、艶やかな響きを聴かせてくれます。SOUNDPEATSは、特に、クラシック音楽などの生楽器の音楽をよく聴く人にオススメしたいブランドです。






3. ストレージ特化型ミニPC「GMKtec NucBox G9」


GMKtec NucBox G9は、ストレージ拡張に特化したミニPCです。


なんとM.2 SSDスロットを4つも備え、さらに3つのUSB Type-Aポートはすべてデータ転送速度10Gbpsに対応します。製品コンセプト通り、NASのような使い方で活躍しています。
率直に言って、様々な利便性・安全性では、クラウドストレージの方が無難です。また、手軽さという面では、専用のNASの方がいいでしょう。では、ミニPCを共有ストレージとして使うメリットは何かというと、圧倒的な柔軟性にあります。実際のところ、私はこのGMKtec NucBox G9以前から共有ストレージ用としてミニPCを運用してきましたが、「家族の写真・動画」「仕事の資料」「趣味の資料」「ウインタブの記事作成」といった異なる性質のデータを別々に扱うのに非常に重宝しています。
まず、クラウドストレージに対する優位性は、やはりサイズの拡張が容易なところ。私の感覚的には、2TBくらいまでなら、クラウドストレージのサービスを契約するのが手軽かつ実用性でも優れていると思います。それ以上になってくると、費用や、またそれだけのサイズを運用するからにはいろいろとこだわりが出てくるので、NASやミニPCを検討する余地がでてくるのではないかと感じています。
では、NASに対する優位性はといえば、やはり色んな種類のストレージをごちゃ混ぜで付け足すことが可能で、またRAIDなどを個別に設定できるという拡張性です。実際、私の場合は、セールで安いときに買い足したSSDや、古いパソコンから引っこ抜いたHDDなどを混成で、さらに一部の重要データはRAIDを設定するといったゴテゴテの構成で運用しています。
デメリットとしては、ある程度は自分で管理する必要があること。最低限、リモートデスクトップを使えることや、バックアップ用に適切なソフトを探し出したりWindowsのタスクスケジューラをあれこれするくらいの知識は必要でしょう。また、自宅外からアクセスするには、一定の手間とセキュリティリスクが存在します。この辺を、めんどくさいと感じるか楽しいと感じるかというのは、あえてミニPCを共有ストレージとして使うかの分かれ目かもしれません。まあ、正直なところ、むしろ最大のメリットは、こういうあれこれといじくり回せる楽しさでしょうね。
脱線になりますが、最近、国内販売だけでなく、AliExpressでもストレージの高騰は甚だしく、今までセール時にちまちま買っておいてよかったなぁとほくそ笑んでいる次第です。



4. やはり出番は必ずある、デタッチャブル型Windowsタブレット「CHUWI Hi10 X1」


10インチクラスのデタッチャブル型Windowsタブレット、「CHUWI Hi10 X1」です。専用キーボード付きで、ポータブルノートパソコンとしても使えます。また、USB Type-A、映像出力能力を持つUSB Type-C、3.5mmオーディオジャック、microHDMIといったポート類を豊富に備えるのが特徴です。
かつて一世を風靡した10インチクラスのデタッチャブル型Windowsタブレットですが、いつの間にか淘汰されてSurface Goシリーズなど、ごくわずかが生き残っているだけになってしまいました。低価格帯としては(後継機「CHUWI Hi10 X2」がキーボード込みでほぼ4万円)もはやほとんど唯一と言ってよいでしょう。
レビュー記事を見ていただくと分かるように、現行水準ではお粗末と言わざるを得ないディスプレイとスピーカー、クセのある充電、ペンはデジタイザではなく実質タッチペンといった、「お値段なり」の部分も多く抱える製品です。一方で、オフィスワーク能力は十分にあります。残念部分は、ある程度工夫で補える部分もあるので、その辺は下記の関連記事もご覧下さい。
結局のところ、Androidのオフィス機能がいかに進化したとはいえ、それでも、多数のファイルを整理したり、または複数のファイルをまとめながら資料を作成したり、打ち合わせをしながら資料をリアルタイムで修正したり、映像を有線で外部出力したり、変換アダプター無しでレガシーなUSB Type-A機器につないだり、何より一太郎を使ったり一太郎を使ったり一太郎を使ったりは、やはりWindowsじゃないとどうしようもないものです。
と、いうわけで、職場からiPadを支給され、XPPen Magic Note Padを毎日フル活用しながらも、出張やデスクを離れての作業や打ち合わせでの資料作成・修正などなど、なんやかんやでそれなりに出番があり、活躍しています。やっぱり、モバイルできるWindowsマシンって、それだけで便利だということを現在進行形で証明し続けている機種です。






5. やっぱり楽しいAliExpress


ガジェットではありませんが、今年も大いに楽しませてもらった通販サイトが、AliExpressです。色々とカオスな通販サイトで、万人にお勧めはできませんが、ここでしかない「出会い」が膨大にある、非常に魅力的な通販サイトです。利用にあたっては、自己責任のリスク管理や、トラブル時の適切な対応が求められる部分もありますが、サイト全体のサービス品質は日々向上しています。
安さもさることながら、ナンダコレハ!?というような発見から、複雑怪奇な割引を組み合わせて最安値を狙う作業、あるいはリスク管理そのものまで含めて、買い物をする体験そのものを楽しむサイトとも言えます。うーん、やめられない(笑)





6. 実用性の高い小物ガジェット
この1年間で購入した比較的安価な小物ガジェットで、特に実用性が高くヘビーユースしているものを並べてます。
磁気スイッチキーボード「FreeWolf F68 Pro」


68キーサイズの、磁気スイッチキーボード「FreeWolf F68 Pro」です。私は、あまりハードなゲームはやらないので、正直なところ、磁気スイッチの特徴である反応速度やアクチュエーションポイントの調整はどうでもよかったりします。それでも、大量の文章を打つときに、軽量でスムーズな打鍵感は快適。十分なストロークがありつつも、メカニカルキーボードの赤軸より軽いので、タイピングがはかどります。磁気スイッチキーボードは、国内販売だとまだまだ高価ですが、AliExpressならば、大型セール時に10,000円以内で十分に狙える製品があります。まあ、英字配列であることは許容しなくてはなりませんが。軽量なタイプ感を追求したい人には、ゲーマーでなくてもお勧めです。


また、私は、このキーボードが68キーサイズデビューなのですが、自宅では、コンバーチブル型パソコンをデスクトップのようにして外付けキーボードで運用する、という使い方をしてるため、省スペースな取り回しの良さもGood! たちまち、自宅でのメインキーボードとなりました。



文句なしに便利、USBメモリサイズのSSD


USBメモリって、まだ使うんですよね。しかも、世の中のコンテンツはどんどん大容量化している。そんなときに便利なのが、USBメモリサイズのSSDです。私が使用しているのは「MOVESPEED」ブランドの、容量1TBのものです。特にブランドによる機能性の違いはないと思いますが、大容量のデータも気にせずぶち込めるので、ともかく便利です。



ノートパソコンのキーボードの上に別のキーボードを置ける「タイプスティックス」


こちらは、職場で使っています。キーボードにこだわり出すと、ノートパソコンのキーボードでは仕事がはかどらないんですよね。そこで、ノートパソコンのキーボードの上に別の外付けキーボードを載っけてしまおう、という発想は昔からありますが、この「タイプスティックス」は、非常にコンパクトにそれを実現できるアイデア商品です。ノートパソコンに外付けキーボード、というスタイルの人は、持っていて損はないと言える製品です。



「インナーオーガナイザー」


「インナーオーガナイザー」とか「バッグインバッグ」とか、色々な名称があるようですが、要するに、雑にカバンの中に突っ込んでおける多機能小物入れです。同様のものは、様々な種類があり、例によってAliExpressだと非常に安く買えるので、何種類か買って試している中で、もっとも扱いやすく多用しているのが写真のタイプです。やや小ぶりのサイズ感で、ご覧のように、ペンと小物を入れるポケットが付いています。
AmazonでもAliExpressでも、非常に多くの種類が販売されているので、各自のニーズによって、サイズや収納の組み合わせが合うものを使うとよいでしょう。ともかく、こまごまとしたガジェットを持ち歩くのに非常に便利で、使い出すと手放せません。
オーソドックスに便利な高速スクロールマウス「UGREEN M751」


AliExpressで購入したUGREENの高速スクロールホイール付きマウスです。高速スクロールホイールの中でも、ボタンで速度を切り替えるのではなく、指の勢いでコントロールするタイプです。このタイプはながらくロジクールの専売特許だったんですが、このUGREEN M751は、数千円程度の安価な製品でありながら、この機構を実現しています。私は、ロジクールの看板製品MX MASTER 3Sと、廉価版高速スクロールホイール搭載のM550の両方を持っていますが、UGREEN M751の使用感は、さすがにMX MASTER 3Sには及ばないものの、M550には十分匹敵するものです。また、やや堅めなものの、サイドホイールを備えるのも特徴です。
傾斜した形状のため、握り心地は非常に良好です。USB無線ドングルとBluetoothのマルチペアリングにも対応。一方で、乾電池駆動なのが個人的には残念なところ。ただ、単3電池1本でも2本でも動くという、不思議な構造をしています。2本入れるとかなり重くなるので、製品として意図したことかは謎ですが、結果的に一部のゲーミングマウスのように「重量調整ができる」ということが可能となっています。
総合的に言って、数千円という価格からすると、オーソドックスに非常に使いやすいマウスです。
もはや国際大手と言ってよいUGREENの製品のはずなんですが、なぜか日本では正式販売されておらず、Amazonなどでは、おそらくOEMの同等品と思われる製品が別ブランドで販売されてます。これらは本当に同等品かの確証はないので、購入は自己責任でお願いします。



ネタ的に面白いだけでなく実用性もちゃんとある超多機能エルゴノミクスマウス「JOMAA XM7」


こちらもAliExpressで購入した、無駄に多機能なエルゴノミクスマウス「JOMAA XM7」です。ともかく、機能モリモリ。
基本的なハードとして、
・エルゴノミクス形状
・光る!
・高速スクロールホイール(ボタン切り替え式)搭載
・USB無線ドングルとBluetoothのマルチペアリング
・DPI調整
・「進む/戻る」ボタン搭載
を備え、これだけでも「全部入り」なのに加え、ダイヤル切り替えによって
・Zoom in/out:ダイヤル操作による拡大/縮小。
・Left/Right:いわゆるサイドホイールと同じ。表計算や画像処理で活躍。
・For/Backward:進む/戻る。
・Alt+Tab:ウィンドウ切り替え。
・Desktop:すべてのウィンドウを最小化してデスクトップ画面に。
・Language:英語/中国語切り替えのみ対応?
・Volume:音量操作。
・Page up/down:上下スクロール。マウスホイールと同じ。
・Brightness:明るさ調整。
・Screenshot:スクリーンショット。機能しない?
と、さらに10個もの機能を追加で提供します。なんかうまく機能しなかったり、機能が被ったりしているものもあるのはご愛敬。
笑えるネタ枠の製品ですが、エルゴノミクスマウスとして普通に便利に使えます。



7.まとめ
やはり、今年のガジェット界隈で最も印象に残っているのは、Androidタブレットにペン入力の波が押し寄せてきたことです。世の中のICT化やAIの活用が進むのは当然ながら、往々にしてそれらはスマホやタブレット、あるいはパソコンの中といったバーチャルな中だけで完結して語られることが多いように感じています。個人的には、ペン入力のような「リアルとバーチャルをつなぐ技術」こそ、もっと注目を浴びてよいと思っていますし、また興味から言っても心躍る分野です。そういう意味で、アイデア商品にあふれるAliExpressでの買い物も、やはりやめられません。スマホもパソコンも、スペック的には煮詰まり、また価格の高騰が見込まれる中で、来年も、数値のスペックだけでないアイデア性に富んだ製品に出会えればと願っています。


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