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タブレットや2 in 1に使われているCPUのベンチマークスコアをまとめてみた

タブレットや2 in 1のCPUをチェック
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。Intel Atom CPUも新世代のCherryTrailが登場していますが、最近になってCherryTrail搭載のタブレットや2 in 1が少しづつ増えてきました。一方旧世代(というと怒られますが、便宜的に使っています)のBayTrailを搭載した製品もまだまだ健在、ということで、これから購入を検討している人には悩みのタネになっているんじゃないでしょうか?私もCherryTrail搭載の製品はまだ試用した経験がなく、したがって偉そうなことは書けずにいます。そこで、この記事ではWeb上に公開されている情報を元に、タブレットや2 in 1に搭載されているCPUについて比較してみたいと思います。

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なお、この記事はCPUにフォーカスした内容となっており、それを搭載しているタブレットやPCについてほとんど言及していませんが、本来PCの性能はCPUだけで決まるものではなく、CPUを搭載している製品のすべてのパーツが影響して決定されるものです。したがって、この記事で示している数値は完全にニュートラルなものとは言えません。しかし、考え方の参考にはなるものと信じております。この点、あらかじめご了承下さい。

1.まずはPASSMARK

PASSMARK社Webサイト
最初に無料でベンチマークスコアの統計情報を提供してくれている「PASSMARK」のスコアで比較してみます。

開発コード CherryTrail:
 Atom X7-Z8700:(ThinkPad 10、Surface 3など) 1,992
 Atom X5-Z8500:(TransBook T100HAなど) データなし
 Atom X5-Z8300: データなし

開発コード BayTrail:
 Atom Z3795:(ThinkPad8、TransBook T100TAMなど) 1,684
 Atom Z3775:(TransBook T100Chiなど) 1,328
 Atom Z3745:(Lenovo Yoga Tabletなど) 1,118
 Atom Z3740:(2013-14モデルの8インチタブレット) 1,068
 Atom Z3736F:(NEC LAVIE Tab W TW708など) 943
 Atom Z3735F:(2015モデルの多くのタブレット) 918
 Atom Z3735G:(RAM1GBのタブレット) 936

開発コード Braswell:
 Celeron N3050:(Aspire R11、Pavilion x360など) 809

開発コード BayTrail:
 Celeron N2940:(低中位のモバイルノートPC) 1,812
 Celeron N2840:(Lenovo FLEX 3など) 1,070

参考:
 AMD A4 Micro-6400T: 1,576

※2015年月18日現在のPASSMARK公表値。数字が大きい方が高性能。

こんな感じです。PASSMARKのベンチマークテストは総合的な内容になっています。残念ながらPASSMARKではAtom X5シリーズのスコアはありませんでしたが、なんとなく雰囲気はわかりますね。CherryTrailは確かに高いスコアが出せていますが、BayTrailの上位機(Atom Z3795やCeleron N2940など)と比較して極端な差にはなっていません。ただし、2015年モデルのWindowsタブレットに最も多く使われているAtom Z3735F、3736Fあたりとの比較ではダブルスコアになっています。

次にCeleronの各モデルについて簡単に補足します。Celeronのこれらの型番は、ウインタブでも記事にしている「キーボード非分離型、ディスプレイ360度可動型の2 in 1」に搭載されていることが多いので掲載しています。Celeronといっても開発コード名はAtomと同じBayTrailなので、内部的な構造は近いものがあります。ただし、N3050だけはBraswellと呼ばれる、より新しい設計になっていて、省電力性が高まり、グラフィック性能も向上している、というふれこみになっています。

結果、N3050は期待はずれな数値になってしまいました。このデータを見て、Web上のあちこちをチェックしてみたのですが、総じてN3050の性能はやや低めである、という評価になっていて、PASSMARKのデータには信ぴょう性があるものと思われます。私はてっきり「N2840とかN2850よりもN3050のほうが性能は上でしょ」と思いこんでいたのですが、少なくとも処理速度という点ではそうはなっていないので注意が必要ですね。

2.PASSMARKスコアに対する感想

PASSMARKのスコアに関し、あくまでも個人的なものですが、感想を書きます。私はウインタブの企画で、これまで数多くのタブレットやノートPCの試用をしてきました。個人としてはAtom Z3795と64ビットOS、4GBのRAMを搭載するThinkPad 8を所有していますし、Atom Z3735GにRAM1GBの8インチタブレットの試用経験もあります。

その経験を踏まえて言うと、PASSMARKのスコアで2倍の開きがあっても、それはタブレットとしての日常利用に大きな差として感じられるものではありません。PASSMARKのスコアがおかしいと言っているのではありません。タブレットを快適に使うためにはWindowsストアアプリとうまく付き合っていくことが重要ですが、おそらくストアアプリは低スペックのマシンでもちゃんと動く、ということを前提にしていると思われ、ThinkPad 8だと快適に動き、RAM1GBのタブレットだとまともに動かない、という経験をほとんどしたことがありません。

ExcelなどのMicrosoft Officeファミリーのソフトウェア(Accessは試したことがありませんが)に関しても同様のことがいえます。Officeというソフトウェアは私たちが想像している以上に軽いソフトウェアです。もちろんVBAで複雑な処理をする場合はこの限りではありませんが、一般的なサラリーマンが作成する文書や表計算ファイルであればAtom Z3735FだろうとZ3795だろうと、まったく差は感じません。もちろんいい意味です。

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おそらく、より「パソコン的」な重いソフトを使って重い処理をすればPASSMARKのスコアに意味が出てくると思います。「ああ、ThinkPadにしといてよかった!」と思えるかもしれません。しかし、私はタブレットの利用でそれを体感したことはないし、この先いつそういう機会が訪れるのか予想がつきません。

言いたいのは、PASSMARKのスコアは信用できるけど、タブレットとして使う場合には低スコアだから即「使いものにならない」という考え方はしないほうがいいよ、ってことです。

3.じゃゲームは?

ドラクエベンチの結果
無料でデータを提供してくれているPASSMARKに文句などありませんが、これまでウインタブがやってきた実機レビューのデータと比較してみると、ちょっと納得がいかない部分もあります。私が実機レビューで使用してきたのは「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト(ドラクエベンチ)」なのですが、IntelのCPUはIntel HD GraphicsというGPUを内蔵しているため、性能のチェックには役立つと思っています。これによると、

AMD A4 Micro-6400T: 2,106
Atom Z3795: 1,086
Atom Z3775D: 1,097
Atom Z3745D: 1,199
Atom Z3740: 993
Atom Z3735F: 944~1,101
Atom Z3735G: 951
Celeron N2840:1,018

となっています。誤解のないように補足します。このデータとPASSMARKのデータは、似たような数字に見えますが全く異なるテストのスコアなので、それぞれのデータ間に相関性はありません。私がドラクエベンチをタブレットやノートPCの実機レビューで何度も繰り返し実施した中で感じたことは、「ゲームで遊ぶんならCPUよりGPU、Atomの型番はあまり影響しない」ということです。愛用しているThinkPad 8(Z3795搭載)のスコアがZ3735F搭載のタブレットよりも低かった時の落胆は大きいものがありましたよ…。

それともう一つ、AMDのA4のスコアがあります。これはタブレットのデータではなく、HPのノートPCでテストしたものなのですが、Atomの2倍のスコアになっています。一方PASSMARKのデータでは1,596となっていて、ほとんどのAtomより高いスコアではあるものの、それほど顕著な差にはなっていません。

PASSMARKのデータは総合的なベンチマークテストの結果であり、ドラクエベンチは特定のゲームを快適に遊べるかどうかのテスト、つまりグラフィック性能に大きなウエイトを置いたものである、ということが言えます。AMDのA4は「APU」と呼ばれるCPUとGPUを統合したアーキテクチャであり、グラフィック性能がAtomよりも明らかに高い、ということは言えるでしょう。

また、グラフィックということに特化した場合、Atomの型番間の性能差はPASSMARKのベンチマークスコアから明らかになったはずの性能差とはほとんど関係なく、五十歩百歩である、ということができます。

じゃあCherryTrailってどうなの?ということになりますが、これを検証するためには「ドラクエベンチのスコアを掲載しているサイトを探す」ということで解決するはず。で、見つけました。
マイクロソフトの4G LTE内蔵Windows 8.1タブレット「Surface 3」の性能をベンチマークで試す!3Dゲームは快適か?!【レビュー】:S-MAX

こちらのサイトの情報によれば、Surface 3(Atom X7-Z8700搭載)のドラクエベンチのスコアは2,374です。「標準品質、1,280 × 720、ウインドウ」という設定条件もウインタブの実機レビューと同一条件です。見事にBayTrail世代のAtomに対し、圧倒的な差をつけていますね。Web上でのCherryTrailの評価は「特にグラフィック性能が大幅に改善している」というものが多いのですが、それを実証した結果と言えます。

ただし、オンラインゲームを本格的に遊ぶ、ということだとCherryTrailでも厳しいものがあります。CherryTrailどころか、Core iシリーズのCPUであっても外付けのGPU(NVIDIA GeForceなど)がないとまともに動かないものもありますから。ドラクエXくらいなら解像度を落としてそこそこの動きは期待できるかもしれませんが、本格的な遊び方はできないと思って下さい。

4.この記事の結論

CherryTrailを急ぐ必要は?
せっかく高性能なCPUを搭載したタブレットを購入するなら、ハッキリと体感できるくらいのスピードを期待してしまいますよね。実際、ゲーミングノートなどではCPUとGPUの差は大きな体感差をもたらします。しかし、タブレットの場合、サイズの制約があり、例え処理可能なタスクであっても操作する人間の側でやる気がしない、ということも多いです。精密な画像加工を8インチのタブレットで完結する気にはならないでしょう。また数万行、数万列のデータ量をタブレットで加工する気も起きないはずです。そう考えると、タブレットの性能はむしろサイズにボトルネックがあり、CPUとかGPUの差は実用上大きな問題にはなりにくい、とも言えそうです。

期待のCherryTrail、PASSMARKでもドラクエベンチでもBayTrailに対してしっかり差をつけています。特にドラクエベンチでは圧倒的な差になっており、グラフィック系の処理が大きくパワー・アップしたことがわかりますね。その意味では余分にお金を出したり、製品が出そろうまでの間、もう少し待つ、という選択肢はあってよさそうです。ただ、個人的な意見としては、Windowsタブレットでストアアプリやブラウザーをメインに使い、たまにExcelとかWord、というくらいの利用環境だと、BayTrailでも大丈夫だし、型落ちして安くなったところを狙う、みたいなのも賢いとは思いますね。

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コメント

  1. トシ より:

    Braswellの名誉挽回のために補足
    Braswell TDP 6w CherryTrail同様GPU強化など
    BayTrail-M TDP 7.5w
    Braswellは処理能力ではなく省エネ寄りに調整されているみたいですね

    あとBayTrail-Tの内臓GPUは
    Z37x5系 ベースクロック300ちょい バーストクロック700後半
    Z3735系,Z37x0系 ベースクロック300ちょい バーストクロック600中後半
    だから大体ベンチマークと一致しますね
    Z3795はZ3745,Z3775とクロック数同じですよ

    個人的意見としてはCherryTrailの利点はメモリ帯域幅が1.5倍になったことかな
    BayTrail-Tはここがボトルネックっぽかったから

    • wintab より:

      トシさん、こんにちは、コメントありがとうございます。省エネとはいえ、Braswellの処理速度はベンチマークスコアがかなり悪く、私のように「型番が新しい方が高性能」という先入観を持ちがちな一般ユーザーの方にはちょっと問題がありそうな気がします。ベンチマークスコアだけで性能を語るわけには行かないんでしょうが、CherryTrailでドラクエベンチを早くやってみたい、と思います。トシさんはCPUの性能の根拠(素因数分解というべきか)をよく分かっておられます。いただいたコメント(ベースクロック、バーストクロックなど)をもとに勉強したいと思います。

  2. 中華タブ より:

    ういーーっす。いま、HI10のz8300でドラクエベンチやってみましたよ。条件は同じでスコアは1709でした。パスマークは更新されていて1193となっていましたね。
    最新CPUを狙って待った甲斐がありましたよ。タブが早く欲しくて3735Fを買っていたら後々、後悔していたと思います。

    • wintab より:

      中華タブさん、こんにちは、コメントありがとうございます。私は記事にも書いたんですが、どちらかというと3735F擁護派なんです。ドラクエやらないし…というのが大きな理由かもしれません。

  3. 中華タブ より:

    そんなこと言っちゃダメですよ(笑)グラフィック性能は間違いなくアップしているんですから。
    私もドラクエなんかやりませんがグラフィックの性能が知りたくてインストールしただけですよ。例えウィンタブさんがドラクエやらなくてもそれを公に言っちゃだめじゃないですか(笑)

    それに現時点では実用上差が感じられなくてもソフト側が進化して負荷が増えれば性能の低いものから淘汰されていくのは道理なので。
    もちろんウィンタブさんはそんなこと分かっていると思いますので費用対効果を比べて3735で十分だということなんでしょうね。
    このへんは個人の価値観や状況によって変わってくるのでどちらが正しいとかはないのですが私の場合、タブレットを今まで持っていなかったのでどうせなら最新のcpuを積んだものにしたいと思った次第です。

    話は変わりますがウィンタブさんは趣味でタブレットをいくつも買っているのですか?それともタブレットを紹介してその広告収入得て商売しているのですか?
    それに対する不満はありません。素朴な疑問です。

    • wintab より:

      中華タブさん、こんにちは、コメントありがとうございます。大変申し訳ありませんが、もうひとつのコメントの方は非表示とさせていただきました。ご了承下さい。私の職業は個人事業主で、タブレットは大好きです。