こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。2013年後半からWindows タブレットの躍進がスタートしたわけですが、考えてみればそれからもう2年以上が経過しています。2年といえばガジェットにはかなり長期間なわけで、Windows タブレットの普及を牽引してきた8インチタブレットはこのところ元気がありません。かわりに勢いを増しているのは10インチ以上のキーボードつきの製品で、2015年後半からはMicrosoft Surfaceシリーズを軸とした12インチ程度のCore mやCore iをCPUにした製品です。タブレットとノートPCのジャンルが融合されつつある、という感じがしますね。
8インチのWindows タブレットというのは現在多くのメーカーで取り扱いをしていますが、選択肢が多そうに見えて実はそんなに多くありません。ただし、「用途と予算をある程度決める」前提ですけどね。
目次
1.利用シーンの中心は「コンテンツ消費型」
Windows タブレットは8インチ以外にもあります。7インチ、9インチ、10インチ…、それより大きいサイズもあります。OSがWindowsである以上、タブレットといえども「パソコン」なので、マウスとキーボードを接続すれば小さい画面ではあってもちゃんとパソコンとして機能します。なのでWindows タブレットという製品はiPadやAndroidタブレットと同様の使い方もできるしパソコンとしても使えるという、「2つの顔」を持っています。
タブレットとしてバッグに入れて持ち歩き、情報収集とか息抜きに使う場合は小型で軽量であることが望ましいし、シビアな性能要求というのもありません。一方パソコンとして使う場合はできるだけ画面サイズが大きいほうがいいし、処理性能が高いほうがストレスになりません。要するに「タブレットとパソコン、どっちの顔をメインに使うか」という判断によって求める製品の特性が正反対になってしまう、という問題があります。
好きなサイズを選べるのにあえて8インチ(あるいは7インチ)を選ぶ人は「いざというときにパソコンとしても使えるけど、普段はタブレットとして使いたい」ということですよね。「パソコンとタブレットの利用比率が半々」とか「毎日Excelで作業する必要がある」という人は8インチにすべきではないでしょう。どう考えても10インチクラスのほうが使いやすいです。10インチクラスになるとキーボードが普通に付属していたり、メーカー純正のキーボードが用意されていますし。
2.予算はある、ハイスペックなのがほしい
コンテンツ消費型メインとはいえ、性能は高いほうが快適なのは間違いないし、PCとして使うときのためにできるだけ高いスペックの製品がほしい、という場合の製品の選択肢はひとつしかありません。
DELL Venue 8 Pro 5000
OS: Windows 10 Home 64ビット
CPU: Intel Atom x5-Z8500
RAM: 2GB / 4GB
ストレージ: 32GB / 64GB
ディスプレイ: 8インチIPS(1,280 × 800)/(1,920 x 1,200)※10点マルチタッチ
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n/ac 、Bluetooth 4.1
カメラ: イン2MP / アウト5MP
入出力: USB 3.0 Type-C、オーディオ、microSD
バッテリー: 19.5WHr
サイズ: 216 x 130 x 9.45 mm / 重量 377.1 g~
8インチで「価格に目をつぶってスペックにこだわる」なら、選択肢はこの製品だけです。現在日本で市販されている8インチWindows タブレットで「64ビットOS、CherryTrail世代のAtom、RAM4GB」という構成が選べるのはこれしかないからです。またディスプレイ解像度も1,920 × 1,200を選べますしUSBも3.0でType-Cポートです。まさに8インチとして望みうる最高のスペックとなります。でも価格も8インチとしては最も高く、最上位構成の場合は税抜き52,980円(税込み57,218円)で一般的な8インチタブレットなら2台ぶん以上です。
また、この製品は法人向けなので、法人として購入するか個人事業主として購入する必要があります。個人としてなら個人事業主ということになりますが、サラリーマンが個人事業主を名乗ることは違法ではありませんし、何か書類の提出を求められる、ということもありませんので念のため。
紹介記事:DELL Venue 8 Pro 5000 - めっちゃ待ってた!待望のCherryTrail搭載8インチタブレット
3.最新のスペックを手に入れたい
8インチのWindows タブレットに搭載されているCPUは「Intel Atom」です。私が知る限り例外はありません(10インチサイズではBungBungame Photon 2というAMD製のCPUを搭載している機種があります)。このAtomですが、昨年から新しい世代、開発コードネームが「CherryTrail」というものが登場し始めています。一方でひとつ前の世代、開発コードネーム「BayTrail」の製品もまだまだ現役ですし、はっきり言って8インチタブレットのほとんどは依然としてBayTrailのままです。
CherryTrailとBayTrailの性能差について、ウインタブのテストではオンラインゲームのベンチマークテストのスコアが1.5倍以上違うことを確認しています。しかし、1.5倍以上CherryTrailのスコアが高いとしても、それをもって快適にオンラインゲームが遊べるということではありません。CherryTrailであってもオンラインゲームを遊ぶには厳しいという状況に変わりはなく、そういう用途ならAtom機を選ぶべきではないでしょう。
数値が示している通りグラフィック処理性能が格段に向上していることは間違いないのですが、実際の利用シーンで性能差をどこまで体感できるか、ということについては少々疑問があります。私はCherryTrail機とBayTrail機を併用していますが、日常の利用において性能差を体感したことはほとんどありません。この記事において、個人的な意見ながらこのことははっきり言っておきます。
しかし、そうはいってもしょせんウインタブの普段使いでの話であって、せっかく最新世代のCPUを搭載している製品があるんだったらそっちがほしい、というのも当たり前の考えでしょう。どうしても「うな重」を食べたくて専門店に行ったら「松5,000円、竹3,500円、梅2,500円」で、ウインタブが梅で十分だと言ってたから梅にしたんだけど、食べ終わってから「どうせめったに食べられないんだから竹か松にしとけばよかった」と後悔するような感じになるかもしれません。普通の人ならいちどタブレットを買ってしまえば何年かはそれを使うことになるので、限られた予算内でできるだけ最新のスペックを手に入れておきたい、というのが人情というものです。
そうなると選択肢は上に紹介した「Venue 8 Pro 5000」のほかに、あとひとつだけです。
マウスコンピューター WN802
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom x5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 8インチIPS(1,280 × 800)※マルチタッチ
ネットワーク: 802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
カメラ: イン/アウトとも192万画素
入出力: microUSB、microHDMI、オーディオ、microSD
バッテリー稼働時間: 約5.2時間
サイズ: 210 x 121.5 x 9 mm / 重量 314 g
※Office MobileプラスOffice 365サービス(1年間)が付属
日本で買えるCherryTrail搭載の8インチタブレットはVenue 8 Pro 5000以外ではこれしかありません。OSは32ビットですしRAMも2GB、CherryTrailの型番もZ8300なのでVenueよりもワンランク下になります。しかし価格のほうもかなり割安になっていて、税抜き25,980円(税込み28,058円)です。また、スペック表上は一般的な8インチタブレットのCPUのみを換装したように見えますが筐体も新しいものに変更されており、かなり小型軽量化が進んでいます。設計が新しい、というのもこの製品の魅力だといえるでしょう。
紹介記事:マウスコンピューター WN802 - 8インチCherryTrailタブレット、日本初登場!
4.気軽にコンテンツを楽しみたい
次に、8インチタブレットらしくスペックを要求せず、割安な価格で気軽にコンテンツを楽しみたい、という人向けの製品です。そういうことなら選択肢は非常にたくさんありますが、実売2万円以下のおすすめ品、というとこんな感じです。
旭エレクトロニクス SG080i
OS: Windows 10 Home 32ビット
CPU: Intel Atom Z3735F
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 8インチIPS(1,920 x 1,200)※5点マルチタッチ
ネットワーク: 802.11 a/b/g/n 、Bluetooth 4.0
カメラ: イン2MP/アウト5MP
入出力: microUSB、microHDMI、オーディオ、microSD
バッテリー稼働時間: 4~5時間(動画再生の場合)
サイズ: 213.6 x 123.5 x 8.3 mm / 重量 360 g
ビックカメラグループ独占販売の「インテルはいってるタブレット」です。CPUこそBayTrail世代のAtom Z3735Fですがストレージは64GBあり、ディスプレイ解像度も1,920 × 1,200と高精細になっています。またカメラもアウトカメラ500万画素と健闘しています(ただしそれでもスナップ写真用に満足のいくレベルとはならないでしょう)。この製品はウインタブのコメント欄で不具合報告が出ていますが、価格が税抜き17,800円(税込み19,224円、ポイント10%つき)なので、かなりお買い得になっています。特に高精細なディスプレイは魅力ですしストレージ64GBというのはPC知識がない人でも無理なく使える容量(容量が小さいと空き容量の管理が大変ですし、Windows updateなどに支障があります)だと思います。
紹介記事:旭エレクトロニクス SG080i - ビックカメラグループ独占販売の8インチタブレット
富士通 ARROWS Tab Q335/K
OS: Windows 8.1 with Bing 32ビット
CPU: Intel Atom Z3735F
RAM: 2GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 8インチIPS(1,280 x 800)※マルチタッチ
ネットワーク: 802.11 b/g/n 、Bluetooth 4.0
カメラ: イン2MP/アウト5MP
入出力: microUSB、オーディオ、microSD
バッテリー稼働時間: 10.5時間
サイズ: 215 x 126 x 10 mm / 重量 390 g
この製品はOSがWindows 8.1のままになっているので、アップグレード(7月29日までは無償)が必要になります。またCPUはBayTrail世代のAtomですしディスプレイ解像度も「並み」です。しかしストレージが64GBあるのと、何よりも富士通製である、というのが大きいです。なぜこの製品をあえて記事にしているかというと、NTT-Xストアで税込み19,800円という富士通とは思えない価格で販売されているからです。この製品は法人向けモデルのため、個人向けのソフトウェアなどは付属しませんが、大手メーカー製らしく筐体の品質も非常に高く、しっかりサポートも受けられるので安心して長く使うことができると思います。
NTT-X製品ページ:FUJITSU ARROWS Tab Q335/K
5.とにかく安く!
最後に「価格コンシャス」な製品を紹介します。ただ、個別に説明しますがPC初心者の方にはおすすめできない理由もあります。
geanee WDP-072-1G16G-BT
OS: Windows 8.1 with Bing 32ビット
CPU: Intel Atom Z3735G
RAM: 1GB
ストレージ: 16GB
ディスプレイ: 7インチIPS(1,024×600)※マルチタッチ
ネットワーク: 802.11 b/g/n 、Bluetooth 4.0
カメラ: イン126万画素/アウト500万画素
入出力: microUSB、Mini HDMI、オーディオ、microSD
バッテリー稼働時間: 2.5時間
サイズ: 189 x 108 x 10 mm / 重量 274 g
この製品は「7インチ」です。NTT-Xストアでなんと税込み7,980円で販売されています。7インチとはいえフル規格のWindows 8.1を搭載しており、パソコンとして使うことも可能です。ただし、RAMは1GBなのであんまり無理はさせられない、というかたくさんのアプリを同時に動かしたり、ブラウザー(特にPCとしてChromeなどを使う場合)で非常に多くのタブを開いたりすると挙動が不安定になります。
それとストレージ16GBというのは初心者には少し厄介です。この容量だとOSがストレージの大部分を占有してしまうので、個人データを内蔵ストレージに保存するのが難しいです。Windows 10にアップグレード(7月29日までは無償)すればアプリも含めほとんどのデータを外部(microSDカード)に保存できるようになりますが、そもそもアップグレードでつまづいてしまう人もいます。基本的にはアップグレードのためにmicroSDを用意し、画面の指示通りに進めていけば問題ないはずなのですが、うまくいかなかった、という報告もいくつかいただいていて、PC初心者の人はある程度腕に覚えのある人にサポートしてもらったほうがいいと思われます。
また、バッテリーの稼働時間も「2.5時間」なので頻繁に持ち歩く人はモバイルバッテリーが必須になるでしょう。7インチというのはタブレットとして使うには非常に便利で快適なサイズなのですが、OSのアップグレードが少し心配なのと、microSDとモバイルバッテリーくらいは用意しておかないとマズいかな、と思います。
NTT-X製品ページ:geanee 7インチ タブレット WDP-072-1G16G-BT
中国タブレット
OS: Windows 10
CPU: Intel Atom x5-Z8300
RAM: 2GB
ストレージ: 32GB
ディスプレイ: 8インチIPS(1,280 × 800)
カメラ: イン30万画素/アウト200万画素
入出力: microUSB、microSD、microHDMI、ヘッドフォンジャック
サイズ: 約208 × 122 × 10 mm、重量327 g
※参考として「Teclast X80 Plus」について掲載
最後に「中国タブレット」という選択肢について説明します。日本で市販されているタブレットの多くは中国製なのですが、日本のメーカー製品として販売されていて、しっかりメーカー保証も受けられますので、どこ製か、ということを気にする必要はありません。ここでいう「中国タブレット」とは日本のメーカーと関係のない「並行輸入品」のことです。これらの製品は「1万円そこそこでCherryTrail」という信じられないコストパフォーマンスなので、最近急激に注目を浴びているのですが、当然リスクも抱えています。
まず、電波法に定められている「技適マーク」がありません。技適マークがない製品で無線通信(普通のネット接続もそうです)を行うと違法になります。私はタブレットでの摘発例を聞いたことがありませんし、もし厳格に取り締まるのであれば日本に端末を持ち込んでWi-Fi接続をした外国人観光客は軒並み摘発、外国人用に無料Wi-Fiスポットを設けている自治体は直接違法にはならないんでしょうけど、行政機関として道義的な責任を問われるべき話です。しかし「技適マークのない端末で無線通信を行うのは違法」ということは事実です。
また、中国タブレットは品質の歩留まりが悪い、というか故障しやすい傾向にあります。もちろんすべてそう、とは言いませんが、私自身も経験していますし読者の方々からも多くの情報をいただいています。故障は許すとしても、今度は修理に障害があります。並行輸入品ですから。日本の販売店の場合でも「初期不良の保証期間は1週間」などと信じられないことを言っているところもありますし、海外の通販サイトで購入する場合は、故障の経緯説明や修理の交渉を英語でしなくてはなりませんし、修理期間も相当長くなってしまいます。
これらのことを理解し、短期間で最悪文鎮化(電源すら入らなくなる)するような場合を覚悟できるのであれば中国タブレットは非常に面白い存在です。特にPC知識の豊富な人が試すのはいいかもしれません。しかし、初めてタブレットを買う、という場合はおすすめできません。
ウインタブで中国タブレットの読者レビュー(レビュー後実機を差し上げています)を定期的にやってますんで、自信のない人はそちらのご応募を!
コメント
8インチWinタブでSIMカードが使えるものがあったら取り上げていただけると嬉しいです。
こんにちは、コメントありがとうございます。なるべく早く記事を書きます。
不具合報告あげた本人が言うのもなんだけど、もう対処方法も分かって怖くなくなったので個人的にSG080iに一票。
技適付きのマシンでは、画面解像度とメインドライブ容量と価格のバランスが、この星の物ではないです。そのくらいのお得感♪
ただ、DELLのハイエンド、いいですねぇ。
メモリ4GBあったら、ブラウザタブの数に手加減しなくて良くなりそう。でもかなり高価なので、自分で買ったら勝負パンツっぽく外に持ち出す頻度が減っちゃうかなぁ。
そういう点からも毎日気軽に穿ける(持ち出す)パンツ(SG080i)っていいんですよねw
タケルさん、こんにちは、コメントありがとうございます。その節はいろいろありがとうございました。不具合情報はちょっと心配でしたが、それがなければこの製品はリリース時期も新しいし、コンテンツ消費型の使い方には強い武器になる高精細なディスプレイが魅力ですよね。ThinkPad 8を購入したものとしてはVanueも気になりますけど、期待通りの性能にならないかも・・・。でも私はThinkPad愛してますけどね。
Dellの5855を買いましたが、タッチパネルと内蔵スピーカに難ありで、現在修理中です。
検索してみると私以外にも同じ目に遭っている方は少なからずいるようなので、購入を考えられている方は少し落ち着くのを待たれたほうが良いかもしれません。。。
こんにちは、コメントありがとうございます。なんか発売直後って、こういう話が多くなりますね。自動車とかでもよく聞きます。特にこの製品は価格も決して安くはないので、はやく完調に戻られることをお祈りします。
ここしばらくいい感じのwindowsタブレットが発売されてないのが残念すぎる
購入を考えるか諦めるかを考えた方がいいよ無理をするより現状維持の方がいいよって言う記事がこのサイト紹介多いし
こんにちは、コメントありがとうございます。「8インチはなくならない」とは思うんですけど、スペックとかの選択肢は減っていくかもしれませんね。
チェリトレ自体新しい奴が出るみたいですし、今は様子見かな・・
ちなみにドスパラがチェリトレ搭載の新型出したみたいです
こんにちは、コメントありがとうございます。また情報ありがとうございました。無事記事を書きました。
ThinkPad 8はいまだにいい子ですよね。
本当使いはじめて2年たっちゃいましたがいまだに不満点がなくて満足してます。
できれば後継機も出てほしかったですけどね…
かのあゆさん、こんにちは、ご無沙汰しております。私の場合、ThinkPadは重いし思ったより速くないしといった不満は結構あるのですが、なぜか異様に好きなんですよね。この製品だけは手放したくないって感じ。後継機出そうにないですね…
atomがなくなる~みたいな記事でてるんでウインタブさんの所見聞きたいですね
8インチすきなんですけどねえ
こんにちは、コメントありがとうございます。オピニオン記事書きます。