NECのノートPC「LAVIE SOL」の実機レビューです。「Z世代による、Z世代のためのあたらしいモバイルノートパソコン」とのことです。ちなみにZ世代とは「1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代で、2023年現在12歳~28歳前後の年齢層に当たります。デジタルネイティブ、SNSネイティブとも呼ばれるZ世代は、タイパ(タイムパフォーマンス)重視の効率主義、強い仲間志向、仕事よりプライベート重視、多様性を重んじるなど、従来の若者以上に特徴的な価値観を持っています。(出所:NRI)」とのこと。ただ私は、Z世代という言葉は「モノ・サービスの売り手が喧伝しているだけで、当のZ世代の人たちをはじめ、一般人の間では使われることのない、単なるマーケティング用語」だと思っています。
この製品には店頭販売モデルの「LAVIE SOL」とWeb限定モデルの「LAVIE Direct SOL」がありますが、今回レビューするのはLAVIE Direct SOLです(LAVIE SOLとはバリエーション展開が異なりますが、筐体や主要なシステム構成は同じです)。なお、このレビューはメーカーより実機をお借りして実施しています。
・スッキリした「ノイズレスデザイン」
・タッチ対応し、発色品質の高いディスプレイ
・事務仕事や学校の課題をこなすには十分な性能
・LAVIEシリーズとしては価格がリーズナブル
ここはイマイチ
・プリインストールアプリが多すぎ
・性能追求型の製品ではない
販売サイトはこちらです
LAVIE SOL:NEC LAVIE公式サイト
目次
1.スペック
スペック表
NEC LAVIE Direct SOL | |
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core i5-1335U/Core i7-1355U |
GPU | なし |
RAM | 8GB/16GB/32GB(LPDDR5X, オンボード) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB/2TB SSD(PCIe) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 13.3型IPS(1,920×1,200)タッチ |
ネットワーク | Wi-Fi7(a/b/g/n/ac/ax/be)、Bluetooth5.4 |
入出力 | USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力・PD対応)× 3 オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(1080P)顔認証対応 |
バッテリー | 動画再生時 約10.8時間 |
サイズ | 301.6×210×14.3mm |
重量 | 1,197 g |
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Web限定モデル「LAVIE Direct SOL」は注文時にシステム構成のカスタマイズが可能です。そのため、ウインタブ読者ならレディメード(カスタマイズ不可)でOfficeソフトが付属する店頭販売モデルよりもWeb限定モデルのほうが購入しやすいのではないか、と思います。
なお、レビュー機は「Windows 11 Home/Core i5-1355U/RAM16GB/SSD256GB」という構成で価格が161,330円のモデルでした(3月11日現在。製品ページにある15%OFFクーポンを使用した価格です)。
2.外観
LAVIE SOLは排気口や底面のネジなどが目立たない「ノイズレスデザイン」を採用しています。このあと実機の画像を掲載しますが、デザインはシンプルで突起が少なく、まさに「ノイズレス」な筐体になっています。また、天板・パームレスト・底面には手触りが良く、傷もつきにくく、指紋も拭き取りやすい「シルクタッチコート」が施されています。
今回のレビュー機の色は「プラチナシルバー」ですが、他に「ムーンブラック」と「フェアリーパープル」を選べます。

着せ替えケース
また、LAVIE SOLには別売りで「着せ替えケース」が用意されており、なんと1,000種類以上ものデザインから好きなものを選べます。
ACアダプター
ACアダプターは出力が65Wでサイズは小さめ、電源ケーブルが一体化した構造で重量も実測値179 gと軽く、持ち運びに便利です。
天板と底面
天板です。この画像で見ると「いつものLAVIE」という感じに見えてしまいますが、「スクエア」と言いますか、直線基調の形状になっています。
底面です。上でご説明した「ノイズレスデザイン」ですね。通気口が見えず。四隅に筐体色と同色で控えめなゴム脚があるのと、画像下部(使用時には手前側になります)にスピーカーグリルが2つあるのみ。シンプルでまさに「ノイズレス」。
側面

前面

背面
前面と背面です。ポート類やボタン類はなく、エッジ部分が角張った形状で「塊(かたまり)感」がある、シンプルでかっこいいデザインです。

右側面
右側面にはUSB3.2 Gen2 Type-Cポートが2つ。いずれもGen 2規格なのでデータ転送速度は10Gbpsと高速、映像出力とUSB PDにも対応します。

左側面
左側面です。こちらにもUSB3.2 Gen2 Type-Cポートが1つあり、やはりデータ転送速度は10Gbpsで映像出力とUSB PDに対応します。あと、イヤホンジャックもあります。LAVIE SOLにはUSB Type-AやHDMIポートはなく、周辺機器の接続や本機への充電などを高規格なUSB Type-Cポートで賄います。USB Type-Aポートを使う周辺機器をたくさん持っている人はまだ少なくない(私もそうです)と思いますので、LAVIE SOLを使う場合はハブやドッキングステーションが欲しくなるかもしれませんね。
キーボード
キーボードです。「キーピッチ18.8mm、キーストローク1.2mm、85キー、JIS標準配列、Copilotキー」と開示されており、バックライトはありません。キーピッチに関してはほぼ標準的なサイズなので使っていて狭苦しさは感じません。また、タッチパッドは大型で静音タイプです。
しばらくテキスト入力を試してみましたが、キーボード面に剛性感があり(頑丈そうに感じられた、という意味)、多少強めにタイピングしてもたわんだりしません。これも打鍵感のよさにつながっていると思います。また、上部(F11キーの位置)に動画(YouTube)呼び出しボタンがあり、ちょっとサボりたいときには便利(w)。キーの打鍵音は比較的静かですが、静音とまでは言えません。
キー配列では「右下のShiftキーが小さい」のと「方向キー(上矢印キー)が周囲のキーに食い込んだ位置にある」のが気になりました。慣れないうちは誤押下しやすいです。また、キートップの色が薄く印字が白なので薄暗いところではやや印字が見にくいです。バックライトをつけてほしかったですね。
ディスプレイ
LAVIE SOLのディスプレイは13.3インチ(モバイルノートでは最もポピュラーなサイズです)、IPS液晶で解像度は1,920 × 1,200です。また、「スーパーシャインビュー」とか「広視野角・高輝度・高色純度」という説明がありましたので、少なくとも100%sRGBクラスの発色品質になっているものと思います。また、スマホ操作に親しんできたZ世代を意識して「タッチ対応」します。
手持ちのモニター(27インチIPS液晶、FHD解像度99%sRGB)と比較してみましたが、それと同等以上と感じられました。パーソナル用途でも気持ちよく使える品質のディスプレイと評価できます。
スピーカー、マイク、カメラ
スピーカーの音質はクリアで音楽用としても気持ちよく使えると思います。ただし、スピーカーが底面前方にあり、タイピングしながら音楽などを聴くと手首が音質に干渉してしまい、少しこもり気味の音になってしまいます。
音響系の機能として「YAMAHAサウンド」というのがありましたが、音質の微調整はRealtec Audio Consoleで行うようです。Realtec Audio Consoleにはイコライザー機能もあり、お好みに合わせた音質にできます。
マイクの昨日調整もRealtec Audio Cosole。AIノイズ除去機能もあります。少し試してみましたが、他社製品(特に外資メーカー)よりもノイズ除去は控えめですね。例えば「拍手をしながら話す」と、拍手の音は小さくなるものの完全には消えません(ほぼ完全に拍手を消してくれる他社製品もあります)。ただし、実用上はこれで十分というか、むしろ自然かと思われます。だって、画面の向こうで相手が拍手をしているのが見えるのに、その音が一切聞こえないほうが不自然ですよね。
Webカメラは1080p(FHD解像度)ということもあり、きれいです。ただし、Copilot+ PCやNPU搭載PCにある「Windows スタジオエフェクト(背景ぼかしやAIが目線を補正してくれるアイコンタクトなど)」は使えませんでしたが、そもそも「必要な機能ではない」ので、気にすることもないでしょう。
その他
ヒンジの開口角度はそれほど大きくはありません。いっぱいに開口してここまで。もちろん個人利用では何の問題もありませんが、最近のノートPCはヒンジが180度(水平位置)まで開口するものが珍しくないですし、「Z世代のグループワーク」を意識するのなら、180度開口のほうが良かったのでは?と思います(ヒンジが180度開口する場合、ミーティングなどで向かい側にいる人と画面共有がしやすくなります)
NECのLAVIEだけあって、PC操作にあまり慣れていない人向けの親切機能もあります。「LAVIEアプリナビ」では用途別に使いたいアプリがすぐに探せます。
これはWindowsを起動した直後の「デスクトップの右下部分」です。ここではLAVIE簡単設定、ウイルスバスタークラウド、詐欺ウォールの通知(トースト通知)が表示されていますけど、はっきり言って迷惑です。「いいからすぐにPCを使わせてくれ」と…。NECに限らず、ウイルス対策ソフトがプリインストールされているPCは多いですが、「本当に必要なんですか?」とメーカーさんには聞きたいですね。常駐アプリなのでリソースを食いますし、アプリを停止したり、削除したりするのも場合によっては難しかったりします。振る舞いも図々しいんですよ、こいつら。
あと、この画像にあるように、これほどのアプリを常駐させたらCore i5でもCeleronより遅くなるんじゃないですかね?(冗談です)。
いろいろ事情はあるんでしょうけど(ここでは触れません)、国内メーカーが大量の(本当に大量)アプリをプリインストールする習慣は見直すべきでしょう。というか、LAVIE SOLであればZ世代の人たちに「本当に必要だと思うプリインストールアプリ」を聞くべきだと思いますよ。LAVIE Direct SOLには「ミニマムソフトウェアパック」という選択肢がありますので、購入時は「たとえPC初心者であっても」こちらを選択することをおすすめします。
3.性能テスト
ベンチマークテスト
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。ビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。ウインタブが最も重視しているテストです。
参考(過去データから一部抜粋):
Core Ultra 9 185H:8,099
Ryzen AI 9 365:7,896
Ryzen AI 9 HX 370:7,511
Ryzen 7 8845HS:7,446
Core Ultra 7 258V:7,527
Ryzen 9 PRO 6950H:6,987
Ryzen 7 8840U:6,949
Ryzen 7 PRO 6850H:6,858
Core Ultra 7 155H:6,849
Ryzen 5 8645HS:6,708
Core i9-13900H:6,542
Core Ultra 5 135H:6,485
Core Ultra 7 155U:6,392
Core Ultra 5 125U:6,376
Ryzen 5 7535U:6,021
Core i7-1360P:5,929
Core i5-1340P:5,677
Core i7-1355U:5,452
Core i7-1255U:4,834
Core i5-1135G7:4,066
レビュー機の搭載CPUは第13世代のCore i5-1335Uでした。最新のCore UltraシリーズやRyzen AI 300シリーズには大きな差をつけられてしまいましたが、CPUの性能に見合うスコアだと思います。比較対象がハイスペック型番揃いなので、性能面が不安と感じられるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。学生さんが学校の授業とか課題提出のために使うとか、ビジネスマンがOffice系のソフトウェアを使うといった用途であれば全く問題なく、ごく快適に使えるはずです。
LAVIE SORAの製品特性から見て、Core UltraとかRyzen AI 300と言った型番は不要だと思いますし、仮にそういった型番を搭載してしまうと製品価格も跳ね上がってしまうはずですがら、個人的には「収まりの良いCPU、収まりのいい性能」だと評価します。
SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。PCIe 4.0のスコアだと思いますが、それほど高速なほうとは言えません。ただし、SSDの速度についても必要十分、といいますか、実用上全く不満を感じない速度になっていると言えます。
バッテリー駆動時間
設定アプリ「LAVIE簡単設定」でバッテリーのモードを「ロングバッテリー」に、Windowsの設定アプリの電源モードを「最適な電力効率」に、ディスプレイ輝度を70%、音量を30%に設定し、下記の作業に使ってみました。
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約30分
・ブラウザー上でYouTubeの動画視聴を約40分
・ブラウザー上てテキスト入力、カメラやマイクのテストを約15分
※上記トータルで約85分使用し、バッテリー消費は25%でした。
単純計算だと、1時間あたり17.6%のバッテリー消費、バッテリー駆動時間は5時間半強となります。ウインタブの過去の経験上、この数値は概ね妥当と評価します。バッテリー駆動時間については最新のCore Ultraシリーズ2(Lunar Lake)やRyzen AI 300シリーズには及びません。決して悪い数値ではありませんが、外出先で終日作業する場合はACアダプターもしくは急速充電器を持参することをおすすめします(純正以外の急速充電器を使う場合は、できれば出力65W以上のものが望ましいです。最悪20Wくらいでも充電はできると思いますが、あまり出力が小さいものだと充電できません)。
4.レビューまとめ
NEC LAVIE Direct SOLはNEC公式ストア「NEC Direct」で販売中で、3月11日現在の価格は146,030円からです(製品ページにある割引クーポンを使用した価格です)。レビュー機の「Windows 11 Home/Core i5/RAM16GB/SSD512GB」という構成だと161,330円です。
従来のLAVIEシリーズとはずいぶん印象の異なる製品でした。スクエアで手触りが良く、ノイズレスな筐体は「塊(かたまり)感」があって、非常に好感の持てるものでした。パフォーマンスについては「スペック表にある通り」の実力と言え、2,025年現在のハイスペック機とは言えませんが、事務作業や学校の課題をこなすには必要十分なものだと思います。また、ディスプレイがタッチ対応し、発色品質が高いという点も個人ユーザーにはとても魅力的です。
5.関連リンク

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