MSIの15.6インチゲーミングノート「Bravo 15 B5」の実機レビューです。この製品は「CPU、GPUともAMD製」というのが特徴です。最近はAMD製のCPUを搭載するノートPCは珍しくもなくなりましたが、外部GPUがAMDというノートPCは非常に数が少なく、現行モデルではほとんどないと思います。
・Ryzen 7 + Radeon RX5500Mの性能は期待以上
・ハードなゲームプレイに耐える頑丈な筐体
・Cooler Boost 5搭載で発熱による性能低下の心配なし
・使いやすいポート配置
ここに注意
・ディスプレイの発色性能は低め
・「赤いキーボード」は好みがわかれそう
販売店はこちら:
Bravo-15-B5DD-029JP:MSI公式ストア
Bravo-15-B5DD-029JP:PCショップアーク
目次
1.Bravo 15 B5 スペック
スペック表
Bravo 15 B5 | |
OS | Windows 10 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 5800H |
外部GPU | AMD Radeon RX 5500M(4GB) |
RAM | 16GB(最大64GB) |
ストレージ | 512GB M.2 NVMe SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6インチ(1,920 x 1,080)144 Hz |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 |
入出力 | USB 3.2 Gen1 Type-C、USB 3.2 Gen1 × 2、USB 2.0、HDMI、オーディオジャック、LAN(RJ45) |
カメラ | Webカメラ(92万画素) |
バッテリー | 53.5Whr/4,562 mAh |
サイズ | 359 × 259 × 25 mm |
重量 | 2.35 kg |
バリエーションモデル
7月9日現在、スペック表記載の単一バリエーションです。
ポイント
・CPU/GPUともAMD製
・ディスプレイのリフレッシュレートは144 Hz
・冷却システムにCooler Boost 5を採用
コメント
CPUは第4世代(5000番台)の高性能版(高TDP版)Ryzen 7、GPUはRadeon RX5500Mを搭載します。RX5500Mはゲーミング用のRadeonとしてはエントリークラスでVRAMは4GB、リアルタイムレイトレーシング(RTX)には対応しません。単純比較はできませんが、GeForceだとGTX1650とか1650Tiと同等クラスかと思われます。あとは「実際のパフォーマンスがどうか」ということですよね…。
RAMは16GBでストレージは512GBですが、RAMは最大64GBまで増設が可能です。また、ストレージについてもM.2 SSDなので換装が可能です。なお、MSI製品はユーザーがDIYで筐体を開口すると保証が切れてしまいますので、増設・換装に際してはMSI指定販売店に相談するようにしてください(この場合は保証が切れません)。
ディスプレイは15.6インチのFHD解像度、ノングレア(非光沢)タイプで、リフレッシュレートは144 Hzなので、FPSゲームやレースゲームなどでも非常になめらかな画面遷移が楽しめます。
ウインタブの実機レビューでは筐体内部を開口していませんので、メーカーの画像を掲載します。これが冷却システム「Cooler Boost 5」です。MSIのゲーミングノートには「Cooler Boost」と呼ばれる冷却システムが搭載されていますが、この製品では「5」という名称になっています。2基のファンと6本のヒートパイプから構成され、高い冷却性能を誇ります。
では実機のご説明をさせていただきます。
2.Bravo 15 B5 筐体と使用感
同梱物
同梱物です。MSIのレビュー機はペーパー類が密閉されている状態なので、開封はしていませんが、常識的なもの(スタートアップガイドや製品保証の案内など)が入っていました。
ACアダプターは150Wのものでしたが、比較的小ぶりで電源ケーブル込みの重量は457 gでした。小ぶりと言ってもモバイルノートやスタンダードノート用のACアダプターよりはかなり大型ですけどね…。
天板と底面
天板です。これだとただの黒い天板に見えてしまいますが…
ロゴは「Bravo専用」です(正確には少し前にリリースされたAlphaシリーズも該当します)。MSIといえば「ドラゴン」ですが、Bravoのロゴは「Thunderbird(サンダーバード)」。残念ながら電源を入れても目は光りません。
ピントが甘くなってしまい申し訳ありません。天板はフラットではなく、このように模様が入っていて、少し凹凸があり、Bravoの従来モデル(天板はフラットでした)からデザイン変更されています。
底面です。底面ですが派手です。大きめの通気口が開けられていて、上に説明したCooler Boost 5のヒートパイプを確認できます。また、この画像の下側が開口部(手前側)ですが、左右にスピーカーグリルが見えます。この製品は底面にステレオスピーカーを搭載しています。
底面の開口は可能ですが、このようにネジの上に「FACTORY SEAL」が貼られていて、これを剥がすと保証が切れてしまいます。
側面
前面です。こちらにはポート類やボタン類はありません。
左側面です。画像左からDC-INジャック、通気口を挟んでUSB 3.2、USB 2.0があります。
背面です。こちらには大きめの通気口がありますが、ポート類やボタン類はありません。
右側面です。画像左からイヤホンジャック、USB 3.2、USB Type-C、そして有線LANポートがあります。USB Type-Aポートが左右側面にあるので、使い勝手はいいですね。試用中いろいろな周辺機器を接続してみましたが、とても使いやすいと感じました。
キーボード
画像上がバックライト消灯時、下がバックライト点灯時です。Bravo 15 B5のバックライトは「赤の単色」で、明るさを3段階に調整できます。ただ、バックライト以前にキートップの印字が赤なので、非ゲーミング時にはちょっと目立ちます。
アルファベットキーのキーピッチは手採寸で約19 mm、キーストロークは1.7 mmと開示されています。キー配列はおおむね素直…、ではあるのですが、ちょっと気になるところもあります。まず、テンキー部分のキーが小さく、キーピッチも狭いので、ブラインドで大量の数値入力をする人には慣れが必要だと思います。それと、右側のSHIFTキーが非常に小さいこと、そしてFnキーがスペースキーの左側ではなく、右側にあることが特徴です(キーボードの使用感は下記に記載します)。
キートップはフラットで特に加工はありません。これを見ればわかると思いますが、キートップの印字とキートップ側面が赤く塗られていますね。
キーボードの使用感
キーピッチ、キーストロークの数値は上に記載したとおりですが、アルファベットキーに関しては十分なキーサイズ、キーピッチなので、打鍵は非常にしやすいです。キーストロークは若干深めに感じられましたが、押下圧が小さく(要はキータッチが軽い)、とても気持ちよく打鍵ができました。
また、一般にゲーミングノートのキーボードというのはスタンダードノートやモバイルノートよりも頑丈に作られています。Bravo 15 B5も「堅牢な金属製のシールドに組み込まれている」という説明がメーカーサイトにありました。そのため剛性感があり、多少強打してもたわんだりすることはありません。これ、非ゲーミング時でも快適性を大きくアップしてくれます。
それと、頑丈な作りの副産物として、「静音」です。ちょっと笑ってしまいますが、ゲーミングノートのキーボードは見た目が結構派手ながら、概して打鍵音は小さめです。Bravo 15 B5をカフェに持ち込んで使う、というのはあまり想像できませんが、そのような使い方でも周囲に迷惑はかからないでしょう。
一方で、「バックライト色が赤のみ」という点と「一部のキーが小さい」という点は少しマイナスポイントです。バックライトが赤、というのはいかにもゲーミングPCらしいといえますし、バックライト点灯時の視認性も高いのですが、私は少々目が疲れやすいと感じました。また、一部のキーが小さいというのは基本的には「すぐ慣れる」ものではあるのですが、私がしばらく使ってみた限り、「右のSHIFTキー」はさすがに小さすぎるだろ!と思いましたw
ディスプレイ
ディスプレイは15.6インチサイズのFHD解像度、ノングレア(非光沢)タイプで、メーカーのスペック表には記載がありませんでしたが、視野角が広く、角度をつけて見ても白っぽくならなかったので、IPS相当のものが使われていると思います。
左右のベゼルは十分に細くなっていますが、上部と下部のベゼルはやや太めです。特に上部ベゼルはゲーミングノートらしいデザインと言うか、中央部が盛り上がった形状になっています。
ディスプレイの使用感
ゲームプレイ中は「きれいなディスプレイだなあ」と思ったのですが、非ゲーミング時に「花」の画像を他のモニターと比較してみると、やや輝度が低く、発色の鮮やかさも落ちる印象です。同じMSIのモニター「Optix G27C4」と比較しても、原色がくすんだ感じに見えてしまいます。繊細な色の識別が必要な人以外は特に大きな不満を感じないだろうとは思いますが、この製品で唯一ケチをつけたくなるのがディスプレイの発色性能でした。
筐体その他
Bravo 15 B5は見かけによらず「軟体」と言いますか、ヒンジが180度開口します。ゲームプレイ時にはあまり意味がないと思いますが、ビジネス利用時、打ち合わせの際などには他の人と画面の共有がしやすく、便利な構造と言えます。
スピーカーの使用感
ハードウェアとしてのスピーカーは素直な音質で、ヴォーカル主体の音楽を聴くぶんにはクリアに聞こえます。ただし、低音や高音の表現力は弱く、ロック系やEDM系だとやや薄っぺらい感じになってしまいます。
MSIのノートPCには音響アプリ「Nahimic」がインストールされており、簡単な操作で音質にメリハリが出ます。ロック系やEDM系だとNahimicをオンにすると一気に音質が改善される印象です。
Nahimicにはイコライザーも装備されていて、マニュアルでの音質調整も可能です。なお、見かけによらず音量は小さめで、ボリューム100%にするとそこそこの大きさにはなりますが、そこらへんのモバイルノートにも音量では負けてしまう感じでした。
ゲームプレイ時には必要十分な音量・音質という感じではありますが、ゲーム中はどうしてもファン音も大きくなりますので、ヘッドセットを使うのが現実的ですね。
バッテリー
Bravo 15 B5はゲーミングノートで、バッテリー駆動でゲームをすると十分なパフォーマンスが出ません(電源接続時よりもかなり性能が悪くなります)し、仮にバッテリー駆動でゲームをするとあっという間にバッテリーを消費してしまいます。GeForceやRadeonなどの外部GPUを搭載する製品では、このような挙動はやむを得ないことです。
しかし「非ゲーミング」用途でどのくらいのバッテリー持ちになるのか、一応確認してみました。
MSI Center(後述します)のユーザーシナリオを「サイレント」に設定し、ディスプレイ輝度を70%、音量を30%、キーボードバックライトON(一番暗い設定)にして
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を30分
・ブラウザー上でYouTubeの動画視聴を15分
・テキストエディタで文書作成を15分
トータル60分使用してバッテリー消費は23%でした。単純計算だとバッテリー駆動時間は4時間強ということになります。比較的ライトな使い方ですし、外部GPUは動いていない状態だと思いますが、このような場合は一般的なスタンダードノートと大差ないバッテリー消費になると言っていいでしょう。
3.Bravo 15 B5 性能テスト
ベンチマークスコア
MSI製品には「MSI Center」という設定アプリが入っています。ゲーミングノートの場合はシステムモニターなども確認できますし、「ユーザーシナリオ」でパフォーマンスを調整できます。今回のレビューでは非ゲーミング時には「サイレント」、ベンチマークテストやゲームプレイ時には「究極のパフォーマンス」に設定していました。なので、以下に掲載するベンチマークスコアは「究極のパフォーマンス」でのものになります。
参考:
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):6,744
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):6,544
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):6,447
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):6,225
Lenovo Legion Y740(17)(Core i7-9750H、RTX2080Max-Q):6,151
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
ASUS ROG Zephyrus G14(Ryzen 9 4900HS、RTX2060 Max-Q):5,852
Lenovo Legion Y740(15)(Core i7-9750H、RTX2070 Max-Q):5,830
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):5,810
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):5,763
ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV(Core i9-9980HK、RTX2060):5,727
MSI Bravo 15(Ryzen 5 4600H、Radeon RX5300M):5,635
Lenovo Legion Y7000(Core i7-9750H、GTX1650):5,618
ドスパラ GALLERIA GCR1660TGF-QC-G(Core i7-9750H、GTX1660Ti):5,573
ASUS ROG Zephyrus S GX502GV(Core i7-9750H、RTX2060):5,506
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(Core i7-9750H、RTX2070):5,505
DELL G7(Core i7-8750H、GTX1060):5,401
ドスパラ GALLERIA GCF2060GF-E(Core i7-8750H、RTX2060):5,328
MINISFORUM EliteMini X400(Ryzen 5 PRO 4650G):5,304
ドスパラ GALLERIA GCF1070GF(Core i7-8750H、GTX1070):5,122
ASUS ZenBook 14 UM4125IA(Ryzen 7 4700U):5,014
MSI GF75 Thin(Core i7-8750H、GTX1050Ti):5,009
※ROG FLOW X13はXG Mobile接続時のもの
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。CPUの性能差が出やすいとされていますが、テスト項目にグラフィック関係も含まれていますので、外部GPU搭載機のほうが高いスコアになります。
スコアのほう、予想を遥かに上回るものになりました。CPUとGPUの組み合わせによる結果なので断定はできませんが、おそらくCPUのRyzen 7 5800Hの寄与分が大きいのではないかと思います。いずれにしても「文句なしの結果」と言えるでしょう。
参考1:
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS、RTX3080):10,698、19,394
MSI GS66 Stealth(i9-10980HK、RTX3080):9,276、20,063
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):8,981、21,434
ASUS ROG Strix SCAR 15(i9-10980HK、RTX2070SUPER):8,435、20,017
Lenovo Legion 750i(Core i7-10750H、RTX2080SUPER Max-Q):8,156、18,070
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):7,882、18,288
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H、RTX3070):7,767、17,671
MSI GP75 Leopard(i7-10750H、RTX2070):7,415、17,589
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):6,974、15,408
HP ENVY 15(i9-10885H、RTX2060 Max-Q):5,597、13,382
ASUS ROG Zephyrus G14(Ryzen9 4900HS、RTX2060 Max-Q):-、13,719
※左からTime Spy、Fire Strikeのスコア
※ROG Zephyrus G14はTime Spyのデータなし
※ROG FLOW X13はXG Mobile接続時のもの
※MSI GS66 StealthはFHD解像度で測定
参考2(GTX1650/GTX1650Ti搭載機):
Lenovo Legion Y7000(i7-9750H):3,722、8,164
ドスパラ GALLERIA GR1650TGF-T(Ryzen 5 4600H)(注1):3,690、9,009
ドスパラ GALLERIA GCR1650GF7(i7-9750H):3,686、8,290
ASUS TUF Gaming A15(Ryzen5 4600H):3,637、8,779
ドスパラ GALLERIA GCR1650GF(i5-9300H):3,627、8,240
MSI GF63 Thin(i7-10750H)(注1):3,530、8,372
ASUS TUF Gaming FX505DT(Ryzen5 3550H):3,441、8,036
MSI Prestige 15(i7-10710U)(注2):3,286、7,326
Microsoft Surface Book 3(i7-1065G7、)(注2):3,144、6,958
MSI Prestige 14(i7-10710U、Max-Q)(注2):3,111、6,973
ASUS ZenBook 15 UX534FT(i7-8565U):2,988、6,789
※左からTime Spy、Fire Strikeのスコア
※GPUがGTX1650のもの
※(注1)GTX1650Tiを搭載
※(注2)GTX1650 Max-Qを搭載
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。Bravo 15 B5の性能を確認する上で最も重要なベンチマークテストと言えるでしょう。参考1はGeForce RTXシリーズ搭載機、参考2はGeForce GTX1650/1650Ti搭載機のスコアです。
冒頭に書かせていただいた通り、Bravo 15 B5のGPU「Radeon RX5500M」はVRAMが4GB、RTX非対応と、Radeonのゲーム用GPUとしてはエントリークラスの型番と言えます。よって、GTX1650/1650Tiとの性能比較がメインになるかと思いましたが、結果として「RTXシリーズ搭載機には及ばないが、GTX1650/1650Tiよりもずっと上」と言えると思います。
参考:
MSI Pulse GL66 11U(Core i7-11800H、RTX3060):1,501、8,072
ASUS TUF Gaming A17 FA706QR(Ryzen 7 5800H、RTX3070):1,440、13,057
ASUS ROG FLOW X13(Ryzen9 5900HS)(注): 1,459、12,046
ASUS TUF Dash F15(i7-11370H)(注):1,550、7,073
ASUS VivoBook S15 K513EA(Core i7-1165G7)(注): 1,342、5,788
MINISFORUM EliteMini X400(Ryzen 5 PRO 4650G):1,245、8,651
Lenovo IdeaPad Flex 550 14(Ryzen 7 4700U)(注):1,140、6,710
MINISFORUM H31G(Core i5-9500F):1,105、5,922
MSI GP65 Leopard(Core i7-9750H)(注):1,077、5,999
ひつじ 自作PC(Core i7-6700 GTX980ti):1,031、5,078
ASUS ZenBook 14(Core i5-8265U)(注):1,023、3,691
Microsoft Surface Laptop Go(Core i5-1035G1(注):1,006、3,559
ひつじ 自作PC(Core i3-7100T):840、1,826
HP Pavilion x360(Core i5-7200U)(注):790、1,740
※左から順にシングルコア、マルチコアのスコア
(注)ノートPC、(注)ないものはデスクトップPC
※ASUS ROG FLOW X13はXG Mobileを接続していないもの
次にCPU性能のみを測定するCINEBENCH R23のスコアです。過去データを見ると、Ryzenは特にマルチコアのスコアが高くなる傾向があります。シングルコアのスコアはCore i7-11800Hに一歩譲りますが、マルチコアは1万点越えと、期待を裏切らない性能でした。
ラストはストレージの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。PCIe x2接続としては標準的と言え、ゲーミングノートとしてはそれほど高い数値ではありませんが、実際のところ、このくらいの速度が出ればあらゆる利用シーンでもたつきは感じないでしょう。十分な性能と言えます。
発熱とファン音
レビュー期間中、実際にいくつかのゲームを数時間プレイしてみましたが、発熱については全く心配いらないと思います。ベンチマークテストを繰り返し実行したり、ゲームをプレイするとキーボード面の上部に発熱を感じますが、「熱い」という感じではなく、発熱による性能低下を懸念するようなものではありませんでした。私は(Bravo 15ではないですけど)MSI製のゲーミングノートを所有していますが、発熱による性能低下を感じたことはありません。冷却システム「Cooler Boost」の実力は高く評価できます。
ファン音はかなり大きくなる場面があります。ゲームプレイ中には結構気になるくらいの音量です。ただし、これは冷却性能とのトレードオフと言えますし、ゲーミングノートである以上やむを得ないことです。発熱でプレイに支障をきたすよりは遥かにマシでしょう。なお、MSI Centerのユーザーシナリオを「サイレント」に設定して文書作成やWebブラウジングをする場合は「ほぼ無音」です。このような使い方の場合はファンの騒音は全く気になりません。
4.Bravo 15 B5 レビューまとめ
MSI Bravo 15 B5はMSI公式ストアやMSI指定販売店のPCショップアークなどで販売中で、MSI公式ストアとアークでの7月9日現在の価格は税込み148,800円です。注文の際にOSのバージョンやRAM、ストレージ容量を変更したい場合はアークが便利です。
この製品のレビューで最も注目されそうな「Radeon RX5500Mの実力」ですが、ベンチマークスコアを見る限り「GeForce GTX1650/GTX1650Tiより上、RTXシリーズ(2060以上)には及ばない」と言えそうです。個人的にはレビュー前の予想を上回る実力であったと思います。また、CPUのRyzen 7 5800Hに関しては、ノートPC用としてトップクラスの実力と評価していいでしょう。
筐体品質も「さすがMSIのゲーミングノート」だったと思います。筐体は樹脂製で特に高級な印象はありませんが、キーボードなど、頑丈であって欲しいところがしっかり頑丈ですし、よく冷えます(これ、めちゃめちゃ重要)。一方、「赤いキーボード」「右Shiftキーがやたらと小さい」など、非ゲーミング用途だと少々使いにくいだろうなあ、と感じる部分もありました。個人的には赤いキーボードバックライトが好みに合いませんでしたね。このへんは人によるとは思います。また、ディスプレイの発色性能も高く評価することはできませんでした。
AMDファンはもちろん、エントリー~中級くらいのゲーマー、ハイスペックなPCが必要なビジネスマンにおすすめしたい製品です。
5.関連リンク
Bravo 15 B5:MSI公式サイト 製品紹介
Bravo-15-B5DD-029JP:MSI公式ストア
Bravo-15-B5DD-029JP:PCショップアーク