こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回はゲーミングノートの実機レビューなんですけど、おそらくウインタブのレビュー史上「最高性能」のノートPCになります。「マウス NEXTGEAR-NOTE i7901」で、17.3インチサイズの大型筐体にデスクトップ用のCPUを搭載したノートPCです。ある意味「モンスター」ですね。「こんなの、絶対試用機ないだろう」と思ってまして、でも一応聞いてみたらレビューさせてくれる、ということだったので、ストレス解消も兼ねてお借りすることにしました。
1.スペック
最初にスペックを確認します。CPUのCore i7-7700KというのはPassmarkが公開しているベンチマークスコアを見る限り、Kabylake世代で最高性能になります。Skylake世代まで調べてみると6950Xというデカコア(10コア)のモンスターCPUがありますが、一般ユーザーが購入するCPUとしては7700Kが最新かつ最高性能と言っていいと思います。あ、ノートPC用じゃなくてデスクトップ用も含めての話です。
また、GPUはGeForceのPascal世代上位モデルGTX1080を搭載します。
今回お借りした製品は型番末尾「BA1」という、シリーズ中では下位のモデルのため、RAMは16GBですが、上位モデル、また注文時のカスタマイズにより、最大64GBまで搭載可能です。Windows タブレットのストレージも64GBあれば快適ですけどねw ストレージは240GB SSDと1TB HDDのデュアル構成ですが、こちらもカスタマイズで最大3つのSSDもしくはHDDを搭載可能となっています。ちなみに最上位モデルだと標準で1TBのSSDが搭載されます。
ディスプレイは17.3インチの4K-UHD(3,840 x 2,160)で、もちろん非常に高精細で美しいものですが、ゲーミングPCの場合、この解像度はシステム負荷が大きくなるはずなので、実際の処理性能はどうなるのか、ちょっと興味がありますね。
ポート類の構成はこれまた文句なしです。映像出力は3系統、USBポートはThunderboltも含め合計6つ、KillerのLAN、S/PDIFまで備えており、要するにハブとかドッキングステーションいらずです。
図体(サイズのことなんですけど、思わずこの用語を使いたくなってしまいました)もデカイです。重さ4.5 kgですわ。そして、バッテリー稼働時間については公称値がありませんが、このスペックを見ていただくと、「期待するほうが無理」だということはお分かりいただけると思います。
2.筺体
まずは同梱物から。本体はいいとして、画像左下にある黒い弁当箱のようなものはバッテリーです。マウス製品の多くがそうなんですが、この製品もバッテリーが簡単に着脱でき、配送時にはバッテリーが外してありました。その上はデータシート(後述します)、そして左上にある巨大な物体がACアダプターです。
右上にある冊子類はサポートマニュアル、ファーストステップガイド(セットアップに関する簡単な説明書)、そして仕様書(これも後述します)です。なお、この製品はPDF形式の詳細な取扱説明書が内蔵ストレージに入っていて、困ったときはそちらを参照することになります。それと、画像右下に保証書があります。
データシートと仕様書です。マウスはBTOメーカーなので、製品には必ず仕様書がつきます。構成をカスタマイズして注文することも多いと思うので、この仕様書で確認することになるんでしょう。また、左側にあるのが「色域出荷データシート」で、実機の出荷時の色域テスト結果が記載されています。比較対象がAdobe基準で、この製品(というかこの個体)はAdobeの基準よりも色域が広いことがわかります。この類のデータシートは初めて見ました。
天板です。すいません、素材はよくわかりませんでした。ただし、素材にかかわらず、質感は非常に高いです。というか、正直なところ、筺体サイズが大きくて重いので、素材のことは気になりませんでした。
左側面です。「圧倒的に分厚い」のがわかると思います。入出力ポートは画像左からLAN(RJ45)、USB Type-C(Thunderbolt)、USB Type-C(3.1)、USB 3.0 × 2、SDカードスロットです。
こちらが右側面。画像左からLINE-IN、マイク、LINE-OUT、ヘッドフォンジャック、USB 3.0 × 2、ケンジントン・ロックです。そして、これだけの堂々たる筺体ではありますが「光学ドライブはありません」。また、「カスタマイズによっても内蔵はできません」。清々しい割り切りですね。
前面にはステータスLEDが右側についています。ステータスLEDはキーボード面にもあり、前面にはバッテリーステータス(充電/給電状態を表示)と電源ステータス(電源ON/OFF、スリープ状態を表示)のみです。
背面です。これは完全にタダモノじゃない感がありますね。左右に巨大な通気口、中央にポート類があります。画像左からHDMI、miniDisplayPort、そして電源端子となります。電源端子の径は過去最大に太かったです。
底面です。画像の左下が着脱式のバッテリーで、操作は非常に簡単でした。画像下側中央にはサブウーファーが見えます。
キーボードです。筺体サイズは大きいですが、キーボードのサイズも大きすぎて押しにくい、なんてことはなく、感覚的に15.6インチのノートPCと同じくらいのサイズです。レイアウトも特に変わった感じはありませんでした。あとはEnterキーと右Shiftキーが筺体サイズの割には少し小さめかと思いますが、特に指摘するようなものでもないと思います。
タッチパッドは物理クリックキーが2つ(マウスのスタンダードサイズ製品のお約束)、パッド内には指紋センサーもあります。また、画像の上部にスピーカーが見えますが、立体的な配置(操作者に向かって装着されている)になっていて、音質もかなりいいです。また、スピーカーの間、キーボード面中央の上方に電源ボタンがあり、その周囲にステータスインジケーターがあります。
キートップは凹みがつけられているタイプです。キーストロークはやや深め、打鍵音は静かな部類に入ります。「深めで柔らかいタッチ」という感じ。
キーボードはバックライト付きで、他の上級ゲーミングノートと同様、ユーティリティソフトがプリインストールされており、バックライト色のオン/オフ/色の変更はもちろん、キーマクロの設定やキー割当の変更なども可能になっています。
どのくらい需要があるかわかりませんけど、キーボードをセグメント別に異なるバックライト色にしたり、明るさを調整するのも簡単にできます。
ヒンジを開けてみます。ちなみに大きくて重い製品ですが、ヒンジ開口についてはヒンジ構造がしっかり練られており、片手で開口できます。見よ!この威風堂々たる姿を!なんてのは冗談ですが、厚みもかなりあるので、ちょっと前のワークステーション、という感じに見えますね。
正面から見るとこんな感じです。ベゼル幅はそんなに太くはないですね。また、スピーカーが斜めに取り付けられているのもわかると思います。
ヒンジを最大開口したところです。キーボード面とテーブルの段差がかなり大きいですよね?実際デスクに置いて操作すると「高い」って感じになります。なので、パームレストなどを使ったほうがいいかもしれません。
3.使用感
この製品はどう考えてもヘビーなゲーマー、もしくは映像・画像関係のプロフェッショナルあるいはマニア向けの製品だと思うので、テキストライティングなどの使用感を書いても仕方ないかな、という気はしますが、そこはウインタブ、いつも通りのレビューをしてみます。
ディスプレイ
17.3インチの超高解像度ディスプレイはさすがにキレイです。アイコンやテキストなどの表示倍率はデフォルトで250%に設定されており、テキストライティングやアイコン操作では解像度を意識せずに使えます。表示倍率100%だとさすがに細かくなりすぎてしまい、一般的な作業だと逆に使いにくくなります。しかし、最近はYouTubeでも4K動画が増えていて、ドローンを使った風景動画なんかがたくさんあります。解像度を変えながら見比べてみましたが、やっぱりキレイですね。非常にくっきりと見えます。ただ、YouTubeで超高解像な動画をストリーミングで観る場合、ハードウェア性能以前に通信回線の品質が問われますね。私の自宅はあまり回線速度が速くないので、ところどころ止まってしまいました。まあそれはこの製品の責任じゃないですけどね。
キーボード
キーボードそのものの品質は非常にいいです。大型のスタンダードノートと同じサイズ感なので、15.6インチを使っている人にはおなじみ、という感じだと思います。上に書きましたが、キーストロークはノートPCとしてはやや深めと感じました。打鍵音は小さめで、多少パチパチという音が出る程度です。非常に細かい話をすると右側のShiftキーが若干小さめに感じられましたが、すぐ慣れました。もちろん不足しているキーはありません。
それよりも、キーボード面が「高い」です。使い慣れたテーブルやデスクの上でテキストライティングをしていると違和感を感じます。この違和感は慣れによって解消されると思いますが、デスクやテーブルとキーボード面の段差はかなり大きくなるので、パームレストなどを使う必要が出てくるかもしれません。
スピーカー
これはスゴイです!もはやオーディオ機器と比べても遜色ないのではないか、というくらいに高音質ですね。やはり大型筺体だと音質にはプラスに寄与するのだろうと思います。サブウーファーについてはそれほど存在を意識できませんでした(重低音ってそんなものですよね)が、トータルとしての音のバランスが非常によかったので、きっと役立っているのだろうと思います。ゲームをするにせよ、音楽鑑賞をするにせよ、十分満足できるのではないか、と思います。
スピーカーの調整用として、「Sound Blaster X-Fi MB5」がプリインストールされていました。細かい設定や、外部スピーカーのコントロールにも使えますので、外付けのスピーカーを接続してサラウンド効果を楽しむこともできます。
その他
この製品は内部的にデスクトップ用のパーツを多用しているため、バッテリー稼働時間はかなり短くなります。私の感覚だと、多分2時間くらいかな、と思います。本来の用途であるゲームに使うとさらにその半分くらいかもしれません。しかし、製品特性上、それを批判するのは当たらないでしょう。購入する人もそのくらいのことはよく理解していると思います。基本的に電源に接続して使う製品ですね。
私は経験がないし、試用機に何かあっても大変なので試していませんが、GrForce GTX1080(デスクトップ用)はオーバクロックが可能で、そのためのソフトウェアもプリインストールされていました。また、Core i7-7700KというCPUもオーバークロックができるはずなので、腕に覚えのある人はさらなるパフォーマンスの向上が可能だと思います。
また、「Control Center」というソフトウェアもプリインストールされていて、利用シーンに合わせてシステムの設定を変更できます。ちなみに、ファンは一般的な用途で使用している際はかなり静かですが、オンラインゲームのベンチマークテストを始めるとかなり騒々しくなります。これは仕方のないことですが、やはりゲーミングPCに慣れていない人はビックリするくらいの音量ですね。
4.性能テスト
まずは「この製品でこのテストをしても意味ないような気がする」ドラゴンクエスト X ベンチマークソフトから。
参考:
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 18,222
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 18,045
マウス NEXTGEAR-NOTE i4400GA1(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 16,951
ドスパラ GALLERIA GKF1060NF(Core i7-7700HQ、GTX1060): 16,865
ドスパラ GALLERIA GKF1050TNF(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 16,156
ドスパラ GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): 14,964
ドスパラ GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): 12,791
ドスパラ GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): 10,136
ウインタブで初の2万点越えとなりました。まあ、当然といえば当然なんですけど、このくらいまでスコアが上がってしまうと逆に製品間の性能差を正しく表示できていないような気がします。つまり、ソフトウェアが想定するスペックを大きく越えてしまっているので、18,000と20,000の差は「本当に2,000なのか」よくわからないという意味です。
番外編として、他の製品とは比較できませんが、本気でやってもらいました。ディスプレイ解像度を本来の4Kにしてみたんです。なんのことはない、それでもウインタブの実機レビュー経験では最高のスコアになりました。
参考:
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 10,215
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 9,364
ドスパラ GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): 8,568
ドスパラ GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): 6,374
ドスパラ GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): 6,181
続いてドラゴンズドグマオンラインのベンチマークです。最高品質のみ測定しましたが、やはり過去最高のスコアとなりました。
参考:
ドスパラ GALLERIA GKF1070NF(Core i7-7700HQ、GTX1070): 5,280、14,030、30,686
DELL ALIENWARE 17(Core i7-7700HQ、GTX1070): 5,257、13,233、29,845
ドスパラ GALLERIA GKF1060NF(Core i7-7700HQ、GTX1060): 3,717、9,989、24,824
ドスパラ GALLERIA GKF1050TNF(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 2,492、6,858、18,179
マウス NEXTGEAR-NOTE i4400GA1(Core i7-7700HQ、GTX1050Ti): 2,449、6,852、20,453
ドスパラ GALLERIA QSF965HE(Core i7-6700HQ、GTX965M): –、5,344、16,987
ドスパラ GALLERIA QF960HE(Core i7-4710MQ、GTX960M): –、4,014、11,109
ドスパラ GALLERIA QHF960HE(Core i5-4210M、GTX960M): –、3,680、10,771
※左からTime Spy、Fire Strike、Sky Diverのスコア
最後に3D Markです。「Time Spy(ハイエンドゲーミングPC向けのテスト)ってこうやるんだよ」って感じでしょうか。当然のようにダントツです。でも、ちょっと思うんですけど、この製品のスペックでダントツになるのは当たり前のことで、むしろドスパラのGKF1070NFとかDELLのALIENWAREとか、ノートPC用のパーツを使用したハイスペックマシンって、デスクトップのゲーミングPCにそれほど大きな引けをとらないんだなあ、なんて思ってしまいました。
6.まとめ
マウス NEXTGEAR-NOTE i7901はマウスコンピューター公式サイトで販売中で、価格は税込み356,184円から(今回の試用機のスペックです)から、となっています。さすがに高価格ですが、妥協を排除した最高品質のゲーミングノートPCであることを考えれば、割高であるとも言えません。
試用中にこの製品の限界を試すことはできませんでした。おそらくヘビーゲーマーが極めて難易度の高いゲームを実際にプレイしてみないとゲーミングマシンとしての性能差を評価するのは難しいと思います。ビジネス系の作業をいくら試してみてもこの製品の性能の限界を理解するのは困難でしょう。
私はこれまで多くのゲーミングノートをレビューしていますが、オンラインゲームにどっぷりハマっているような人を別とすれば、中下位のゲーミングノートでも快適に使えるだろう、というのが感想です。GeForceのPascal世代で言えば、GTX1050でも1070でもあまり体感差はなく、ベンチマークテストをやってみてようやく性能差を評価できる、という感じです。
この製品ははっきり言ってライトゲーマーには不必要に高性能だと思います。筺体は大きくて重く、バッテリーも持ちません。個人的にはこの製品の半値くらいで販売されているGTX1050とか1050Tiを搭載したもので全然不満はないと感じますし、それらの製品のほうがより普通のノートパソコンに近い特性を持っています。
この製品が真価を発揮するのは、腕の伴ったゲーマー、もしくは高度な動画編集や画像加工をする人が使った場合だと思います(静止画ならオーバースペックかも)。そうなると、RAMも64GBまでめいっぱい積んだほうがいいですし、ストレージも大容量のSSDで固める必要があると思いますので、価格の方も軽く40万円越えとなります。特に上級ゲーマーにしてみると、「ノートPCとしての限界を越えた性能」なので、お金には替えられない強烈な魅力があるだろうと思います。ハイレベルになると、些細な挙動を改善するためにものすごいコストがかかる、というのはゲームだけでなく、コンピューターの世界の常識だと思いますし。
それと、十分な予算があって、限界まで高性能なノートPCにロマンを感じる人にもおすすめかな?
コメント
これ、去年の暮れにskylake搭載でのモデルが出てたんですよね
中身がほぼ同じデスクトップに比肩する高性能ですが、店舗で試用した限りだと排熱が凄まじく、外部からの追加冷却がないと長時間の使用は辛い代物だった記憶があります
因みに、一般的なデスクトップCPUに関しては、現在はAMD社のRyzen7 1800Xが最強ですね
それの下位モデルの1700は$329、日本円で税込み4万円程度というi7-7700kと同程度のコストながら、8コア16スレッドというi7の2倍のコア数にIntelの2世代前と同程度のIPC(クロック辺り処理能力)という超性能で、Intel製高性能デスクトップCPUをほぼ全て過去の物としてくれました(例外はサーバー用CPUのXeonとその流用のi7EEの10コアモデル等、事実上まだ商品展開してない範囲のみ)
これを搭載したノートパソコンがASUSから発売されるとかされないとか……
モバイル用やサーバー用など、今後予定されている展開にも目の離せないCPU筆頭といえます
こんにちは、コメントありがとうございます。発熱の問題は短時間の試用だとよくわからないのですが、もう少ししっかりチェックすべきだったかなあ、と思います。CPUに関してはAMDとIntelでファン層が異なり、うかつなことは書けません。がどうしてもIntel優先で見てしまうので、AMDについても可能な範囲で情報をとっていきたいと思います。
折角の4kなのにFFベンチの方がフルHD・・・
こんにちは、コメントありがとうございます。DDONですよね?DDONは4K解像度ではテストできないんです。また、解像度を合わせたほうが他機種との性能差を確認できますしね。
ここまで来たらデスクトップで良くね?と思ったりします。持ち運ぶには稼働時間が短過ぎる。
PYUさん、こんにちは、コメントありがとうございます。たしかにそうなんですけど、室内の移動とかするじゃないですか。あと、一時的に片付けたりとか。稼働時間に関してはおっしゃる通りで、ノートPCとしては無理がありますわ。