レノボが折りたたみ式ディスプレイを搭載するPC「ThinkPad X1 Fold(16.3)」を発表しました。13.3インチの従来モデルからサイズがガラッと変わり、16.3インチに大型化しました。レノボでは製品名に「Gen1、Gen2」などの番号を振って世代を表しますが、このX1 Fold(16.3)にはそれがありません(普通ならGen2となるはず)。なので、リニューアルと言うよりは全くの新製品と理解するほうが良さそうです。
1.ThinkPad X1 Fold(16.3)スペック
ThinkPad X1 Fold(16.3) | |
OS | Windows 11 Home/Pro |
CPU | Intel Core i5-1230U/Core i5-1240U/Core i7-1250U/Core i7-1260U |
外部GPU | なし |
RAM | 8GB/16GB/32GB(LPDDR5、オンボード) |
ストレージ | 256GB/512GB/1TB SSD |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 16.3インチOLED(2,560 x 2,024)タッチ |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.2、(5G) |
入出力 | USB4 Type-C(Thunderbolt 4)× 2、USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力対応) |
カメラ | Webカメラ(5MP)顔認証対応 |
バッテリー | 48Wh/64Wh(最大14.5時間) |
サイズ | 展開時:345.7 x 276.2 x 8.6 mm 折りたたみ時:276.2 x 176.2 x 17.4 mm |
重量 | 本体:1.27 kg/キーボード+スタンド:627 g |
コメント
10月5日現在、「近日発売」となっており、国内仕様のバリエーション展開やカスタマイズ項目については不明です。CPUは第12世代(Alder Lake)の超省電力タイプが搭載されます。
これはPassmarkが公表しているベンチマークスコアです。右の2つが一般的な最新モバイルノート/スタンダードノートに搭載されているCore i7、左の3つがX1 Fold(16.3)に搭載されているCore i5/Core i7です。なお、Core i5-1240UはPassmarkにデータがありませんでした。
X1 Fold(16.3)に搭載されるCore i5/Core i7はTDP(PBP)が9Wと低くなっている(Core i7-1250UのTDP表記は誤りで、実際には9Wです)ため、右の2つのCore i7よりもパフォーマンスが劣るとされていますが、このスコアを見る限り、それほど気にしなくても良さそうです。ウインタブの経験上でも、第11世代CPUでは省電力タイプと超省電力タイプの性能差はあまり大きくは感じられませんでした。
RAMは8GBから32GBまでが設定されており、「オンボード」なので購入後の増設や換装はできません。というか、おそらく筐体サイズや筐体構造から見て、一般ユーザーが安易に筐体内部にアクセスできる構造にはなっていないと思います。SSDは256GB/512GB/1TBです。「M.2」など形状の説明はありませんでした。
ディスプレイは16.3インチの有機EL、解像度は2,560 x 2,024です。メーカー発表では「アスペクト比4:3」となっていますが、4:3だと2,560 × 1,920になるので、実際は4:3よりもさらに少し短辺が長い形状です。また、これもメーカー発表ですが、半分にして使う(下半分にキーボードを載せて使う)場合は12インチ相当のサイズになるとのことでした。
先に画像を載せておきます。この画像の右端が「ディスプレイを半分にして使う」場合ですね。
通信まわりではWi-Fi6とBluetooth 5.2に加え、オプションで5G/LTEにも対応します。
2.ThinkPad X1 Fold(16.3)筐体
本体は大型のタブレットです。中央から折り畳める構造になっています。サイズの違いはありますが、このあたりの構造は従来モデルと同じです。
このように、タブレット形態で中央を任意の角度に折り曲げて使えますし、ペン入力も可能です。ペンはオプションで4,096段階の筆圧検知に対応しています。
タブレットだけでもソフトウェアキーボード(ディスプレイに表示される仮想キーボード)を使って文書作成などができますが、オプションでBluetoothキーボードも用意されています。
これはレノボの米国サイトにあった画像です。英語配列になっていますが日本仕様は「フルサイズ・キーボードキーボード (6列)、88キー (Fnキー、PgUpキー、PgDnキー、Windowsキー、指紋認証キー)、JIS配列、TrackPoint、ThinkPadクリックパッド、バックライト・キーボード(カスタマイズによる選択)」と開示されています。見た感じ赤いデベソ(トラックポイント)もありますし、キートップ中央が大きく凹んだThinkPadらしい形状です。
ヒンジは新設計になったそうです。折りたたみ式のスマホもそうですが、折りたためるディスプレイの場合、どうしても中央部分に折り目がついたりしますので、X1 Fold(16.3)がどのくらいの耐久性を備えているのかが気になるところです。なお、ディスプレイに折り目がつく、つかない、という話とは別に、この製品の筐体はMIL規格(MIL-STD-810H)に準拠した高い堅牢性を備えています。
背面です。筐体素材は不明ですが、手で持ったときに滑りにくいような加工になっています。
各部名称です。X1 Fold(16.3)には3つのUSB Type-Cポート(うち2つがThunderbolt 4)があるのみで、HDMIやイヤホンジャックはありません。また、DC-INジャックも見当たらないので、充電/給電もType-Cポートを使います。まあ、本体がタブレット形状なので、こんなものかと。
サイズですが、展開時(ディスプレイを開いた状態)はタブレットとしてはかなりの大きさになります。重量も1.27 kgありますので、片手でひょいひょいと振り回せるようなサイズ感ではありません。一方で折りたたんだ状態だと一般的な13.3インチのモバイルノートよりも一回り小さくなります。ただし、物理キーボードとスタンドの重さが合計で627 gありますので、本体+キーボードで1.5 kg以上となる可能性が高く、15.6インチのスタンダードノートと大差ない重さになってしまうでしょう。
3.ThinkPad X1 Fold(16.3)価格など
Lenovo ThinkPad X1 Fold(16.3)はレノボ公式ストアで10月中旬以降の発売予定で、プレスリリースでアナウンスされている価格は542,300円(税込)から、となっています。従来モデルの割引が拡大し、20万円を切る価格から購入できるようになっていますので、それを思えばかなりのお値段ではあります。ただし、レノボ公式ストアでの実質的な直販価格はもう少し安くなるだろうと思います。
スマホでは少しずつ数が増えてきたように思われるディスプレイ折りたたみ式。数年先にはこのタイプが主流になるのかもしれん、と思いつつも、なかなか競合製品が出てきませんね。ASUSがZenbook 17 Fold OLEDをもうすぐグローバル発売するようですが、日本発売の情報はありません。また、少し前から他社でも試作機ベースでは類似製品が出てきてはいるんですけどね。
新しいX1 Fold(16.3)、ぜひ使用感を確認してみたいものです。