
BeelinkのミニPC「ME Pro」の実機レビューです。この製品はもちろんミニPCとしても使えますが、M.2 2280スロットを3つ、3.5インチ (2.5インチサイズにも対応)のHDDドライブベイを2つ搭載しており、ホームサーバーあるいはNASとしても使えます。…というか、NAS/ホームサーバーとしての用途を無視してしまうと割高に感じられる製品です。
昨年はライターのnatsukiさんが「GMKtec NucBox G9」を、またライターのオジルさんが「UGREEN NASync」をレビューしており、「パーソナルな大容量ストレージ」は人気となっていると思います。2026年もこの傾向が続くのかもしれません。
この記事において下記の定義で用語を使用します。
・ホームサーバー:PC用OS(この記事ではWindows)で同一ネットワーク上に置かれるもの
・NAS:専用OS(DSM、QTS、TrueNASなど)で用途がストレージ/サーバーに限定されるもの
この定義は完全に正確なものとは言えませんが、一般的な認識には合致しているものと思います。
なお、このレビューはメーカーからのサンプル機提供によって行っています。
・M.2 2280スロット×2、HDDスロット×2
・モジュール式筐体で、マザーボードの取り外しも可能
・付属のレンチで容易に分解可能
・筐体の工作精度は抜群!
・マザーボードが交換でき、将来的に高性能CPUに変更できそう
ここはイマイチ
・搭載CPUの型番だけで判断すると割高
目次
1. スペック
スペック表
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Home |
| CPU | Intel N95/N150 |
| RAM | 12GB/16GB (LPDDR5-4800MHz) ※オンボードメモリのため増設・換装不可 |
| ストレージ | 128GB/512GB/1TB SSD ※M.2 2280 PCIe 3.0スロット×3 ※2.5/3.5インチ SATA HDDベイ×2 |
| ディスプレイ | なし |
| 無線通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.4 |
| インターフェース | USB Type-C (10Gbps) USB 3.2 Type-A (10Gbps) USB 2.0 Type-A×2、HDMI (4k@60Hz) オーディオジャック LAN (RJ45、5GbE) LAN (RJ45、2.5GbE) |
| カメラ | なし |
| バッテリー | なし |
| サイズ | 166×121×112 mm |
| 重量 | 1,552 g (実測値、HDD未搭載時) |
※レビュー機は海外から送られてきたサンプル品ということもあり、本体およびパッケージに技適マークは確認できませんでした。性質上有線LAN接続で使用することが見込まれる製品ではありますが、今回のレビューではWi-Fiを無効化し、有線LAN接続のみで各種テストをしています。なお、内蔵されているWi-FiモジュールはMediaTek MT7920であり、モジュールには技適マークがあります。
バリエーションモデル
・N95/12GB RAM/128GB SSD
・N95/12GB RAM/512GB SSD
・N95/12GB RAM/1TB SSD
・N150/16GB RAM/512GB SSD
・N150/16GB RAM/1TB SSD
2. 外観

同梱物です。左からACアダプター、LANケーブル、HDMIケーブル、取扱説明書、画像下部にネジ2種類があります。ACアダプターは出力が100Wで日本のコンセント形状に合うもの、取扱説明書は日本語を含む多言語で書かれており、内容はわかりやすいものでした。ME Pro特有の注意事項も含まれていますので、PCにあまり詳しくない人はもちろん、PCに詳しい人も使用前に必ず取扱説明書に目を通しておくことをおすすめします。

前面です。下部に電源ボタンとUSB 3.2 Gen 2 Type-Aポートがあります。ちょっとレトロな雰囲気で、カッコいいデザインだと思います。

背面です。上部にメッシュのカバーがついていますが、この中身については後述します。カバーの下の部分は「着脱可能なマザーボード」です。
下部には通気口があり、その下にポートが多数あります。画像左からDC-INジャック、2.5GbEの有線LANポート、5GbEの有線LANポート、HDMI、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.2 Gen 2 Type-C、イヤホンジャックがあります。

側面

上面
側面には何もなく、上面にはBeelinkのロゴマークがあるのみです。筐体は金属製で「肉厚」と言いますか、厚手の金属で覆われています。明らかに一般的なミニPCとは異なる重厚な質感です。実際、重量も2.1 kgとかなり重いです。

底面です。中央にラバーのカバーがついており、その中に六角レンチが入っています。ME Proの筐体は基本的にこのレンチだけで開口できます。そしてラバーの周囲にも金属製の蓋がついているのがわかります。

ラバーを外し、付属の六角レンチでネジを外します。

蓋を開くと、M.2 2280スロットが3つ出てきます。一番下のスロットには初期搭載の512GB SSDが装着済みになっており、上 (3と書かれている部分)と真ん中 (2と書かれている部分)は空きになっています。プリインストールされていたSSDは「WD PC SN540 SDDPNPF-512G」でした(ベンチマークスコアについては後述します)。
蓋の裏側にはサーマルパッドが貼られています。つまり、蓋の部分がヒートシンクとしての役割を果たしています。

次に背面のカバーを開いてみました。このカバーはマグネットで本体に取り付けられているので、工具なしで取り外しができます。カバーの中にはHDDドライブベイが2つ。ドライブベイは付属の六角レンチを使って取り外すことができます。

ドライブベイを取り出しました。ME ProはSSD (OSが入っている)が付属 (装着済み)しますが、それ以外のSSDやHDDは付属しませんので、自分で用意する必要があります。

私はレビューに使えそうなHDDを持っていなかったので、Amazonで整備済み品の2TB HDDを2個購入しました。昨今、メモリ価格が急騰していますが、この件は皆さんご存じかと思います。メモリに関連してSSDやHDDの価格も上昇しているようで、私が購入したような安価なもの(購入時は1個7,065円でした)はかなり品薄になっているようです。レビュー記事とは直接関係ないかもしれませんが、ご留意ください。

HDDを取り付けます。ここも付属のネジとレンチで簡単に作業ができます。「HDD装着の向き」などがわからない人は取扱説明書を読んでみてください。向きについてもしっかり説明されています。

ちょっとわかりにくいですが、ネジにはゴムパッキンがついており、動作時の振動を軽減してくれます。

HDDをドライブベイに取り付けたら本体に入れます。ここも付属のレンチでしっかりネジ止めします。

マザーボードも取り外してみました。ただ、ME ProのCPUはモバイル用のIntel N95ですしRAMもオンボードメモリなので、「特にやることはない」です。冷却ファンが立派だよなあ、というくらいの印象ですね。…まあ、私がそうでしたし、皆さんもME Proを購入したらとりあえず一度はマザーボードを外してみるんでしょうけど。
なお、マザーボードの取り外しにあたっては、あらかじめ底面のカバーを外しておくことが必要です。

このマザーボードは交換可能です (この記事執筆時点だとマザーボードのみの販売は開始されていません)。そのため、将来的にIntelやAMDの高性能CPUが搭載されたマザーボードが販売される可能性もあり、「先行きが楽しみ」な構造と言えます。
一通り筐体の外観を確認し、分解してみましたが、その「工作精度の高さ」には驚かざるを得ません。また、分解する過程で「ケーブルが一本も露出していなかった」です。完全なモジュール式筐体と言っていいと思います。ウインタブでは過去にここまで精密な作りの中国PC・タブレットを見たことがありません。
3. ベンチマークスコア
ME Proの特殊性はいったんおいて置き、ベンチマークテストを実施してみました。
表計算ソフトやビデオチャット、画像加工など、実際のビジネスシーンをシミュレートしたテスト、PC Markのスコアです。ビジネス系のPCの性能測定で重視すべきベンチマークテストと言えます。
過去データ:
ACEMAGIC AX15 (Intel N150):3,178
Lenovo A100 (Intel N100):2,655
GMKtec NucBox G9 (Intel N150):2,639
「だいたい想定通り」のスコアだと思います。最新のCopilot+ PC対応のCPU (Intel Core UltraシリーズやAMD Ryzen AI 300シリーズ)だと6,000~7,000点くらいは出ますが、ME Proの搭載CPUであるIntel N95はエントリー型番なので、それらの型番には遠く及びません。
ただ、これではもっさりしすぎて使い物にならないか、と言われればそれも違いますね。動画編集とかPCゲームなどの高負荷な用途は厳しいですが、表計算ソフトを使うとか、ブラウザーでWebアプリを動かすとか、動画を視聴するとかの用途であればほぼストレスを感じることなく使える水準です。

次にストレージの読み書き速度を測定するCrystalDiskMarkのスコアです。左端がプリインストールされていたSSDのもの、中と右が私が別途購入したHDDのものです。上にも書きましたが私が購入したのは「Amazonで販売されていた安価な整備済み品」です。まあ、HDDなんでこんなもんかと思います。
プリインストールされていたSSDは「WD PC SN540 SDDPNPF-512G」で、PCIe Gen3 x4に対応するものですが、ME ProのSSDスロットは「M.2 2280 PCIe 3.0 x2」が1つ、「M.2 2280 PCIe 3.0 x1」が2つと開示されており、このスコアはx2接続のものと思われます。実際のところ、ノートPCの上位モデルのスコアには及びませんが、ME Pro用としては十分な速度だと思います。
4. 使用感
ME ProはホームサーバーあるいはNASとして使うことも考慮されたミニPC…、と言いますか、むしろホームサーバー、NASのほうに比重が置かれた製品だと思います。
今回は、「普通にミニPCとして軽めの作業 (ウインタブの記事執筆など)に使う」「ホームサーバーとして使う」の2通りを試しました。なお、両者は「排反」ではなく「ミニPC兼ホームサーバー」として使うことももちろん可能です。
ミニPCとして

この画像では27インチのPCモニターにテンキーレスのコンパクトキーボードとワイヤレスマウスを接続しています。ご覧の通り、一般的なミニPCよりもかなり大きく、存在感がありますよね。また、VESAブラケットを使ってPCモニターの背面に取り付ける、といったこともできません (できるかもしれませんが、そうするには筐体が大きく、重すぎます)。
とはいえ、デスクトップPCと比較すると明らかに小さいです。また、「デザインがいい」とまでは言えませんが、重厚で前面がちょっとレトロな雰囲気なので、個人的には見苦しさは感じませんでした。
使用感ですが、「Intel N95搭載機なり」です。ウインタブの記事執筆 (ブラウザー上でテキスト入力をしたり、フリーの画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工をしたり、など)程度であれば全くストレスを感じません。というか、このくらいの軽作業ならCore Ultraとかと比較してもそれほど大きな体感差はないですね。
ただし、アプリの起動時間が若干長く感じられますし、Windows アップデートにかかる時間はCore Ultra搭載機の数倍 (体感ベース)でした。なので、負荷の高い作業には向きませんし、その場合は忍耐が必要になります。
それと、HDDの騒音ですが、コンパクトな筐体の割には静かで振動も抑えられていると思います。ただし、NAS専用製品を試していないため、これらの製品との比較はできません。ファン音についても常時聞こえますが、常識的なレベルというか、使っていて不快な印象はありませんでした。
ホームサーバーとして
Windowsの標準機能を使ってホームサーバーとして使ってみました。要するにME Proのストレージの共有を許可し、他のデバイスから利用できるように設定した、ということです。なお、共有の設定やRAIDの設定については別記事で説明する予定です(近日中にME Proを使って別記事を執筆します)。私としては「RAID 1 (ミラーリング、ME ProのHDD1とHDD2に同じデータを書き込み、万一片方が壊れてもデータが保護される、というもの)」構成にしたいと思っていますが、このレビューではそれをしていません。
ME ProのHDDを共有した状態で、メインで使用しているデスクトップPCから1GBほどのデータを保存し、また、保存したデータを開いてみました。この状態 (ME ProのHDDに同一LAN内にある別のPCからアクセスする)はインターネット回線は経由せず、宅内の回線のみでの通信となりますので非常に高速です。私の手持ちのルーターはデータ転送速度が最大1Gbpsですが、おそらく最大に近い速度が出ていると思われ、大容量のデータも(体感的には)ストレスなく読み書きできました。自宅のネットワーク上にファイルサーバーを置くメリットは非常に大きいと感じましたね。
ただし、ホームサーバーとしての機能をしっかり発揮するのはそんなに容易ではありません。PCにせよスマホにせよ、同一ネットワーク上にある場合はデータアクセスは非常に簡単・快適なのですが、例えば屋外からスマホでホームサーバーにアクセスしたい場合はVPNの設定が必要になり、この操作はそれほど簡単なものではありません。
また、IPアドレスを使って共有する場合、ME Proの電源をいったん落としてしまうと、再度起動した際にIPアドレスが変わってしまうことがあります。これを回避するためにはルーター側でIPアドレスを固定する設定が必要になります。PC同士の場合はIPアドレスではなくPC名で接続すればいいのですが、スマホの場合はPC名だとうまく接続できないケースがあります。
それと、特定のアプリでうまくサーバーのデータにアクセスできないケースがありました (私の場合、GIMPではサーバーにアクセス不能でした)。
これらの不具合はそれぞれに回避方法があると思うので、その都度対処していけばいいのですが、NAS OSの場合は不具合の可能性は一気に下がると思われますので、思い切ってNAS OSを導入する、というのも手でしょう。
5. クラウドストレージとどちらがいい?
| 観点 | ホームサーバー | クラウドストレージ |
|---|---|---|
| LAN内速度 | 非常に速い | 回線依存 |
| 外出先アクセス | 設定が面倒 | 得意 |
| 初期設定 | 必要、難易度は程度問題 | 不要 |
| 災害耐性 | 低い | 高い |
| 信用リスク | ない | ある |
| 機器故障耐性 | 自己責任 | サービス側 |
| 同期・共有 | 手動 | 自動・洗練 |
私はpCloudのストレージ買い切りプラン2TBを契約(購入)し、活用しています。今回ME Proをホームサーバーとして試してみて、上記のようにメリット・デメリットを整理してみました。
ME Proをホームサーバーとして使ってみて、「素晴らしい!」と感じたのは「速度」です。私の自宅の光回線は低速で100Mbpsに届きません (マンション住まいなので、自分で回線工事をすることもできません)。そのため、大容量のデータをクラウドストレージにアップロードする場合はかなりの時間がかかります。この点についてはホームサーバーのほうが圧倒的に高速です。
一方で、速度以外についてはクラウドストレージのほうが使い勝手がいいです。というかほぼメンテナンスフリーですね。スマホでレビュー用の写真や動画を撮影したら、それが自動的にクラウドストレージにアップロードされるので、その中から使いたい写真や動画をPCにダウンロードするだけでよく、私はこの流れがルーティン化しています。
あと、「リスク」についてはどちらも懸念はあります。ホームサーバー側では機器の故障、災害による機器の破損などがリスクとなりますし、クラウドストレージ側では運営者のオペレーションミスや経営破綻リスクがあります。これらのリスクにどう備えるかは人それぞれなので、ここで明確に意見を書くことはできません。個人的には「そんなこと言ってたら何にも使えないじゃん」とは思いますけどね。
6. レビューまとめ
Beelink ME ProはBeelink公式サイトで販売中で、1月23日現在の価格は369ドル (約59,000円)からです。
Intel N95(あるいはN150)を搭載するミニPCとして見ると、価格は明らかに高めです。しかし、これまで見てきたように、ME Proは一般的なミニPCとは設計思想が根本的に異なります。SSDスロットを3つ、HDDドライブベイを2つ備え、さらにマザーボードが交換できるモジュール構造を採用している点は、既存の低価格帯ミニPCでは「ありえない」ことです。加えて、筐体の工作精度は非常に高く、厚手の金属筐体、ケーブルレス設計、六角レンチ1本で完結する分解構造など、国内外の大手メーカー製品に引けを取らないというか、むしろそれ以上の品質だと思います。
現状のCPU性能だけを見ればエントリークラスですが、将来的に高性能なCPUを搭載したマザーボードが登場すれば、本体を丸ごと買い替えることなくアップグレードできる可能性もありますね。この拡張性と堅牢性をどう評価するかが、ME Proの価値判断の分かれ目になるでしょう。
NASやホームサーバーとしての用途を視野に入れ、ストレージ容量や構成の自由度、筐体品質、将来性まで含めて考えるのであれば、369ドルからという価格は必ずしも高すぎるとは言えません。ME Proは「安くてそこそこ使えるミニPC」ではなく、「信頼性が高く長期間安定して使えそうなPC兼ストレージ」です。
7. 関連リンク
2014年にサイトを開設して以来、ノートPC、ミニPC、タブレットなどの実機レビューを中心に、これまでに1,500本以上のレビュー記事を執筆。企業ではエンドユーザーコンピューティングによる業務改善に長年取り組んできた経験を持ち、ユーザー視点からの製品評価に強みがあります。その経験を活かし、「スペックに振り回されない、実用的な製品選び」を提案しています。専門用語をなるべく使わず、「PCに詳しくない人にもわかりやすい記事」を目指しています。
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