HP EliteBook Ultra G1q AI PCの実機レビューです。EliteBookというのはHPの法人向けPCのブランドですが、HPオンラインストアでは個人顧客も法人向けPCを購入できますので、あまり気にする必要はありません。HPは2024年5月に「新しいネーミング構成を構築」する旨のプレスリリース
を出していて、「EliteBook Ultra」というのは新しいネーミング構成に基づいた名称です。もちろん「Ultra」なのでハイエンドクラスのCopilot+ PCです。
なお、このレビューはメーカーよりレビュー機をお借りして実施しています。
・HPの上位PCらしく、薄型で美しいデザイン
・Snapdragon X 搭載のCopilot+ PC
・PolyのWebミーティング用カメラツールは機能豊富
・長持ちバッテリー
ここはイマイチ
・ARM版Windowsでは動作しないアプリもあり
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HP EliteBook Ultra G1q AI PC 製品詳細

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目次
1.製品概要
スペック表
EliteBook Ultra G1q AI PC | |
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Snapdragon X Elite X1E-78-100 |
外部GPU | なし |
RAM | 16GB(LPDDR5X, オンボード) |
ストレージ | 512 GB SSD(M.2 PCIe NVMe) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 14インチ(2,240 × 1,400)タッチ |
ネットワーク | Wi-Fi 7, Bluetooth 5.4 |
入出力 | USB4 Type-C(40Gbps, 映像出力・PD対応) USB Type-C(10Gbps, 映像出力・PD対応) USB3.2 Gen2 Type-A(10Gbps) オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(5MP)顔認証対応 |
バッテリー | 59 Wh(最大26時間59分/MobileMark 25) |
サイズ | 312.9 x 223.5 x 14.4 (最厚部、 突起部含まず)mm |
重量 | 1.349 kg |
コメント
まず、HPの新しいネーミング構成を確認します。
この表によれば、HPの法人向けノートPCは「EliteBook」と「ProBook」に集約され、「Ultra」「X」「8」「6」「4」「2」という名称が付加されます。ただ、個人向けPCで「Spectre」や「Envy」「Pavilion」といったおなじみの名称が使われなくなるのに対し、法人向けのEliteBookとProBookは「これまでと変わらない」ですよね。
今回のレビュー機は「EliteBook Ultra G1q AI PC」なので、この表から「最上位」に位置していることがわかります。
EliteBook Ultra G1q AI PCはスペック表を掲載した単一バリエーション構成です。CPUにSnapdragon X Elite X1E-78-100を搭載する「ARM版Windows機」で、Copilot+ PCの性能要件を満たしています。
…ちょっと脱線していいですか?上でご説明した新しいネーミング構成で、法人向けPCは「3」「5」「7」という「PCの世界ではよく見る、グレードを表現する数字」を使わずに「2」「4」「6」「8」という偶数を使っていたり、(HPの海外サイトではCopilot+ PCと明記されているが)日本の公式製品ページでは「Copilot+ PC」という表現を一切使っていなかったりして、「世界最大のPCメーカーの矜持」を見たような気がします(だからHPは大好き!…さすがに個人向けPCの製品ページでは控えめにCopilot+ PCって書いてますけどね)。
2.外観と使用感
ACアダプター

左:電源ケーブル、中:ACアダプター、右:ウォールマウントプラグ
ACアダプターは出力が65Wで、ノートPC用としては標準的なサイズです(保護用のビニールフィルムが貼られたままの状態で撮影しています。お見苦しくて申し訳ありません)。HPのノートPCには画像右の「ウォールマウントプラグ」が付属します。PC設置場所の近くにコンセントがある場合、画像左の電源ケーブルを使わず、ACアダプターにウォールマウントプラグを直付けできますので、ケーブルが邪魔にならず、持ち運ぶ際も荷物を減らせます。
天板と底面
天板です。中央のロゴはHPの「プレミアムPC用のもの」です。筐体色は新色のアトモスフィアブルー、汚れが付きにくいPVD(物理蒸着)コーティングが施されており、滑らかな手触りです。
底面です。中央上部に通気口、下部の左右にスピーカーグリルがあります。EliteBook Ultra G1q AI PCはPolyのオーディオ・チューニングによるステレオスピーカーを搭載しています。
側面

前面

背面
前面と背面にはポート類やボタン類はありません。筐体の薄さがよくわかります。

右側面

左側面
左右の側面を見ても筐体の薄さが印象的ですが、ポートは少なめです。右側面にイヤホンジャックとUSB Type-A(10Gbps)、左側面にUSB Type-C(画像左がUSB4で40Gbps、右が10Gbps)が2つあり、Type-Cポートはいずれも映像出力とUSB PDに対応します。また、付属のACアダプターを使用しての本機への充電も2つのType-Cポートのいずれかを使います。
キーボード
キーボードです。EliteBook Ultra G1q AI PCの購入検討にあたって、最大の注意事項はここかもしれません。この製品のキーボードは「英語配列のみ」で、日本語配列は選べません。
「英語配列:HP Premium Keyboard(電源ボタン搭載)、防滴機能付き、キーピッチ:後日公開、キーストローク:後日公開、JIS標準準拠・OADG準拠配列、バックライト機能付き」と開示されています。キーピッチは手採寸で約19 mmあり、狭苦しさは感じませんでした。キーストロークは薄型ノートPCとしては標準的です。
キーボードの打鍵感はよく、タイピング音も静かで、長時間のテキスト入力も快適にこなせました。…ただ、「そもそも英語配列のほうが好み」という人もいるとは思いますが、それよりも「日本語配列が当たり前」と思っている人のほうが多いでしょうから、上位クラスのモバイルノートで英語配列のみ、という設定はいかがなものかと…。英語配列でも慣れれば問題なく使えるんですけど、当初は「Enterキーが縦長でなく横長」であるとか、記号キーの配列が異なる(特に@の位置は知らないと焦りますよね)とか、IME切り替え方法が日本語配列と異なる(全角/半角キーがない)といった点で戸惑うことになると思います。
ディスプレイ
「14インチワイド(16:10)2.2K 液晶タッチディスプレイ(光沢、2240×1400ドット、300cd/m²、UWVA)、WLEDバックライト、Low Blue Light」となっており、発色についての数値はありませんでしたが、手持ちのPCモニターと比較し「少なくとも100%sRGB以上」の品質であると評価します。
なお、ビジネス向けクラムシェルノートとしてはやや珍しくディスプレイがタッチ対応し、パネルはグレア(光沢タイプ)です。タッチ対応については「便利に使えてうれしい、また、使わなければ使わないでいい」ですが、グレアタイプというのはビジネスノートとしては賛否が分かれると思います(発色面では有利だが、映り込みが激しくなるので、出先では窓などの光源を背にしないようにするなど、利用場所を選ぶ)。
その他
ヒンジの開口角度はそれほど大きくはありません。最近はヒンジが180度開口する(水平位置まで開く)製品が増えており、水平位置まで開く場合はミーティングの際などに向かい側にいる人と画面の共有がしやすいというメリットがあります。EliteBook Ultra G1q AI PCは水平位置までは開けません。まあ、自分で使うぶんには全く問題ないですけど。
カメラ・マイク・スピーカー
まずスピーカーです。音響アプリは「Poly Studio」ですが、細かい調整項目はありませんでした。それで「素」のままで動画や音楽を鑑賞してみましたが、音質は良好です。低音から高音までクリアな音を聴かせてくれ、音楽鑑賞にも耐える品質だと思います。
次にWebミーティング用のカメラです。EliteBook Ultra G1q AI PCはCopilot+ PCなのでWindowsの設定アプリに「Windowsスタジオエフェクト」機能が入っていますし、HP独自の「Poly Camera Pro」というアプリもあります。
Poly Camera Proは調整項目が多いので、Windowsスタジオエフェクトを使う必要はありません。そもそもPolyは「高品質なオーディオ・ビデオ会議ソリューションを提供する企業であったが、2022年にHPに買収され、HPのハイブリッドワーク向けソリューションの一部として統合された」という経緯がありますので、Webカメラとかマイクのアプリに「Poly」と入っていれば安心、といいますか品質や機能に心配は不要です。
マイクについてもPoly Camera Proで設定をしますが、「AIノイズ除去のON/OFF」「マイクモード(会議モードなど)の切り替え」ができる程度で、カメラほど多彩な調整項目はありません。まあ、ビジネスPCなんでマイクに余計なエフェクトはいらないでしょうね。
4.性能テスト
ベンチマークテスト
EliteBook Ultra G1q AI PCはCPUにSnapdragon X Elite X1E-78-100を搭載するARM版Windows PCです。そのため、ウインタブで毎回のように実施している「PC Mark」は動作せず、「3D Mark」も一部のテスト(Night Raidなど)のみARM64ネイティブ動作するという情報がありますが、アプリ上でその旨が明示されませんので「大丈夫か?」と感じられてしまいます。そのため、今回は明確にARM64ネイティブ動作するCINEBENCH 2024、及びSSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markを実施しています。
ARM版ではないWindows PCも含めた過去データは下記のとおりです。
Core i7-14700:122、1,177
Core Ultra 7 258V:121、676
Core i9-13900H:117、687
Core Ultra 9 185H:111、910
Ryzen AI 9 HX 370:110、942
Ryzen AI 9 365:109、1,008
Snapdragon X Elite X1E-78-100:108、1,038
Ryzen 9 8945HS:108、958
Snapdragon X Plus X1P-42-100:108、754
Ryzen 7 8845HS:106、956
Ryzen 9 7940HS:106、914
Core Ultra 7 155H: 105、964
Core Ultra 7 155U:101、533
Ryzen 5 8645HS:98、585
Snapdragon X X1-26-100:95、601
Core Ultra 5 125U:95,533
Core Ultra 5 125H:95、516
Ryzen 9 PRO 6950H:93、774
Ryzen 7 PRO 6850H:91、765
Ryzen 7 5825U:85、590
Ryzen 3 5425U:78、365
※左からシングルコア、マルチコアのスコア
過去データとの比較ではCore Ultra 7 155HやRyzen 7 8845HSあたりといい勝負になっています。一方で同じSnapdragon X Elite X1E-78-100搭載機の過去データよりもマルチコアのスコアが低めとなりました。
このスコアですが、当然ARM64ネイティブ化されているアプリ(Microsoft Office、Google Chrome、Adobe Photoshopなど)であれば、Core Ultra 7やRyzen 7と同等の快適性が確保されていると言えます。また、Webブラウジングや動画視聴、SNSといった用途であればARM64ネイティブ化されていないものでも全く問題なく動作すると思います。
ただし、現状「動画編集、PCゲーム、3Dレンダリング」に使用するソフトウェアの多くはARM64ネイティブではなくエミュレート動作になるはずで、これらの「いわゆる重い」操作についてはCore Ultra 7やRyzen 7などよりも快適性が劣ると思います。また、一部のWindowsアプリは動作すらしません(ウインタブでは、上でも説明したPC MarkやGoogle 日本語入力が正常に動作しないことを確認しています)。
CINEBENCH 2024のスコアを見ると性能は非常に高いと評価できますが、Snaodragon Xシリーズの、そしてCopilot+ PCのセールスポイントである「オンデバイスAI処理能力」をまともに使えるソフトウェア環境が整っていない現状でビジネスPC、それも上位クラスのビジネスPCにARM版Windowsを採用するのは時期尚早なのではないか、と考えます。
ストレージの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markのスコアです。他のPCIe 4.0 ×4接続のノートPCとの比較では「非常に速い」とは言えませんが、決して悪くわけではなく、ビジネス利用ではごく快適に動作する速度が出ていると思います。
バッテリー駆動時間
Windowsの電源モードを「最適な電力効率」に、ディスプレイ輝度を70%に、音量を30%に設定し、キーボードバックライトをオン(2段階あるうちの暗いほう)に設定し、下記の作業をしました。
・画像加工ソフトGIMPで簡単な画像加工を約30分
・ブラウザー上でテキスト入力を約15分
・YouTubeの動画視聴を約35分
※上記トータルの使用時間は約80分
上記作業でのバッテリー消費量は12%でした。単純計算だと1時間あたり9%、バッテリー駆動時間は10時間を越え、11時間強となります。PC負荷の小さい作業ばかりでしたが、それにしても11時間もバッテリーが持つ、というのは素晴らしいですね!ARM版Windowsのメリットが出ていると思います。
5.レビューまとめ
HP EliteBook Ultra G1q AI PCはHPオンラインストアで販売中で、3月13日現在の価格は252,780円です(別途送料3,300円がかかります)。また、この製品はウインタブ読者クーポンが使えますので、クーポン適用時の価格は245,969円(送料込み)です。
筐体の品質はさすがHPのトップモデル、と感じさせてくれるものだったと思います。ただし、CPUがSnapdragonでOSがARM版Windowsである、ということには注意が必要です。今後普及するであろう「オンデバイスAI」の活用という点では期待ができますが、逆にオンデバイスAIを無視して購入検討するのであればあえて仕事用のPCでSnapdragon搭載機を選ぶメリットは小さく、むしろ「動作しないアプリがありうる」ことのデメリットのほうが気になってしまいますね。
6.関連リンク
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HP EliteBook Ultra G1q AI PC 製品詳細:HP
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