こんにちは、オジルです。富士通 LIFEBOOK UHシリーズ(2023)WU-X/H1の実機レビューをお届けします。タイトル通りになりますが、大事なことは何度でも述べるのが私の信条。14インチのノートパソコンで689gは尋常ではありません。そして軽量でありながら、パソコンとしての機能や使いやすさをきっちり維持している素晴らしさ。…富士通の本気、しかと見せていただきました。
・これパソコン?と錯覚してしまうほどの超軽量、片手でラクラク持てる
・クセがなく使いやすいキーボード。かな印字の有無を選択できるのがうれしい
・ただ軽いだけでなく、ポート類の充実や静音性など実用面も充実
ここがイマイチ
・本体のみのバッテリー駆動では心もとなく、長時間持ち運んで使うならACアダプターやモバイルバッテリー必須
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目次
1.LIFEBOOK WU-X/H1 スペック
LIFEBOOK UHシリーズにはカタログモデル(家電量販店などで販売されるもの)とカスタムメイドモデル(富士通WEB MARTで販売されるもの)があり、今回はカスタムメイドモデルの最軽量モデル「LIFEBOOK WU-X/H1」がレビュー機となります。カスタムメイドモデルに関する詳細は紹介記事に記載されていますので、気になる方はチェックしてみてください。
紹介記事:
富士通 LIFEBOOK UHシリーズ(2023)- ディスプレイサイズが大きくなった超軽量モバイルノート、最小重量は689 g!
スペック表
LIFEBOOK WU-X/H1、WU2/H1、WU4/H1 | |
OS | Windows 11 Home / Pro |
CPU | Intel Core i3-1315U/Core i5-1335U Core i7-1355U/Core i5-1340P/Core i7-1360P |
RAM | 4GB/8GB/16GB/32GB |
外部GPU | なし |
ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB / 2TB SSD (PCIe) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 14インチ(1,920 × 1,200) |
ネットワーク | 802.11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 、(LTE/5G) |
入出力 | USB4 Type-C(Thunderbolt 4)× 2、USB3.2 Gen1 Type-A × 2、HDMI、LAN(RJ-45)、SDカードリーダー、オーディオジャック |
カメラ | Webカメラ(207万画素)顔認証対応可 |
バッテリー | 25Wh / 64Wh 最大約11-29.5時間 |
サイズ | 308.8 × 209 × 15.8-17.3 mm |
重量 | 最小約 689 g(カスタマイズにより変動) |
コメント
レビュー機の構成は、OS:Windows 11 Home、CPU:Core i7-1355U、RAM:32GB、SSD:256GBとなっていました。
第13世代のCore i7にRAM32GBと、外部GPUは非搭載ですが日常使用で困ることはないでしょう。カスタマイズでRAMを16GBにすることもできますが、個人的には動画編集などの重い作業をする機会がないなら16GBでいいかなと。また、最軽量モデルの最安構成はCore i5-1335U・RAM8GBとなっており、とにかく軽さ重視で価格を抑えたい場合にはその選択も大いにアリ(一般的なオフィスワークなら快適)だと思います。
繰り返しになりますが、やはり目を引くのは重量です。この689gという数字、実際に持ってみないといまいちピンとこないかと思いますが、多くの方がイメージしやすそうなものを例に挙げてみましょうか。たとえばiPadに純正のキーボードカバーを装着した組み合わせは計750g前後です。また、iPad Proの12.9インチは本体のみで重量682g、さらに純正のキーボードカバー(軽いほう)の408gを加えると1kg超え。11インチのタブレット+キーボードの重量を凌駕しているのはすごいですよね。
余談ですが、レビュー品が届いたタイミングで私は会社にいたため、在宅の妻が受け取りました。その際に「箱のわりにやたら軽いけど何が入ってるの?」と質問され、パソコンだよと伝えたら「いやいやそんなはずないでしょw」と半信半疑だったほどです。そして帰宅後に開封して持たせてみたら、驚きとともに「こんなに軽いノートパソコン触っちゃったら普通のやつ持てなくなるじゃん…これ買ってもらわないと困るわ…」と。購入に関しては冗談半分でしたけど、持った瞬間の衝撃たるや、冗談抜きでこれまでに触ってきた軽量のモバイルノートが霞んでしまうくらいでした。
一方、その軽さを実現した代償として、バッテリー容量が25Whと小ぶりなものになっています。駆動時間に関しては次項にて触れます。
2.LIFEBOOK WU-X/H1 筐体と使用感
外観
まずは天面部分から。隅にロゴが控えめに入っているだけのシンプルなもので、個人的にこういった主張の少ないデザインは環境を選ばないためとても好きですね。手触りはマットで、若干指紋が付きやすい印象を受けます。
底面部です。内部へのアクセスは容易にできない造りとなっていて、ゴム脚も必要最低限といったところですが特に滑りやすいようなことはありません。画像下部に配置されているメッシュ部分がスピーカーです。音質に関してはDolby Atmos搭載とはいえ、やはり音が下に向かって出る構造上、そこまで高評価できるものではありません。かと言って程度が低いというわけではなく、あくまで及第点レベルだと思います。Youtubeでの動画視聴時には特に不満もありませんでした。低域は弱めです。
左側面です。左から順に、セキュリティスロット(盗難防止のワイヤーなど取り付けるところ)、USB Type-C(3.2 Gen2)×2、USB Type-A(3.2 Gen1)、オーディオジャックとなります。Type-CはUSB PDと映像出力に対応し、WU-X/H1本体を充電する際もこのどちらかを使用します。
右側面です。左から順に、micro SDカードリーダー、USB Type-A(3.2 Gen1)、HDMI出力端子、LANポートです。SDが標準サイズではなくmicroサイズになっているのが時代だなあ、と感じるとともに、実際のところ標準サイズだと取り付けた際に出っ張りが地味に気になったりしますから、こういったモバイル需要のあるノートPCならmicroサイズのほうがその影響が少なそうなので良いんだろうな、とも思います。
左右の側面をご覧いただきましたが、Type-A/Cで計4つ、SDカードリーダーや標準サイズのHDMIにLANと、このサイズ(というか軽さ)にしてはだいぶ充実しているのではないでしょうか。軽さを追求するあまりポート類が犠牲になると残念な気持ちになってしまいますが、そこはやはり安心・安定の国内メーカー。富士通の技術力を評価したい部分です。
少し話は変わりますが、WU-X/H1は笑っちゃうくらい軽い、しつこいようですけど本当に軽いんです。実はPCじゃなくてモックアップなんだと言われても信じてしまいそうなほど軽くて壊れないか心配になりますけど、そこも大丈夫。天面カバーはカーボン素材ですし、約76cmからの落下や約200kgfの全面加圧など耐久試験もクリアしているため、堅牢性もしっかり備えているのがポイントです。
ディスプレイ部分は最大で180°まで開口します。ビジネスマンであれば「商談時に対面で画面を共有するのに適します」と書くのが普通だと思いますけど、フルフラットの状態で見せる機会は私の中ではまずないんですよね…。それよりも「これ以上開くとバキッといきそう」になる不安がないのって結構ありがたくないですか?私だけでしょうか。
ディスプレイ・カメラ
ディスプレイは14インチのノングレア(非光沢)液晶で、解像度は1,920×1,200。最近流行りのアスペクト比16:10なので縦の領域を広く使えます。ご覧の通りベゼルは上下左右ともに狭く、視野角や発色についても使っていた限りでは何ら問題はありませんでした。
ディスプレイ上部のWebカメラは207万画素と比較的高品質なものを搭載しています。また、カメラの左にはプライベートシャッターを備え、スライドさせることで物理的にカメラを塞ぐことが可能になっています。
キーボード
キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライトは搭載しません。キーピッチは19mm、キーストロークは1.5mmと開示されています。また、右上の電源ボタンは指紋認証との兼用になっています。このキーボード、よく見ると「かな」がありませんよね。WU-X/H1はかな表記の有無を選択できるようになっています。あってもなくても…と言ってしまえばそれまでなのですが、かな入力を一切しない人(だいぶ多いはず)にとっては存在価値が皆無なわけで、かな表記がないだけで随分とオシャレに見えるような気がします。
実際にタイピングしてみると、打鍵感はキーストロークがそこまで深くないため若干パタパタした感じにはなるものの、不快ではありません。それよりも、エンターキーやカーソルキーの大きさやサイズなどにクセがないのが心地よいですね。使っていてそれほど感じるポイントではないのですが、キートップが微妙にくぼんでいたり、両サイドのキーが押しやすい設計になっていたりと、「実は快適に使えるような造り」に配慮してくれている辺りにこだわりを感じます。
ディスプレイ部分を一定以上開くとキーボード部分がせり上がる、リフトアップヒンジ構造になっています。キー入力時に若干傾斜がつくことで打ちやすくなるほか、下に空洞ができることで排熱効果にも期待できます。
バッテリー駆動に関して
前述の通り、WU-X/H1のバッテリー容量は25Whと少ないです。14インチならだいたい50Wh以上を搭載している製品が多い中でこの容量ですから、当然見込まれる駆動時間も短くなります。今回、レビュー期間中にじっくりと検証するだけの時間が取れなかったため、あくまでも参考となりますが…
バランスモード(パフォーマンス最優先でないモード)で明るさ50、音量25の状態で1時間の間に40分くらいベンチマークソフトを動かし、10分ほどYoutubeを視聴し、残り10分はブラウジングとキー入力をちらほら、といった内容でバッテリーの減りを確認したところ、約30%の消費となりました。ベンチマークソフトで消耗した影響があるとはいえ、同条件で続けていれば実質3時間くらいしか見込めない計算になります。
もちろん明るさを下げたり、ブラウジングやオフィスソフト利用など事務用途に限定すれば駆動時間を延ばすことはできそうですが、それでも現実的なラインは5時間くらいなのかなあ、と推察します。ですから、たとえば出張先での訪問先が単発とか、そうでなくとも商談時間・内容がボリューミーでないケースなら心配なさそうですけど、それ以外であればACアダプターやモバイルバッテリーの持ち運びは必須と考えておいたほうがよさそうです。
ちなみに付属のACアダプターは出力45Wで重量約250g。サイズもコンパクトですし、本体と一緒に持ち運んでも合計1kg未満なので、重さのストレスとしては従来のモバイルノートよりもはるかに低いとは思います。
発熱・静音性
十分優れていると言えます。私の経験上、ノートパソコンで最も発熱し、ファン音が大きくなるのはベンチマークソフトを走らせている間になりますが、そのいずれのタイミングにおいても発熱やファン音に対して気になることはありませんでした。過去に静音を謳う製品をレビューした際、音は小さいながらも「シャーッ」という音が集中力を阻害していまいそうに感じたことがあったため、それと比較すると圧倒的にWU-X/H1は静かです。
3.LIFEBOOK WU-X/H1 性能テスト
※はじめに
ウインタブのノートPCレビューでは通常、「PCにパフォーマンス設定の項目がある場合は最も高いパフォーマンスが出るモードにし、PCを電源に接続してベンチマークテストを実施」しますが、今回は「PCをバッテリー駆動にしてパフォーマンスのモードを『バランス』にして測定」しています。そのため、通常よりもベンチマークスコアが低いものとなりました。この点あらかじめご了承ください。
ただし、LIFEBOOK WU-X/H1はゲーミングノートのようにベンチマークスコアが重視されるような製品特性ではなく、むしろ、「バッテリー駆動でバランスモード」のほうが「日常的に持ち運んで使う際のパフォーマンス」としてリアルな値になっているかと思います。
まずは、ブラウザやオフィスソフト上での動作など、ビジネスでの利用を想定したシミュレーションを一式動かして判定するPCMarkから。モバイル利用が多そうなWU-X/H1としては、性能をチェックするのに重要な指標が見られるベンチマークソフトと言えるでしょう。
スコアとしては4,915でした。下の表で見ると第12世代のCore i7(末尾「U」のモバイル向け型番のもの)と近しい値になっています。お伝えしたようにパフォーマンス最優先でなくともこの結果となっていることから、第13世代としての性能は発揮できているかと思います。また、レビュー機のRAMが32GBですから、その影響もあるでしょう。言わずもがな、ビジネスシーンでの利用で困ることはまずないと断言できるレベルにあります。
参考(過去データから一部抜粋):
MSI Titan GT77 HX 13V(Core i9-13980HX、RTX4090):9,187
MSI Katana 15 B13V(Core i7-13620H、RTX4050):7,955
ASUS ROG Ally(Ryzen Z1 Extreme):6,654
HP Pavilion 15-eh(Ryzen 7 5825U)5,954
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):5,761
富士通LIFEBOOK NH WN1/H1(Core i7-12700H):5,614
dynabook AZ/HV(Core i7-1260P):5,503
MSI Prestige 13 Evo A12M(Core i7-1280P):5,500
VAIO SX14(Core i7-1280P):5,452
MSI Modern 14 C12M(Core i7-1255U):5,366
VAIO SX14(Core i7-1195G7):5,278
Lenovo ThinkPad X13(Core i7-1165G7):5,205
Lenovo IdeaPad Slim 550 14(Ryzen 5 5500U):5,076
ASUS Zenbook 17 Fold OLED UX9702(Core i7-1250U):5,074
DELL Inspiron 14 AMD(Ryzen 5 5625U):5,031
DELL XPS 13 Plus(Core i5-1240P):4,980
dynabook MZ/HS(Core i7-1165G7):4,967
dynabook SZ/MV(Core i7-1255U):4,902
HP Spectre x360 14(Core i7-1255U):4,834
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):4,833
富士通LIFEBOOK CH WC1/G3(Core i5-1240P):4,613
Microsoft Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7):4,066
グラフィック性能を測定する3D Markのスコアです。WU-X/H1は外部GPU非搭載になりますので、当然ながら搭載機と比べるとスコアは劣ります。結果としては、こちらはパフォーマンスを抑えた設定での影響はそれほど感じられず、特にWild Lifeの近似値で見る限り、新しめのモバイル向けCore i7の性能として妥当な値になっています。これくらいであれば「過度な期待は禁物」と但し書きを付けたうえで、重くないゲームでグラフィック品質を落とせばプレイすることはできるかと思います。
参考1(GeForce RTX3050/GTX1650搭載ゲーミングノート):
MSI GF63 Thin 10U(i5-10500H、RTX 3050):4,187、9,486
Lenovo Legion Y7000(i7-9750H、GTX1650):3,722、8,164
ASUS TUF Gaming FX505DT(Ryzen 5 3550H、GTX1650):3,441、8,036
※左からTime Spy、Fire Strikeのスコア
参考2(外部GPU非搭載のノートPC):
ASUS ROG Ally(Ryzen Z1 Extreme):17,764
MSI Prestige 13 Evo A12M(Core i7-1280P):15,330
VAIO SX12(2022)(Core i7-1260P):14,055
富士通LIFEBOOK NH WN1/H1(Core i7-12700H):13,129
HP ENVY x360-bf(Core i7-1250U):10,684
ASUS Zenbook 17 Fold OLED UX9702(Core i7-1250U):10,931
富士通LIFEBOOK CH WC1/G3(Core i5-1240P):10,009
※Wild Lifeのスコア
最後、SSDの読み書き速度を測定するCrystal Disk Markです。上2段のシーケンシャルに関しては非常に高速ですが、その流れでいくと下2段のランダムに関しては少し控えめな値になっています。ただし高速は高速、使っていてストレスを感じる読み書きにはまずならないかと思います。
4.LIFEBOOK WU-X/H1 レビューまとめ
富士通LIFEBOOK WU-X/H1は富士通の直販サイト、富士通WEB MARTで販売中で、7月4日現在の価格は税込み161,600円からとなっています。なお、購入ページには”お買い物応援クーポン進呈中!”というバナーがあり、クーポン番号を入力することで8,000円の割引が受けられます。また、富士通WEB MARTにアカウント登録(無料)をすると、さらに5%割引が受けられます。7月4日に実際にアカウント登録をし、割引クーポンコードを入力してみたところ、さらに2,000円OFFの後押しクーポンというのが表示され、それも入力したら税込み144,020円となりました(笑)。
スペックのところでお伝えしたように、最安価格での構成はCore i5-1335U・RAM8GBであり、レビュー機と同じ構成にすると215,000円(割引適用後194,750円)になります。個人的には最安構成でも十分使えそうですし、そこは利用する方のニーズに応じて要検討、といった具合になってくるでしょう。
率直に言いますが、パソコンでもスマホでも、国内メーカー製品は総じて奇をてらわない、基本に忠実な、造りがしっかりした、良い意味で「普通のパソコン」が多いと思っている方は少なくないと感じています。普通、つまりほとんどの人が快適に使えるパソコンは堅実かつ無難と言い換えることもでき、チョイスして失敗することはまずありません。WU-X/H1が恐ろしいのは実用水準を維持しつつ、従来の14インチノートPCでは考えられない700g切りのサイズを実現しているところです。こんなの普通じゃありません。もし実機に触れられる機会があるのなら、ぜひとも本体を持ち上げてみてください。持ってしまったが最後、欲しくて仕方なくなってしまっても私のせいではありません。富士通さん、こんなモバイルノートを出すのは「ズルい」よ…。
5.関連リンク
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