ドスパラは12月13日、都内にてイベントを開催し、10.1インチのワコムデジタイザー搭載Windows タブレット「raytrektab DG-D10IWP(10インチモデル)」を発表しました。いまや希少な、8インチでワコムデジタイザーを搭載するWindowsタブレット「raytrektab DG-D08IWP(Siro)」に強力な姉妹機が登場した、ということです。10.1インチ版は単にサイズが大きいだけでなく、スペックも大幅に強化されています。
1.スペック
OSはWindows 10 HomeでCPUはGemini Lake世代(正確には開発コードネーム)、Celeron N4100を搭載します。8インチ版のraytrektabはAtom Z8350なので、ワンランクかツーランクはパワーアップしたことになります。またRAMも8GB、ストレージも128GB SSDと高速かつ余裕のあるものになっています。RAMが倍増というのもうれしいですが、ストレージが8インチ版のeMMCからSSDになったというのも素晴らしいです。
ディスプレイは10インチで解像度が1,920 × 1,200、ドスパラではIPSという表現を使っていませんが、実機を確認したところ、IPS相当の視野角の広いものが搭載されていました。もちろんワコムデジタイザー(「Wacom feel IT technologies」対応液晶パネル)も搭載しており、8インチ版と同様4,096段階の筆圧に対応するペン入力が可能です。
それに関連して、セルシスの「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」も標準でバンドルされ、まさに「生まれながらのお絵かきタブ」と言えます。
「お絵かき」からちょっと視点を変え、「普通のWindows タブレット」と考えても素晴らしいパッケージングだと思います。デタッチャブル2 in 1というところまでを考慮するとこの製品のスペックはめちゃめちゃ高いとは言えないものの、タブレット専用機として見た場合、国内メーカー製品としては希少だと思います。もちろん外付けのキーボードを使えば2 in 1 PCとしても使えます。
また、サイズ感については「大きさ」という点では悪くないと思いますが、重量は657 gと、かなり重いです。一般的な10インチタブレットだと500 g台、Android機であれば500 gを切ることも多いので、それらと比較してしまうとちょっと厳しいものがあります。
なお、バッテリー稼働時間についてはイベントの席上で、「公称値としては未定だが、約7時間と考えてもらえばいいと思います」とのことでした。ドスパラの方によれば「重量が重くなった理由はバッテリーを大型化したというのが最大の理由です。600 gを越える重量は、当社としても重いと思っていますが、デジタイザータブレットというのは基本的にバッテリー消費が激しく、8インチ版だと4時間の稼働時間です。10インチ版では重量増に目をつぶり、バッテリー稼働時間が長くなるようにしました。」というご説明をいただいています。
2.筐体
イベント会場で実機を見ることができました。
前面は「普通」という感じの10インチタブレットです。下部に指紋センサーが装備されます。
背面です。色はシルバーで筐体素材は金属(おそらくアルミ合金)です。エッジ部分がラウンドしていて、ちょっとiPadっぽい雰囲気もありますね。質感はいいです。
左側面です。ポートはご覧の通り決して充実しているほうではありません。USB Type-Cとオーディオジャックのみ。また、カバーに覆われる格好でmicroSDカードリーダーもついています。
スタイラスペンは新設計です。画像上が8インチ版のもの、画像下が10インチ版に同梱されるペンです。ご覧のようにずいぶん長いなあ、と感じました。ドスパラいわく「世界初」とのことで、「どこが世界初なんですか?」と聞いてみたところ「ペン先です。追従性が非常に高くなっています」という説明でした。
ちょっと落書きしてみました。以前8インチ版で試したところ、ペン先をめちゃめちゃ太くして描くと遅延が非常に大きくなったのですが、10インチ版ではペン先を太くしても遅延はほとんど発生しませんでした。
「おそらく読者の方々は、なぜCore m3にしなかったのか?っていうと思いますよ」とドスパラの方に振ってみたところ、「CPUの需給の問題もありますし、コストの問題もあります。しかし、Atom Z8350よりは格段に高性能ですし、RAMも8GBにしていますので、挙動は大幅に改善しました。また、ストレージもeMMCではなくSSDにしたので、その点も貢献していると思います。」とのことでした。
「実際、イラストを描かれている方なら、使っていて特にもっさりしたり、大きな遅延を感じたりはしないと思います。」ということも言われていました。
専用のキーボードも用意されます。別売りで税込み4,000円とのこと。タブレットとは物理接続です。Diginnosタブレット用のキーボードによく似ていますが、「別物です」ということでした。
タブレットカバーを兼ねる、簡易な構造のものですが、価格も安いですし、実用性も十分あると思いますし、価格も非常に安いので、raytrektabを購入する際にはセットしておきたいところ(12月13日現在、まだ発売されていません)。
また、画像の左側にUSB Type-C用のハブが写っていますが、こちらも別売りオプションになるとのことでした。ハブにはUSB Type-A、HDMI、USB Type-Cポートがついていますが、Type-Cポートは給電専用です。つまり、Type-Cポートで充電しながらUSBポートとHDMIポートが使えます。
3.トークセッション
イベントでトークセッションがあり、「やしろあずき」さんと「からめる」さんがraytrektab DG-D10IWPを試用した感想を述べられていました。やしろさんは8インチ版も所有しているとのことでしたが、やはり8インチから10インチにディスプレイサイズが大きくなったというのは効果絶大、という点と、8インチ版よりスペックアップしたことも実感できた、とのことでした。具体的には、8インチだとレイヤーが増えたりするともっさり感があったが、10インチになってそういうこともなくなった、ということです。
またワコム製のデジタイザーの描き味について、距離感(視差)は全く気にならず、またペンも軽く、充電式ではないので本物のペンと同じように使うことができました、と言われていました。
やしろさんは、「大作マンガはともかくとして、Webに掲載している4コママンガくらいなら最初から最後まで完結できます。」と評価され、からめるさんも、「ネコが出るアニメを作るくらいなら全然問題ありません。」とのこと。
「最近はクリエイターもマルチな活動をしていると思いますが、家で仕事ができないときでも外出先で原稿ができる、メールもできる、といったことで、生活が本当に便利になりました。趣味で絵を描かれている人にもおすすめですし、発売日がクリスマスなので、『かなり豪華なw クリスマスプレゼント』にもいいんじゃないでしょうか」と締めくくられました。
4.価格など
ドスパラ raytrektab DG-D10IWPはドスパラ公式サイトで12月25日に発売される予定で、すでに予約注文を受け付けています。価格は79,800円(税込み)です。8インチ版のraytrektabが税込み49,800円なので、さすがにそれよりは高価ですね。
ドスパラが自ら推奨する8インチ版raytrekの使い方は、「ラフとかネーム(マンガの場合)」で、携帯性に優れた8インチサイズであるということを生かし、外出先で気軽にアイデアを書き込んだり、落書きをしてみたり、といった使い方が想定されれています。一方10.1インチ版はというと、8インチ版に対してかなりのパワーアップを果たしましたので、より高度なところまで、言い換えると「これで制作を完結できる」くらいの実力があると思われます。
raytrektabの8インチ版は発売直後に人気が沸騰(ドスパラいわく、「え、うちの店になんでこんなにたくさん若い女性が!」と思ったそうです)し、しばらくは入手困難となりましたが、この10インチ版も当初は相当な人気になると思います。ご購入を考えている人はお早めに。
コメント
中途半端だな凄く嬉しいけど
DGM-S12Yと同じ年末発売予定
この前は発売日に売ってなくて結局1年後に3万円値下がったときに買ったが
ファンレスでUSB充電できてお絵かきできるタブレットは最高そしてDGM-S12Yより遥かに軽くて小さくて持ち出しやすい
Surface Goと比べたら勝てないかもしれないし未使用中古で同じ値段のSurfacePROより魅力ないけど頑張ってほしいドスパラのクリスマスセールに期待(正直2万円くらい値引きしないと魅力がない)
こんにちは。どう評価するかは個人の自由です。この製品に価値があると思う人は買えばいいし、SurfaceGoのほうがいいと思うならSurfaceGoにすればいいと思います。
前モデル持ってたけど結局スペック不足だし重くてipadにしたなあ
というかこの価格帯だとipadPro10.5とかVAIOとかSurfaceとかGalaxyのタブレットと勝負になるのか?値段据え置き5万でWinタブレット機なら考えないでもないけど…
絵とか描くならペン性能でGalaxyとiPad以外は圧勝
この2つとはコスパで勝負って感じかな
こんにちは、そんな感じなんですかね?iPad Proのペンってすごいみたいですしね。
こんにちは、iPad Pro って、思ったほど高くないんですね。この製品は8インチモデルよりはかなりパワーアップしてましたよ。
CUBE日本上陸したのかと思ったw
natsukiさんに比較レビューしていただきたいですね。(無茶ぶり)
そりゃもう、めっちゃ気になる機種ですね。
とりあえず、年始に都内による予定があるので、時間が取れれば店頭でいじってみたいなーと思っています。
natsukiさん、一応実機レビューのご案内はすると思いますw
NIAさん、こんにちは。100%レビューさせてもらうことになると思うんですけど、natuskiさん年末年始かなり忙しいみたいだしなあ。ドスパラって早めにレビュー公開する必要があるんですよね。
ここまで金だすならiPad proでいいじゃんと思っちゃう
こんにちは。それはありますね。私はWindowsで使いたいですけど、純粋にペン性能を、ということならiPad Proの品質はすごいらしいですし。
スキャンレートが現行の180hzから向上してるんだろうけど
触ってみないとなんとも評価不可ですね
というかドスパラの人はそこらを理解してくれてる人向けに作ってる感があるので
(PCそのものより今の時代に最新EMRセンサを採用する
その希少性をセールスポイントにしているので)
記事にしにくそうな奴ですね
ただし今回の10インチラインナップには
Wacom Feel IT最高性能と言われているS-Pen率いるGalaxy 10.6があるので
厳しそうではある
こんにちは。なるほど、あと実際の描き味なんでしょうね。私はイラストとか漫画は書けないので偉そうなことは言えないですけど、発表会で触った感じ、かなり良かったですよ!
もうちょっと大きくて高性能だったら即買いしてたかもw
ペンについては8インチのモデルで既に高い操作性を見せていただいたので、それをさらに改良したものとは楽しみです。
PYUさん、こんにちは。ペンの描き味はそんなに変わってない(ただしペン先が細くなりました)ように思うんですけど、8インチのスペック不足からくるもたつきがほとんど解消された、という印象です。
celeron n4100と、pentium Gold 4415Y の差は、ドラクエ10ベンチで、差が付く所でしょう。
実利を取れば、n4100。ドラクエ10ベンチを美しく見たいなら、4415Yです。
こんにちは。そうですね。ドスパラによればCPUの需給(Core mは品薄らしいです)と販売価格の兼ね合いでN4100の収まりが良かった、という趣旨の説明をされていました。