6月15日にDELLがデルアンバサダー向けのイベントを開催し、その席上で「サプライズ」として「XPS 15 2-in-1」が発表されました(7月13日発売予定です)。この製品は2018年初めに米国で発売されていて、CPUやキーボード構造など、既存のXPS 15とは異なる最新テクノロジーを満載した製品です。私も実機に触らせていただきましたので、その印象も踏まえ、紹介したいと思います。
1.スペック
スペック表を見て、最も注目されるのはCPUとGPUだと思います。CPUのCore i7-8705Gというのは第8世代で「Kaby Lake G」という開発コードネームになります。話題になった「Intel + AMD」の製品で、CPUの内蔵グラフィックであるIntel HD Graphics 630のほか、外部GPU(discrete GPU)の「Radeon RX Vega M GL」をセットしたパッケージ製品です。ウインタブではまだこのCPU(とGPU)を試用したことはなく、パフォーマンスのほどは不明ですが、イベントでDELLのご担当者に質問してみたところ「GeForce GTXシリーズほど高性能ではなく、もっぱらオンラインゲームをする目的では使わないほうがいいです」とのことでした。もちろんCPU単体よりはずっと高いグラフィック処理能力はあるはずです。
米国だとCore i7-8705Gのほか、Core i5-8305GというKaby Lake GのCPUを搭載したモデルがありますので、将来的に日本でもモデル追加の可能性はあると思います。RAMは8GBもしくは16GB、ストレージは256GB/512GB/1TB SSDとなります。
ディスプレイは15.6インチでFHD(1,920 × 1,080)もしくは4K(3,840 × 2,160)が設定されます。XPS 13のイメージから「XPSといえば4K」ですよね!また、この製品には4,096段階の筆圧に対応する「プレミアム アクティブペン」も同梱されます。なお、このペンはDELL独自のドライバーを使用するものの、構造としては「Wacom AES」と同じものということです。ということは、イラストなどを描くようなニーズにも応えることができると思います。
この製品は筐体サイズがめちゃめちゃコンパクトです。DELLによれば「14インチサイズに15.6インチのディスプレイ」ということですが、たしかに横幅354 mmというのは私がこれまでに見た15.6インチのノートPCとしては最小です。ちなみに2 in 1ではないXPS 15とサイズ比較してみると
XPS 15 2 in 1:354 x 235 x 9-16 mm / 2 kg
XPS 15: 357 × 235 × 11-17 mm /1.8 kg~
となり、2 in 1は筐体設計からして新しい、ということがわかります。また、重量が2 in 1のほうが重くなっていますが、これはバッテリー容量に差がある(XPS 15は56Whrでの重量)ためだと思われます。
ただし、15.6インチとしては超薄型の筐体サイズを実現した影響で、入出力ポートは少し割を食っています。USB Type-Cが4つ(うち2つはThunderbolt 3)ということなので、数としては足りていますが、ビジネス利用でレガシーなUSBポートやHDMI、D-subなどが必要な場合、多機能ハブを使う必要がありますね。
2.筐体
イベントで実機を撮影してきましたので、それをもとに説明します。
同じXPSシリーズということで、遠目で見るとXPS 13にそっくりですし、2 in 1とはいえ「コンバーチブル(キーボードが分離せず、ヒンジの開口角度が360度)」なので、こうしてみると普通のクラムシェルノートに見えます。
左右のベゼル幅は4.7 mm。XPS13の4 mmよりは太いですが、筐体サイズも大きいので、非常に細く、スタイリッシュです。
キーボードです。実はこれがすごいんです。「Mag Lev(マグレブ、電磁浮遊式)」キーボードです。磁力でキーボードを浮かせる構造とのことですが、詳しいことは私にもよく理解できませんでした…。実際に打鍵してみましたが、めちゃめちゃキーストロークが浅いです。DELLのご担当者によれば「1 mmくらいです」とのことでした。しかし、ただ浅いだけではなく、しっかりクリック感が確保されていますので、打鍵感はいいです。また、打鍵音は「若干大きめ」という説明でしたが、私が試した限り、通常のノートPC用のキーボードと比較してそれほど変わらないと思いました。
なお、展示機は米国仕様だったため、キー配列は英語でしたが、日本向けには日本語配列が用意されます。
キーボード面はXPS 13と同様、カーボンファイバー製です。独特の、ちょっとヌメッとした感触で、個人的には好きです。
側面です。ご覧のように非常に薄く仕上げられています。
左右のポートです。パソコンの機能としては高いですが、上にも書いたとおりビジネスで使うのなら多機能ハブが必要になるような構成です。「全部Type-C」ですから。
天板の素材については説明がありませんでしたが、見るからにXPS 13と同じなので、CNC加工のアルミ製、と考えていいと思います。もちろん質感は非常に高いです。
付属のプレミアムアクティブペンです。マグネットで側面にくっつけることができます。
タブレットモードにしてみました。15.6インチの4Kディスプレイで4,096段階の筆圧対応、しかもWacom AES互換ということですから、絵描きさんは大注目!なんじゃないでしょうか?重量は少しばかり重いですが、大きなキャンバスで絵を描けますね。
3.価格など
DELL XPS 15は7月13日の発売予定で、価格は未定となっています。DELLのご担当者に少しうかがってみたのですが、「定価ベースで20万円は越えるでしょうね」みたいなことを言われていました。
この製品はKaby Lake GのCPU、GPUを搭載する高性能マシンですが、ゲーミングノートという位置づけではなく、目のこえたPCユーザーやクリエイターの利用を視野に入れた製品です。価格はそれなりに高くなってしまうでしょうが、XPS 13と同様に、性能面と筐体品質、筐体デザインという点で「持つ喜び」を与えてくれる高級機だと思います。