ASUSは13.3インチモバイルノート「ZenBook S UX391UA」を発表しました。ASUSは多くのモバイルノート、そう、ZenBookシリーズだけでもすぐに全機種が思い浮かばないくらいの製品を販売していますが、私が見たところ、このZenBook Sはある意味「ハイエンド」な製品だと思われます。何をもって「モバイルノートのハイエンド」と考えるかは統一的な見解はないと思いますが、おそらくGeForceを積んでいるとか、そっち方面ではなく、Core i7シリーズのような最高性能のCPU、十分な容量のRAMとストレージを搭載しつつ、毎日持ち歩けるようなコンパクトさと、「製品としての独創性」があること、と私は考えます。
なので、ある意味個人の価値観にも左右されると思いますが、私なら「HP Spectre 13」「DELL XPS 13」あたりが思い浮かびます。もちろんThinkPadも…、いや長くなるのでこの辺にしておきましょう。要するにですね、ZenBook SはSpectreやXPSに対するASUSの一つの答えなのではないか、と思うんです。
1.スペック
この記事はASUSのUSサイトにある製品情報も参考にしつつ書いています。海外で販売されるモデルはCore i5やFHDディスプレイを搭載するものもあるのですが、日本向けはいまのところ単一構成です。OSはWindows 10 Pro、CPUは第8世代(Kaby Lake R)のCore i7-8550U、RAMは16GB、ストレージは1TB HDDです。ゲーミングPCのように外部GPU(dGPU)の搭載はありませんが、ビジネスモバイルノートとしては最高のスペックと言っていいでしょう。
また、ディスプレイも13.3インチで4K(3,840 × 2,160)となっており、しかもタッチ対応です。ASUS Penも使えますので、筆圧対応の手書き入力が可能ですが、筆圧や傾き検知対応などの詳細は不明です。
後述しますが、この製品は独創的かつ薄型の筐体を採用しています。そのせいもあり入出力ポートは「Type-Cだのみ」となります。ただ、この種のハイエンドなモバイルノートの場合、このような構成が一般的ではあります。
では、サイズをHP Spectre 13、そしてDELL XPS 13と比較してみましょう。
ZenBook S: 311× 213.75 × 12.9 mm / 1.08 kg
Spectre 13: 308 × 225 × 10.4-12.5 mm / 1.11 kg
XPS 13: 302 × 199 × 7.8-11.6 mm / 1.21 kg
ZenBook Sの厚さは最厚部のみを表記しているものと思われます。また、XPS 13は「世界最小」の13.3インチです。なので、非常にハイレベルな比較ということになりますが、ZenBook Sは重量に関しては3機種中最軽量ではあるものの、タテ・ヨコサイズはやや大きめとなります。製品画像を見ると、とにかく薄さが強調されているのですが、これらハイエンドな他社製品と比較してしまうと、薄くて軽くてコンパクトではあるものの、世界一とかの水準ではないことがわかります。
2.筐体
もちろんスリムで非常にカッコいいですが、ベゼル幅はXPS 13などと比較するとそれほど細いとは感じられません。このことは筐体の横幅を確認すればある程度予想がつきます。しかし、下部のベゼルがずいぶんと細いような気もします。
米国サイトにあった画像です。この製品はヒンジの構造が特殊で「ErgoLift hinge(エルゴリフトヒンジ)」という構造になっています。ヒンジを開口した際、筐体後部がせり上がる「リフトアップヒンジ」構造を採用するノートPCは他にもありますが、この製品の場合「半端なくせり上がり」ますね。この構造によりデザイン上のアクセントになるだけでなく「打鍵ポジションの改善」「冷却効率の改善」「オーディオ品質の向上」といったメリットがあるということです。
キーボード面が思い切りせり上がるわけで、筐体の強度も十分確保されていると思われます。筐体素材はもちろん「メタル」です。
天板にはZenBookやZenfoneでおなじみのスピンメタル加工が施されます。また、エッジ部分にはダイヤモンドカット加工が施され、エッジ部分の色は「ローズゴールド」となります(ただし、米国モデルなので、日本モデルでは色が異なる可能性があります)。
なお、筐体色について、日本のASUS製品ページには記載がないものの、米国サイトを見ると「Deep Dive Blue」となっていました。画像を見る限り、ZenBookお得意のロイヤルブルーよりはかなり濃い色で、ブラックに近いと感じます。
キーボードです。この画像は英語配列になっていますが、日本向けには「86キー日本語キーボード」が装備されます。もちろんバックライトもつきます。
キーピッチは19.05 mm、キーストロークは1.2 mmと、かなり浅いですね。また、キートップは中央がわずかに凹んだ形状となります。あと、タッチパッドの右上に指紋センサーも見えます。
入出力ポートです。画像上が右側面、下が左側面です。ご覧の通り、Type-Cのみとなる、割り切った構造です。しかし、この記事で比較しているHP Spectre 13とDELL XPS 13もUSBはType-Cのみ、という構成なので、ZenBook Sが特殊、というわけでもないです。この種のモバイルノートを買うなら、Type-Cの周辺機器を揃えよ、ということでしょう。
3.価格など
ASUS ZenBook S UX391UAは6月23日の発売予定で、ASUSの直販サイト「ASUS Shop」ではすでに予約注文を受け付けています。気になる価格は税込み248,184円です。この製品はCore i5搭載機やRAM、ストレージ、ディスプレイ構成を落とした下位モデルが存在せず、最上位モデル一本の販売となりますので、価格のほうも高く感じられます。
ウインタブではSpectre 13とXPS 13の実機レビューを実施することができましたが、残念ながらまだ実力が伴わず、ASUSの製品は実機レビューができません。ここまで紹介記事を書いてきて、やはりSpectreとXPSがガチのライバルになるように思われますので、ぜひ手にとってみたいところではあります。
コメント
ASUS penの筆圧入力に対応したところで、145°までしか開かないんじゃほとんど意味ないな~
何をもって「モバイルノートのハイエンド」と考えるか、のご意見がすごく参考になりました。
個人的には、現時点でThunderbolt 3対応のWindows機はみなハイエンドと思っています。加えてご指摘通りモバイルの場合は、軽さもとても重要ですね。
拡張性を考えるとこれから買うなら絶対Thunderbolt 3機が欲しいところ。このノートは重さの点からもとても魅力的なのですが、もうちょっと値段が下がってくれないと手が届かないなぁ・・・。
ところでUSB-Cポートのみにしたのかと思いきや、音声ポートだけは残したのが興味深いです。(ちょっと潔くないように思いますが、あれば確かに便利。)