こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中華スマホの実機レビューです。タフネススマホというかアウトドアスマホというか、「Zoji Z7」という、5インチでIP68(最高ランク)の防水・防塵機能を持つ製品です。外観からして「いかにも」という感じがして、この方向性を好む人にはたまらない製品だと思います。そして価格も89.99ドル(10,230円)と非常に低価格な「1万円スマホ」です。
なお、この製品は中国の通販サイト「geekbuying」に提供していただきました。geekbuyingにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OS: Android 6.0
CPU: MediaTek MT6737
RAM: 2GB
ストレージ: 16GB
ディスプレイ: 5.0インチ(1,280 × 720)ゴリラガラス 4
LTEバンド: B1/B3/B7/B20
ネットワーク: 802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
入出力: microUSB、オーディオジャック、NanoSIM × 2
カメラ: イン2MP / アウト8MP
バッテリー: 3,000 mAh
サイズ: 154.9 × 79 × 11.9 mm / 203.5 g
※NanoSIMはmicroSDカードと排他利用
最初にスペックを確認します。CPUがMT6737、RAMが2GB、ストレージが16GB、ディスプレイが5インチのHD解像度と、2017年水準のエントリースペックと言える内容になっています。そして、ここまではヤマダ電機の1万円スマホである「EveryPhone EN(税込み10,778円)」と全く同一の構成です。ただ、ベンチマークスコアは後述しますが、このスペックで露骨に性能の低さを感じる場面は非常に少ないはずです。ちょっと前の安物スマホとは明らかに異なり、MT6737というCPUはAntutuで3万点程度のスコアが出ますし、RAMは2GBあれば必要十分、ストレージ16GBというのもやたらとアプリをインストールしたり、大量の画像を保存したりしなければ十分に実用レベルです。
なので、スクロールしたらカクカクするとか、ゲームを立ち上げたらフリーズするとか、そういう次元の製品ではありません。デレステなど凝ったグラフィックの音ゲーとか、激しいアクションの3Dゲームとかをしないのであればこのスペックで何の問題もありません。個人的にはこのスペックが一番お買い得なんじゃないか、と思ってるくらいです。
SIMはデュアルでDSDS(2枚のSIMを挿入し、同時待ち受けする)対応となっていますが、日本の通信環境で機能するかは不明です。残念ながらこのレビュー記事でもそのことは検証できません。カメラはイン2MP、アウト8MPですが、ソフトウェア補間によりイン5MP、アウト8MPとなります。
サイズは大きいですね。後述しますが、筺体が一般的なスマホとかなり異なっているので、この点は単純比較が困難だといえます。そしてまた、筺体品質こそがこの製品の最大のアピールポイントになります。
2.筺体
同梱物です。本体のほか、取扱説明書(英文がありますが、内容は不十分だと思います)、液晶保護フィルム、SIM着脱用のピン、電源プラグ(EUタイプ)、日本のコンセントに合わせるための変換プラグ(これはgeekbuyingからのプレゼントになります)、主に充電用のmicroUSB(オス)-USB(オス)のケーブルです。
前面のガラスはゴリラガラスで周辺部が若干ラウンドした形状になっています。この画像は出荷時の保護フィルム(常用するものではなく、剥がして使うのものです)がついたままの状態なのですが、周辺がラウンドしているのがわかると思います。
前面です。ガラスの外側、ベゼル部分はプラスティック製です。また、ホームボタンはセンサータイプ、その両側のボタンも同じくセンサータイプで、ごく一般的なAndroidスマホのレイアウトと言えますが、ボタンのアイコンというかデザインが独特ですね。
右側面です。見たまんまの素材といいますか、シルバーの部分が金属、その周辺の黒い部分がプラスティック製になっています。この面には電源ボタンと音量ボタンがあり、デザインは特殊ですが、配置や機能は一般的なスマホと言えます。
すいません、画像がボケてしまっていますが、底面です。ここにはmicroUSBポートがあり…
はい、分厚いパッキンの奥にあります。実際かなり奥まったところにあるんですよね。なので…
画像左側が一般的なmicroUSB端子、右側の黒いのがこの製品に同梱されているケーブルのmicroUSB端子です。右側のほうが金属部分が長いですよね?この製品、一般的なmicroUSB端子だとポートまで届きません。このように金属部分が長い形状のmicroUSBポートが簡単に入手できるのかわかりませんが、もし同梱されているケーブルが破損でもしたら困ってしまいそうです。その場合、左側の端子の白いプラスティックの部分を削って細くすることになると思います。
左側面です。この面にはSIMスロットがありますが、やはりパッキンで覆われています。
SIMスロットのパッキンはシャレにならないくらい固く、外すのに苦労しました。IP68をクリアするのも大変なんだなあ、と。中から出てきたのがこんなトレイでした。トレイそのものは特にどうということもないですね。画像左側にmicroSIM、右側にNanoSIMもしくはmicroSDカードをセットします。
上面です。この面にもパッキンがついてます。
ご想像どおりだと思いますが、パッキンの下から出てきたのがオーディオジャックです。オーディオジャックの場合、端子だけでなく、全体的に細身なので、一般的な端子なら使えます。
背面です。中央部分が金属製、周辺がプラスティック製ですね。かなり「ヘビーデューティ」な感じで、個人的にはかなりカッコいいと思いました。また、カメラは上部中央に、その下には指紋センサーがついています。1万円スマホにしてはありがたいです。
IP68の防水・防塵対応というのがありますし、前面ガラスもゴリラガラスと、ハードに使ってもOKな製品になりますが、実際筺体をチェックした限り、非常にしっかり作り込まれていると思いました。サイズの割に重いため、手で持つとずっしりした感触になりますが、この製品の特性を思えば不快感は全くありません。また、デザインもアウトドア仕様の製品にふさわしく、「好きな人には最高」といっていい出来だと思います。
3.システム
ホーム画面(左側)とアプリ一覧(ドロワー、右側)です。「おお、カッコいい!」と素直に思ったんですが、レイアウトそのものは普通のAndroidというか、特別なUIにはなってません。壁紙とアイコンがカッコいいということですね。一応Google Nowランチャーも入れてみましたが、ホーム画面のアナログ時計はなくなったものの、見た目はあまり変わりませんでした。
プリインストールアプリは標準的なもの以外はほとんどなく、中国語のアプリは1つも見つかりませんでした。もちろんGoogle Playストアなど一連のGoogle関連サービスは使えます。
キーボードもオリジナルのデザインになっていました。気に入らなければ変更すればいいだけですけどね。
OSはAndroid 6.0でセキュリティパッチは4月5日になっているので、十分新しいです。また、ワイヤレスアップデートの機能も生きていましたので、ショップカスタムROMである可能性はほぼないと思います。
日本語化は非常に容易ですが、メーカーの独自機能に関しては英語が残ります。ですが、AOSPベースと思われ、基本的な設定や各種メニュー項目など、ほとんど問題なく日本語が使えます。要するにAOSPのAndroidにちょこちょことZojiの独自機能が追加されていて、その部分のみ日本語化ができていないという感じです。
設定メニューはこんな感じで、一部英語になってますよね。
メニューが英語のままの、いわばZoji追加機能ですが、英語のままとは言え基本的にどれも簡単に使いこなせるものばかりです。一例として「Magic Thumb」と「Float window」について説明します。Magic Thumb(画像左側)の設定をすると、画面タッチした際に星とかハートのエフェクトが出ます。画像下の方にいくつか星が弾けているのが見えますが、これは私が画像下の方をタッチしたためで、
これもわかりにくいですが、こんな感じのエフェクト効果になります。
Float windowのほうは、ディスプレイに黒いドットが常時表示され、それをタップすると上の画像(右側)のようにメニューが展開される、という機能です。
試用していて便利だと思ったのが「Smart Wake」です。最近のスマホにはしばしば見られるジェスチャ操作の機能ですが、内容が結構充実していて細かい設定が可能です。
また、低価格ながら指紋センサーがついていて、私の指で試した限り、かなり認識能力が高かったです。中華スマホをいろいろ試してきた中で一番いいのではないか、と感じました。
なお、この製品を試用していて不満を感じたのがカメラです。特にアウトカメラは13MPという実感が全くありませんでした。セルフィー(自撮り)の際に便利と思われる美白モードなどもついているものの、基本性能が低いと言わざるを得ず、全体的に画質が粗いです。カメラ性能を重視する人にはあまりおすすめできません。カメラについては私の操作に問題があったのかもしれず、後日かのあゆさんにもチェックしてもらおうと思います。
また、スピーカーについても同様で、背面にモノラルスピーカーが1つあるだけなのですが、完全に実用品レベルでしかなく、音楽鑑賞などには適しません。バッテリーの持ちは標準的だと思いました。フルに使いまくると一日は持つかどうか、くらいだと思います。もちろんこれは使用頻度によって大きく影響されるので、長時間連続して操作することがないのであればあまり気にする必要もないです。
なので、カメラ、スピーカー、そしてバッテリーの稼働時間に関しては過度の期待はしないほうがいいでしょう。
4.性能テスト
エントリースペックの製品ですが、一応Antutuでベンチマークテストをしてみました。
ほぼ予想通りの結果と言えます。Antutuで3万点というのは決して高いスコアではありませんが、上のほうにも書いてきたとおり、スマホとしての普段使いには十分な性能です。実際、通常のスクロール操作や2Dゲーム、ニュースアプリなどを使って不満を感じることはまずないだろうと思います。
5.まとめ
Zoji Z7は中国の通販サイト「geekbuying」で販売中で、価格は89.99ドル(10,300円)となっています。
この製品について、カメラとスピーカーについて低い評価をさせてもらいましたが、逆に言うとそれ以外はめちゃめちゃ素晴らしいと感じました。筺体品質はどう考えても1万円のスマホではありません。一切安っぽさが感じられず、堂々たるアウトドアスマホといっていいです。「1万円で買える」という前提にたてば「すげえ!」と言いたくなる感じ。
MT6737/RAM2GB/ストレージ16GBというスペックに関しても、個人的にはこれで不十分とは感じられません。私は音ゲーとか動きの激しいアクションゲームをスマホではやりませんので、このスペックで困ることはありません。
1万円スマホというのは中華製品だとかなりの種類があり、日本でもEveryPhone ENのように必要十分な性能のものが出てきていますので、今後SIMフリー機に乗り換えてみたいと思っているライトユーザーとか、セカンドスマホとして安価なものを探している人にはいい選択肢になると思います。そしてこの製品、どう考えても1万円スマホの品質じゃないです。使ってて感動しました。
6.関連リンク
Zoji Z7:geekbuying
コメント
充電するのにキャップを外さなきゃいけないのは、ちょっとマイナスポイントですね。
Xperiaみたいにクレードルがあればいいんですけどね。
ふんぼさん、おっしゃるとおり、USBのキャップは比較的簡単に着脱できるのですが、その分耐久性が気になると言えなくもないですね。SIMのほうは発狂しそうなくらい固いんですけど。
geekbuyingには物があるのですね、banggoodではキャンセル返金扱いになりました…
こんにちは、コメントありがとうございます。Banggoodのほうはわからないですが、geekbuyingは大丈夫だと思います。
GPSの精度はいかがですか?
Ulefone armor が残念な感じだったので…
すみません質問です
使えるSIMなのですが、ここではMicroSimが刺さると書いていますが
gearbestやbangoodではNanoSim×2とあるように見えます
MicroSimは刺さるのでしょうか?
こんにちは、コメントありがとうございます。大変申し訳ありません。この製品は現在手元になく、正確な回答ができません。しかし、画像を確認すると、どう考えてもNano SIMですね…。
返信ありがとうございます
最初通販サイトをチェックしたときはmicrosimって書いてあった気がして…
まぁ中華スマホ最近nanosimばっかりなんでnanosim一つ作ることにします!
こんにちは、コメントありがとうございます。私も新しく作るんならNanoのほうがいいと思います。Nanoであれば下駄を使えばMicro用にも標準用にも使えますもんね。
こちらのレビューを参考にmicroSIMカードを購入しましたがスロットは2つともnanoSIMです。
コメント欄でも指摘がありますが、勘違いする方が増えないように本文も修正すべきではないでしょうか?
こんにちは、コメントありがとうございます。ご指摘に沿い、記事を修正しました。ご迷惑をおかけしました。