こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は中国のSIMフリースマートフォン「Vernee M5」の実機レビューです。私はこの製品の紹介記事を書いたときからずっと気になっていました。もともとVerneeというメーカーからは中華っぽさがあんまり感じられず、ちょっと垢抜けたイメージを持っていたのもありますし。この製品は奇をてらったところが全然なくって、デザイン上もスペック上もギミックらしいギミックがまったくない、ある意味中華製品としては珍しい存在だと思えます。
試用してみた印象として、やはりまるっきりクセが感じられず、すごく使いやすい製品だと思いました。先日かのあゆさんがシャープの「AQUOS Sense Lite SH-M05」の紹介記事を書いてくれましたが、その記事のトップ画像にある「スペックの高さよりも、手ごろな価格で自分にフィットした端末を選択する」という文言が印象に残っています。Vernee M5はまさにそんなスマホだと思いました。
なお、この製品は中国の通販サイト「TOMTOP」に提供していただきました。TOMTOPにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OSはAndroid 7、CPUはMediaTek MT6750ですから、2017年の水準だと「エントリー~ミドル」くらいの性能と言えます。RANは4GB、ストレージは32GB/64GBとなっていますが、試用機は64GBでした。この容量だと十分な余裕があります。
ディスプレイは5.2インチのIPS液晶ですが、解像度はHD(1,280 × 720)どまりなので、「中華スマホとしては」それほど高精細とは言えません、またカメラ性能はイン側の8MPというのは素晴らしいですが、アウト側はデュアルレンズでもありませんし、13MPと、特にすごいわけでもありません。
ここまで見てきて、全体的に「絵に描いたようなミドルスペック」の製品だと思います。ただ、サイズ感はいいですね。特に厚さ6.9 mm、重量144 gという薄型軽量サイズに仕上がっているのはとても魅力的です。
2.筐体
まずは外箱から。非常にシンプルなデザインですが、正直特にどうのこうの、というのはありません。しかし、画像右側のようにしっかり「QC PASS」と書いたシールで封印されていたのは好印象です(ただし、税関で開封されてしまう場合もありますので、並行輸入品はすべて完全未開封で届くとは限りません)。
同梱物です。本体のほか、SIMスロット開閉用のピン、主に充電用に使用するUSB(オス)- microUSB(オス)のケーブル、ACアダプター、取扱説明書(英語あり、日本語なし)、OTAアップデートの案内が書かれた一枚ものが入っていました。
TOMTOPに限った話ではありませんが、最近は中国の通販サイトのほうで、EUプラグなどが装備されている製品には日本のコンセントで使えるように変換アダプターを同梱してくれることが多くなりました。この製品にもTOMTOPが変換アダプターを同梱してくれています。
前面です。非常にトラディショナルといいますか、MIXタイプや(GALAXY)S8タイプのようにベゼルが極端に細いとか、ガラスが強く湾曲しているとかはなく、非常に素直な、悪く言えば平凡なデザインです。
また、前面の下部にはホームボタンなどの物理ボタンやセンサーボタンはありません。OSの操作はすべてソフトウェアキーで行います。
上面です。あるべきところにオーディオジャックがあるだけです。このアングルから見ると筐体のエッジ部分の丸みがやや強くなっているのがわかります。
右側面です。この面にもあるべきところに電源ボタンと音量ボタンがあるだけで、なんの違和感も、サプライズもありません。でも、なかなかの薄型筐体であることはご理解いただけるのではないかと思います。
下面です。この製品はUSB Type-CではなくオーソドックなmicroUSBポートを装備しています。また、スピーカーはモノラルですね。なお、画像の一番左にある穴ですが、おそらくマイクではないかと思います。
左側面にはSIMスロットがあります。
この製品はデュアルSIM(Nano SIM × 2、もしくはNanoSIM + microSDカード)ですが、ウインタブの実機レビューではSIM通信はレビューの対象外とさせていただいております。
もうおわかりのことと思いますが、今回の試用機は筐体色がブルーです。他にブラックの設定もありますが、「ブルーでよかった」というのが個人的な感想です。
実際の色はこれよりも若干暗めで、落ち着いた感じの色目となっています。女性向きかどうかはわかりませんが、使う人の年齢を問わない、いい色だと思いました。筐体素材は「多分プラスティック」だと思いますが、確証はありません。見た感じは金属そのもので、美しく加工され質感はとてもいいです。
また、この製品は指紋センサーが背面にあるタイプですね。実際に指紋を登録して何回か試しましたが、認識能力は非常に高く、ロックを解除できない、ということはありませんでした。それと、カメラはスペック表にあるようにシングルレンズです。
エッジ部分の処理はとても美しいです。
この製品、派手さはないですが、筐体の美しさはかなりのものだと思います。ベゼルレスとかのインパクトがないので「大人っぽさ」を感じます。記事の冒頭に書いたように「垢抜けた」美しさを感じます。私は大人なのでw、個人的には非常に気に入りました。
3.システム
この製品は一応「VOS 1.0」という独自UIを採用している、ということなのですが、全然そんな感じはしません。「Google関連アプリがインストールされた素のAndroid」と言ってもよさそうなくらいです。最初、「これってAndroid Oneなのかな?」なんて思ったくらいです。
アプリも余計なものは入ってないですね。一つ上の画像に「Dure Speed」というのがありますが、これはMediaTek製で「バックグラウンドアプリを制限することによって、フォアグラウンドアプリをブーストする」という機能があります。ちなみに、このアプリはGoogle Playで普通にダウンロードできます。
システム情報です。たしかに「VOSバージョン」というのがありますね。また、ベースのAndroidは7.0です。ワイヤレスアップデートは塞がれていませんでした(なので、メーカーオリジナルのROMだと思います)。セキュリティパッチも2017年9月5日のものが使われていて、ごく新しいと言えます。
日本語化した後、設定画面に残る英語のメニューは「Smart assistance」という項目の3つのメニューのみです。完全に確認したわけではありませんが、それ以外はすべて日本語化出来ていました。
では英語のまま残ったところはというと、こんな感じです。画像左の「Buttons」の一番下は、画面下に表示されるソフトウェアキーの左右ボタンを入れ替えるか、というものです。そう言えばここまで使ってきたスクリーンショットでは左右のボタンが逆になっていますよね。これを元に戻すというか、一般的な配置(「戻る」ボタンが左側)にすることができます。
画像真ん中の「Motion gestures」は「電話がかかってきたとき、フリップ操作で着信音をミュートできる」と「三本指で画面をスライドするとスクリーンショットが撮れる」という機能です。また、画像右の「Smart assistance」は「ポケットの中での誤動作を防ぐポケットモード」にできる、というもの。ひょっとしてVOSってこれだけですか?…というのはやめておきましょう。
ともあれ、限りなく素のAndroidだし、日本語化もほぼ完璧と言っていいと思います。また、中華スマホではたまにアプリ、あるいはOSの機能で中国語の通知が表示されてしまうことがありますが、この製品の場合、短期間の試用ではそのようなことは一切ありませんでした。というか、全然中国語が出てきません。なので、ROMが中国からみた「海外仕様」になっていると思われます。
4.カメラ
今回はLeEco Le Pro 3(インカメラ8MP/アウトカメラ16MP)と比較してみました。ちなみにこのカメラ品質は私が検証用およびプライベートで持っているスマホの中では最も高性能ですし、個人的に画質はすごく気に入っています。
撮影した直後に確認したら、「Verneeもなかなかやるなあ」と思ったのですが、LeEcoと比較してみると、少し赤みが強いですね。また、LeEcoのほうが全体的にくっきりと写っています。画素数による差と言えるのかもしれませんが、個人的にはこのように並べて見るようなことをしなければVerneeのカメラ品質は決して悪くないと思います。
次に夜の室内、電球色の蛍光灯の下で撮影してみました。やはりVerneeのほうが赤みが強いですが、どっちが自然かと言えばVerneeのほうだと思います。LeEcoは黄色が強すぎですね。
一応インカメラでも比較してみました。どっちも8MPですが、やはりアウトカメラよりは画質が落ちます。色味の傾向はアウトカメラと同じですね。ただ、インカメラだと本来は「自撮り」をするのがベストで、このように無理にスナップ写真を撮ると実はピントがあっていなかったりするので、この比較はあまり参考にならないと思います。我が家の女性陣(全部で3名)に交渉してみたのですが、全員顔出しNG、ということでしたので、残念ながら人物の画像は掲載できません。一番下の子は3年くらい前だと顔出しOKだったんですけどね…。
5.性能テスト
ウインタブではスマホの性能テストにAntutuベンチマークを使っています。
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
LeEco Le Max 2(Snapdragon 820): 135,484
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
Ulefone T1(Helio P25): 67,409
Ulefone Armor 2(Helio P25): 66,331
Blackview BV8000 Pro(Helio P20): 63,473
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
Elephone P8 Mini(MT6750T): 42,593
※マウス MADOSMA Q501(Snapdragon 410): 35,663
ZOJI Z7(MT6737); 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※Cube WP10(Snapdragon 210): 29,273
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
※印はWindows 10 Mobile搭載機です
スコアの方は約4万点で、「CPUのスペックなり」という感じだと思います。MT6750なら45,000点くらいになるかな、と予想していたのですが、それよりは低い結果となりました。まあ、40,000点でも45,000点でも体感差はあまりないと思いますけどね。このくらいのスコアだと、動きの激しいアクションゲーム、3Dゲーム、音ゲーなどは遅延が発生したり挙動がカクついたりすると思いますが、パズルゲームやニュースアプリ、SNS、Webブラウジングなど、一般的な用途であればストレスを感じることなく使えると思います。
6.まとめ
Vernee M5は中国の通販サイト「TOMTOP」で販売中で、11月6日現在のストレージ64GB版の価格は119.99ドル(13,319円、32GB版もなぜか同価格)となっています。ここまでレビューをやってきましたが、この価格を見てどう思われますか?私は「明らかに安い」と思います。
この製品は性能面ではミドルスペックと呼ぶにふさわしいもので、カメラ品質もわりと健闘しているほうだと思います。そして、筐体の美しさ、薄さ、軽さは素晴らしいものがあり、派手な外観でないぶん、余計に「大人っぽさ」を感じます。ベゼルレスの製品のほうがいい、と思う人も多いでしょうが、こういうトラディショナルなデザインの中に美しさを感じる製品というのも非常に魅力的です。
また、OSにあまり手が加えられておらず、ほぼ「素の状態」で使い始めることができ、日本語化もほぼ完璧、というのも大きいです。ということで、「中華だし、1万円台の後半(つまり150~160ドル)でしょ」と考えるのが順当なところじゃないでしょうか?
記事の冒頭に書いた「スペックの高さよりも、手ごろな価格で自分にフィットした端末を選択する」というのは、この製品を購入するための方便としてベストなんじゃないかと思います。ちなみに私は「Antutu4万点くらいで使い勝手がよく、割安感のあるスマホ」が一番好みです。
7.関連リンク
Vernee M5:TOMTOP
コメント
メーカーアプリが表面上一切ないというのはかなり魅力的ですね。もちろんシステムのサービスとして組み込まれているものはいくつかあるかもしれませんが。
国内メーカーも見習って頂きたい。