こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。今回は私自身も楽しみにしており、読者のみなさんの関心も非常に高いと思われる中華スマホ「DOOGEE MIX」の実機レビューです。流行りの「ベゼルレス」なデザインを採用したスタイリッシュな製品で、かつCPUやRAMといったハードウェア・スペックも高い上、お値段も2万円前後という、魅力的なパッケージングになっており、「次のスマホはこれ!」と思っている人も少なくないのでは?と思います。
この製品はウインタブが日頃お付き合いしている中国の通販サイトではBanggoodのみの取扱となっており、レビュー機もBanggoodに提供していただきました。Banggoodにはこの場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OS: Android 7.0
CPU: MediaTek Helio P25
RAM: 4GB / 6GB
ストレージ: 64GB
ディスプレイ: 5.5インチ(1,280 x 720)
LTEバンド: 1/3/7/8/20
ネットワーク: 802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
入出力: microUSB、オーディオジャック、SIM × 2(microSIM、nanoSIM or microSD)
カメラ: イン5MP / アウト13MP+8MP
バッテリー: 3,380 mAh
サイズ: 144 × 76.2 × 7.95 mm / 193.2 g
※重量の実測値193 g
まず、公表されているスペック表を確認してみます。OSはほぼ最新と言っていいAndroid 7.0で、CPUはMediaTekのミッドハイモデル「Helio P25」が搭載されます。RAMは4GBと6GBを選ぶことができ、ストレージは64GBとなります。
注目したいのがディスプレイで、HD解像度ながら「Samsung Super AMOLED(サムスン製のアクティブマトリクス式有機EL)を採用しています。また、この製品はディスプレイまわりに最大の特徴があり、ベゼルをギリギリまで細くした「ベゼルレス」のデザインになっていて、筐体前面に占めるディスプレイの面積比は93%に達します。このデザインにより、5.5インチサイズながら、5インチサイズのスマホに匹敵するコンパクトなサイズ感となっています。
日本で販売されている5インチスマホ「ヤマダ電機 EveryPhone EN」とサイズ比較してみましょう(EveryPhoneを選んだ理由は特にないです)。
EveryPhone EN: 145 × 70.5 × 8.5 mm / 140 g
DOOGEE MIX: 144 × 76.2 × 7.95 mm / 193.2 g
うーん、タテ(長辺)はいい勝負ですが、ヨコ(短辺)は少し大きめですね。また重量も結構なものです。ただし、8 mmを切る薄さになっていますし、まあ健闘している、と評価できそうです。
また、この製品はアウト側がデュアルレンズカメラになっていて、ボケ味のある撮影が可能になっているなど、カメラ品質にもこだわりが強くなっています。
試用機のスペックです。RAM4GBのバージョンを提供してもらいました。また、画像にはありませんが、セキュリティパッチは「2017年6月5日」と非常に新しく、ワイヤレスアップデートの機能も生きていますので、ショップROMではなく、グローバル版のメーカーROMが入っていると思われます。
2.筐体
この製品に注目している人にとって、何しろ気になるのは筐体の仕上がりでしょう。DOOGEEのPR画像がかなり「盛ってる」のは動画などで予想がついていますが、それにしても実際どのくらいのクオリティなのか、というのが最大の関心事か、と思います。
同梱物です。本体のほか、スマホケース(硬質なプラスティック製で、保護には役立ちそうですが黒無地のそっけないものです)、液晶保護フィルム、クリーニングシート(メガネ拭きと同じ素材)、SIMスロット開閉用のピン、ACアダプター(EUプラグ)、充電が主目的と思われるフルサイズUSB(オス)- microUSB(オス)のケーブル、保証書、取扱説明書が入っていました。なお、取扱説明書は英語を含め多言語で記載されていますが、中国語がなく(日本語もないです)、この製品がグローバルモデルであることを物語っています。
また、画像にはありませんが、メーカー同梱品とは別に、Banggoodより、日本の電源コンセントに合わせた形式の変換プラグがプレゼントされます。
前面です。ベゼルレスを謳いつつ、ちゃんとベゼルはありますねw Elephone S7とか、Galaxyだとガラスがエッジ部分で大きく回り込んでいるのでより本格的なベゼルレスに見えますが、この製品はそれほど大きくガラスを曲げていないため、見た目はこんなもんかもしれません。
ただ、前面上部のベゼルは確かに細くなっていますし、筐体前面に占めるディスプレイ面積比が93%というのも「うなづけるレベル」だと思います。
申し遅れましたが、今回のレビュー機は筐体色が「ブラック」でした。ただ、「ピアノブラック」と言っていいくらいに光沢があり、撮影時の写り込みもすごかったです。これから掲載する画像は光のあたり方の関係で、少し見にくいものがありますが、どうかご了承下さい。
側面素材(フレーム)は金属と思われます。左側面にはSIMスロットのみがあります。
SIMスロットはmicroSIMとNanoSIMのデュアルになっています。NanoSIM側はmicroSDカードとの排他利用です。なお、このレビューではSIMを挿入したLTE通信についてはテストしておりません。
上面にはオーディオジャックのみ。
下面にはmicroUSBポートとスピーカーがあります。この製品、わりと革新的なイメージはありますが、USB Type-Cではなく、旧来のmicroUSBポートを採用しています。なお、この画像で言えば「本物のスピーカーは右」です。つまりモノラルスピーカーで、左側はダミーです。
右側面です。こちらには電源ボタンと音量上下ボタンがあり、ごくオーソドックスな配置です。
背面です。この面には配送時の保護用シートのほか、そのまま使えそうな保護シートがついています。ただ、このままだとレビューがしにくいので、ちょっと残念ですが剥がすことにしました。
剥がしたらこんな感じ。本当はもっとアップで撮影したかったのですが、「写り込みが半端じゃない」んです。本当にピアノみたいなキレイなブラックです。素材は、すいません、あまりよくわかりません。おそらくプラスティックをベースにガラスコーティングしている、という感じかと思います。とにかく美しいですよ!
ディスプレイ面に戻ります。エッジ部分をアップで見るとこんな感じです。ディスプレイのガラスは曲面処理をしてありますが、それほど極端な加工ではありません。よく言われる「2.5D曲面」と理解していいと思います。
また、配送用の液晶保護フィルムとは別に、そのまま使えそうな液晶保護フィルムが貼られていました。この画像はそのフィルムをつけた状態で撮影しています。後述しますが、フィルムの品質は低く、貼り替えが必要かと思います。
この画像は見やすくするために明るさとコントラストを調整しています。前面の下部です。ホームボタンは物理ボタンではなくセンサーボタンで、指紋センサーを兼ねます。ホームボタンの左右にはなにもなく、ディスプレイ内のソフトウェアボタンを使うことになります。また、上部に余地がないことから、インカメラは下部の右側に配置されます。
3.システム
この製品はOSがAndroid 7.0ですが、UIはカスタマイズされています。上の画像の左側がホーム画面、右側がアプリ一覧画面です。また、日本語ロケールは入っているので、80%くらいは日本語化が可能です。左側のホーム画面ですが、割と素のAndroidに近い感じがするでしょ?でも、画像右上にネコみたいなの(他のキャラもいます)がぶら下がってます。このネコにタッチすると上から別画面が降りてきます。インターネット接続が必要なので画像はありませんが(ニヤリ)、「Know」という画面で、たくさんのテーマ(スキン)をダウンロード、インストールできるようになっています。しょっちゅうテーマを変える人にはいいと思いますが、そうでないと少しウザいかもしれません。ただし、このキャラはホーム画面限定です。
また、右側のアプリ一覧画面はあいうえお順、アルファベット順にアプリを一覧表示する形式になっていて、これは悪くないと思います。ホーム画面というか、要するに好みのランチャーを使えばいいだけなので、素のAndroidっぽいのが好みならGoogle Nowランチャーでも入れておけばいいのかな、と思います。
DOOGEEらしく、素のAndroidをベースに独自機能を追加しています。で、独自機能の部分は日本語化出来ない、ということですね。中華スマホのレビューも回を重ねてますので、この辺の要領はずいぶん心得てきたなあ、とw ということで、上の画像が設定メニューの一部なのですが、やはり英語のままになっているのが散見されます。基本的にこれらのメニューはユーザーインターフェース改善を狙ったものが多くなっています。
画像左側が「One Hand Float View」というもので、設定メニューでこれをオンにして、画面右下から中央に向けてスワイプすると出てきます。右手でスマホ操作する人向けですが、よく使う(最近使った)アイコンや各種設定(機内モードやWi-Fiオン/オフなど)がコンパクトにまとめられています。
また、画像右側が「Float Gesture」です。さっきから掲載するスクリーンショットに黒い丸が見えてたじゃないですか。これがFloat Gestureで、黒い丸(画面内を自由に移動させることができます)をタップすると上の画像のようなメニューが出てきます。
これらの独自機能、使い込んでいくと便利になっていくでしょうが、短時間の試用ではそれほどありがたみを感じなかった、というのが正直なところです。ただ、使いたくないのであればオフにすればいいだけなので、購入したらいろいろ試してみてもいいと思いますよ。
4.使用感
ディスプレイ
まず、この製品の最大の特徴であるディスプレイから。有機ELのディスプレイはコントラストがしっかり出ますし、発色も非常に美しいです。この辺はイメージ通りと言えます。試用開始時に、あらかじめ貼られていた液晶保護フィルムをつけたままいろいろ試してみたんですが、発色やコントラストが素晴らしいと感じた反面、どうも表示に粗さを感じまして、「解像度が低めなせいかな」と思いました。で、思い切ってフィルムを剥がしてみたら、表示の粗さやシャギーがかなり解消されました。
この製品、ちゃんとした保護フィルムを貼ったほうがよさそうです…。
ただ、どうしても粗さは若干感じます。特にグラフィックに凝ったゲームなどをやるとそれが体感できるかもしれません。神経質にチェックしなければそれほど気にはならないと思いますけどね。
あと、もうひとつだけ悪い点を。エッジ部分のタッチ感度が今ひとつです。全く反応しないということがあるわけもないですが、たまに「押し直し」させられることがありました。
と、先に悪い点を書きましたが、やはりベゼルが極細で、93%のディスプレイ比率というのはいいです。大満足です。指摘した表示の粗さも静止画像なんかを見るぶんには全く感じませんし、ゲームをしたり動画を観る場合でも没入感を得られます。欲を言えばFHD解像度で、となりますが、そうなるとCPUもワンランク上げないと重量級のゲームなんかに支障をきたすかもしれませんしね。
カメラ
この三枚の画像は上からレビュー機で撮影した通常の画像、レビュー機で撮影したボケ味の画像、そしてDOOGEE Y6 Maxという、別の製品で撮影した画像です(解像度は落としています)。レビュー機のデフォルトの解像度は「5,376 × 3,024(16:9)」、DOOGEE Y6 Maxは「4,608 × 3,456(4:3)」なので、ちょっとサイズが異なりますが、もちろんレビュー機はアスペクト比4:3での撮影も可能です。ボケ味の画像は置いておいて、通常の画像で比較してもレビュー機のほうが数段鮮明です。また、ボケ味の画像(正確にはBlurと言います)は撮影していて面白く、簡単にボケ味の強さを変えたり、またフォーカスを変えることができますので、この製品を購入したら常用することになるんじゃないか、と思います。ただ、色味が少し変わって白っぽくなってますね。
カメラはボケ味(Blur)のほか、美白(Facebeauty)モードとモノクロモード、パノラマモード、PROモードが用意されています。また、HDR撮影も可能です。中華スマホはカメラ品質がイマイチであることが多いですが、この製品ならそこそこは使えそうに思いました。
スピーカー
音質は期待しない方がいいです。いかんせんモノラルですし音質も音楽向けではありません。スマホなんでそこは割り切って、音楽用はイヤフォンで、内蔵スピーカーは実用品として使うのがいいかと思います。
指紋センサー
スマホの指紋センサーは背面にあったり側面にあったり、この製品のように前面にあったりしますが、どの配置が一番使いやすいかは人によるのでなんとも言えないところです。レビュー機の指紋センサーは非常に認識率が高く、指紋を認識されにくいことを自負する私でも一発解除を連発しています。そうなると今度は「ちゃんと指紋を読んでるんだろうな?」と思いたくもなりますが、さすがにそこは大丈夫でしょうw
サイズ感
いいです。193 gという重量が気になる人がいるかもしれませんが、絶対的にサイズが小さく、持ちやすいです。また、かなり薄型になっているのも好感が持てます。感覚的には5インチスマホを持つのとそんなに変わらないと思います。
5.性能テスト
Antutuのスコアは6万点ちょっと、という結果でした。正直なところ、もう少し伸びるかな、と思っていましたが、このスコアはSnapdragonだと625といい勝負くらいで、2017年水準だとミッドハイくらいの性能ということになります。また、数回テストを実施していますが、最も悪いものだと5万点台になってしまったこともありましたし、最も良かったのは63,734点というのがありました。なので、ここに記載しているスコアはその中間くらい、ということになります。
このスコアだと、多分まともに動かないゲームのほうが少ないだろうと思いますよ。グラフィックの凝った音ゲーなりアクションゲームに廃課金という人でなければあまり不満は出ないのかな、と思います。ちなみに私はAntutu4万点台の製品を常用していますが、パワー不足を感じたことはありません。
6.まとめ
DOOGEE MIXは中国の通販サイト「Banggood」で販売中で、レビュー機と同じRAM4GBのモデルが169.99ドル(19,402円)、RAM6GBのモデルが179.99ドル(20,543円)となっています。
レビューを終えての感想です。使っていて多少物足りない点はありましたが、ほぼ期待通りの出来だと思いました。筐体品質は高く評価していいと思います。ベゼルレスといいつつ、しっかりベゼルが見えてしまいますが、極細であることは間違いありませんし、サイズの割に迫力のある画面が楽しめます。質感も非常にいいです。レビュー機はブラックでしたが、ピアノそっくりの光沢があり、高級感もありました。
一長一短、と感じられたのがディスプレイ品質で、有機ELらしい、くっきりとしたコントラストや美しい発色に感動しつつも、解像度が1,280 × 720であるがゆえにわずかに粗さを感じる場面もありました。
処理性能の方も期待通りと言っていいでしょう。Antutuのスコアを掲載しましたが、このくらいのスコアであればよほどのことがない限りパワー不足を感じることはないと思います。
また、カメラについては本来もう少し突っ込んでレビューすべきでしたが、短時間の試用でも画質のよさは確認できたと思いますし、ボケ味写真を撮影するのはとても楽しいと感じました。
最後にRAM4GBか6GBか、という点です。「スマホに6GBのRAMって本当に必要なのか?」ということは私にもわかりません。というか、個人的には不要だと思います。ただ、RAMはたくさん積んで邪魔になるということはない(バッテリー持ちが悪くなるという声もありますが)ので、価格差が小さければ6GBを選ぶ、という選択肢もありますし、6月27日現在だと価格差が10ドルしかないので、予算に問題がなければ6GBでいいと思います。
結論として、この製品は買いでいいでしょう。そう思います。
コメント
ベゼルレスで5.5インチで厚み8mm内なのになぜこんなに重いのだろう?
筐体がステンレスで出来ているらしいのでそのせいで重いのかもしれないですね。
それとバッテリー面で液晶と比べてAMOLEDの違いは実感できましたか?
GalaxyみたくAways on Displayを入れれば真価を発揮するのかな…
待ってました!レビューありがとうございます。
横幅は自分のPowerとほぼ同等ということで
少し薄く、少し短く、少し軽く(意外と重い)と想像しました。
ところでホームボタンについてなんですが
一部の中華でみかける、バックやメニューなどの機能を
長押しとかでホームボタンに持たせるような機能はあったりしますか?
(ぶっちゃけるとナビゲーションバーを隠せるかどうかなんですが)
そしてネコwww
説明員のお姉さんがもってるときからすごく気になっていましたが
ホーム変えちゃえば大丈夫そうですね。
解像度的には先代のZenfoneMaxが容認できれば気にならないくらいですかね。
これボケっていうか指定地点を中心に円状にぼかしてるだけに見えるなぁ
まあそもそも私はカメラを使わないので関係ないのですが
スマホの高解像度化は度が過ぎてる気がしてます
UMIDIGI Z Proの方と違って中心だけぼかしているように見えてしまいますね。
その辺りが知りたいです。
中華スマホでデュアルカメラが流行りだしてるんでしょうか?
UMIDIGI Z Proは後からボケ具合の修正などもできるようなのでちょっと残念な感じもしますが国内メーカーからも出ないかなと思ってしまいます
前にコメントされている方も書かれていますが、サンプルはデュアルカメラのボケじゃないですね。写真加工ソフトにある周辺ボケの処理にしか見えません。
ただレンズ間の距離があまり無いので、サンプルのような構図の場合距離の判定がうまく出来ていない可能性があります。なので「距離判定がうまく出来ないときには、とりあえず周辺ぼかしを入れてしまえ」と言う「おせっかい」を入れている可能性もあるかもしれません。
できたら中央の緑の遊具にもっと近づいて後ろの滑り台が背景に入るような構図だと、機能するかもしれません。
で、おまけ。
色々と盛ってくれる中華物件ですが、まさか「なんちゃってデュアル・カメラ」は無いでしょうね。無いよね…