こんにちは。かのあゆです。日本国内ではハイエンドクラスのAndroidタブレットはHuaweiがMate 9やP10シリーズ、honor 9などに採用されてきたKirin 960を採用した「MediaPad M5 / M5 Pro」が先日販売開始されましたが、かつてハイエンドCPUを搭載した高性能タブレットを手がけてきたソニー・モバイルは2014年に発売された「Xperia Z4 Tablet」を最後に実質撤退しているなど、ハイエンドタブレットを望むユーザーにとっては寂しい状況になっています。
そんな中、中華タブレット界隈ではMediaTekの「Helio X20」を採用したタブレットが各社から多数登場し始めています。今回レビューするCHUWI Hi9 Airもそんな「Helio X20搭載ハイエンドタブレット」の中の一台となります。
OSは最新のAndroid 8.0”Oreo”を搭載し、性能もAndroidタブレットとしては高性能クラスのタブレットとなっています。なお、この製品は中国の通販サイト「Banggood」に提供していただきました。Banggoodにはこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
OSは現在最新バージョンとなるAndroid 8.0”Oreo”です。正確にはマイナーアップデートバージョンのAndroid 8.1が最新バージョンとなりますが、日本国内で販売されているスマートフォンでもAndroid 8.0が主流ということもありますし、「最新」と言ってしまっていいでしょう。
CPUにはMediaTekのHelio X20を採用。この製品自体はタブレット専用CPUではなくスマートフォンで採用されていたCPUで、デカコア(10コア)の高性能なものです。GPUにはAndroid 7.0以降で採用されていたゲーム用API「Vulcan API」に対応したMali-T880 MP2を採用しており、Vucan APIに対応したゲームであればより美しいグラフィックでゲームをプレイすることが可能になっています。
エントリー~ミッドレンジクラスのCPUではVulcan APIに対応した製品は非常に少なく、AndroidタブレットだとNVIDIAがかつて販売していた「SHILD Tablet K1」など対応機種が非常に限られているので、これだけでも非常に希少といえるのではないでしょうか。
RAMは4GB、内蔵ストレージは64GBとメモリとストレージに関しても十分な容量を搭載しています。ただし、今回レビューで試用した限りだとストレージの読み書きが遅めと感じられ、ゲームの読み込みなどに若干時間がかかる印象でした。
液晶は10.1インチで2,560 x 1,600の高解像度を実現しています。これはかつてソニー・モバイルが発売していた「Xperia Z4 Tablet」やHuaweiの「MediaPad M5 Pro」などのハイエンドクラスのタブレットと同じスペックとなりますし、最近の中華タブの上位モデルにも採用されています。
カメラに関しては10.1インチのタブレットとしては非常に充実しており、インカメラが5MPでアウトカメラがフラッシュライト搭載の13Mというスペックとなっています。ただし、後述しますがなぜか現状のファームウェアでは標準カメラアプリが一切インストールされていないので、別途「Open Camera” 」などのカメラアプリの導入が必須となります。
また無線LANやBluetoothのほか、LTE接続によるモバイルネットワークにも対応しています。
一応今回も以前レビューしたCHUWI Hi9と同様、技適マーク自体はついているのですが、表記上の不備(認証番号が記載されていません)があり、また技適取得状況についてメーカーからの明確な回答も得られていないため、今回ネットワーク関連のテストは行わないことにします。
CHUWIに関しては近年日本国内向けに何台かきちんと技適を通過させている端末も出していますが、正直このような表記だと問題がありますね。
2.デザイン
付属品はmicroUSBケーブル、ACアダプター(海外仕様)、マニュアルと非常にシンプルな構成となっています。そのほか純正液晶保護フィルム(PET製)がすでに装着された状態で出荷されています。
前面デザインは非常にシンプルなAndroidタブレットのデザインとなっています。特に本体ぎりぎりまで画面を広くした狭額縁デザインというわけでもなく、よくあるベーシックなAndroidタブレットのデザインですね。
液晶ディスプレイに関してはシャープ製のIPSパネルを採用しており、視野角も広く非常に美しい表示を実現しています。
背面はメタルボディを採用しており、美しく高い質感であると思います。全体的に近年の中華スマートフォンや中華タブレットはかつてのように安っぽいプラスチック感丸出しの筐体はあまり見なくなりつつありますが、本製品も非常に高品質な筐体となっています。きちんと技適を通過させているのであれば、そのまま日本国内でも販売できそうな雰囲気です。
左側面にボタン類は一切ありません。
右側面は電源ボタン、ボリュームボタン、リセットボタン(よく見えないと思いますが、ボリュームボタン右端のところに小さな穴があります)が配置されています。
本体上部はmicroUSBポート、3.5mmイヤホンジャック、そして両端にはステレオスピーカーがあります。USBについては近年ではType-Cへの移行が進んでいますが、本製品では従来のmicroUSBポートを採用しています。
スピーカーに関しては一応ステレオスピーカーではあるのですが、音量を最大に上げてもそこまで大きな音が出ない点は残念でした。ただし、音が割れるといったことはなく十分な音質は確保しています。
本体下部にはポート類は一切配置されていません。
3.使用感
システム
中華スマートフォンや中華タブレットではいまだに2016年にリリースされた「Android 7.x”Nougat”」が主流となっており、以前レビューしたCHHWIの8.4インチタブレット、CHUWI Hi9でもAndroid 7.0を採用していましたが、CHUWI Hi9 Airでは前述の通り現在最新の安定バージョンである「Android 8.0 “Oreo”」を搭載しています。
Android 8.xでは起動速度がAndroid 7.x以前と比較して高速化しているほか、アイコン長押しによるサブメニューの表示のサポートやIDやパスワードなどのログイン情報を自動入力してくれる「オートフィル」に対応するなど非常に便利な機能が多数搭載されています。
Android 8.0 “Oreo” ー Android OSの最新バージョン、ついに登場!(かのあゆ)
中身は「素の」Androidそのもので、CHIWI独自のプリインストールアプリや機能拡張などは一切搭載されていません。
プリインストールアプリも上記の通りAndroid標準アプリとGoogleモバイルアプリのみとシンプルなものになっています。SIMカードが挿入可能なため電話アプリなどもインストールされていますが、前述の通りなぜか現状のファームウェアではカメラアプリがインストールされていない(シンプルっていう次元じゃないですよね…)ため、インカメラとアウトカメラを使うには別途カメラアプリのインストールが必須となります。
カメラアプリに関しては、必要十分な機能を搭載しており広告も表示されない「OpenCamera」アプリが非常に使いやすいのでお勧めです。
初期出荷状態でのストレージです。64GB中7.30GBが使用中となっていました。
初期出荷時のファームウェアのAndroidセキュリティパッチレベルは「2018年2月5日」のものが適用されています。
カメラ
カメラのテストは前述の通り標準カメラアプリが一切搭載されていないため、無料で公開されている「OpenCamera」を使用しました。
明るい場所での撮影はタブレットとしては十分高画質な印象となっています。
ズームで撮影してもかなりきれいに撮影できています。正直これはかなり予想外でした。
ただし暗所での撮影はかなり厳しい印象となっています。幸いフラッシュライトも搭載されているの併用が必須となりそうですが、10.1インチタブレットに搭載されているタブレットとしては非常に高性能なカメラになっているといえるのではないでしょうか。
ゲームプレイ
CHUWI Hi9 Airに搭載されているMediaTek Helio X20は「Vulcan API」に対応しており、対応しているタイトルであればより美しいグラフィックでゲームをプレイすることが可能となっています。
実際にVulcanに対応している「Need For Speed No Limits」をプレイしてみたのですが、ハイエンドクラスのスマートフォン(Galaxy S8、Galaxy S9など)と同じく高グラフィック設定でゲームプレイが可能でした。
「Need For Speed No Limits」に関してはゲームプレイ中目立った処理落ちを起こすことなく快適にプレイすることができました。ただし、内蔵ストレージの問題なのかゲームの読み込みに時間がかかる箇所がありました。
バンダイナムコがリリースしている「鉄拳モバイル」もプレイしてみたのですが、こちらは若干プレイ中に処理落ちが起きている印象で、さすがにHelio X20でも“現在の”ハイエンドスマートフォン向けの3Dゲームをプレイするには若干荷が重いかもしれません。
4.ベンチマーク
今回もAntutu Benchmarkの旧バージョンである6.2.7と最新バージョンである7.0.7でベンチマークテストを行っています。
Antutu v6.2.7
参考:
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
LeEco Le Max 2(Snapdragon 820): 135,484
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
CHUWI Hi9 (MT8173) : 71,371
Ulefone T1(Helio P25): 67,409
Ulefone Armor 2(Helio P25): 66,331
Ulefone T1 Premium(Helio P25): 64,775
Xiaomi Mi A1(Snapdragon 625): 63,577
Blackview BV8000 Pro(Helio P20): 63,473
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
Elephone P8 Mini(MT6750T): 42,593
Vernee M6 (MT6750); 39,536
VOYO i8 Plus(MT6753): 39,030
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 37,349
Xiaomi Redmi Note 5 (Snapdragon 435) : 36,439
※マウス MADOSMA Q501(Snapdragon 410): 35,663
T-bao X101A(MT8783): 34,370
PIPO N8 (MTK8163A): 32,223
ZOJI Z7(MT6737): 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※Cube WP10(Snapdragon 210): 29,273
VKWorld Mix Plus(MT6737):27,127
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
※印はWindows 10 Mobile機
Antutu v7.0.7
参考 :
Samsung Galaxy S9 SM-G960F (Exynos 9810): 250,018
Samsung Galaxy S8 Duos SM-G950FD (Exynos 8895) : 194,363
Samsung Galaxy S8 SC-02J (Snapdragon 835) : 194,096
Sony Xperia X Performance F8132 (Snapdragon 820) : 157,502
Chuwi Hi9 (MT8173) : 88,330
Huawei P10 Lite(Kirin 658) : 78,986
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 51,425
Vernee M6 (MT6750); 50,186
T-bao X101A (MT8783): 40,933
VKWorld Mix Plus (MT6737) : 44,558
PIPO N8(MT8163A):39,785
Antutu v6.2.7、v7,0,7ともにウインタブでレビューしてきたAndroidタブレットでは最も高いスコアをたたき出しています。
さすがにスマートフォンで採用されているQualcomm Snapdragon 820以降のハイエンドCPUと比較するとスコアは落ちるものの、性能的には十分でWEBブラウジングやワープロでの文章作成などの通常利用のほか、(鉄拳クラスはちょっと厳しいものの)3Dゲームのプレイも十分対応できる性能となっています。
5.まとめ
CHUWI Hi9 Airは現在Banggoodにて5月23日現在、219,99ドル(約25,010円)で販売中となっています。前述の通り現在ではミッドハイクラス以上のCPUを搭載したAndroidタブレットは日本国内でも非常に少なくなってきていますが、そんな中登場したCHUWI Hi9 AirはHelio X20という性能の高いCPUとシャープ製の高解像度ディスプレイ、タブレットとしては高品質なカメラを搭載した非常に高性能なハイエンドタブレットとなっています。
これより高性能な10.1インチクラスのAndroidタブレットはSnapdragon SDM660を搭載し、ドコモのキャリア端末として販売されている「arrows Tab F-02K」やKirin 960を搭載した「Huawei MediaPad M5 Pro」が存在するものの、それよりもはるかに安価な価格設定でありながら、これだけ高品質で高性能なタブレットが手に入るのは非常に魅力的といえるのではないでしょうか。
技適マークの表示不備は非常に残念ですが、その点をクリアすれば十分日本でも販売できそうな品質のタブレットになっています。高性能で安価な10.1インチのAndroidタブレットを探している方はぜひ検討してみてください。
6.関連リンク
CHUWI Hi9 Air:Banggood
※Banggoodでは現在一時的に在庫が切れた関係で「プレオーダー」扱いとなっていますが、5月末には再入荷の予定である、とのことです。
コメント
綴りがことごとく間違えてるみたいだけど vulkanでしょ
普通に考えてリセットボタンではなくマイクだと思いますが
私が購入したものにはカメラアプリがプリセットされていました
泥タブとして580gってかなり重めに感じますが実測でもそのくらいだったんでしょうか…?
カメラアプリはありますよ。
ホーム画面右下にあるはずのアイコンが無いことの方が不自然です。
他のレビューも参考にしましょう。
発注より6週間待たされた、昨日入手。
今日セットアップしたが、今だ日本語化が出来なくグーグルストアよりDL
し使用。
さらにmicroSD挿入口は見つからない。
只、画面が綺麗でタッチ感は良い。
日本で発売するには細部をつめないと難しい。
この価格だから、何とか我慢して使ってみようかな。
中華タブ使ってる人へ質問
情報抜かれることは覚悟の上ですか?
確かにHi9 AirにもADUPS製の怪しいパッケージが存在するので、Package Disablerを使って無効にするのが良いでしょう。
そうすれば情報が抜かれるという心配もしなくて良いかと。
1さんどうも
よく分からない素人は少々高くても国内メーカーが良さそうですね
こちらの記事を読んで、今日注文しました。
中国製のタブレットを購入するのは初めてなのですが、プラグ形状はB、Cどちらのタイプでしょうか?
こちらの記事を拝見させていただき購入に踏み切り、つい先日届きました。
一点スピーカーのことについて教えてください。
記事の中で、スピーカーはステレオと記載されているところです。
確かにデュアルスピーカーではあるのですが、左右とも同じ音声が出力され、モノラルにしかなりません。
左右のスピーカーから違う音声が出力されているのを確認されていらっしゃいますか?
よろしくお願いします。