BlackviewのAndroidタブレット「Tab 18」の実機レビューです。この製品は従来のBlackviewタブレットよりも「ワンランク高い仕様」になっていて、先に言ってしまうと「ウインタブ読者におすすめ」です。Blackviewは日本のAmazonにも出品するなど日本市場での展開に積極的ですし、独自UIのDoke OS(タブレット用はDoke OS_P)を採用、筐体品質も「日進月歩」と言えるくらいに急速な向上を見せており、今後が楽しみな中国メーカーですね。
・12インチと迫力ある大画面
・ゲーム主目的でなければ十分な性能
・WidevineはL1、NetflixでもHD画質視聴が可能
・HARMAN 4スピーカーの音質は抜群!
・機能改善されたPCモードで文書作成もはかどりそう
・ケースとイヤホンが付属
ここがイマイチ
・ディスプレイが大きいので筐体サイズが大きく重い
・ケースの「タブレットスタンド」としての使用感がいまひとつ
販売サイトはこちら
Blackview Tab 18:Blackview Global Store
Blackview Tab 18:Amazon
1.製品概要
位置づけ
BlackviewのAndroidタブレットとしては最大サイズとなる12インチディスプレイを搭載する大型の製品です。サイズが大きいだけでなくシステムの仕様面でも同社のフラッグシップと呼べるものになっており、SoCにHelio G99を搭載し、12GB(拡張機能で最大24GB)のRAMと256GBのストレージも備えています。
また、OSにはタブレットに特化した最新の独自UI「Doke OS_P4.0」を採用しており、「PCモード」が使えるほか、4096段階の筆圧に対応するペン入力も可能(今回のレビュー品にはペンは付属していませんでした)と、比較的低価格な中国タブレットとして最高水準の仕様になっています。もちろんWidevineもL1ですし、従来の中国タブレットでは「鬼門」でもあったNetflixでのHD画質視聴も可能です。
スペック表
Blackview Tab 18 | |
OS | Doke OS_P4.0(Android 13) |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 12GB(拡張機能により最大24GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 12インチIPS(2,000 × 1,200) |
LTEバンド | B1/3/7/8/19/20/40 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.0 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー |
カメラ | イン8MP/アウト16MP |
バッテリー | 8,800 mAh |
サイズ | 277.6 × 173.2 × 7.9 mm |
重量 | 632 g |
レビュー機について
レビュー機はメーカーよりサンプル提供されたものです。Blackview Tab 18は単一バリエーションなので、レビュー機のシステムスペックも上記スペック表と同じです。ただし、「ロシア版」だったので、プリインストールアプリがグローバル版(日本向け含む)とは少し異なります(後述します)。
2.外観と使用感
同梱物です。本体は開封の時点でケースに入っていました。画像左上からUSB Type-Cケーブル、イヤホン、SIM取り出しピン、ACアダプター、取扱説明書(日本語表記あり、ただしごく簡素なもの)です。ACアダプターは30Wとタブレット用としては出力が大きく、日本のコンセント形状に合わないものでしたが、日本から実機を購入する場合、日本のコンセント形状に合うものか、もしくは変換アダプターが付属するはずです。
保護フィルムです。厚みがあり、おそらくガラスフィルムと思われます。
開封の時点で本体がケースに入っていましたので、先にケースから見ていきます。表面はレザー調(PUレザー)で高級感あり、とまでは言えませんが、決して安っぽいものではありません。
こんなふうに、フタの部分を使ってタブレットスタンドとしても使えます。また、フタを閉じると自動的に画面も消灯します。
タブレットを装着するプラスティックの部分です。中国タブ用でよくある簡素なものではなく、ちょっと凝った作りになっていますよね。
ただし、タブレットスタンドとしての使用感は「イマイチ」です。この画像のように「フタの部分の真ん中にある『折れ目・もしくは溝』にタブレットを装着したプラスティックのパーツを引っ掛けて固定する」のですが、溝が浅すぎて安定しません。もう少し溝を深くするか、プラスティックの部分に抵抗を強くする加工があればよかったと思います。とは言え、乱暴に扱わなければ実用は可能です。
前面と背面です。前面には付属の保護フィルムとは別に保護フィルムがあらかじめ貼り付けられていました。画像を見ていただくと、比較的低価格で購入できるタブレットとしてはベゼル幅が細めになっているのがわかると思います。Webカメラは横持ち時の上部ベゼル中央にあります。
背面は金属製と思われ、レビュー機の筐体色は「スペースグレイ」でした。また、防指紋加工が施されており、手脂とか指紋はつきにくい、よってサラサラした手触りになっています。ここは個人的にポイントが高いですねー。
私の印象ではディスプレイの発色は自然で、特にクセのある色味とは感じられませんでした。発色品質も有機ELには及ばないもののこの価格帯の製品としては合格点をあげられると思います。また、「色温度と画面最適化」という調整項目があり、色味が気になる場合はある程度の調整余地はあります(それほど細かくは調整できません)。
横持ち時の上面(上の画像)と下面(下の画像)です。上面には左側にSIM/microSDスロット、右側に電源ボタンと音量ボタンがあります。下面には何もありません。
電源ボタンがちょっと凹んだ形状になっていますが、これは指紋センサーを内蔵しているためです。中国タブで電源ボタンに指紋センサーを内蔵する製品は珍しいですね。ウインタブの経験上はこの製品が初めてです。
SIM/microSDスロットはよくある「nanoSIM × 2もしくはnanoSIM + microSD」という構造です。
左側面(上の画像)と右側面(下の画像)です。ご覧のように両側面に2つずつ、合計で4つのスピーカーを搭載しています。また、右側面にはUSB Type-Cポートもありますが、Tab 18はイヤホンジャックを搭載していません。
Blackview Tab 18はHARMAN(チューニング)のスピーカーを搭載しているのがセールスポイントです。実際の音質ですが「笑っちゃうくらいに素晴らしい」ですね。ウインタブではGalaxy TabとかiPad Proなど高級機のレビューをしていないので比較は出来ませんが、これまでに経験してきた比較的購入しやすい中国タブレットの中では間違いなく最高品質です。オーディオ専用機器には敵わないと思いますが、そのまま音楽や動画に使っても納得の音質だと思います。
3.システム
上でも書きましたが、レビュー機は「ロシア版」でした。言語設定を日本語にしておけば特に問題なく使えるのですが、プリインストールアプリにRuStoreやYandexといったロシア系のアプリがありましたし、キリル文字(全く理解できない…)のアプリも若干入っていました。読者の方々が購入される場合はこれらのアプリもキリル文字もないはずなので、そこはご安心ください。また、アプリ一覧の内容も若干異なると思います。
凍結室などDoke OS特有のアプリもありますが、基本的には特に戸惑うことはないと思います。Google標準のアプリも揃っていますし、広告っぽいアプリは見受けられませんでした。
設定画面のUIは一般的なAndroidとはかなり異なります。しかし、良く見ていただくと項目は多岐にわたるものの一般的と言えます。私としては「素のAndroidに比べると設定項目が豊富」と感じましたが、決して難しくはなく、「手の入れがいがある」という感じです。
PCモードです。設定からオン/オフでき、外付けキーボードを接続すれば自動的にPCモードに切り替わるような設定も可能です。
PCモードではアプリをウインドウ表示でき、Android 13の大画面デバイス向けのUIとは異なるタスクバーが表示されます。操作感はWindowsをトレースした感じになっていますので、決して面倒ではありません。例えばタスクバー左端にある「四角が4つのアイコン」をクリックするとアプリ一覧が表示されるとかですね。
PCモードの操作感ですが、一部のアプリ(Google Chromeなど)でウインドウサイズに応じてフォントサイズが自動調整されるなど、使い勝手は以前(Doke OS_P3.0)よりも改善されたと思います。また常に前面に表示させたいウインドウをピン留めできる機能も追加されました。ウインドウ間のコピー&ペーストもできました。
イマイチと感じたのは「依然としてマウスの右クリックに対応しない」という点と、「ウインドウの右上にあるサイズ調整用のアイコンの反応が今ひとつ悪い」という点でした。前者はまあ仕方ないかな、と思いましたが、後者は「せっかく出来の良いPCモードなのに、使用感を損ねてしまっている」と感じました。実用上はそれほど重大ではないと思いますが、急いでいるときにはちょっとイラつきますね。この点については早めに改善してもらいたいところです。
カメラアプリは中国タブレットとしては機能が多いほうです。撮影モードで「ナイトモード」「美顔モード」「プロモード」「白黒」「ポートレート」「パノラマ」があり、ズームは最大4倍までです。撮影サイズはアウト側で4,656 × 3,504(16MP、4:3)、4,656 × 2,624(12MP、16:9)、3,504 × 3,504(12MP、1:1)が、イン側で3,264 × 2,448(8MP、4:3)、3,264 × 1,836(6MP、16:9)、2,448 × 2,448(6MP、1:1)が選べます。動画は2,560 × 1,440(2K、16:9)、FHD(1,920 × 1,080、16:9)、HD(1,280 × 720、16:9)です。あと、シャッター音も消せますね…。
スマホの場合と違って、タブレット製品でカメラ品質を購入の決め手にされる人は数少ないと思いますが、一応近所で何枚か撮影してみました。季節的にビビッドな色のお花もなく、天候もよろしくなく、という感じでしたが、個人的には「かなり健闘している」と感じました。他社製品よりも発色が自然だと思います。このくらいの画質で撮影ができるのであれば、お使いのスマホのカメラの調子が悪い場面にスマホの代わりに使うこともできるんじゃないかと思います。
4.性能テスト
Antutu Ver.10のスコアは381,759でした(GPUテストはLiteバージョン)。最新のハイエンドスマホだとAntutu100万点越えは当たり前、200万点に迫るものも出始めていますので、38万点というのは心もとないと感じる人もおられるかもしれません。しかし、ゲームを主目的としてタブレットを購入するのでなければ「これで十分」です。
実際、オーディン・ヴァルハラ・ライジングというスマホゲームでしばらく遊んでみました。このアプリは推奨スペックが公開されていませんが、どう考えても「重い」です。Tab 18でゲームプレイは十分可能でしたが、手持ちのスマホ(Google Pixel 8)と比較するとやはりグラフィックはかなり粗く感じられ、「スマホがあるのにあえてTab 18でプレイする必要はないかな」と思いました。大画面でプレイできるのは魅力ですが、もともとAndroidのゲームはスマホのサイズに最適化されていると感じられるものも多いですしね。なので、私はゲームはスマホでやります。
タブレットでエンターテイメント、と言えばやはり動画視聴でしょう。12インチという大きめサイズのディスプレイで観る動画は美しく、見やすく、そしてスピーカー品質が素晴らしいので迫力も感じられます。
動画サブスクでNeflixとAmazonプライムビデオを試してみました。以前の中国タブでは「ほぼ全滅」だったNetflixでもWidevineはL1と表示され、Amazonプライムビデオでは聖闘士星矢の新作がFHD(1080p)で再生できました。他の動画サブスクは試していませんが、これなら動画用タブレットとしても大満足なのではないか、と思います。
5.レビューまとめ
Blackview Tab 18はAliExpress内のBlackview Offical Storeで11月11日午後5時(日本時間)から発売記念セールが開催され、セール価格は219ドルですが、先着500台に限りクーポンコードの併用で170ドルで購入できます(まだセールがスタートしていないので確たることは言えないのですが、製品ページにクーポンが表示され、さらにクーポンコード「12OT21」を使うと170ドルになるようです)。ちなみに11月11日14時現在の当該ショップの為替レートは1ドル157.82円なので、170ドルなら26,830円となります。
読者の方々のニーズにもよりますが、この製品は「買い」でいいと思います。12インチと大きめのサイズで動画を視聴するにもよし、キーボードを接続してPCのように文書作成やAndroid版のExcelで資料作成をするにもよし、です。また、付属品のケースやイヤホンも気が利いていると思いますね。「新しい仕様のペン入力」を試せなかったのはちょっと残念でした。
ウイークポイントは「大きなサイズと、それに起因する重量増」「PCモード時の反応がやや鈍い(特にウインドウ右上のアイコンの反応)」という点です。ただ、ウインタブ読者がガジェット好きな人が多いと思いますので、PCモードについてはウイークポイントを帳消しにする面白さを感じられると思います。
発売記念セールで3万円を切っているのなら、他のAndroidタブレットよりは「確実に面白い」製品だと思います。
6.関連リンク
Blackview Tab 18:Blackview Global Store
Blackview Tab 18:Amazon
コメント
カバーの使い方、間違ってますよ。
あれは三角にして立てかけます。