BlackviewのAndroidタブレット「MEGA 1」の実機レビューです。11.5インチとやや大型のタブレットで、SoCにはHelio G99を、WidevineもL1(NetflixでもHD画質視聴可)、独自UIのDoke OS_P4.0により「PCモード」も利用可能と、多彩な使い方が楽しめます。
なお、このレビューはメーカーよりサンプル機の提供を受けて実施しています。
・11.5インチと大型のディスプレイは発色品質が高い
・ゲーム主目的でなければ十分な性能
・WidevineはL1、NetflixでもHD画質視聴が可能
・独自機能「PCモード」は機能が改善、より使いやすく
・音質の良い4スピーカー搭載
・ケースとスタイラスペンが付属
ここがイマイチ
・ペン入力の品質が悪い
販売サイトはこちら
Blackview MEGA 1 タブレット:BLACKVIEW Global Store(AliExpress)
目次
1.製品概要
スペック表
Blackview MEGA 1 | |
OS | Doke OS_P4.0(Android 13) |
SoC | MediaTek Helio G99 |
RAM | 8GB/12GB(拡張機能により最大16GB/24GB) |
ストレージ | 256GB |
ディスプレイ | 11.5インチIPS(2,000 × 1,200) |
LTEバンド | B1/3/7/8/19/20/28A/28B/ B40/41 |
SIM | nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth5.1 |
入出力 | USB Type-C 、microSDカードリーダー |
カメラ | イン13MP/アウト50MP |
バッテリー | 8,800 mAh |
サイズ | 268.7 × 169.0 × 7.6 mm |
重量 | 528 g |
バリエーションモデル
・RAM8GB/ストレージ256GB
・RAM12GB/ストレージ256GB
コメント
「MEGA 1」というのはこれまでのBlackviewタブレットとは異質な製品名です。同社の大型のタブレットとして「Tab 18(12インチ)」がありますが、基本的なシステムスペック(OS/SoC/RAM/ストレージ)はTab 18と同じです。
Tab 18と異なるのはディスプレイサイズ(したがって筐体サイズも)とカメラ仕様、それとスピーカーの仕様です。いずれもこのあと詳しくご説明しますが、ディスプレイはサイズが異なるだけで同一解像度、カメラの画素数はMEGA 1が上、スピーカーの品質はTab 18が上(Tab 18のスピーカーはHarman Kardonチューニング)です。
2.外観
同梱物
まずは同梱物からご説明します。画像上が「ガラスフィルム」です。Blackviewのタブレット上位モデルにはガラスフィルムが付属することが多いです。これを貼るかどうかはお好み次第ですが、PET素材ではなくガラス、というのはうれしいですよね!
画像下、左からスタイラスペン、SIMピン、USB Type-C - Type-Cのケーブル、ACアダプター、取扱説明書です。レビュー機のACアダプターはEUプラグだったので、そのままでは日本のコンセントには合いません。AliExpressや(将来的に)Amazonで購入する場合は日本仕様のACアダプター、もしくは変換プラグが同梱されるはずです。このACアダプターは最大出力33Wで、本体への急速充電が可能です。
取扱説明書は多言語で日本語も含まれます。ただし、内容は「各部名称とAndroid OSの基本操作」の説明がほとんどなので、ある程度Android OSに慣れている人にはあまり意味がないと思います。
この他に「ケース」も付属していますが、ケースについては後述します。
前面と背面
前面(ディスプレイ面)と背面です。ディスプレイ面のベゼルは低価格帯のタブレットとしては細めで、スッキリとした印象があります。Webカメラは横持ち時の上部ベゼル中央なので、Webミーティングなどでは使いやすいです。
背面は金属製です。メーカーによれば「航空グレードのアルミニウム」とのことですが、航空グレードかどうかまでは分からなかったものの、表面にサンドブラスト加工(梨地加工)が施されており、手触りは非常に良いです。高級感もある、と言ってしまっていいでしょう。
レビュー機の筐体色は「スカイブルー」でした。MEGA 1にはこの他「スペースグレイ」と「ドリーミーパープル」が設定されています。
カメラ部分の「張り出し」は大きめです。ケースがないと傷つきが心配になりますね。
側面
上側面と下側面です。上側面の右側に音量上下ボタン、左側にSIM/microSDカードリーダーがあります。SIMトレイは「NanoSIM+NanoSIM」もしくは「NanoSIM+microSDカードリーダー」を挿入可能です。
左右側面です。左側面の左側に電源ボタン、右側面の中央にUSB Type-Cポートがあります。また、MEGA 1は4スピーカーを搭載しており、左右側面にそれぞれ2つずつスピーカーグリルがあります。イヤホンジャックはありません。
また、この電源ボタンは指紋センサーを兼ねています。先日レビューしたBlackview Tab 18も電源ボタンに指紋センサーがついていましたが、中国タブレットでこの構造になっている製品はまだ少ないです(スマホではおなじみですけどね)。
ケース
付属のケースです。PUレザー製で高級感があるとまでは行きませんが、めっちゃ安っぽいというわけでもなく、ウインタブの経験上、中国メーカーのタブレットとしては高質感な方だと思います。また、Tab 18とほぼ同じ素材、同じ形状です。
ケースの中のプラスティック製の台座についている3箇所のツメにはめ込むようにして本体を装着します。装着後の安定性(外れにくさ)は高いです。
もちろんタブレットスタンドとしても使えます。動画視聴の際には「スタンドはぜひほしい」ですし、MEGA 1はPCモードも使えますので、スタンドとしても使えるこのケースはとても重宝すると思います。
3.システム
ホーム画面とアプリ一覧です(画像真ん中と右はアプリ一覧画面をスクロールして撮影したため、複数のアプリが重複して写っています。この点ご了承ください)。Doke OS_Pはホーム画面のカスタマイズ余地が大きく、グループ化されたアイコン(群)を大きく表示したり、検索窓などのオブジェクトの位置を自由に変更したりできます。
プリインストールアプリはAndroid OS標準のものに加え、Doke OS独自のものも複数含まれます。
タブレット情報の画面です。ここは独自UIらしいデザインですよね。初期状態でストレージの使用量は256GB中15.7GB、RAMは標準の12GBに加え拡張分の4GBを合わせ、16GBになっていました。Doke OS_Pは何もしていなくてもメモリを多めに使っている印象があります。初期状態の16GBで8.28GBが使用済みになっています。RAM拡張機能は最大12GBまで可能、物理RAMと合わせ24GBにすることができます。
…それと、この画面にあるように、アプリを起動すると画面下にタスクバーが表示されます。Android 13以降に実装された大画面デバイス向けの機能ですね。
Doke OS_P4.0にプリインストールされている多彩なアプリの一部をご紹介します。画像左にあるのが「システムスチュワード」で、ご覧のようにRAMやストレージの開放(使用していないアプリやデータを削除し、空き容量を増やす)やバッテリーセーバーなど、端末運用を補助してくれる機能です(スチュワードというのは「執事」という意味があります)。
真ん中にある「ワークスペース」はタブレットの環境を「個人用」と「仕事用」に分けるもので、個人用と仕事用を切り替えるとアプリ一覧画面に表示されるアプリが変わります(仕事用では登録したアプリしか表示されません)。また、例えば「個人用」にインストールした「あるゲームアプリ」を「仕事用」に登録すると、そのゲームアプリは「クローン」になります。「個人用」のほうでプレイしたゲーム環境やユーザーアカウントは引き継がれません。なので、複数のアカウントでゲームなどのアプリを運用することができます(アプリ側の規約には注意してください)。
右端の「ゲームモード」は登録したアプリの動作中に通知を表示しない、電話を受けないといった「集中」機能が使えます。ただし、タブレットのパフォーマンスを上げるような機能はありません。
この他、マルチテックメモやフォーカスモードといった独自アプリ・機能があります。
Doke OS_Pの目玉機能「PCモード」ではアプリをウインドウ表示できるほか、タスクバーのデザインもPCっぽい(Windowsっぽい)ものに変わります。
4.カメラ
カメラアプリは同じBlackviewのスマホ「BL9000」とほぼ同じUIですが、マクロモードがない、スローモーション撮影ができない、ズームの倍率が最大4倍まで、などと少し簡素化されていますが、タブレット製品としては十分な機能があると思います。
いくつか作例を掲載します。
個人的にはタブレットのカメラでここまでの撮影品質になっていれば文句なしだと思います。また、MEGA 1では50MP(8,160 × 6,144ピクセル)というタブレット製品としては非常に高い画素数での撮影ができますが、50MP撮影では「標準の13MP(4,080 × 3,072ピクセル)を大きくしただけ」という感じで、特に繊細で美しい、というわけではなりません。Webサイトとかブログ用なら50MPの恩恵はないですね。大きく引き伸ばして使う場合には恩恵があると思いますけど。
ズーム撮影は最大4倍までです。ズームするとさすがに画質は落ちます。あと、スマホのように10倍ズームとかはできません。
ウインタブではBlackviewのタフネススマホやタブレットの実機レビューをさせていただける機会が多いのですが、Blackview製品のカメラは「室内での撮影時に発色があまり良くない」傾向があると思っています。しかし、それもレビューするごとに改善されており、MEGA 1のカメラは室内でもかなり自然な感じで撮影ができます。ここでは掲載しませんが、人物の撮影でも肌の色は(以前よりも)自然と感じられますし、静物もキレイに撮れました。手元にあるBlackview Tab 18との比較でも室内撮影の品質は明らかにMEGA 1のほうが優れていると感じました。
なお、カメラ(静止画)の撮影サイズは「50MP(8,160 × 6,144、4:3)、13MP(4,080 × 3,072、4:3)、9MP(3,072 × 3,072、1:1)、8MP(3,840 × 2,160、16:9)」、動画の撮影サイズは「2K(2,560 × 1,440、16:9)、FHD(1,920 × 1,080、16:9)、HD(1,280 × 720、16:9)」です。特に静止画のサイズバリエーションは少なめに思われますが、まあタブレットなんで…、とも思います。
5.性能テスト
Antutuスコアは416,367点でした。数回測定しましたがすべて40万点以上をマークし、システムスチュワードの「ゲームアクセラレーション」をオンにしてもほとんどスコアは変わりませんでした。このスコアだと最新かつ重量級の3Dゲームを高画質でプレイするのは難しいですが、それほど画質にこだわらず、どうしても原神などの特定のゲームタイトルをプレイしたいというのでなければ、そこそこゲームも楽しめると思います。
私がよく遊んでいるReal Racing 3(画質を手動で設定できません)は全く問題なく動作しましたし、勝利の女神:NIKKEでは低画質が選ばれましたが、こちらも問題なくプレイできました(ただし、バトルはオートモードです)。
6.使用感
ディスプレイ
発色、輝度とも十分、というか高く評価できます。手持ちのPCモニターとの比較でも原色は鮮やかですし、使っていて不満を感じることはありませんでした。
設定アプリの「ディスプレイ」の項目に「色温度と画面最適化」というのがあります。私としては特に調整は不要と評価しますが、青みが強い、黄みが強い、と感じられる場合はここで色温度を微調整できます
スピーカー
先日レビューしたBlackview Tab 18を「なかったこと」にすれば素晴らしい音質です。Tab 18はHarman Kardonチューニングの4スピーカーを搭載しており、タブレットとしては「異様なまでに音がいい」んで、Tab 18と比べてしまうと見劣りします(特に低音の再現力)。
しかし、MEGA 1のスピーカーも十分に音質が良く、他社のタブレットよりも優れていると感じました。なので、音質最優先ならTab 18を選ぶべきですが、そこまでこだわりがないのであれば心配いりません。
ペン入力
ペンは「ダメ」です。まず、筆圧対応とは言えません(速く描くと線が太くなり、ゆっくり描くと線が細くなる仕様)。それでもササッと落書きをするぶんには悪くないです。しかし、メモ書き(字を書く)はしにくいです。パームリジェクションに対応していないので、手のひらが画面に触れると誤動作しますし、そもそも書き味が悪く、ところどころかすれてしまったりもします。
辛辣ですが、ウインタブとしては「ペンには期待しないでください」という評価です。
PCモード
PCモードは設定アプリからオン/オフでき、外付けキーボードを接続すれば自動的にPCモードに切り替わるような設定も可能です。
UIと操作感はWindowsによく似ていて、これを見るだけで「ニヤリ」としてしまうくらいの出来です。例えばタスクバー左端にある「四角が4つのアイコン」をクリックするとアプリ一覧が表示されるとか、ウインドウの上部(タイトルバー)に最小化、最大化、閉じるのボタンがつくとかですね。
PCモードはレビューするたびに改善が見られます。Tab 18のレビューでは「マウスの右クリックに対応しない」「一部のマウス操作で反応が鈍い」といった点を指摘しましたが、MEGA 1では右クリックに対応し、マウス操作で反応が鈍いというのもほぼなくなりました。
正直なところ、私はBlackviewのPCモードについて、「少し評価が甘い」と自覚しています。その理由は「世界的な大手メーカーでもないBlackviewがタブレットをPCのように使えるようなモードを自力で作り上げた」企業努力を非常に高く評価しているからです。以前のレビューで「PCモードを採点すると50点か60点くらいだが、Blackviewはよく頑張ったと思うので実質満点」と書きました。その気持ちは今でも変わりませんが、「50点か60点」というのは、MEGA 1なら「75点から80点」くらいにしたいですし、ウインタブ読者が高く評価できるかどうかはわかりませんが「面白い」と思えることは間違いないと思います。
先日のTab 18(12インチ)にせよ、このMEGA 1にせよ、ディスプレイサイズが大きいので、多少の不満には目をつぶるとしても、あって便利なモードだと思います。
7.レビューまとめ
Blackview MEGA 1はAliExpress内のBLACKVIEW Global Storeに製品ページがあり、3月18日午後4時から発売記念セールが開始されます。セール価格は179ドル(約26,940円、クーポンコード「24AN20」を使用した価格。円建て価格は変動する可能性があります)から、となっています。また、キーボードやマウスのセット購入も可能ですが、キーボードに関しては英語配列になりますので、必ずしもセット購入する必要はないかと思います。
Helio G99搭載のLTEタブレットでディスプレイサイズが11.5インチと大きめ、性能テストを含め一通りのことに使ってみましたが、Blackviewは本当にニューモデルを出すたびに品質を向上させていると感じました。いま一番「期待できる」中国メーカーなのではないかと思います。
セール価格も製品の性能や筐体品質からみて割安と感じられます。おすすめのタブレットです。
8.関連リンク
Blackview MEGA 1 タブレット:BLACKVIEW Global Store(AliExpress)