Blackviewから新たに発売される「Blackview A200 Pro」の実機レビューをお届けします。タフネススマホに定評のあるBlackviewですが、画像をご覧の通り、このA200 Proはいちおう通常のスマホです。ただし、その構成がとても面白い。CPUはHelio G99と、中華ミドルレンジスマホの定番ながら、ディスプレイが曲面エッジ形状で、指紋認証センサーもディスプレイ埋め込み式だったり、リアカメラ画素数は108MPだったりと、ハード面でフラグシップ級の要素をモリモリ詰め込んできているんです。価格以上に「持つ喜び」を感じさせる、個性的で楽しいスマホに仕上がっています。
・表示は美しく使って楽しい、AMOLEDエッジディスプレイ
・普段使いに十分な処理能力と、メモリー、ストレージ
・解像度だけでなく、ちゃんと大手の上位製品に迫る品質の写真が撮れるカメラ
・スマートウインドウなど、このスマホでこそ活きる、独自OS、Doke OSの機能
ここは注意
・ハードが頑張っている分、システム面であと一歩もの足りなさを感じる部分はある
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(8月21日16:00から発売セール開始)
目次
1.BlackView A200 Pro ― スペック
スペック表
BlackView A200 Pro | |
OS | DokeOS 4.0(Android 13ベース) |
CPU | MediaTek Helio G99 |
RAM | 12GB (最大24GBへ拡張可能) |
ストレージ | 256GB (microSDカード最大1TB対応) |
ディスプレイ | 6.67インチAMOLEDディスプレイ 解像度 1,080 × 2,400 ピクセル リフレッシュレート 120Hz 曲面エッジディスプレイ形状 指紋認証センサー内蔵 |
LTEバンド | TDD :B38/B40/B41 FDD : B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18 B19/B20/B25/B26/B28A/B28B/B66 |
SIM形式 | Nano SIM × 2(SIM2はmicroSDと排他) |
ネットワーク | 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.2 |
入出力 | USB Type-C、microSDカードリーダー |
カメラ |
イン:16MP アウト:108MP + 8MP(超広角) + 2MP(マクロ) |
スピーカー | モノラル |
バッテリー | 5,050 mAh 66W 急速充電対応 |
サイズ | 162.23 × 73.6 × 8.55 mm |
重量 | 196g(実測193.3g) |
コメント
CPUは、中華ミドルレンジスマホの定番となりつつあるHelio G99。あとで実測しますが、Antutu v10のベンチマークは40万点台をマークします。普段使いにはまったく問題無いが、重量級3Dゲームは画質を落とす必要がある、といったあたりです。RAM12GBはCPUからすれば十分、さらに拡張技術で最大24GBまで拡張可能。ストレージ容量は、microSDカードでの拡張に対応する上、はじめから256GBあるのは嬉しいところです。バンドは、4Gまでながら日本の主要バンドに一通り対応。技適もしっかり取得してます。
ここまでは中華お買い得スマホからすれば目新しくもないのですが、見どころはここから。まず、ディスプレイ。なんと、曲面のいわゆるエッジディスプレイ。解像度はFHD+で、AMOLED(有機ELパネル)、リフレッシュレート120Hzと、満足感の高いものとなっています。さらに、指紋認証センサーも、ディスプレイ内蔵型。カメラは、アウトカメラに108MPの高解像度を搭載。ちなみにこれは、Helio G99が扱える最高解像度なので、実際使いこなせるのか注目です。66Wの急速充電も、実用上は非常に重要ですね。
と、ハード面でフラグシップ級の要素が並ぶ、スペックを見るだけでテンションの上がる構成となっています。
2.BlackView A200 Pro ― 筐体
実機を見ていきましょう。なお、レビュー機はメーカーよりサンプル提供していただいたものですが、後述のようにシステムが明らかにロシア向けのものだったりと、日本向け出荷品とは異なる部分があると思います。その点、あらかじめご承知おきください。まずは箱。かみ合わせがナナメになっていて、ちょっと高級感を演出。裏面のステッカーにしっかり日本の技適表示もあり、安心です。
同梱品一覧です。レビュー機は、充電アダプターがヨーロッパ向けコンセント形状ですが、日本向け出荷品は、日本のコンセント形状になるか、変換アダプターがつくと思います。ソフトケースも付属します。左上はなぜか説明書から独立して、Night Lightモードの説明。説明書は多言語で、日本語も含まれます。
スマホ本体です。背面材質はプラスチック素材ながら、スモークな独特の質感で安っぽさはありません。ここもなかなか個性的。「Polar Night Black」「Daybreak Blue」「Meteor Purple」のカラーバリエーションがあり、レビュー機はDaybreak Blueになります。Blueと言っても、ご覧のように爽やかな色合いです。
カメラバンプのアップです。ご覧のように巨大な2つの円に3つのカメラが内蔵されています。脇にあるのはフラッシュ。
側面です。ディスプレイ面から向かって右側面に、音量と電源ボタン。向かって左側面には何もありません。上部側面にマイク穴。下部側面にはSIMスロット(microSDカードスロット兼用)、マイク穴、USB Type-C、スピーカー。ご覧の通り、3.5mmオーディオジャックは備えず、また、スピーカーはモノラルです。
ディスプレイ側です。
おおおッ!曲面してる!この曲面により、正面から見ると、左右のベゼルがほとんど無いように見えます。
SIMスロットは両面型。2番スロットはmicroSDカードと兼用です。
重量は実測193.3g。これだけ色々とやってて200g以内に抑えたのも、たいしたものと言えるでしょう。
3.BlackView A200 Pro ― 使用感
システム
試用機は、セットアップがいきなりロシア語で少々焦りました。アプリも、デフォルトブラウザがヤンデックスだったり(Chromeもはじめから入ってはいる)、アプリストアはGoogle Playの他にRuStoreが入っていたりと、どうやらロシア向け出荷用のものだったようです(ロシアでもGoogleサービスは使えます)。OSはBlackviewの独自OS Doke OS4.0とはいえ、基本的にAndroidベースなので、セットアップ時こそ言語に日本語を選んだ後もロシア語が混ざりましたが、いったん初期セットアップが終わってしまえば、システム面でロシア語が残ることはなく、日本語化もほぼ完全でした。期せずして、Doke OSの多言語対応の完成度の高さを確認することとなりました。
起動しました。初期アプリは、Googleサービスやメモ・カレンダーなど基本的なアプリに、軽量なゲームが数個、それとヤンデックスブラウザ、RuStore、ロシア語データ移行アプリと、スッキリしたもの。と、明らかにロシア出荷向け構成だったので、日本出荷向けとは異なると思うので細かくは見ませんが、Blackview製品の方向性として、基本的にゴチャゴチャとはじめから色んなアプリが入っているということはないと思います。
設定メニューです。独自OSとはいえ、素のAndroidとそこまで大きく変わるわけではなく、日本語化もほぼ完璧なので、特に迷うことはないでしょう。
システム情報画面です。すいません、初期状態でスクショ撮るの忘れてました。ストレージについて、画像はカメラで色々撮影した上にヘビー級ゲーム「原神」をインストールした後なのでかなり容量が埋まっていますが、初期占有容量は約10GB程度でした。メモリは、基本12GBで、流行の拡張技術により、最大+12GBで24GBまで拡張可能です。デフォルトでは、ご覧のように、+9GBの設定になっています。セキュリティアップデートは2023年7月5日でした。
曲面ディスプレイといえば、これをやりたくなりますね。右サイドからスワイプで呼び出す、いわゆるエッジパネルです。Doke OSでは「スマートウインドウ」と呼称します。「設定>パターンとキー>スマートウインドウ」から有効にできます。ちなみに、別に曲面ディスプレイでなくても、Doke OS採用のBlackview製品であれば、この機能は使えるはずです。
設定できるのは、登録するアプリと、アプリか天気予報かどちらを表示するかの選択のみ。アプリショートカットの用途として実用十分ではあるものの、Galaxyのように多様な機能の割り付けとか細かな外観の設定とかはできません。
ディスプレイ
AMOLEDディスプレイの発色は非常に美しく、XIAOMI 12Tと比べると、Blackview A200 Proの方がわずかに発色とコントラストが強く、インパクトの強い表示となる傾向があります。表示の満足度は十分です。
先述のように、曲面ディスプレイにより、左右のベゼルが非常に細く感じます。一方、その分左右のはじがやや暗くなり、画像のように薄地の背景だと特に顕著ですが、これは形状からするとやむを得ない部分です。
ディスプレイ内指紋認証は、正直、XIAOMI製品と比べると感度に差がありますが、これも実用十分。XIAOMI 12Tが「タッチ」で認証するのに対し、Blackview A200 Proは「キュっ」とワンテンポ押しつけてあげる感じですね。ストレスというほどではありません。
タッチ感度に関しては、まったく問題ありません。また基本操作について、デフォルトでは、「戻る」「ホーム」「タスク」はボタンではなく、「戻る」は左右からのスワイプ、「ホーム」は下からのスワイプ、「タスク」は下からのドラッグ、となっています。で、左右からのスワイプは問題無いんですが、なぜか「下からの」スワイプ・ドラッグは、かなりギリギリ下からスタートしないと反応せず、ケースを付けたときにセンサーがシビアです。慣れるか、ボタン表示すればいいだけですけどね。
それから、AMOLEDディスプレイの特権(?)、スリープ時のディスプレイ常時表示(AOD)も可能。これに慣れちゃうと、無しではいられないんですよね。「設定>ディスプレイ>常にディスプレイを表示する」から有効化できます。ただこれも、設定が一切なく、表示項目や背景のカスタマイズができません。ここは、最低限のカスタマイズは欲しいところ。特に、「触れたときのみ表示」の項目は欲しいです。実際、いくらAMOLEDディスプレイとはいえ、常時表示ON/OFFでのスリープ時の電池消耗を雑に比較したところ、明らかに分かるくらいONの時の消耗が早い。今後のアップデートに期待です。ちなみに、AODを設定できるサードパーティ性アプリもあるので、そっちを探してみても良いかもしれません。
ゲームモード
最近のスマホでは定番の「ゲームモード」もあります。ただ、メニューは少ない。サブウインドウを開いて攻略情報を見たりとかはできません。スクショがあるなら、録画くらいはあってもよかったかな。まあ、上からのスワイプで、基本機能で録画すればいいんですけど。
スピーカー
スピーカーは、筐体でも見たとおり、モノラルです。中音域はそれなりに鳴るものの、高音域低音域は厳しく、本格的に音楽鑑賞をするなら、素直にイヤフォンや外部スピーカーをつなぐべきです。ただし、特に低音域が弱いため、結果的に、ボーカルなどの人の音声が伴奏よりも浮き上がって聞こえます。例えば、歌詞は聴き取りやすいですね。簡易的な用途としてはこれはこれでいいのかもしれません。
メインカメラ(108MP)
期待の108MPカメラを見ていきましょう。カメラメニューは一般的です。ただ、「HDR」や「フラッシュ」のON/OFF/AUTO切り替えはあるものの、「AI」の項目は美顔(ポートレート)にしかなく、写真を見るに、青空とか植物の緑とか、補正がかかっているとは思うんですが、それをON/OFFすることはできません。なお、非常に細かい調整が可能な「プロ」モードも備えます。以下の作例は、記事用に縮小の加工のみしています。撮影モードは、特に断りがなければ、解像度12MPの標準的な撮影モードで、HDRはAUTOで撮影しています。
晴れの神社。夏の日差しが強く、日向と日陰で非常にコントラストのきつい構図です。中央右の灯籠がハレーションを起こしているのは残念なものの、影になっている奥の本殿はよく撮れています。ちなみに、XIAOMI Mi9やXIAOMI 12Tだと、灯籠は飽和しないものの、本殿周りがかなり真っ暗になりました。XIAOMIのカメラに比べると、おおむね、やや明るめで、かつかなりHDRが効くのか暗部もしっかり写す傾向が見られ、全体的な出来は遜色ありません。
日陰のレリーフです。明暗差のある暗所も、最小限のノイズでよく撮れています。
葉の隙間から太陽がのぞく、逆光の構図。ここでも、HDRがしっかり効いています。
空と雲の表現です。
ズームは、デジタルズームで最大4倍まで。さすがに、ズームは苦手なものの、コントラストのきつい日陰がよく撮れていることが分かります。
「108MP」モードで撮ったものです。ご覧のようにコントラストが処理されておらず、空や日向は飽和、日陰は真っ暗で、色味も褪せています。多分、これが「素の状態」で、デフォルトの撮影モードは、これにAI色補正やHDR補正をかけているんだと思います。特に色味は、肉眼で見るよりもずいぶん鈍く、こちらを使う意味は、ほぼ無いでしょう。
夜に撮影しました。なお、「夜景」モードもあるのですが、写りに違いが見られません。こちらも、XIAOMI Mi9やXIAOMI 12Tと撮り比べていますが、ほとんど遜色のない出来です。やるな。
無造作に歩きながら、動画を撮ってみました。解像度は、FHDとHDのみ、動画はFHDで録っています。FPSは設定項目がなく、30FPS固定です。ご覧の通り、ちゃんと手ぶれ補正が効いています。もっとも、雑に歩くと少しブレが残りますね。丁寧に歩けば、スムーズな撮影が可能です。これも、このクラスのカメラとしては十分でしょう。
総じて、格上のXIAOMI 12Tなどと比較しても十分な品質の撮影が可能です。カメラはどうしても、ソフトウェアや調整の面で大手メーカーが強いのですが、このBlackview A200 Proのカメラは遜色のないレベルで、解像度という数字の面だけでなく、実際の仕上がりも非常に良くできています。
一点、少し気になるのが、比較的暗い場所やコントラストのきつい情景をなど撮影した際に、焦点合わせや保存までワンテンポ時間がかかる場合があるところです。108MPカメラの処理は、やはりHelio G99にとっては「ギリギリ」なのかもしれません。また、神社の境内の一画の林が、なぜかどうやっても、撮影後の処理がいつまで経っても終わらずに撮影できませんでした。明暗のコントラストが非常に高い構図だったため、おそらくその処理のせいだとは思うのですが、スピリチュアルな理由では、多分、ない、は……ず?
超広角カメラ(8MP)
超広角カメラでの撮影です。む、こちらはパリッとせず、色味も変。他のカメラの優秀さに比べて、ここだけはワンランク仕上がりが惜しい感じです。
マクロカメラ(2MP)
マクロカメラです。解像度が2MPと低いながら、こちらはなかなかよく撮れています。
インカメラ(16MP)
インカメラです。色味、コントラストともに、セルフィーに十分な品質の写真が撮れます。
4.BlackView A200 Pro ― 性能テスト
Antutu ベンチマーク
Antutu v10でのベンチマーク結果は、上記の通りです。Helio G99として、妥当な結果と言えるでしょう。もちろん、ブラウザや動画再生、オフィスアプリや2Dゲームなど、通常の使用ではまったくストレスはありません
「原神」での体感
スマホでの最重量級アプリ「原神」をプレイしてみました。ゲームモードで、最もパフォーマンスの高い「パフォーマンスモード」を選択。デフォルトでは、画質は「最低」に設定されます。実際プレイしてみた感じとしては、「低」だと、負荷がかかるところでカクつきは出るものの、それなりにプレイ可能。「中」だと、負荷のかかる環境や、視野を振り回すとカクつきが目立つといったところ。あと、持っていられるレベルではあるものの、かなり発熱します。
体感としては、Snapdragon 855搭載のXIAOMI Mi9とほぼ同じくらいでした。
普段使いなら問題なし、3Dゲームはものによって画質を落とす必要ありという、Helio G99のイメージ通りの性能という評価でよいと思います。
5.BlackView A200 Pro ― まとめ
こ・れ・は・楽しい。ミドルレンジクラスのスマホながら、曲面ディスプレイや、ディスプレイ内指紋認証といった、フラグシップ級の使用感を体験できます。ディスプレイ表示は非常に美しく、またカメラも、より上位の製品と遜色のない撮影が可能です。総じて、ハード面の出来は、素晴らしいといってよい水準です。
Blackview独自OSのDoke OSは、スマートウインドウやAODなど、このスマホでこそ使いでのある機能を提供しています。独自OSの面目躍如でしょう。ハードの完成度が高いだけに、こういった機能については、大手フラグシップ級スマホと比べるとやや物足りなく感じる点はあるものの、ご覧のように、実用上で困るというほどのものではありません。
販売は、AliExpressの「BLACKVIEW Global Store」にて、日本標準時の8月21日16:00(サイトにはPSTで8月21日0:00と表記)から発売セールが行われます。
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価格は、本体のみで219ドルからが予告されています。記事執筆現在のAliExpressのレートだと32,000円くらいになると思います。AliExpressの割引制度は非常に複雑なので、事前にストアクーポンの取得などはしておきましょう。先着で、ワイヤレスイヤホンのギフトもあるようですが、これは当たればラッキー程度で。
近年は、スマホ用CPUも、エントリークラスからミドルレンジクラスの性能向上が著しく、3Dグラフィックゲームなどをやらなければ十分すぎる能力を備えてきています。そのバランスをうまく突いた、非常に面白いコンセプトの製品と言えるでしょう。せっかく、あえて大手でないメーカーのスマホを買うなら、ただ単にお得という以外に個性が欲しいですよね。BlackView A200 Proは、実用性と、ある程度のイロモノ欲(笑)も、ともに満たしてくれる、逸品です。
6.関連リンク
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