こんにちは、ゆないとです。今回はオーディオ製品の紹介です。スマホでは実現ができなかった“モジュラー式”製品、例えば「Project Ara」なんて懐かしいですよね。読者の皆様は憶えているでしょうか。私としても非常に期待していた製品だったのですが、結局実現はしませんでした。しかし、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)では数年前から一部モジュラー式のものが存在しています。
例えばiBasso Audioというメーカーの製品に”DX200”というものがありますが、これはアンプモジュール兼オーディオジャック部分を交換して音質の変化などを楽しむことができます。最近ではマザーボード自体を交換することで、DACやオーディオジャックのサイズを変更することまで出来る「Cayin N6ii」などがあります。このShanling M30は、それらの交換可能範囲を広げたものになると思います。とても心くすぐられる製品に仕上がっていますので紹介していきます。
スペック
■OS: Android 7.1(正確にはバージョン不明。7.1という情報あり)
■CPU: Qualcomm Snapdragon 430
■RAM: 4GB
■ストレージ: 32GB(SDカードスロットあり)
■出力端子: 4.4mmバランス、2.5mmバランス、3.5mmPROバランス、3.5mmシングルエンド、6.35mmシングルエンド、RCAライン出力、XLRバランスライン出力、XLRバランスヘッドホン出力
■入力端子: 同軸、光、USB Type-A ×2、USB Type-B、USB Type-C、LAN(オーディオ信号入力用)
■ネットワーク: Wi-Fi 2.4/5G、Bluetooth(LDAC/LHDC/aptX HD/aptX/SBC)
■その他の機能: DLNA、AirPlay、NAS、File転送、OTAアップデート、DSDアップサンプリング、MQAデコード
■サイズ・重量: 260 x 210 x 50 mm、約3.0kg
■モジュール数: 5種類
標準仕様
OSはAndroidベースのカスタマイズOSで、HiFiGOの製品紹介ページには明記が無かったものの、他サイトでは“7.1“と表記しているところもあります。少なくとも、HiFiGOでは”Closed“なAndroid OSという記載になっているので、自由にアプリをインストールすることができない仕様のようです。現状、対応していると記載されているストリーミングアプリは「Spotify, Tidal, QObuz, Deezer, QQ Music」の5つです。今後も対応していくとのことなので、個人的にはAmazon Music HDやmora qualitasに対応して欲しいところです。
CPUにはQualcommの「Snapdragon 430」というやや古めのエントリークラスのものが採用されています。DAPに搭載されることを考えれば十分だと思います。Shanling製品としては比較的新しめのM6シリーズにも搭載されています。オーディオショップで触れたことはありますが、悪くない動作速度でした。
RAMは4GB、ストレージは32GBです。スマホで考えるとエントリー~ミッドレンジの位置づけの製品に思いますが、DAPはSDカードによる拡張が前提で、基本的にはSDカードに音源を入れての運用となります。本体のストレージが32GBというのは心もとないため、500GB以上など大容量のカードを用意したいところですね。
入出力端子は驚くほど豊富です。ここまでサイズについては触れてきませんでしたが約3.0kgとポータブルとは言えないサイズ感なので、その分たくさんのポートを搭載しています。おそらくほとんどの種類のものが搭載されているので、お好みのイヤホンやヘッドホンが利用できるでしょう。さらに、ネットワークはWi-FiとBluetoothに対応しているため、ワイヤレスで音源を楽しむことができます。
モジュール仕様
冒頭に記載したとおり、この製品は一部パーツを交換することが可能なモジュラー式の珍しいDAPです。モジュールの種類は全部で5つあるようで、以下の通りの構成です。
■プレーヤーモジュール: 6インチタッチスクリーン(1,920×1,080)
■DACモジュール: AKM AK4497 ×2 + Ti OPA1662 ×2
■AMPモジュール: ADI ADA4610-2 ×2 + Ti BUF634. ×4
■チューブ出力モジュール: Korg Nutube 6P1. ×2
■バッテリーモジュール: 16,500mAh(Panasonic製バッテリー)
DACモジュールやAMPモジュールはわかりますが、ディスプレイやバッテリーの交換もできるようですね。チューブというのは真空管のことです。Korgの“Nutube”はオーディオでは有名な製品あるいはパーツで、半導体チップサイズに小型化された真空管素子のことを言います。簡単に言えば、大きな真空管をチップサイズにしたと考えてもらえれば問題ないです。
スペックを見る限りでは、ポータブルDAPというよりは、SONYの“DMP-Z1”のようなギリギリ持ち出しができる?サイズと重量のオーディオプレーヤーという概念に近い製品という印象を受けます。
外観
モジュール部分です。上部の奥にあるのがプレーヤーモジュール(ディスプレイに見えるもの)、下部にあるのがバッテリーモジュール(2つのパーツ)と思われます。上部手前の丸いディスプレイが2つあるモジュールとボディ左右に配置された長方形の4つのパーツ、これらがDACまたはAMP、チューブ出力のどれかだと思います。
よく製品紹介ページを見てみると、左右に配置された4つの長方形パーツのうち、2つは何も配置されておらずダミーパーツのようです。残りの2つがNutubeモジュールです。そうなると、上部手前側、2つの丸いディスプレイが付いたモジュールがDACとAMPが一体化したモジュールなのだと推測します。
画像のように立て掛けることができるスタンドが付属するようで、横置きしなくて良いのでプレーヤーモジュールの操作もしやすそうです。また、単に横置きするよりも“見た目”という点でスッキリして良いと思います。
各種ポート類です。置いたときに、画像上部が手前、画像下部が奥に向く配置です。画像上部のゴールドの丸い部分はボリュームダイヤル兼電源ボタンです。小さいですが、ボリュームレベルが確認できるインジケータも搭載されています。
画像下部は様々な入出力端子が確認できます。据え置きよりもコンパクトなサイズですが、イヤホンやヘッドホンをはじめ、オーディオで使用する主要なポートはほとんど搭載されていると思います。下記に各端子の名称が表示された画像を貼っておきますので参考にしてください。
使用例ですね。画像ではお茶とオーディオを楽しむ、そんなひとときを表現しています。やはり据え置き型DACよりはコンパクトですが、オーディオプレーヤーとしては大きいですね。10インチ~12インチくらいのノートPCのサイズ感が近いでしょうか。ただ、なにぶん3kgありますので、持ち運びは大変でしょう。ボディは一枚のアルミニウムを高精度のCNC機械加工で処理していて、内部配線には単結晶銅ケーブルが採用され、マザーボードには92個のパナソニック製コンデンサが搭載されています。
まとめ
3月15日現在、Shanling M30はHiFiGOにて3,599ドル(約392,238円)という価格で注文受付の状態です。出荷はもうまもなくということです。
価格だけ見たら超弩級のオーディオプレーヤーですよね。オーディオ好きな人からすると、既にAK4497をデュアル搭載、という似た仕様のポータブルDAP「SP1000」が当初45万円くらいで発売されたりしたので、まぁこんなものだろう、という感じかと思います。
また、サイズや入出力端子の構成から据え置きのDAC(パーツとしてのDACではなくて製品としてのDAC)じゃないかという印象を受けますが、この製品はモジュール交換によって仕様を変更することができ、プレーヤーモジュールがあるため“オーディオプレーヤー”ということになります。
気になるのは今後のモジュールのラインナップですよね。冒頭で紹介したiBassoやCayinといったメーカーモジュラー式DAPは、しっかり複数種類のモジュールが発売されています。Shanlingも日本でいくつもDAPなどを発売していますし、オーディオ好きの間では知られたメーカーです。日本ってアジアの中でもオーディオ好きな人が多いと聞いたことがありますので、こうした製品は好きな人には”刺さる”と思います。そのため、おそらくこの製品も日本で発売されることでしょう。モジュラー式DAP、とても気になります。
関連リンク
Shanling M30:HiFiGo 製品紹介
Shanling M30:HiFiGo 販売ページ