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Kinera Freya 実機レビュー - 価格を超えたハイエンドな音質と筐体品質。イヤホンマニアの1つの終着点にも成り得る製品です。

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どうも。ひつじです。近年ワイヤレスイヤホンがイヤホン界隈の主流になりつつありますが、逆にワイヤードイヤホンのメリットを感じる人も増えているのではないでしょうか。遅延の小ささや音質の良さ、接続の手軽さなどから1つは手元に置いておきたい、と思う方は結構いらっしゃると思います。

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一方でこういうオーディオ製品って凝り始めるとキリがなくて、しばしば「地獄」と形容されます。要は真の意味で納得できる製品に出会えることはそうそう無いですし、多くの人はその不納得を趣味に変えて色んな製品を購入するわけなのですが、「あがり」に出来る製品を探しているのもまた事実。

今回紹介するKinera社のFreyaは同社としてはミドルエンドに位置しているものの、世間一般ではイヤホンというオーディオ地獄から脱出できる「あがり」の製品に成り得る、そんな質の製品です。音質も含めて揺るぎないハイエンドらしさを備えつつ価格は決して高くない(※ハイエンドとしては)ので、要注目の製品だと言えます。

また、Freyaとは北欧神話における「フレイヤ」という愛と美、豊穣をつかさどる女神の名前なんです。その名前を冠するだけあって筐体の美しさも特筆もの。1つ1つハンドメイドでデザインを仕上げているのも大きな特徴だと言えます。

なお、今回このFreyaはHiFiGOよりご提供頂きました。ありがとうございます。

1.スペック

形式:カナル式(IEM)
ドライバ構成:3BA+1DD
インピーダンス:22Ω
感度:110±2dB
周波数特性:20Hz~20KHz
接続プラグ:3.5mm ステレオミニプラグ
ケーブル長:1.2m
リケーブル:可能(0.78mm 2pin)

スペックの特徴としてはまずドライバが3BA(バランスドアーマチュア)と1DD(ダイナミックドライバ)にて構成されている点です。
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このBA(もしかしたらDDも)はSonion社やKnowles社と言った有名なメーカーのものを採用しているようです。これらのメーカーはUltimateEars社、より身近なところではELECOMのハイエンド品などでも採用例があります。いわば採用していることが自慢になるような会社なのでイヤホン好きな方であればご存じな場合も多いかもしれません。

また、この手の製品としてはある意味珍しいのですが、インピーダンスや感度を見ても分かる通りかなりボリュームを稼ぎやすい仕様になっています。スマートフォンなどに直接繋いでも十分大きな音で音楽が聴けるでしょう。こういった使い勝手の良さはある意味ミドルエンド品らしいと言えるかもしれません。
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なお、製品そのものはリケーブル可能ですが標準添付されているケーブルもかなり良質な様子が見受けられました。線材は「OCC」とあるので恐らく単結晶銅なのでしょう。

2.筐体

動画を準備していますのでこちらもご参考ください。

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まずは外箱です。なんだかちょっといいお菓子の箱みたいに見えますね。

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続いて中身。マニュアルなどの紙類以外にイヤーチップ(Final社製のものとSpinfitによく似た別の仕様のもの)、ステレオミニ⇒ステレオ変換プラグ、掃除用ブラシ、ポータブルケース(ケーブルが入っていたケースのこと)、ケーブル、USB Type-C⇒ステレオミニ端子変換アダプター、Lightning端子⇒ステレオミニ端子変換アダプター(国内流通品には添付無しの模様)が添付されています。
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それからイヤホン本体です。Kinera社の記載があるものが左、Freyaの記載があるものが右となります。見て頂いたら分かる通り、かなり凝ったデザインです。1つ1つハンドメイドでペイントされているそうで、他にはない存在感と高級感があります。
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なお、ケーブルを差し込む際、LRの区別は仮に間違っても問題ないのですが、Pinの向きを間違えると最悪破損に繋がるので必ず気を付けて差し込むようにしましょう。ケーブルは耳の後ろに引っかけるように装着しますがその形に合わせてケーブルはカーブしていますので気を配れば上下を間違えることはないと思います。

3.使用感

装着感

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カナル型としては比較的装着感の浅いイヤホンだと感じます。使い勝手も良いですし、耳が痛くなるといったこともありません。また装着してから外れそうな様子などもなく極めて快適です。耳の形状にピッタリ合うことから来る圧迫感はありますが挿し込みの深いイヤホンとは異なる圧迫感で個人的には安心感がありますね。ただ純正のイヤチップについては普段使用しているサイズより1つ大きくしてみてもいいかもしれません。

音漏れ・遮音性

音漏れは常識的な音量で聴く限り、電車などで問題になることはまずないでしょう。Xperia XZ Premiumで50%の音量で再生している限り、静かな部屋であっても他の人が気になるということはなさそうです。装着感を考えれば非常に優秀な性能だと思いますね。

遮音性についてはIEMとしてはそこまで高くない印象ですが必要十分だと思います。装着しただけでも少なくともエアコンや空気清浄機の静音運転ような微細な風切り音はほぼ聴こえなくなりますし、必要な物音は多少入って来るかな、という程度。音楽を鳴らせばほぼ何も聴こえなくなるかなると思います。むしろこれより遮音性が高くなると外での使用は怖くなるかもしれません。タッチノイズも常識的な範疇に収まっています。

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音質

今回、ひつじの私物と比較しています。
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・JVC HA-FX1100(Woodhifi DY5Nにリケーブル済み。以下FX1100。)
・Etymonic Research ER-4S(ZePhone Silver Seagullにリケーブル済み。以下ER-4S。)
・Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro(FiiO RC-UE2にリケーブル済み。以下10pro。)

いずれも古めのモデルですが当時の定価ベースで言えばそれぞれ、53,000円、30,000~40,000円、35,000円位、といったところでしょうか。前2機種はまだ現行品で、実売価格はほぼFreyaと並びます。ただここからリケーブルをしているのでそれぞれざっくり3万円超級、といったところです。
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なお、再生機材にはONKYO C-1VLをCDトランスポーターとしたうえで、Pioneer U-05というDAC付きヘッドホンアンプを使用しています。(必要に応じC-1VLだけでなく、Pioneer BDR-S09J-Xにて取り込みしたCDのWAVEファイルも使用しています。接続はASIO経由。)
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またサブ機としてLehmann AudioのBlack Cube Liner、それからポータブル環境を想定しAudio technicaのAT-PHA55BTを活用しています。

一聴した時の雰囲気はFX1100に似ていると感じました。これは中高域の雰囲気がどちらもやや鮮やかである点に由来します。ただ周波数特性上はFX1100に比べFreyaの方がフラットです。また、FX1100は実際の解像度以上に筐体の付帯音がアコースティック感を出して音の粒立ちを均しつつ解像度「感」を表現しているような側面があると感じるのですがFreyaはそうではなく、地力で音の粒立ちを表現していますね。FX1100がよりオーディオ的、と言ってもいいでしょう。

なお、周波数特性は大枠ではフラットだと感じますが細かく見ていくと多少上下はあるようで、低域はあくまでフラットの範疇ですが楽器構成やミックスによってややボーカルラインに被る場合があります。また、低域量を抜きにしても一部の中低域については他の帯域より埋もれやすい傾向があります。この辺りはギターの低域や女性ボーカルのウィスパーボイスのブレスがかかる帯域に多少被るので他のイヤホンと比較すると気になるかもしれません。サ行や高域の表現はややエッジが強調されますね。ただ刺さるというほどではないです。またこの鋭さはエージングと共にある程度収まるかもしれません。

なお、この中高域のキャラクターに対しダイナミックドライバが担う低域の描写は少し弾力がある傾向で、異なるキャラクターだと感じました。各ドライバの音の繋がりは良好だと思いますが別ドライバで駆動しているという印象は多少残りますね。

ただそれでも10proとは隔世の感があります。明らかに素性としてFreyaが優秀です。特に中高域の表現はFreyaの強さが光ります。比較するのはちょっと荷が重かったかもしれません。

ER-4Sは解像度の高さが強みと言えるイヤホンですが、シンプルな編成の楽曲の1つのパートに絞って聴き取りを行なうのであればFreyaよりER-4Sの方が解像度が良い、という評価をせざるを得ないです。ただ、複雑な編成の楽曲であれば、楽器パートの分離はFreyaの方が1、2枚上手です。そのためエレキギターなどに他パートが埋もれてしまいやすいロック系楽曲から薄く鳴らされているドラムやギターのゴースト等を拾いたい、ということであればFreya優位と言えるでしょう。こういった部分はIEMらしい素養を見せています。またER-4Sが音の粒立ちを細かく表現するのに対し、もう少しFreyaは滑らかな描写をする傾向があります。

また、Freyaは音場が広くクロストークが非常に少ないという印象を受けました。音場は広いだけでなくフォーカスもきっちりしています。クロストークが少ないが故でしょう。やや前方に音は定位しますが、それよりも横方向の奥行がかなり広いという印象が強いです。この奥行に対し見切れることなくちゃんと楽器の位置が定まりますね。また、私は各帯域の時間的な「ずれ」がかなり気になる性分なのですが、多少低域の余韻が他帯域より残る点を除き気になる点はありませんでした。

なお、再生機器に関してもゲイン上はそれほど機種を選びません。ボリュームを稼ぎやすくポータブル用途でもスマートフォンなどに直接挿して使用が可能でしょう。ただ真価を発揮させるにはU-05でも足りないかもしれません。また能率が良いためか、一般的な範囲ながらホワイトノイズの有無は分かりやすいイヤホンですね。U-05だとホワイトノイズは気になりますし、Black Cube Linerだとノイズは気になりませんが制動力がもう少し欲しくなります。バランス化してみてもいいかもしれないです。

いずれにしてもこの音質が2万円台というのはかなり望外です。事前知識無く試聴をしたら(安く見積もっても)5万円超えのイヤホンだと思う方のほうが多いかと思います。今回比較したイヤホンには悪いですが「一番いいイヤホンは?」と聞かれたらFreya以外の名前が挙がることはあるのか?とさえ思いますね。

ヘッドホンと比較する場合でも定価ベースで7万円前後のものを引っ張り出したくなる、そんなイヤホンに仕上がっています。

4.まとめ

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Kinera FreyaはHiFiGOで販売中で、10月5日現在の価格は249.99ドル(およそ26,330円)です。また、HiFiGoで「Priority」という配送方法(無料)を選択すると、送料や税金がHiFiGo負担となるようです(詳しくはこちら)。

正直価格と性能や製品デザインがいい意味で釣り合っておらず、お得度が断然高いイヤホンだと言えます。モニタ用途としての正確性だけでなく音楽性も意識した音作りがなされている点が万人受けするかと思いますし、使いどころを選ばず常に優秀なイヤホン、という印象です。恐らくこのイヤホンを越えて優秀な製品を入手しようと思えば5桁の出費では足りないということも多いでしょう。

少なくとも私個人としては「イヤホンのオーディオ地獄はこの製品で締めくくる」って決めてもいいかなーと思える、そんな製品でした。イヤホンを多数渡り歩いてこられた方にこそお勧めしたい製品に仕上がっています。ですのでイヤホンマニアの皆様は3万円未満ですから悩まず買ってしまってください。「2020年おススメガジェット」の筆頭になりそうな予感さえする、優秀なイヤホンですよ!

5.関連リンク

Kinera Freya:HiFiGO
Kinera Freya:メーカーサイト

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コメント

  1. 匿名 より:

    気になるけどカナル型は苦手だ…

  2. 匿名 より:

    Kineraよりも10proに反応してしまう。
    欲しかった…。