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メモリ&GPU逼迫はいつ終わるの?対策はある?

オピニオン

メモリ&GPU逼迫はいつ終わるの?

メモリ需給の逼迫

現在のメモリ市場は、AIデータセンターが大量のDRAMやHBMを消費していることが世界的なメモリ不足の主因とされています。当初はメモリだけの投機的現象とも言われていましたが、最近はサーバー向けCPUの不足HDDの不足も報じられており需要は本物のようです。

この影響で、メモリメーカー各社はAIチップ用のHBM製造へ生産リソースを重点的に振り向けており、DDR4/DDR5など従来型メモリの供給が徐々に細っています。特にMicronが消費者向けCrucialブランドの終了を発表した際は大きなニュースとなりました。このサーバー優先の方針が続く限り、レガシーDRAMの生産縮小と価格高騰は避けられない状況です。

メモリメーカーも増産投資をしていますが、それが実際の供給改善として市場に反映されるのは、早くとも2027〜2028年ごろになると考えられています。産業予測でも、2027年までAI/HBM向け半導体設備投資が拡大し続ける見通しが示されており、メモリ不足は数年以上継続する可能性が高いことがうかがえます。この「早くとも2027年」というのは単純にそこまでしか予測できないからであり、AI需要が伸びれば需給逼迫が中期的、2030年頃まで続く懸念すらあります。

短期的にできる対策:DDR4の活用

短期的に供給逼迫に対処する方法としては、DDR4を活用することがもっとも現実的です。DDR5はデータセンター向け需要が優先されており、市場価格の安定には時間がかかります。Raptor Lake(Intel 第13〜14世代 / Core無印100シリーズ)やAlder Lake-N、産業用のBartlett LakeはDDR4との互換性を維持しており、性能要求の少ない産業用途や教育用途でDDR4を活用することで、間接的にDDR5の需要圧力を下げることに繋がるでしょう。

一方でAMD RyzenはRembrandt(6000シリーズ)以降DDR5専用となっており、DDR4を使える選択肢は限られています。新規にDDR4対応CPUが登場すれば面白い展開になりますが、各社ともDDR5への完全移行を進めている現状から、実現可能性は低いと言わざるを得ません。

Lunar Lake のオンパッケージメモリ

Lunar Lakeのオンパッケージメモリ

画像出所:Intel

Lunar LakeのオンパッケージメモリはCPUと一体化して提供されるため、Intelが十分に確保しているか決算説明会で質問が出たようですが、Lunar Lakeの需要予測分に必要なLPDDR5Xの調達は早期段階で完了しているため、直近の出荷分については問題が起きないと説明しています。IntelはLunar Lake用のメモリ在庫を抱えることに従前からセンシティブで、今回は深刻なメモリ需給逼迫を見越して、あらかじめメーカーと長期契約・枠確保を進めていたようです。また、OEMメーカー側でも、メモリ供給リスクをあまり意識しなくて済むLunar Lakeを歓迎する声があるという噂も出ているようです。

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自作市場向けGPU

NVIDIA GeForce RTX 5090

画像出所:NVIDIA

「AI専用チップが市場に流通し始めたら、自作PC向けGPU供給は回復するのか」という質問があります。答えとしては、短期的にはGPU供給は回復しないと考えられます。AI専用チップ(TPU・ASIC・NPU など)が増えても、

  1. CUDAエコシステム依存の強さ
  2. TSMC先端プロセスの供給制約

という2つの構造的問題が残るため、自作PC向けGPUに回ってくることはないでしょう。

CUDAエコシステムの強固さ

NVIDIAのGPUがAI市場で圧倒的に強いのは、ハード性能だけでなくCUDAを中心とした巨大な開発エコシステムに依存しているためです。AI市場において NVIDIA GPUは90%以上の支配的シェアを持つ状況が続いています。各AI開発各社がNVIDIA以外のチップへの内製化を進めていますが、ソフトウェアとしてのCUDAからの移行が大きな壁であり、すぐに進むものではないと思われます。

供給のボトルネックはTSMCの製造能力

GPUやAIアクセラレータは同じ用途で使う以上に多様な性能要求を持っており、その多くはTSMCの先端プロセス(5nmか3nm)で製造されます。この製造プロセスはAI需要により逼迫し、TSMCは2026年以降4年連続値上げを通知し、2026年の3nm/5nmプロセス製造枠は既に100%予約済と報じられており、製造キャパシティそのものが枯渇しています。この状況では、AI専用チップが増えればそれだけGPU供給が減少することになり、結局改善しません。

改善の可能性:TSMC依存の緩和

とはいえ、改善の可能性がまったくないわけではありません。TSMC以外のファウンドリが活発化すれば供給を増やすことができるでしょう。ここのところパッとしなかったSamsung Semiconductorはテキサス新工場を中心にTeslaからAIチップの大規模受注を獲得し始めており、Samsungが先端ノードを安定供給できるようになれば、NVIDIAやAMDが発注を分散させ、結果的に自作向け供給改善に寄与する可能性が出るでしょう。

IntelはIntel 3が稼働から2年、Intel 18Aも今年のPanther lakeを製造しており、商用可能なレベルで稼働しています。しかしこれらの工場は現状1つずつしか建っておらず、サーバー向けCPU需要が逼迫していてそのほとんどが自社製品向けで埋まっている状況です。期待できるのは2027年以降ということになるでしょう。

Rapidusが2nm級の量産を目指していることは広く知られており、顧客にAIチップ製造のTenstorrentがいますので、成功すればTSMC依存緩和の潜在要因となるでしょう。

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鍵はRaptor lake?

さて、ここでメモリでも計算チップでも出てくるのが”Raptor lake”という名前です。Raptor LakeやAlder Lake-N は、Intel内製のIntel 7プロセスで製造されており、TSMCの5nm/3nmキャパシティを消費しません。この特徴によって、これらのプロセッサを利用することはGPUやAIアクセラレータの製造と競合せず、さらに相対的に逼迫の軽いDDR4を利用できるという利点があります。結果として、先端ノードの需給圧力をわずかに軽減し、市場全体の逼迫を和らげる方向に働くと言えるでしょう。

現在Raptor LakeはUltraのつかない“現役ではあるが型落ち扱い”のCore 100/200シリーズとして、ラインナップの一番下のレンジを支えています。本来であればWildcat Lakeに置き換えられるはずだった製品群であり、その意味では当座しのぎの延命策に過ぎない面も否めません。

同世代のサーバー向けCPUであるEmerald Rapidsも、電力効率の面では先端のサーバー用途には届かなくなっており、主要な採用先からは外れつつあります。しかし、電力効率があまり重視されないような負荷の低い交換機的サーバー用途などでは、暫定的な“応急処置”として一定の需要が残る可能性はあります。

また、Raptor Lakeの組み込み向け派生であるBartlett Lakeが登場したように、関連製品の開発が完全に止まっているわけではありません。したがって、例えばAlder Lake-Nのアンコア構成をそのままに、内部コアのみをSkymont世代へ置き換えたような派生モデルの登場を想像してしまうところですが、こうした“部分的な世代更新版”が実際に製品化される可能性は、残念ながら極めて低いと言わざるを得ないでしょう。

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