こんにちは、ゆないとです。今回はCHUWI(ツーウェイ)の新たなミニPC「CoreBox Pro」の実機レビューです。この製品は5月に発売された「CoreBox」のアップグレード版です。今回も実機を貸し出してくださったCHUWIへ厚く御礼申し上げます。
CoreBox Proの紹介記事は、既にウインタブに掲載済みです。今回お借りした実機は貸し出し用ということもあり、微妙に構成が異なっています。製品ページに公開されているスペックについては、下記のリンクの紹介記事の方をご覧ください。次のスペックの項目では、今回お借りした実機のスペックを記載しております。ご了承ください。
CHUWI CoreBox Pro - Ice Lake Core i3搭載でThunderbolt3にも対応!拡張性も向上したミニPC
目次
1. スペック
※下記のスペックは今回お借りした実機のものです。
CHUWI CoreBox Pro | |
OS | Windows 10 Pro |
CPU | Intel Core i3-1005G1 |
外部GPU | なし |
RAM | 16GB |
ストレージ | 256GB NVMe M.2 SSD (2.5インチHDD増設ベイ搭載) |
光学ドライブ | なし |
ネットワーク | Wi-Fi 6(IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.1 |
入出力 | RJ45(ギガビットイーサネット) ×2、マイクジャック、イヤホンジャック、USB2.0 ×2、USB3.0 ×2、HDMI ×1、DP ×1、USB Type-C(Thunderbolt3対応)、電源コネクタ |
サイズ | 173mm × 158mm × 73mm(体積:約2L) |
重量 | 895.8g(実測値) |
OSはWindows 10 Proが搭載されていました。実際のところ、販売前の製品ページにはWindowsのエディションについては記載されておらず、今回の実機のとおり製品版はProエディションが搭載される可能性もあります。その場合はPro版の機能を活かし、リモートデスクトップで外からアクセスするなどして活用したいですね。
CPUはIntel製の第10世代「Core i3-1005G1」です。第10世代コアは2種類存在しますが、こちらは10nmのプロセスルールで生産され”Ice-Lake”という開発コードネームで呼ばれています。同じ第10世代モバイル向けノートPCなどに搭載される製品(型番末尾に”U”が付くもので、第10世代は”Comet-Lake”)とよく比較されますが、Passmarkが公表しているベンチマークスコアを参照すると、Ice-Lakeのほうが少し高性能です。
外部GPUの搭載はしておらず統合型グラフィックスとなっています。Ice-Lakeの中でもCore i5やCore i7などの上位のものは内蔵GPUに”Intel Iris Plus”を搭載していますが、このCore i3では従来のものと同じ”Intel UHD Graphics”を採用します。そのため、大幅なグラフィックス性能の向上というわけではありません。
RAMは16GBが搭載されていました。現在公開されている製品ページでは「最大周波数2133MHz の12GB LPDDR4メモリを搭載」となっていますので、試用させて頂いた実機のみの構成なのだと思われます。16GBはもちろんのこと、12GBでもミニPCとしては十分すぎるくらいの容量ですので、長い間十分に使っていける仕様ですね。
ストレージは256GBのNVMe接続のSSDということになっていますが、実機ではSATA接続のSSDでした。NVMe接続のスピードを体感することはできませんでしたが、SATA接続でも十分に早いと思います。また、256GBでは心許ないユーザーのために、2.5インチサイズのHDDが増設できるスペースが搭載されています。後述する入出力ポートの部分で「特徴的な要素」があるのですが、それを利用する用途ではストレージ容量が重要になりますので、好みの容量に増やすことができるのは安心です。
入出力ポートは豊富で一通りのものは揃っています。USBは合計4ポートでマウスとキーボードで使っても十分余りますね。ディスプレイもHDMIとDP対応で安心です。「特徴的な要素」というのは”Thunderbolt3″に対応したType-Cポートを備えている点です。前に説明した2つのディスプレイ出力とこのType-Cポートで最大3台のモニターへ映像を出力できます。机上は最小限にして3画面という広大な領域で映像が表示できる、スッキリとしたデスク環境の構築も狙えます。これだけでなく、Thunderbolt3ということを活かして、外付けGPUボックスを接続してグラフィック性能を向上することもできるでしょう。
さらに、ギガビットイーサネットコネクタが2つ搭載されていることも特徴です。ホームユースではあまり使用する機会は多くないかもしれませんが、ローカルネットワーク環境の構築をしたり、NASとしたりといった使い方にも対応します。
重量は不明でしたが、お借りした実機で測定をしたところ「895.8g」でした。900gを切る重量というのは持ち運びが視野に入るくらいの軽さですね。
2. 外観
試用機の付属品は、ACアダプタとSATA接続用変換ケーブル、固定用ネジです。おそらく市販モデルだと取扱説明書や保証書なども同梱されると思います。
まずは天板側。この製品は横置きにも対応しているので、横置きの状態で上に来る部分です。金属製のひんやりとした質感で、マットなダークグレーといった見た目です。画像のように光の当たり具合では明るく見えます。中心にはメーカー名が印字されています。
底面です。こちら側はエアフローのためのスリットが設けられています。また、上下にある黒い横長の物が滑り止め用の足で、安定感が良く片手で押しても全く動かないくらいしっかりとグリップしてくれます。四隅にあるネジを外すことで、内部へアクセス可能となります。
正面です。右上には電源ボタンがあります。画像では判別しづらいですが、左半分は非常に細かい切れ込みが斜めに入っており、左右で表面加工の違いがあります。また、シルバーのフレームが飛び出していますが、掴むためのハンドルになるほど大きくはなく、持ち運び用のものではありません。縦置きにしたときのスタンドになります。
側面ですが、画像上部が右側面、画像下部が左側面です(画像の縮率が異なっており、申し訳ありません)。どちらもエアフローのためのスリット(排気用)があります。大きめに領域が取られています。
背面です。背面には多くの入出力ポートがあります。やはり目を引くのがイーサネットコネクタが2つある点でしょう。干渉しないように上下逆に設けられています。その隣からマイクとイヤホンのジャック、USBポートが2つ、HDMIとDP、USBポートが2つ、USB Type-C、電源ジャックと並んでいます。コンパクトながら比較的ゆとりある並びで取り回しは良さそうな構成です。
底面のネジを外しました。外れたカバーを裏返すと、このようにHDD増設スペースが搭載されています。
カバーを外すと内部へアクセスができます。合計8箇所のネジを外すとシルバーのフレームをずらすことができます。隠れた四隅にネジがあるのでそのネジも外すことで、CPUファンを覆っている樹脂製の黒いカバーも外すことができます。しかし、固定はネジの他に「爪」でも行っているようで、外してより詳細な内部を除きたかったのですが、爪が折れるのが怖く、お借りしたものだったため止めました。
横から覗いてみると、CPUはヒートシンクで覆われており、CPUファンのユニットまで繋がっています。
起動中は内部のマザーボードのLEDが明るめに発光し、横の側面から内部が見やすくなっていたりします。LEDが赤く発光している部分はM.2 SSDです。M.2 SSDは換装もし易いと思います。
まずは縦置きしてみました。スリムタイプのデスクトップに比べても、非常に小さいことがわかります。縦置きにすると高さが目立ちますが、モニターアームに接続したモニターの下にすっぽりと収まります。
横置きです。縦置きはよりコンパクトさが目立つような気がします。幅、奥行き、どれも小さく机上を邪魔しません。画像のモニターは24インチですので、サイズ感の目安になると思います。
3. 使用感
片手で持ち運べるサイズのデスクトップが良い!
外観のところで縦置きと横置きを表示していますが、改めて触れていきます。筐体サイズは「本当にちょうどいい」くらいの大きさです。小さすぎないのも良いところで、机上でパッと見たときの存在感があり、所有しているという実感を感じることができます。横置き時はノートPCよりも縦と横の幅が小さく、底面積は11インチタブレットよりも小さいくらいです。
デザインについても、樹脂製の部分はあるものの金属製のカバーとフレームの方が多く、シルバーとグレーの落ち着いた色合いが邪魔をしません。手で押し込んでみても凹んだりすることも無く、強度の点でも安心感があります。
入出力ポートも十分使えます
今回の試用では、ギガビットイーサネットコネクタ2箇所とThunderbolt3対応のUSB Type-Cを活用できる製品が無かったため試せませんでしたが、各ポートの配置を見てもお互いのケーブルが干渉しすぎない配置で使いやすいと感じました。
ファン音は静か。発熱もほとんどしません。ゲームプレイでは…
通常使用時のファン音は無音です。耳を近づけてもほとんど聞こえませんので、音がストレスになることはありません。この製品のCPUはTDPが15Wで、低消費電力のモバイルノートPCにも採用されていますので、発熱は抑えられているのでしょう。
筐体に触れても全く熱くありません。例えば、PCMark10やCinebenchR20などの負荷が高めのベンチマークを実行しても気になるほどではありませんでした。発熱が少ないということは各パーツへのダメージも少なく済みます。長く使っていく上でも安心だと感じました。
試しにフォートナイトをプレイしてみました。性能が向上しているCPUとは言っても、Core i3であるためかゲームプレイは厳しいという印象です。
フォートナイト初回起動時の自動設定ではどの項目も”低”か”オフ”になり、FPS上限も30fpsとなるなど低品質が設定が適用されました。
バスから飛び出して降下中でも描画はカクつきます。フィールドに着地して周辺に他プレイヤーが存在しなくても30fpsを下回り、少し移動するだけでフリーズするタイミングもありました。
4. 性能テスト
PCMark10
参考:
HP OMEN X 2S 15(i9-9880H、RTX2080 Max-Q):6,447
Lenovo Legion Y740(17)(Core i7-9750H、RTX2080Max-Q): 6,151
MSI GE66 RAIDER(i7-10875H、RTX2070):6,081
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(i9-10980HK、RTX2070SUPER):6,023
ASUS ROG Zephyrus G14(Ryzen 9 4900HS、RTX2060 Max-Q):5,852
Lenovo Legion Y740(15)(Core i7-9750H、RTX2070 Max-Q): 5,830
ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV(Core i9-9980HK、RTX2060): 5,727
MSI Bravo 15(Ryzen 5 4600H、Radeon RX5300M): 5,635
Lenovo Legion Y7000(Core i7-9750H、GTX1650): 5,618
ドスパラ GALLERIA GCR1660TGF-QC-G(Core i7-9750H、GTX1660Ti): 5,573
ASUS ROG Zephyrus S GX502GV(Core i7-9750H、RTX2060): 5,506
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF(Core i7-9750H、RTX2070): 5,505
DELL G7(Core i7-8750H、GTX1060): 5,401
ドスパラ GALLERIA GCF2060GF-E(Core i7-8750H、RTX2060): 5,328
MSI GP65 Leopard(Core i7-9750H、RTX2060): 5,299
ドスパラ GALLERIA GCF1070GF(Core i7-8750H、GTX1070): 5,122
ASUS ZenBook 14 UM4125IA(Ryzen 7 4700U): 5,014
MSI GF75 Thin(Core i7-8750H、GTX1050Ti): 5,009
ドスパラ GALLERIA GCF1060GF-E(Core i7-8750H、GTX1060): 4,976
ASUS VivoBook S15 M533IA(Ryzen 7 4700U): 4,975
ドスパラ GALLERIA Mini 1060(Core i5-7500、GTX1060): 4,906
ドスパラ GALLERIA GCF2070GF-E(Core i7-8750H、RTX2070): 4,893
HP ENVY x360 15(Ryzen 5 4500U) : 4,738
ASUS ZenBook 15 UX534FT(Core i7-8565U、GTX1650): 4,709
HP ENVY x360 13(Ryzen 5 4500U) : 4,678
ドスパラ GALLERIA GCF1050TGF-E(Core i5-8300H、GTX1050Ti): 4,545
ASUS ROG Zephyrus G GA502DU(Ryzen 7 3750H、GTX1660Ti): 4,365
OMEN X by HP(Core i7-7820HK、GTX1080): 4,290
iiyama STYLE-17FH054-i7(Core i7-8750H) : 4,281
HP Spectre x360 13(Core i7-8565U): 4,223
Lenovo ThinkPad T490(Core i7-8565U、MX250): 4,158
ASUS VivoBook S15 S531FA(Core i7-10510U): 4,155
Lenovo ThinkPad X1 Carbon(Core i7-8665U): 4,132
ASUS TUF Gaming FX505DT(Ryzen 5 3550H、GTX1650): 4,124
Lenovo ThinkPad X1 Yoga(2019)(Core i7-8665U):4,120
ASUS ZenBook 14 UX434FL(Core i5-8265U、MX250):3,933
Lenovo ThinkPad X280(Core i7-8550U): 3,909
HP Elite Dragonfly(Core i5-8265U): 3,843
ドスパラ Altair F-13KR(Core i5-8350U): 3,778
HP Spectre 13(Core i5-8265U): 3,766
ドスパラ DX-C5(Core i5-10210U): 3,737
HP ENVY X360 13(Ryzen 7 3700U): 3,728
Lenovo ThinkPad E595(Ryzen 5 3500U): 3,714
NEC LAVIE Direct NEXT(Core i7-8550U): 3,704
ドスパラ Critea VF-HEKS(Core i7-8550U、MX150): 3,704
マウス m-Book X400B(Ryzen 5 3500U): 3,659
HP ENVY x360 15(Ryzen 3500U): 3,617
DELL Inspiron 17 5000(5770)(Core i7-8550U、Radeon 530): 3,607
Lenovo ThinkPad E495(Ryzen 5 3500U): 3,574
東芝 dynabook AZ65/G(Core i7-8550U): 3,546
HP ENVY 13(Core i7-8550U):3,534
DELL XPS 13(9370)(Core i7-8550U): 3,518
ドスパラ Critea VF-HGK1050(Core i7-7700HQ、GTX1050): 3,492
東芝 dynabook VZ82/F(Core i7-8550U): 3,491
富士通 LIFEBOOK WS1/B3(Core i7-8550U): 3,479
Microsoft Surface Pro 6(Core i5-8250U): 3,399
東芝 dynabook DZ83/J(Core i7-8550U): 3,353
マウス m-Book J(Core i5-8250U): 3,350
東芝 dynabook UZ63/F(Core i7-8550U): 3,341
Microsoft Surface Laptop 2(Core i5-8250U): 3,199
HP Spectre Folio 13(Core i5-8200Y): 3,108
PCMark10では、表計算ソフトやビデオ通話、GIMPを使った画像編集などをシミュレートして測定を行います。スコアは3406で、モバイルノート向けの第8世代のCore i5やCore i7に匹敵します。Core i3でもこれだけの性能を発揮するのであれば十分ホームユース、ビジネスユースで活用していけると思います。
Cinebench R20
参考:
ASUS ROG Strix SCAR 15 G532LWS(Core i9-10980HK):497、4,120
ASUS ROG Zephyrus G14(Ryzen 9 4900HS):485、4,226
ASUS ZenBook 14 UM4125IA(Ryzen 7 4700U):479、2,637
ASUS VivoBook S15 M533IA(Ryzen 7 4700U): 475、2,821
MSI GF63 Thin(Core i7-10750H): 466、2,572
MSI Prestige 15(Core i7-10710U): 458、2,528
MSI Bravo 15(Ryzen 5 4600H): 454、3,280
HP ENVY x360 15(Ryzen 5 4500U) : 449、2071
HP ENVY x360 13(Ryzen 5 4500U) : 435、2,089
ドスパラ DX-C5(Core i5-10210U): 422、1,223
HP EliteBook x360 1040 G6(Core i5-8265U): 396、1,177
MSI Modern 14 B10R(Core i7-10510U): 389、1069
HP Elite Dragonfly(Core i5-8265U): 318、1,187
CHUWI Hi10 X(Celeron N4100): 153、404
Jumper EZbook x3 Air(Celeron N4100): 150、421
Microsoft Surface Go 2(Pentium Gold 4425Y): 147、366
※左から、シングルコア、マルチコアでのスコア
Cinebench R20では、CPU性能のみを測定します。まずシングルコアですが、第8世代のモバイルノート向けCore i5と同等でした。マルチコアでは第8世代のモバイルノート向けCore i5には届かないものの、それに準ずるスコアになりました。近いスコアのCore i5-8265Uが4コア8スレッドなので、2コア4スレッドのCPUとしては高めのスペックであることがわかります。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markは、ストレージのReadとWriteの速度を測定します。製品ページではNVMe接続となっていましたが、試用機はSATA接続です。測定結果としてもSATA接続SSDらしいものになりました。体感としてはこれだけでも十分ストレスフリーな速度で快適でした。
5. 価格など
「CHUWI CoreBox Pro」はクラウドファンディング形式での販売となり、現在プロモーションページが公開されています。そのページからメルマガ登録をすると、定価が399ドルのところ割引価格で購入ができるようになります。10月23日現在、案内メールは届いておらず、プロモーションページではカウントダウンされていて残り約12日となっています。
最新の第10世代(Ice-Lake)Core i3を搭載し、Thunderbolt3対応USB Type-C搭載で最大3画面出力に対応するなど、ミニPCながら使える幅が大きな製品だと思います。3画面出力にはしない場合でも、相性次第では外付けGPUボックスも使えると思うので拡張性も高いでしょう。それが400ドルを切る価格というのは十分にお買い得かと思います。今回試用してみて、ホームまたはビジネスの用途において強みを発揮してくれる製品であると感じました。サイズも机上をすっきりとした見た目にしてくれますので、内も外も整った素晴らしいミニPCだと思います。