近年キャリア版・オープンマーケット版ともにAndroidスマホのOS・セキュリティアップデート期間が延びてきているため、カスタムROMを導入する機会がありませんでしたが、久々にやってみたくなってしまったので、すでにソフトウェアアップデート期間が終了している端末を中古で購入して最新のAndroid 15を導入してみました。
1.カスタムROMを導入した端末
今回カスタムROMを導入した端末は2018年11月1日に発売されたGoogle Pixel 3(ソフトバンク版)です。「Pixel」シリーズとしては初めて日本でも取り扱いを開始したモデルで、SoCにSnapdragon 845を搭載した当時のハイエンドモデルとなります。
個人的にはCMソングにQueenの「Flash(フラッシュ・ゴードンのテーマ)」を採用したことのほうが印象に残っていますが、上記CMにもあるとおり、シングルレンズ構成でありながら夜景もきれいに撮れるのが売りの一つでした。
発売当初はAndroid 9 Pieが搭載されていましたが、最終的にAndroid 12までアップデートされています。
今回Pixel 3を選んだ理由は2025年現在でも常用できる性能で、キャリアモデルでもカスタムROM導入に必要なブートローダーアンロックを行えるためです(単純に安い上に現役で使える性能だったからというのもありますが・・・)。
ちなみに購入したPixel 3はジャンク品ではなく、美品に近いコンディションの通常中古品となります。
2.導入したカスタムROMについて
端末へのROM焼き自体が久しいため、Pixelシリーズの機能を忠実に再現した「Pixel Experience」の開発が終了していたり、離れている間にいろいろ変化がありましたが、迷った結果、現在でも積極的にアップデートが実施されていて、かつて存在していた「CyanogenMod」の流れを継承する「Lineage OS」の最新バージョン、Lineage OS 22.1(Android 15ベース)を導入することにしました。

Lineage OSの公式wikiから「Google→Pixel 3」とたどり、以下のファイルをダウンロードしておきます
lineage-22.1-XXXXXXXX-nightly-blueline-signed.zip(Lineage OS本体)
boot.img(イメージを書き込む際に使用するカスタムリカバリ)
Google関連のサービスを利用したい場合はこちらのページからLineageOS 22.1に対応するGAppsパッケージ(MindTheGApps、ARM64アーキテクチャ用)もダウンロードしておきます。
3.Lineage OS 22.1をPixel 3に導入してみた
導入するにはAndroid Developers公式サイトからダウンロードできるAndroid Studio、またはAndroid SDKに含まれているコマンドラインツール「ADB」の導入が必要です。Windows環境については古い記事になりますが、導入手順自体は現在でも変わっていないので、以下をご参照いただければ幸いです。

Pixel 3側では事前に「設定→システム情報」にある「ビルド番号」を10回連打して開発者オプションを有効化した後、「OEMアンロック」と「ADBデバック」を有効化しておきます。
次に、PCとPixel 3をUSB接続して、コマンドプロンプト(またはWindowsターミナル)を起動して「adb -d reboot bootlader」と入力しfastbootモードで再起動します。
Pixel 3がfastbootモードで再起動したら「fastboot flashing unlock」と入力してブートローダーをアンロックします。
Pixel 3側で「端末の保証が失われてしまいますが、ブートローダーを解除しますか?」という意味合いの確認メッセージが表示されるので、「Unlock the bootloader」を選択します。
ブートローダーをアンロックするとすべてのユーザーデータが初期化されるので、初期設定を済ませて再度開発者モードとADBデバックを有効化して「adb -d reboot bootloader」と入力するか、電源オフの状態で「電源キー + ボリューム下長押し」で起動して再度Fastbootモードに入ります。
標準リカバリーだとGoogleが署名した純正イメージしか起動できないため、Linage OS Projectが用意しているカスタムリカバリーを端末に導入する必要があります。
FastbootモードでPixel 3を起動したら再度PCに接続し、コマンドプロンプトから「fastboot flash boot (リカバリーパーティションのイメージをダウンロードしたフォルダのパス)¥boot.img」と入力してカスタムリカバリーを端末にインストールします。
カスタムリカバリーインストール後、Fastbootモードの起動メニューから「Recovery」を選択してリカバリーモードに入り、「Wipe Data Partition」からユーザーデータが格納されているパーティションの再フォーマットを実行します。
次に、リカバリーモードのメニューより「Apply Update→ADB Sideload」を選択し、PCに再接続して「adb -d sideload Lineage OSのROMイメージを保存したフォルダのパス¥Pixel 3にインストールするLinage OSのイメージファイル」.zip」と入力し、Lineage OSをインストールします。
Googleアプリを一切使用しないのであればこれでLineage OSの導入は完了となりますが、Google関連のサービスを利用したい場合は一度再起動してから再度リカバリーモードで起動して、Lineage OSのイメージファイルの適用と同じ手順で導入するOSバージョンに一致するGAppsパッケージを追加インストールします。
再起動して通常通り端末のセットアップを行えばLineage OS 22.1の導入は完了になります。
4.アップデート後の挙動について
もともとPixelに搭載されているOSはPixel独自機能が追加されているものの、AOSP版Android(いわゆる「素のAndroid」)に準拠している上に、Android 12以降UIの大場な変更は行われていないので、Lineage OSを導入しても操作感などはほぼ変わりません。
Lineage OSが公式で推奨している「MindTheGApps」ではGoogle関連のサービスを動かすのに必要な最小限のコンポーネントのみ導入されるため、Google ChromeやGmailアプリなどはプリインストールされておらず、カメラアプリも「Pixelカメラ」ではなくLineage OS独自のものに置き換わっていますが、Google Playストア経由で通常通りあとから追加インストールできます。
一度導入してしまえば純正ROM環境と同じようにインターネット経由でOTAアップデートを受け取ることが出来ます。
さすがに発売から6年が経過してしまっていることもあり、今となっては2~3万円台で販売されているミッドレンジクラスの端末とほぼ同じ性能ですが、現時点で最新バージョンとなるAndroid 15環境でも軽快に動作します。
Lineage OS 22.1導入後も日本向けモデルにのみ搭載されているおサイフケータイ(Felica)やPixel 以前のモデルに提供されていたGoogleフォトの無制限アップロードは引き続き利用可能です。Pixel 3自体発売から7年が経過した2025年現在でも魅力的な端末ですし、カメラ性能は今でも高いので、これなら本当にサブ端末として復帰させることも出来そうです。
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