こんにちは、かのあゆです。今回は「Elephone A6 mini」の実機レビューです。本製品はMediaTekの最新CPUである「Helio A22」を搭載しており、一番下の構成では1万円前半で購入できるエントリークラスの製品でありながら昨年のミッドレンジクラスの端末に近いスペックとなっており、ゲーム用途を除けば非常に快適に動作します。
なお、この製品は中国の通販サイト「geekbuying」にサンプル提供していただきました。geekbuyingにはこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
1.スペック
初期搭載OSはAndroid 9 Pieをプリインストールしています。前回レビューしたUMIDIGI S3 Proもそうでしたが中華スマートフォン界隈でも最新バージョンとなるAndroid 9 Pieを搭載する端末が増えてきました。Elephoneは以前は素のAndroidベースのソフトウェアを搭載していたのですが、昨年発売された「Elephone U/U Pro」より若干UIに手を加えています。
ただしHuaweiのEMUIやOppoのColor OS、XiaomiのMIUIのように大幅にUIを加えているというわけではなく、あくまでAOSP版Android OS準拠で一部UIを若干変更した程度のカスタマイズになっています。
搭載CPUはMediaTek MT6761ことHelio A22を搭載しています。元々はRedmi 6用にXiaomiとMediaTekが開発した製品だったようですが、Redmi 6の発売後今回レビューするElrphone A6 miniやHuawei Y6(2019)など他社製品への搭載もぼちぼち始まっています。構成としてはミッドレンジ向けCPUであるHelio P22をベースにオクタコアからクアッドコアに変更された製品で、MT6739よりは性能が高いもののどちらかというとエントリー向けスマートフォンに搭載されるCPUになっています。
ただしベンチマーク結果は後述しますがパフォーマンス的には昨年のミッドレンジスマートフォンのスペックとなっており、3Dゲームのプレイを除けば非常に快適に動作してくれます
GPUにはARM MaliではなくかつてはAppleにも製品を卸していたImagination Technology社のPowerVR GE6320を内蔵。
ライターの壁さんの端末紹介記事にもあるとおり、日本国内で入手できる端末としてはAmazon Fire TV 4Kにも採用されているようです。
RAMは全モデル共通で4GBで、内蔵ストレージは32GBと64GBのモデルを用意しています。32GB構成のモデルは1万円前半で購入することができる製品ですが、全モデル共通でしっかり搭載RAMが4GBになっているのは驚異的です。
このクラスの製品だとRAM2GB、内蔵ストレージ16GBという構成のものが当たり前だったので、ついにエントリーでもこのクラスの製品が出てきてしまったかというのが正直な感想です。
ディスプレイは5.71インチサイズで視野角が広く、表示も美しいIPSパネルを採用。解像度は1,520×720(HD+)です。
ただし実際のところElephone A6 miniのディスプレイの表示は綺麗で、ドットなどもよく目を凝らさないと目立ちませんし、このスペックで無理にFHD+以上に上げても逆に動作パフォーマンスが落ちてしまうことを考えると十分な解像度だと思います。
カメラはイン16MP、アウト16MP+2MPで、ミッドレンジクラスのスマートフォンと同等スペックのデュアルレンズカメラを採用しています。
特にアウトカメラはF値1.8のレンズを採用していることもあり、この価格帯のスマートフォンとしては暗所でも明るい写真が撮影できるのは最大の魅力なのではないでしょうか。
バッテリーは3,080mAhで、付属するACアダプターを利用した急速充電に対応しています。
2.デザイン
付属品はマニュアル、TPUケース、MicroUSBケーブル、ACアダプター(海外仕様)となります。
前面ディスプレイにはティアドロップ型ノッチを採用。ノッチ部のデザインはシャープのAQUOSシリーズに近いデザインになっており、また画面占有率も非常に高くなっています。
この価格帯のスマートフォンといえばベゼルが広いデザインのものが多かったのですが、A6 miniに関しては上位クラスのスマートフォンと比較しても劣ることのない美しいデザインになっており、十分所有欲を満たしてくれます。
背面はプラスチック素材を採用しています。この辺に関しては価格相当といったところでしょうか。
今回のレビュー機は「ブラック」ですが、これ以外にgeekbuyingでは「ブルー」と64GBモデル限定色となる「レインボー」が選択可能です。
プラスチックボディではあるものの、今回のレビュー機であるブラックに関してはマッドな質感となっており、かつての程価格帯スマートフォンに見られたような安っぽさは一切感じられません。
左側面はSIMトレイが配置されています。(少し見えづらくて申し訳ございません。)
SIMスロット2はMicroSDカードと排他式となっており、最大512GBまでのストレージ拡張に対応します。
右側面はボリュームキー、電源キー、指紋認証センサーが配置されています。
指紋認証センサーの精度は非常に高いものになっています。もはやこのクラスの端末でも認証の速度が遅いといったことや指をうまく読み取れないなどといったことはなくなってきました。
本体上部は3.5mmヘッドフォンジャックが配置されています。
本体下部はMicroUSBポートとスピーカーが配置されています。スピーカーは一見するとステレオスピーカーのように見えますが、残念ながらモノラルスピーカーです。ただし音質に関しては音が割れるといったこともなく十分なレベルです。
3.使用感
システム
搭載OSはAndroid 9 Pie。基本的には素のAndroidベースのシステムですが、アプリアイコン周りや一部システム設定の項目がElephone独自のものになっています。
特に端末情報の画面は以前レビューしたElephone A4にはなかったグラフィカルなインターフェイスに変更されていることには驚きました。
ここでは搭載されているCPUやカメラ、バッテリー、ディスプレイの仕様などが確認可能です。
また、発売したばかりなのでアップデートはリリースされていませんがOTAアップデートの項目もしっかり残されており、今後のアップデートも通常通り受け取ることができるものと思われます。
プリインストールアプリは非常にシンプルで、Android標準アプリと最小限のGoogleアプリのみがプリインストールされており、Elephone独自アプリは一切インストールされていない非常にクリーンなシステム構成です。
独自設定として端末を閉じた際自動的に端末のサウンド設定をミュートに変更するフリップモードや、ポケット内での誤動作を防止するポケットモード、ボリューム+キーでロックを解除することが可能です。
また、前回レビューしたUMIDIGI S3 Pro同様、ナビゲーションボタンの操作を従来の仮想ナビゲーションボタンではなく、ジェスチャー操作に切り替える設定も用意されています。
ただこの設定が実装されているスマートフォン全てに言えることではあるのですが、画面がより広く表示できるというメリットはあるものの慣れるまで少し時間がかかるので、無理に有効にしなくてもいいかもしれません。
初期出荷時のファームウェアにおけるAndroidセキュリティパッチレベルは「2019年2月5日」で、これはUMIDIGI S3 Proと同じものでした。(初期出荷時のファームウェアと技適の電磁表示をサポートする最新のファームウェア)
今回レビューしたストレージ32GBモデルでの初期出荷時の空き容量はこのようなものになっています。
ほぼ素のAndroidベースなこともあって非常にコンパクトなシステムサイズになっており、32GBモデルでも十分メインスマートフォンとしての環境を構築していくことができるのではないでしょうか。
また、MicroSDカードを内蔵ストレージに統合する「Adaptable Storage」にも対応しているため、32GBモデルでも最大544GBまでストレージ全体を拡張することが可能です。
microSDカードを「内部ストレージ化」して、ストレージ16GBのAndroidスマホをより快適に!(かのあゆ)
A6 miniに関しては後述するカメラアプリのデータ保存の仕様からむしろAdaptable Storageを積極的に使っていったほうがベストかもしれません。
カメラ
標準カメラアプリはUI、機能ともに非常にシンプルな構成になっており、搭載されている機能としては「フェイスビューティ、ブラーモード」のみと少し寂しい構成です。
他のスマートフォンでは搭載されている各種効果フィルターなども搭載されていないので、そういった機能が必要であれば別のカメラアプリを利用したほうがいいかもしれません。
また、現時点のファームウェアでは撮影したデータの保存先が内蔵ストレージ固定になっており、MicroSDカードへの保存ができない仕様になっています。
一応標準搭載されているGoogle純正ファイラー「Files」で手動移動することもできますが、色々と制限が出てくるため、こまめにバックアップした画像データを端末から削除するなどするか、前述の「Adaptable Storage」機能を活用してMicroSDカードを内蔵ストレージに統合するのが現時点ではベストな運用方法かもしれません。
いずれファームウェアアップデートで機能改善・追加が行われる可能性もありますが、せっかくワンランク上のスペックを誇るデュアルレンズカメラを搭載しているので現状この仕様は少し残念に思いました。
カメラアプリの仕様は少し残念ではあるものの、A6 miniに搭載されているアウトカメラそのものの性能は1万円前半で購入できるスマートフォンとしては非常に素晴らしいものになっており、特にF値1.8のレンズを採用していることもあって暗所でも明るめの写真が撮影可能です。
もちろんハイエンドクラスのスマートフォンと比較するとノイズが目立つような箇所もあるものの、カメラの性能としてはワンランク上のミッドレンジクラスのスマートフォンとも十分張り合えるスペックになっています。
かつてはこのクラスの製品だとアウトカメラが8MP+シングルカメラ構成で、SNSであげるにも少し厳しいスペックだったことを考えると本当にいい時代になったと思います。
4.性能テスト
今回も性能テストはAntutu v7.1.7で行いました。
日本国内ではまだ搭載端末が投入されていないMediaTek Helio A22ですが、そのベンチマークスコアはどのようなものになるでしょうか。
Xiaomi Mi 9(Snapdragon 855): 361,390
Samsung Galaxy S10e SM-G9700 (Snapdragon 855) : 355,870
Samsung Galaxy S9 SM-G960F (Exynos 9810): 250,018
Samsung Galaxy Note8 SC-01K (Snapdragon 835): 205,819
Samsung Galaxy S8 Duos SM-G950FD (Exynos 8895) : 194,363
Samsung Galaxy S8 SC-02J (Snapdragon 835) : 194,096
Sony Xperia X Performance F8132 (Snapdragon 820): 157,502
Huawei Mate 9 MHA-L29(Kirin 960): 165,411
UMIDIGI S3 Pro(Helio P70): 143,922
Xiaomi Mi 8 Lite(Snapdragon 660): 142,455
LEAGOO S10(Helio P60): 138,927
Samsung Galaxy Feel2 SC-02L(Exynos 7885): 123,174
ALLDCUBE m5(Helio X20): 103,678
Chuwi Hi9 Air(Helio X20): 95,498
Teclast M2(Helio X23): 94,849
DOOGEE S70(Helio P23 MT6763T): 93,417
Chuwi Hi9 (MT8173): 88,330
Huawei P20 lite (Kirin 659): 86,761
ALLDOCUBE X1(Helio X20): 85,170
Ulefone Armor 5 (Helio P23 MT6763V) : 83,335
Umidigi One Pro (Helio P23 MT6763V) ; 83,184
Blackview BV9500(Helio P23 MT6763T): 80,715
Vernee V2 Pro (Helio P23); 79,410
Huawei P10 Lite(Kirin 658) : 78,986
HOMTOM HT70(MT6750T): 59,460
Blueboo S3(MT6750T): 57,837
Nomu S10 Pro (MT6737T) : 51,425
Vernee M6 (MT6750); 50,186
VKWorld Mix Plus (MT6737) : 44,558
T-bao X101A (MT8783): 40,933
PIPO N8(MT8163A):39,785
Helio A22はどちらかというとエントリークラスに近い位置付けのCPUですが、昨年の中華ミッドレンジに数多く採用されていたMT6750Tを上回る結果となりました。
ベンチマークスコア的にはHuawei P10 liteに採用されているKirin 658やUlefone Armor 5などに採用されているHelio P23には流石に届かないものの、それに近い数値を計測しています。
実際にメインスマホと一緒に現在も持ち出して使っていますが、ゲーム以外の動作に関しては非常に快適で、ストレスを感じることはあまりありません。
それではゲーム性能はどのようなものかということで、Asphalt 9を起動しようとしたのですが、前回のUMIDIGI S3 Pro同様なぜか正常起動することができなかったため、同じく本格的レースシミュレーターである「Assoluto Racing」で動作確認を行いました。
このゲームはかなり美しいグラフィックが特徴ですが、アザーカーが一切存在しないこともあって意外なことに非常に快適にプレイすることができました。
流石にPUBG Mobileなどのような重量級3Dゲームをプレイするには前回のUMIDIGI S3 Pro以上に厳しいでしょうが、ある程度ライトな3Dゲームであれば十分プレイすることはできそうです。
5.まとめ
Elephone A6 miniは現在geekbuyingにて32GBモデルが119.99ドル(約13,832円)で、64GBモデルが155.99ドル(約17,982円)で販売中です。
現在の価格としてはエントリークラスの価格帯となるわけですが、内容的には2万円台で販売されているミッドレンジクラスにも匹敵するスペックとなっており、非常に満足度の高い一台に仕上がっています。
現時点での純正アプリの仕様に若干不満が残る仕様で残念ではあるものの、最新のAndroid9 Pieをプリインストールしており、かつてのエントリークラスの常識を覆すワンランク上のスペックのカメラ、美しいティアドロップ型のノッチ、十分快適に動作するCPU性能など、非常にバランスがいい一台に仕上がっており、重量級3Dゲームをプレイするような用途でもなければ十分メイン端末としても活躍できるかもしれません。
実際かのあゆ自身メイン端末でもそこまで重量級の3Dゲームをプレイするといった機会は少ないので、正直にいってしまえばA6 miniでも十分メインとして活用していけそうです。
正直レビュー前の予想を良い意味で裏切られたというのが正直な感想で、個人的には久々に使っていて楽しいと思える中華スマートフォンに出会えたと思います。
6.関連リンク
Elephone A6 Mini: geekbuying
コメント
umidigiのA5も気になりますね。どっちにしようかな。