記事にアフィリエイト広告を含みます

NOMU S10 Pro - 5インチ、そんなにハイスペックじゃないけど、筐体品質が素晴らしいアウトドアスマホ(実機レビュー)

NOMU S10 Pro
こんにちは、ウインタブ(@WTab8)です。年末にかけて実機レビューが非常に増えており、楽しさ満点、スケジューリングの厳しさも満点です。ちょっと聞いてくださいよ。某国内PCメーカー、こんど製品をお借りしてレビューさせてもらうことになったんですが、日程が「12月28日私の自宅着、1月2日私の自宅発」なんですよね…。さすがにこれは…と思いました。がんばります。

スポンサーリンク

さて、今回はウインタブでたびたび記事を書いている中国のスマホ「NOMU S10 Pro」の実機レビューです。アウトドアスマホなんですけど、IP68クラスの防水・防塵性能についてはしっかり検査機関の認証を取っていたりして、かなり誠実というか真面目に取り組んでいると好感を持っていました。なので、実機に触れることができて大変うれしく思います。なお、この製品はいつものように通販サイトからの提供ではなく、メーカーであるNOMUから提供していただきました。この場にて御礼申し上げます。ありがとうございました。

1.スペック

NOMU S10 Pro スペック表
まず、スペックから見ていきます。OSはAndroid 7.0で、CPUはMT6737Tですから、最近の水準だと「エントリークラス」となります。このレビューではAntutuベンチマークも実施していますが、MT6737というのはウインタブでは「かなりメジャー」な存在なので、私も読者のみなさんもおおよそ性能がイメージできると思います。とはいえ、数年前のエントリークラスと今のエントリークラスは全然別物で、負荷の大きいことをするのでなければ十分快適に使える水準は確保されていることでしょう。

RAMは3GBとMT6737Tとの組み合わせでは余裕がありますし、ストレージも32GBありますので、ミッドハイ~ハイエンドの製品と比較しなければ十分と言っていいレベルです。

ディスプレイは5インチと、最近のAndroid機としてはやや小ぶりな部類に入り、解像度もHDにとどまります。またカメラについてもイン5MP / アウト8MPというのは性能を競うという水準ではなく、実用品としてしっかり使えるよね、って感じになりますね。ただ、後述しますが、アウトカメラについてはソフトウェア補間により13MPとなっています。

ということで、スペック表を見る限り、性能面では特筆すべきものはなく、「1万円スマホのRAMとストレージを増強した」くらいです。実際この製品の実売価格は150ドル前後(17,000円~18,000円くらい)なので、あとは試用してみて挙動を確認し、筐体品質をチェックすれば、いい買い物になるのかどうか、わかると思います。

2.筐体

NOMU S10 Pro
同梱物です。本体のほか、取扱説明書、保証カード、電源アダプター(EUプラグでした。なので日本で使うには変換アダプターが必要です)、主に充電用と思われるUSB(オス)- microUSB(オス)のケーブル、SIM着脱用のピン、そして液晶保護フィルムがついていました。

取扱説明書は英語のみで書かれており、めちゃめちゃ字が細かいんですけど、内容はかなり親切で、Androidの基本操作やトラブルシューティングなど、盛りだくさんな内容です。

NOMU S10 Pro
前面です。最近はベゼルレス(ベゼル幅が非常に小さい)の製品が増えているというのもありますし、この製品がアウトドアスマホで筐体サイズが大きめ、というのもあり、ディスプレイサイズが小さめに感じられます。実際5インチっていうのはそんなに小さいサイズでもないんですけどね。

前面に物理ボタンやセンサーボタンはありません。OSの基本操作はソフトウェアキーで行います。

NOMU S10 Pro
あ、すいません。また邪魔されてしまった…。全然落ち着きがないくせに、写真うつりだけはいいんですよねー。

NOMU S10 Pro
気を取り直して。こちらは左側面です。側面は硬質なラバー、といった感触で、わずかに弾力があります。また、滑り止めと考えていいんでしょうけど、凹凸が設けられています。

NOMU S10 Pro
ひとつ上の画像だとわかりにくいですが、左側面にはSIM/microSDスロットがあり、アウトドアスマホなんでパッキン(カバー)で覆われています。スロットはNano SIM × 2、もしくはNano SIM + microSDカードをセットできます。

ウインタブの実機レビューではSIM通信のテストはできませんが、並行輸入のスマホはスペック表でDSDS(2枚のSIMによる同時待ち受け)対応という記載があっても、実際には日本でうまく機能しないケースが多い(そのようなコメントをたくさんいただいています)ようなので、この製品についてはDSDSは「使えればラッキー」くらいに考えておいたほうがいいでしょう。

NOMU S10 Pro
上面です。すいません、写真の撮り方が悪くてシルエットしかわからないですね…。

NOMU S10 Pro
写真の撮り方が悪いというのは間違いないですが、この製品はポート類がすべてパッキンで覆われているというのも画像をわかりにくくしている原因です。上面にはオーディオジャックがあります。

NOMU S10 Pro
右側面です。この面には電源ボタンと音量ボタンがあります。

NOMU S10 Pro
アングルを変えてみました。ボタン類は、決して悪い意味ではなく「かなり固い」です。押すのにすごく力が要る、というほどではないですけどね。たてつけが非常によく、少し力が必要ですが、確実に押せますし、押した際に「カチッ」と確実な手応えがあります。

NOMU S10 Pro
下面です。ここにはmicroUSBポートがあります。もちろんパッキンで覆われていますが、以前ライターのふんぼさんが「Ulefone Armor 2」の実機レビューの際に指摘していた、「USBポートやオーディオジャックは使用頻度が高く、パッキンの開閉回数も多くなるが、そうすると次第にパッキンがゆるくなり、防水性能が落ちる」という点はこの製品にも当てはまります。実際このパッキンにどの程度の耐久性があるのかは未知数です。もちろん試用中はゆるくなるなんてイメージは全然ありませんでしたけどね。

NOMU S10 Pro
背面です。実際には「真っ黒」なんですけど、少し画像を明るくしています。見るからにアウトドアスマホ、という感じですが、カラーリングは比較的おとなしいですし、めちゃめちゃ派手とは感じません。アウトドアスマホとしては比較的目立たないほうかもしれませんね。

なお、背面および側面は上にも書いたとおり「硬質のラバー」という感触です。しかし、さすがに華奢な感じは一切なく、多少力を入れてねじってみたりしても、びくともしません。

ウインタブでは過去に低価格なアウトドアスマホとして「Zoji Z7」をレビューしたことがあります。この製品も非常に筐体品質がよく、個人的には好印象でしたが、NOMU S10 Proの筐体はそれよりも確実に上です。とにかくガシッとしていて見た感じも触った感じも、もっというとねじった感じも、本当に頑丈に思われます。

3.システム

NOMU S10 Pro ホーム画面
ウインタブでは私もライター陣も好んで使う表現として「素のAndroid」というのがあります。中華スマホに限らず、OSがAndroidでもUI(ユーザーインターフェース、つまり外観や操作方法、あるいは独自機能)が一般的なAndroidではなく、メーカーがカスタマイズしている製品は非常に多いです。日本向け製品でもHUAWEIなどはメーカー独自のUIを使っています。

スポンサーリンク

中華製品で独自のUIを使っている場合、少し注意が必要です。まず、日本語に対応していないケースがあります。例えばXiaomiはMIUIという独自UIを採用していて、それ自体は評価が高いのですが、日本語対応していません。そして通販サイトなどがMIUIを無理やり日本語対応させるために、オリジナルのROMを使ってシステムを書き換えてしまうケースがあります。その場合、メーカーが配信するアップデートが使えなくなることがほとんどです。

それと、最近はもう心配しなくて良くなりましたが、中国語の買い物系アプリがたくさんプリインストールされていたりして、ちょっと怖い感じになっていたりすることもありました。

そのため、「素のAndroid(メーカーなどが手を加えていない、オリジナル状態に近いUIという意味です)」というのは、中華スマホの場合、ある種「褒め言葉」です。

この製品の場合、OSがAndroid 7.0で、さらに「素のAndroid」です。そのため、日本語化は99%大丈夫でしたし、余計なプリインストールアプリも皆無でした。入ってるのはGoogle系の諸アプリで、これらはどうせインストールすることになるので、入っていても問題はないと思います。ただ、他社製のアウトドアスマホの場合、「コンパス」とか「高度計」とかのアウトドア系アプリが入っていることが多いですが、この製品にはそれらのアプリすらありません。なので、登山とかで使う場合、自分で必要なアプリをインストールする必要があります。まあ、本来それが当たり前の姿なんですけどね。

NOMU S10 Pro システム
システム情報です。セキュリティパッチは2017年9月のものでした。また、「Software Update」という項目があり、OTAアップデート(Windows Updateのようなもの)も可能です。NOMUはこの製品の前身機であるS10のAndroid 6.0から7.0へのOTAアップデートをしっかり対応したとのことなので、この製品も必要に応じてアップデートが提供されると思います。

また、プリインストールアプリが非常に少ないせいか、ストレージの空きも28GBほどあります。この辺はすごく好ましいと思います。

4.使用感

ディスプレイ

発色がよく、キレイです。私が試した限り、青みがかっているとか黄みがかっているとかも感じられませんでした。解像度はHDにとどまりますが、使っていて不満を感じるようなものではありません。

ただ、最近のスマホはディスプレイが大型化していることもあり、5インチってやっぱり少し小さいですね。「フォントサイズ」「表示サイズ」(いずれもOSの標準機能で調整が可能です)がデフォルトのままだとアイコンが大きすぎたり、字が大きすぎると感じられましたので、どちらも小さくして使いました。これも調整後は問題なく、快適に操作ができました。

バッテリー

この製品、結構バッテリーが持ちます。具体的な測定をしていないのですが、2日間にわたし、ベンチマークテストをしたり、音楽を聴いたり、ゲームをやったりしましたけど、半分弱残ってました。もちろんメインスマホとして終日いろんなことで使い倒したらバッテリー消費は早まると思いますが、「1日充電なしで使える」のではないかと思います。さすが5,000 mAh。

ゲーム

NOMU S10 Pro ゲーム
私は少しゲームの動作について「優しい」ところがあります。というか評価が甘いんですよね。今回は少し厳しくチェックしようと思い「RealRacing 3」でしばらく遊んでみました。このゲームはグラフィックが非常にキレイで、迫力のあるレースゲームです。

結論から言うと、私のレベルでは十分遊べます。ただ、ライターのかのあゆさんとかふんぼさんの腕前だと話が違ってくると思います。注意して遊んでいると(おかしな日本語ですねえ)、たしかに少しカクつく場面が出てきます。また、グラフィックも少し省略されているんでしょう、車のグラフィックが粗くなっているのもわかりました。

ただ、それらの挙動は私のスコアに影響しているとは思えません。だってもともと下手くそだから。でもこのゲームをやりこんでいる人なら、不満が出る可能性があります。MT6737Tとそれより上位のCPUの体感差ってそんなもんだろうと思います。RealRacing 3はある程度負荷の大きいゲームだと思います。なので、これよりも軽い、パズルゲームなんかだと快適に遊べるのではないでしょうか。

カメラ

この製品のカメラはイン5MP /アウト8MPという画素数なので、過度の期待は禁物というか、実用品レベルと考えたほうがいい性能です。しかし、個人的にはかなり頑張っていると思いました。今回も「LeEco Le Pro 3(アウト16MP)」の画像と比較してみます。ちなみに私はLe Pro 3のカメラ性能については絶賛しております。

NOMU S10 Proの写真1
LeEco Le Pro 3の写真1
上段がNOMU S10 Pro、下段がLe Pro 3です。どうでしょう?色味が少し異なりますが、個人的にはNOMUが善戦していると思いました。ただ、よく見るとLe Pro 3のほうが細部まで明るく、くっきりしていて枯れ木の枝の表現が上かな、と感じられます。でも8MPと16MPの差とは思えません。

NOMU S10 Proの写真2
LeEco Le Pro 3の写真2
こちらも上段がNOMU S10 Pro、下段がLe Pro 3です。割とはっきり差がわかりますね。色味も異なりますが、細部のくっきり感が明らかにLe Pro 3の方が上です。

NOMU S10 Pro カメラアプリ
「思ったよりずっといい!」というのが私の感想です。この画像の左側がアウトカメラの設定画面、右側がインカメラの設定画面です。アウト側はスペック表と異なり、13MPとなっています。NOMUに確認したところ「ソフトウェア補間をしている。もともとは8MP」という回答でした。どおりでキレイに写るはずです。

カメラアプリも「素のAndroid」ですね。美白モードなどの独自機能はありません。普通に静止画や動画を撮影できる最低限のものです。なので、凝る人はカメラアプリが必要かと思います。

5.性能テスト

いつものようにAntutuベンチマークをやってみました。

NOMU S10 Pro Antutu
LeEco Le Pro 3(Snapdragon 821): 161,331
LeEco Le Max 2(Snapdragon 820): 135,484
Lenovo ZUK Z2(SnapDragon 820): 132,410
UMI Z(Helio X27): 110,070
Vernee Apollo(Helio X25): 93,251
Elephone S7(Helio X25): 92,543
Ulefone T1(Helio P25): 67,409
Ulefone Armor 2(Helio P25): 66,331
Ulefone T1 Premium(Helio P25): 64,775
Xiaomi Mi A1(Snapdragon 625): 63,577
Blackview BV8000 Pro(Helio P20): 63,473
DOOGEE MIX(Helio P25): 61,975
DOOGEE Y6 MAX(MT6750): 45,070
CoolPad Max A8(Snapdragon 617): 43,832
Elephone P8 Mini(MT6750T): 42,593
※マウス MADOSMA Q501(Snapdragon 410): 35,663
ZOJI Z7(MT6737); 30,616
Ulefone U008 Pro(MT6737): 30,103
※Cube WP10(Snapdragon 210): 29,273
※ドスパラ Diginnos Mobile(Snapdragon 210): 23,785
※FREETEL KATANA 01 (Snapdragon 210) : 22,724
※印はWindows 10 Mobile搭載機です
※画像が切れてしまっていますが、「RAM:5258」となっています。

MT6737の「T」つきではありますが、当初の予想は「3万点くらい」でした。しかし、思ったよりも高いスコアになっています。「T」つきのほうはクロックスピードが1.5GHzと、「T」なし(多くが1.3GHz)よりも速く、そのあたりが関係しているんでしょうね。カメラといい、ベンチマークスコアといい、予想に対して上振れしてくれたのは好印象です。

6.まとめ

NOMU S10 ProはAliexpress内のNOMU公式ストアを始め、各通販サイトで販売中です。一応NOMUからは「できればAliexpressの公式ストアで買ってもらいたいんですけど…」とは言われてますが、メーカーなんであんまり気にしなくていいんだろうと思います。12月20日現在でもっとも安いのがTOMTOPで144.99ドル(16,094円)、次いでgeekbuyingの149.99ドル(17,389円)です。

この製品については事前に「スペックは1万円スマホプラスアルファ(RAMとストレージに余裕あり)、あとは筐体やシステムなどの品質次第か」と考えていたのですが、スマホとしての基本性能は1万円スマホよりもワンランク上と評価していいと思います。また、NOMUが公開している動画のようにビール瓶を落としたり、凍らせたりといったテストも本来すべきだったのかもしれませんが、ウインタブの実機レビューということでその辺は試していません(このあとレビューする人が試してくれるかもしれませんけど…)。しかし、通常のチェックというか、一般的なスマホの外観チェックをしてみて、筐体品質は素晴らしいと思いました。「きちんと認証をとったIP68」というだけの「しっかり感」はあると思います。

実売価格が1万6千~7千円くらい、ということであれば決して高いとは思えません。むしろ安いでしょう。ただ、システムが「あまりにも『素』」なので、アウトドアスマホとして使うのならそれなりにアプリを探したり、キレイに写真を撮りたければカメラアプリを探したり、といった手間はかかると思います。でも、それが楽しいんですけどね!

7.関連リンク

NOMU S10 Pro:Aliezpress(公式ストア)
NOMU S10 Pro:TOMTOP
NOMU S10 Pro:geekbuying
NOMU S10 Pro:Banggood
NOMU S10 Pro:Gearbest

スポンサーリンク